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2020年12月31日(木)さいたまスーパーアリーナで開催された『Yogibo presents RIZIN.26』の第13試合(68kg契約・5分3R・ヒジ有り)にて、朝倉未来(トライフォース赤坂)と対戦した弥益ドミネーター聡志(team SOS)が試合後のインタビューに応じた。
朝倉の左ハイからの右フックに敗れた弥益は、朝倉を「リアルに“日本のトップ選手”」と評し、試合後、「もうちょっと彼には長い間、格闘技を続けて欲しいなって思ったので、それを伝えさせてもらいました」と語った。
試合前に、格闘技のいちファンからサラリーマンファイターとなり、さいたまスーパーアリーナに立つ想いを、「学生時代、選手達から何度も勇気をいただいたあの場所に、選手として訪れる日が来るとは思いませんでした。人生には色んなことがあって、本当に色んなことがあって、色んな夢を諦めてきたけどそれでもあの頃の気持ちを持ち続けて良かった」と、SNSに記していた弥益。
試合は1R、いきなり中央を取って来たサウスポー構えの朝倉未来に「歩いて距離をリセットしろ」のコーナーマンの言葉通り、オーソから左に回る弥益。ニータップのフェイントからのパンチの動きで朝倉を下げさせる。
朝倉の右アッパーからの入りに「なんか絶妙なタイミングで出してくる」と朝倉が警戒していた弥益のカウンターの右ヒザがヒット!
「斜め前から、真っすぐ行かない」「打った後、同じところにいない、頭を振れ」の指示通り、スイッチしながら角度をつけて近づく弥益は、右のインローを当てて、朝倉の右足を流させる。
しかし、足が一瞬揃うと、朝倉は得意の左ミドルをヒット。そこをすぐに詰めて右を振る弥益は、打ち終わりを狙う朝倉の得意の右フックはしっかりスウェイでかわす。
なおも右インローを当てる弥益。朝倉も左インローを返す。左の跳びヒザは弥益。右にさばく朝倉。朝倉は左ミドルを当てるが、右ローを蹴り返す弥益。
弥益の右ハイに左ストレートを合わせに行く朝倉。互いにクリーンヒットならずも左で脇を差す形になった朝倉はそのままテイクダウン。
ガードの中から右のアッパーを当てる朝倉に、半身から弥益はニーシールドで朝倉の頭を引きつけながら左手を内側に引き付けてのスイープ狙いの崩しに、一瞬左に回されそうになる朝倉はすぐに上体を離す。
ブレークでスタンド再開。左右スイッチから上下のフェイントで右を振る弥益。下がる朝倉は続く入りに下がりながらも右をヒット。「近い! 触られる距離にいるな」の指示にいったん間合いを広げる弥益。
朝倉のワンツーをダッキングし、左ストレートを潜って右にかわす弥益。得意のノーモーションの右で詰めると、左にかわす朝倉を追う。
すぐに体を入れ替えた朝倉は弥益の真っすぐの入り際に左ハイの入りのモーションから前蹴りをヒット! ガードが上がっていた弥益は腹を効かされ一瞬、身体がくの字になる。
この三日月蹴りで試合の潮目が変わる。距離を詰めた朝倉は、ロープを背負う弥益が出してきた右に左のクロスをヒット。さらに弥益の右に頭を下げて振る朝倉の左が弥益の顔面に当たり、バッティングで中断。
顔をしかめる弥益。再開もすぐに詰める朝倉は、大きくステップインしての右ボディのフェイントからの左ストレート!
