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【UFC】日本帰りのヴィヴィアニとロクサンが大熱闘、PANCRASE女王のヴィヴィアニが競り勝つ。キエーザがマグニーに判定勝ち。ハビブの従弟ウマルが失神チョーク勝ち=UFC PLAYBACK

2021/01/25 22:01
【UFC】日本帰りのヴィヴィアニとロクサンが大熱闘、PANCRASE女王のヴィヴィアニが競り勝つ。キエーザがマグニーに判定勝ち。ハビブの従弟ウマルが失神チョーク勝ち=UFC PLAYBACK

(C)Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images

 2021年1月20日(日本時間21日)アラブ首長国連邦・アブダビの「UFCファイトアイランド」にて、「UFC Fight Night: Chiesa vs. Magny」が行われた。

 メインイベントでは、ウェルター級8位のマイケル・キエーザ(米国)が、9位のニール・マグニー(米国)を5Rに渡り、テイクダウンからコントロール。パウンドで削り続け、判定3-0で勝利。同級1位のコルビー・コヴィントンの名前を挙げて、トップ5との対戦をアピールした。

 プレリム第2試合には、ハビブ・ヌルマゴメドフの従弟で、12勝無敗のウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)がUFC初参戦。カザフスタンのセルゲイ・モロゾフを再三のダブルレッグからテイクダウン。2R、リアネイキドチョークで絞め落とす鮮烈オクタゴンデビューを飾っている。

 試合後、通訳を務めたハビブは「9年前の今日、僕と同じ日に同じように勝ったけど、僕が3Rかかったのに、彼は2Rだった」とウマルの一本勝ちを祝福した。

 また、メインカード第3試合では、かつて日本マットを主戦場にしていた女子フライ級の2選手、8位のロクサン・モダフェリ(米国)と、9位のヴィヴィアニ・アラウジョ(ブラジル)が激突した。

 クロスポイント吉祥寺、そして和術慧舟會で練習を積み、スマックガール、K-GRACE、VALKYRIEで活躍したロクサンは、TUFに2度出場。“ハッピー・ウォリアー”の愛称で親しまれ、UFCフライ級で4勝4敗。うち2敗は対戦相手の体重超過のなか敗れている。

 対するヴィヴィアニは元ストロー級クイーン・オブ・パンクラシスト。PANCRASEではストロー級で戦い、三浦彩佳や藤野恵実にいずれもTKO勝ちを収めている。

 2019年5月にUFCに参戦し、2階級上の女子バンタム級でタリタ・ベルナルドに右フックで3R KO勝ち。同じPANCRASEからUFCデビューした堀江圭功が敗れた大会では、女子フライ級に参戦し、アレクシス・デイヴィスに判定勝ちを収め、オクタゴン2連勝を飾った。

 しかし、2019年12月のジェシカ・アイ戦では、アイが5ポンドの大幅体重超過のなか判定負け。2020年9月にモンタナ・デ・ラ・ロサに判定勝ちし、UFC3勝1敗としている。

 前日公開計量では、ナルトのコスプレでフェイスオフを行ったロクサンに対し、ヴィヴィアニは大きなイヤリングをつけて隆起した背中を披露。ともに126ポンドでパスしている。

▼女子フライ級 5分3R
○ヴィヴィアニ・アラウジョ(ブラジル)126lbs/57.15kg
[判定3-0] ※30-27, 30-27, 30-26
×ロクサン・モダフェリ(米国)126lbs/57.15kg

 1R、ともにオーソドックス構え。中央の取り合いから大きなステップやスイッチから右を振るヴィヴィアニ。ロクサンは細かいステップからフェイトをかけながらジャブを伸ばす。懐の深いヴィヴィアニはロクサンを捌いて右を外からかぶせる。さらに左アッパーも。頭を振りながらワンツースリーで前進するロクサン。かわされるもさらに左ジャブはヴィヴィアニをとらえる。

 ヴィヴィアニもワンツースリーの左でロクサンをとらえるとロクサンは下がらず右で飛び込み。右にかわすヴィヴィアニは右フックをひっかけてロクサンのバランスを崩す。

 左右の蹴りも混ぜるロクサン。ワンツーはヴィヴィアニがスウェイでかわし、ロクサンの打ち終わりに左を狙う。ヴィヴィアニの右の打ち終わりに組み付きボディロックはロクサン。金網まで押し込むと左足を右足にかけて引き出そうとするが、ヴィヴィアニも足を戻す。左で差すロクサンに左で差し上げて脇を潜りバックに回るヴィヴィアニは、背後から足をかけて前方に崩してテイクダウン! 左足をかけてリアネイキドチョークを狙う。

 2R、勢いよく中央に出るロクサン。ワンツーの右が長いヴィヴィアニ。ワンツーからの左フックがガード上からも力強い。ヴィヴィアニの左ジャブでアゴが上がるロクサン。ノーモーションのジャブが刺さる。ロクサンのバックフィストは空を斬ると、前進したロクサンの入りに下がりながら右を当てるヴィヴィアニ。

