大晦日『RIZIN.26』のメインイベントで、堀口恭司(アメリカン・トップチーム)に1R TKOで敗れ、RIZINバンタム級王座から陥落した朝倉海(トライフォース赤坂)が2月1日、赤坂の新ジムに設置されたフルサイズのオクタゴンで、シャドーボクシングを披露。「復活」を宣言した。
UFCとほぼ同じ直径9メートル、フルサイズの八角形の金網に真っ白なキャンバス──赤坂見附駅から徒歩2分の好立地にオープンした「TRI-FORCE赤坂/HIITジム赤坂」で、朝倉海が再始動をアピールするシャドーボクシングを披露した。
大晦日には、堀口によるヒザより下のふくらはぎ近辺を狙うローキック=カーフキックを効かされ、最後は右フックに沈んだ海。試合後、左足のふくらはぎ部分の「筋断裂」で全治1カ月半の診断が下されたが、自身のYouTubeで「いろいろ調べて酸素カプセルに行ったり、1日でも早く復帰できるようにいろいろな医療を試しています」と回復に向けた取り組みを報告していた。
試合から10日後にはすでに、パーソナルトレーニングで、足に負担をかけない形で上半身を鍛えていることを明かしていた海は、身体のオーバーホールも兼ねて、親知らずを抜歯。「格闘技で歯を食いしばるから、めっちゃ食い込んでいて全然抜けなくて、2時間くらい格闘していた。マジ痛かった」と苦笑するが、その頬に腫れは見られず、「思ったより腫れてないのは、やっぱり殴られ慣れているからかもしれない」と、パンチで耐性がついていると語った。
この期間に「1日4時間の練習を研究に充てた」という海は、カーフキック対策も練ってきた。公開した動画では、時折スイッチしながら絶えず動く大きなステップの連続で、ワンツー、ジャブのダブルから右ストレート、得意のジャブ&右アッパーなど、軽快な動きで左足が完治していることを見せている。
同ジムには、フルサイズのオクタゴンに加え、イタリア テクノジム社製の最新のスキルアスレチックトレーニングマシン『SKILLRUN』をはじめ、『TECHNOGYM BENCH』、『SKILLTOOLS』も設置されており、また、朝倉兄弟をサポートする元THE OUTSIDERファイターの“闘う弁護士”堀鉄平氏が、柔術のみならず、レスリングやキックボクシング等、各ジャンルのトップトレーナーが集まる環境を整備している。
この“日本版メガジム”では、大型ケージを活かした選手育成大会も計画されており、完全復活を目指す朝倉海にとって、新たに進化するためのバックアップ体制が整いつつある。
(C)KAI Channelより
2021年2月6日(日本時間7日)には、2019年の大晦日にベルトを争ったライバルで、現在はUFCフライ級でオクタゴンデビューを迎えるマネル・ケイプ(アンゴラ)が、ラスベガスでフライ級5位のアレッシャンドリ・パントージャとの対戦を控えている。
かねてから海外挑戦を公言している朝倉海は、本誌に「フライ級まで体重を落とすと力が出ずに厳しいので、バンタム級が適正なのかなと。バンタム級のほうが面白いですし」と、海外でもバンタム級で戦う意向を示しているが、RIZIN王者のケイプが、オクタゴンで階級を落としてフライ級でどこまで戦えるかは、今後の指針になるだろう。
(C)Zuffa LLC
そんなケイプは、海にAKAタイランドでの合同練習を誘っており、海も「近々、海外の練習に1回触れてみたい。海外に住むかどうかはそれから考えたいけど、とにかく海外の練習に、1カ月か2カ月行ってやってみたいなと思っています。この(コロナの状況で)いますぐにはなかなか行けないけど、絶対に練習方法を盗めるし、ほんとうにトップの選手に触れて自分がどうなのか、実際に気になる」と、まずは海外出稽古を実際に経験してみたいとも語っている。
再起に向け、堀口恭司との3度目の対戦を望む海だが、「周りも(3戦目を)すぐには求めてないなというのも感じていて、だったら、ほかの強い選手を何人か倒して『もう1回やってもいいよ』と言ってもらえるまでアピールするしかない」とも語っており、Bellatorで王座挑戦実績を持つパトリック・ミックス(米国)、日本人では、元谷友貴に一本勝ちした井上直樹、怪我からの復帰間近の石渡伸太郎の名前を上げている。
朝倉海は、復活ロードをどのように進むか。今週末のUFCでのマネル・ケイプの試合にも注目だ。