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【RIZIN】堀口恭司が自ら、朝倉海戦のカーフキックを解説・実演する動画を公開した理由とは?

2021/01/15 11:01
【RIZIN】堀口恭司が自ら、朝倉海戦のカーフキックを解説・実演する動画を公開した理由とは?

 2020年12月31日(木)さいたまスーパーアリーナにて開催された『Yogibo presents RIZIN.26』のメインイベントで、朝倉海(トライフォース赤坂)が持つRIZINバンタム級王座に挑戦し、1R TKO勝利でベルトを奪還した堀口恭司(アメリカン・トップチーム=ATT)。

 試合を決めたのは、堀口の強烈なカーフキックだった。その後、「カーフキック論争」を巻き起こした堀口の独特の空手ステップとカーフの相性について、自身のYouTubeチャンネルにて公開している。

 朝倉戦で一気に注目を集めたカーフキックについて、堀口は「結構前からUFCの試合では使われていて、昨年末に自分が使ったカーフも、2年前くらいから流行っていて、日本ではテレビの生中継とか大舞台で使われたのは初めてだったのかなと。自分の前の試合でも使われていましたね」と、2年ほど前からMMAでも注目された技だと説明。

 ダリオン・コールドウェル戦でもローキックを使っていたが、「狙いどころをはっきりカーフ(ふくらはぎ)を狙う、というのは今回が初。コールドウェル戦では(カーフを)そこまで狙ってなかった」と明かした。

 前回の『ゴング格闘技』のインタビューでも語っていた通り、きっかけは「ATTで練習していたときに、相手にやられてほんとうに動けなくなった」から。「自分の感覚では(受けても)全然痛くなかった。でも麻痺しちゃって、足が動かなくなって“この技使えるなって”作戦に入れた感じですね」と、意識的にカーフを狙う下段蹴りを武器としたという。

「カーフは腿より筋肉が薄いので、ヒザ下ならどこでも2、3発で動けなくなり終わっちゃう。モロに受けると1発でも」とその威力を語る通り、現在では、多くのファイターがカーフキックを使うが、堀口の独自のポイントは、空手の踏み込みと角度、そしてフェイントにある。

「自分はもともと小さいし、空手の入りも採り入れながらのカーフキック。ちょっと遠い間合いから入ったり、フェイントを使って入ったりして、見えづらい角度で入っていました」と、海を崩した攻撃について語る。

 単純にカーフばかりを狙っても、脛を外に向けてカット(防御)されるが、堀口は、パンチの入りと蹴りの入りが同じのため、相手にとって「何をしてくるのか分かり辛いように自分はしていました」という。

 試合では、最初のカーフは足払い気味に近い距離で。2発目は遠い距離から相手の前足の外側を取って打ち込み、すでに海はダウン気味に身体を崩している。

 続いて、朝倉海も右のローキックを打ち返してきたが、堀口は脛受けでカット。ここで堀口は、ムエタイのように片足を大きく上げたカットはしていない。

 テイクダウンもあるMMA(総合格闘技)では、片足を上げることのリスクがあるためだ。堀口は朝倉の右ローを「カットしても足を流されてしまうこともあるため、自分は骨を外側に向けて受けて、(あえて)体重を前に持っていくことでバランスを崩さずカウンターが打てる」と語る。

 さらに、右のカーフを2連打した後に、同じ入りで左フックをヒットさせた堀口。

「たとえば右のパンチを見せておいて右でカーフを蹴ったりするので分かり辛い。パンチを見せながら、上(ハイキック)にも打ってもいい」と、今回の動画では、カーフの目線で入りながら、ブラジリアンキックのように軌道を変えてハイキックを打つ動きも披露している。

 立ち技の打撃においては、手足が長くリーチがある選手が絶対的に有利とされる。しかし、MMAのなかで堀口は、小さな身体のデメリットをメリットに活かす独特の工夫を凝らしている。

「手足の先端を使うのに、今までは身長が高い人の方が有利と言われていたけど、そういうのが関係なくなる。今回の試合では海君がすごい身長があったけど、足が(スタンスが広く前足重心で)前に出ている。自分はその足をめがけて蹴っていけばいい。カーフは身長が小さくても活路が見出しやすい」

 大きな武器を自身のモノにした堀口は、なぜここまで技術を公開するのか。

 それは、幼少時から培った伝統派空手をベースとした堀口の余人を持って変えがたい動きであることと、MMAの奥深さをファンに知ってもらいたいという思いがあるからだ。上下の蹴りのみならず、ヒジもヒザもパンチもテイクダウンも許されるMMAでは、組み合わせが無数にあり、様々な選択肢のなかで攻防がなされている。

 カーフキックの対処がさらなる相手の対応を生み、カーフキックも他の技同様にトランジション、技の連携にいかに組みこまれるか。堀口が今回の動きを公開することで、相手にとってはさらに、動きが読み辛くなることもあるだろう。そして、かつて“何でもあり”から派生した各競技の技は、MMAのなかで巡り巡って回帰し、進化しているともいえる。

 堀口は、「5年前には(カーフキックとして使っている選手は)見なかったですね。マイク・ブラウンが言うには──このカーフキックは『ATTの選手が初めて試合でやった』と言っていました。総合(格闘技)はどんどん進化しているなと思います」と語る。

「どこを蹴るのか、ポイントを解説します」と動画で公開した堀口。詳しい動きは、堀口のYouTubeを見てほしい。

「ATTの選手が初めて試合で使った」というカーフキックのルーツとは? ATTでの対策練習、そして堀口恭司のこれから等が語られた堀口恭司とマイク・ブラウンのロングインタビューは、2021年1月22日(金)発売の『ゴング格闘技』3月号(NO.312)にて掲載予定だ。

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