 ロクサンはヒザ着きのシングルレッグに入るが、ここはしっかり頭を押さえて切るヴィヴィアニ。ロクサンは金網際まで押し込もうとするが、がぶりながらスッと体を入れ替えたヴィヴィアニがスタンドバックに。脇下からパンチを放つ。正対して離れるロクサン。
 ジャブの刺し合いは遠いが、頭を下げての右でヴィヴィアニの引いたアゴに当てるロクサン。さらに左の相打ちから左ローをヒット。左右のステップのヴィヴィアニを追って右を浴びながら右を返すと、右ストレートをヒット! そこから前進の圧力にヴィヴィアニは尻餅をつくが、飛び掛かるロクサンを突き放す。休まず動くロクサン。

 左ジャブのダブルから今度は同じ動きでダブルレッグに入るヴィヴィアニ! テイクダウンしサイドを奪うと、肩パンチを当ててロクサンのブリッジを潰してブザー。

 3R、右瞼を切るロクサン。中央を取るヴィヴィアニ。ロクサンの右に左を合わせにいく。柔らかいヒザの動きでロクサンの入りをかわすヴィヴィアニ。右の打ち終わりに右を突き、さらにロクサンの左に右を外から強振、左の返しまで入れる。ロクサンの左の突進を潜って右に抜けるヴィヴィアニ。

 打って組もうとするロクサンをはねつけるヴィヴィアニ。レベルチェンジから素早いダブルレッグで懐に入りバックテイクするロクサン! さらに崩してテイクダウン。ヴィヴィアニの立ち上がり際にバックを狙うが、すぐに中腰まで立ち足をかけさせないヴィヴィアニは立ち上がり、金網に手を当てながら正対しもろ差しに。

 小手に巻くロクサンに今度はシングルレッグに切り替えテイクダウンを奪うとサイドへ。下からアームロック狙うロクサンはヒザを立てて中腰にまで戻すと正対し突き放す。顔を腫らせながらも果敢に愚直に頭を振って左右を突くロクサン。ワンツースリーの最後がヴィヴィアニをとらえるが、左にさばいたヴィヴィアニは距離を取る。そこを休まず追うロクサンは連打から左をヒット! しかしヴィヴィアニもバックステップでダメージを軽減。

 互いに息が苦しいなか、左ジャブの刺し合いでも退かないロクサン。サイドステップでかわして間合いを取り直すヴィヴィアニを追う。ガチャガチャにして詰めるロクサンだが、左を差したヴィヴィアニが金網に押し込む。突き放したロクサンはなおも前へ。その右をかわしてダブルレッグテイクダウンはヴィヴィアニ! クローズドガードに入れて腕十字狙い、しかしパスするヴィヴィアニがサイドを奪いヒジで押さえ、コントロールしてブザーにヴィヴィアニは雄叫び。タフな戦いを物語る表情を見せた。

 判定は3-0(30-27×2, 30-26)でヴィヴィアニが勝利。試合後、ヴィヴィは、「自分のパフォーマンスにはとても満足している。かなり練習してきたから。ロクサンはとてもタフだったけど、彼女が私のベストを引き出してくれた。頭に打ち込んでいっても彼女は止まらなかった」とロクサンを讃え、熱闘により自身のパフォーマンスも引き上げられたと語った。

 コロナ禍のなか、夏に祖母を亡くし、自身もコロナに感染もモンタナ・デ・ラ・ロサに勝利し、この日は組み技強者のロクサンにも競り勝った。

「ブラジルでチームと一緒に柔術をトレーニングしている。ボクシングと柔術に力を入れている。今回の試合に勝てて本当に嬉しい。今年はもっと戦いたい。トップ5の誰かとやりたいの。私がビッグファイトに相応しいことをみんなに知ってもらいたい。1週間は休む。その後はまたトレーニングを再開して試合に備えるわ」と、ヴィヴィアニは上位陣との対戦を希望した。

 現在、女子フライ級は、王者ヴァレンティーナ・シェフチェンコ(キルギス/ペルー)を筆頭に、8位ロクサンと9位ヴィヴィアニの上位は以下の通りとなっている。

1位 ジェシカ・アンドラージ(ブラジル)
2位 ケイトリン・チュケイギアン(米国)
3位 ローレン・マーフィー(米国)
4位 ジェニファー・マイア(ブラジル)
5位 シンシア・カルビーロ(米国)
6位 ジェシカ・アイ(米国)
7位 ジョアン・コールダウッド(英国)

 1月23日には、6位のアイと7位のコールダウッドが対戦し、コールダウッドが判定勝ち。トップ5との対戦を希望している。

 アイと5ポンドの体重超過のなか判定負けを喫しているヴィヴィアニにとって、この両者との対戦、あるいはコールダウッドとロクサンに勝利しているジェニファー・マイアとの対戦を実現させたいところだ。

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