そして前蹴りで効かせていた左の蹴りを今度はボディではなく上段に打ち、左ハイをヒット! 棒立ちになった弥益を最後は右フックでマットに沈めた。
試合後、朝倉は正座する弥益に駆け寄り握手。インタビュースペースで弥益は、序盤の展開に手応えを感じていたとしながらも、左の三日月蹴りからペースが変わったことを告白。
今後について、左ハイキックを受けた右側頭部をアイシングしながら、「格闘技、頑張らなくちゃいけないなと思うので、『朝倉未来一年チャレンジ』2期生に応募しようかなと思います」と笑顔を見せ、サラリーマンとして、「4日の仕事始めは出社できそうか」と問われ、「『何やっているんだ』と言われると思いますけど、出社して会社の皆さんには仕事で返したいなと思います」と語った。
勝たなくちゃいけない試合だった
──試合後の率直な感想をお聞かせください。
「今回RIZIN、初参戦させていただいて、いろいろ試合前にもやらせていただいて、期待感のようなものは一部の方には持っていただいたのかなと思いますが、その方々の期待とかは裏切る結果となってしまい、申し訳ないな、と。ただ情けないという感じです」
──対戦を終えて、相手の印象は違いましたか。
「会見でもちょっと話したんですけど、やっぱり日本のトップ選手だなと。逆に過大評価するわけでもなく、過小評価するわけでもなく、リアルに“日本のトップ選手”だなと思いました。なので自分も勝てるという手応えを感じた瞬間ももちろんありましたし、そこで勝たなくちゃいけない試合だったなという感想です」
──勝てると手応えを感じた部分とは?
「試合の立ち回りのところもあって、自分が想定していた動きも出来ていて、相手のパンチも想定を上回る動きではなかったかなと、序盤に関しては思えたので、全然、届く範囲だったと思いますし、それは乗り越えないといけない場所だったなと、試合中も思いました。ただ、結局、最後、記憶が曖昧ではありますけど、勝つ形は向こうの方が何倍も多かったんじゃないかなって思います」
──フィニッシュに繋がる場面、その前の前蹴りが効いていたように見えました。ハイキックにガードが下がってしまったのも腹攻めが効いていたのでしょうか。
「仰る通りで、ボディへの前蹴りが効いてしまって、その後の動きが極端に悪くなってしまった。最後のハイからフックをもらったと聞きましたが、意識はないので覚えてないですね」
──そこまでの角度をつけたステップや、相手の右をかわして跳びヒザを入れるなど、序盤の作戦は奏功していたように思いましたがいかがでしょうか。
「そうですね。正直、今回、付け焼刃な作戦にはなってしまったのですけど、その中ではやるべきことは出来ていたんじゃないかと思います」
──試合後に、朝倉未来選手と話していたようですが、どんなことを?
「リング上では挨拶程度だったのですが、控室でもちょっと話をしてくれて、以前、『弥益と練習したことあるけど全然覚えていない』と言っていたので、個人的にショックで『本当に覚えていないの?』って聞いたら、『覚えてますよ』と言ってくれたので、それは良かったなと(苦笑)。個人的な意見ですが、もうちょっと彼には、長い間、格闘技を続けて欲しいなって思ったので、それを伝えさせてもらいました」
──あらためて、ですが、今回オファーが来て、大晦日のRIZINに出たことについて、どのように感じていますか。
「うーん、やっぱり今まで自分が戦っていた舞台と比べて、すごく多くの人に見てもらえたと思いますし、もちろん朝倉未来という対戦相手がいたから、自分の考えや言葉を活かすことも出来ました。その機会をいただいたRIZINと朝倉未来という選手には、感謝していますし、ただただ悔しいので、いつかなんかしたいな、と思っています」
──大晦日の前日には、さいたまスーパーアリーナに立つ思いをツイートしてましたね。
「そうですね……ほんとうに自分、中学生の頃から格闘技を見続けてきて、格闘技にほんとうにたくさん勇気をもらった人間なので、学生時代に何度もDREAMとか生で1人で見に行ったりして、たくさん勇気をいただいた場所だったので……(涙ぐむ)すみません、そんな場所で自分が試合出来ることは本当に光栄なことですし、試合もコーナーに立った時に、少し感極まりそうになりましたし、楽しくてしょうがなかったです。こんな夢のような時間がまたあればいいなと思っています」
──今後の展望を教えて下さい。
「格闘技、頑張らなくちゃいけないなと思うので、『朝倉未来一年チャレンジ』2期生に応募しようかなと思います(笑)」
──4日の仕事始めは出社できそうですか。
「いやもう、出社して『何やっているんだ』と言われると思いますけど、会社の皆さんには仕事で返したいなと思います」