2020年12月10日(日本時間11日)、米国コネチカット州アンカスビルのモヒガンサン・アリーナにて「Bellator 254: Macfarlane vs. Velasquez」が無観客&ライブ中継で開催された。
2020年のBellator最終戦となる同大会のメインイベントは「Bellator世界女子ストロー級選手権試合」。ハワイ出身の王者イリマレイ・マクファーレン(米国)が124.8ポンド(56.60kg)でパス。対するジュリアナ・ヴェラスケス(ブラジル)は124.4ポンド(56.42kg)で計量をパスしている。
マクファーレンはMMA11勝無敗で5度目の王座防衛戦。柔道ベース(柔術紫帯)のヴェラスケスもMMA10勝無敗でBelltor5連勝で挑戦権を獲得した。
奇しくも同日、スコット・コーカー代表が、「ようこそBellatorへ @kanawatanabe821」とツイート。現地メディアに、「渡辺華奈はオリンピックを目指していた選手で、昨年のRIZINのイベントでBellatorの女子ブラジル人(イララ・ジョアニ)選手に勝利し、私の目を引いた。彼女は打撃を向上させ、コンプリートファイターになるべく取り込んでいる。RIZINを通じて彼女と契約する機会があったので、契約を結んだ」と、9勝1分で無敗の渡辺華奈(FIGHTER'S FLOW)との契約を発表しており、女子フライ級戦線にさらなる注目が集まりそうだ。
渡辺は、2019年12月29日の「Bellator JAPAN」で当時9勝4敗のイララ・ジョアニを柔道仕込みの内股からパウンドで3R TKOに仕留めており、Bellatorでの活躍も期待される。今回の柔道出身のヴェラスケスの戦いは、渡辺にとっても注目の試合となる。
▼Bellator女子世界フライ級選手権試合 5分5R×イリマレイ・マクファーレン(米国)[判定0-3] ※48-47,49-46,48-47○ジュリアナ・ヴェラスケス(ブラジル)※ヴェラスケスが新王者に
1R、オーソドックス構えのマクファーレンに、柔道出身のヴェラスケスはサウスポー構え。先に圧力かける“フィジカルモンスター”ヴェラスケスはマクファーレンよりふた回りほど大きい。
マクファーレンのワンツーをさばくヴェラスケス。マクファーレンはニータップ狙いから右を上に振る。左ローを前足に突くヴェラスケス。その蹴り足を掴もうとするマクファーレンだが、ヴェラスケスは足を抜く。マクファーレンの右ローに右ストレートを狙うヴェラスケスは右の前蹴りも。
左インローはヴェラスケス。そこにマクファーレンも右を狙う。ヴェラスケスの懐は深い。
2R、ワンツーで前に出るマクファーレン。さばくヴェラスケス。マクファーレンはいきなりの右がかすめる。しかし続く左の打ち終わりにヴェラスケスも右を返す。ワンツーの右を伸ばすマクファーレン。ヴェラスケスも左で押し返し。マクファーレンはワンツーの連打から右で差すが、すぐに体を入れ替えたヴェラスケスは四つで押し込み。
マクファーレンの大外狙いも外し、内無双。体を入れ替えるマクファーレンだが、ヴェラスケスはコブラで左腕を内股に差し込み。右を差すマクファーレンだが、小外がけテイクダウンはヴェラスケス! インサイドガードに。腰を切ってパスを狙うが、マクファーレンは背中をつけて凌ぐ。
3R、マクファーレンのワンツーの飛び込みをステップバックでかわすヴェラスケス。左インローを当てるヴェラスケスにその蹴り足を掴んで上に挙げテイクダウンを仕掛けるマクファーレン。しかし金網背に差し上げたヴェラスケスは突き放す。マクファーレンは右目上から出血。
マクファーレンはのワンツーの飛び込みの打ち終わりにジャブを突くヴェラスケス! カウンター主体から自ら攻められるか。詰めるヴェラスケスは右ジャブ。マクファーレンは出血しながらもパンチで前に出る。マクファーレンのワンツーをいなして右ジャブを突くヴェラスケス。さらにフェイントをかけながら圧力。マクファーレンの飛び込みにヴェラスケスは右跳びヒザを二段合わせる!
4R、マクファーレンの左ジャブをダブルからの右をかわすヴェラスケス。手数は少ない。有効打のスタッツはヴェラスケスが優勢。マクファーレンの入りに左アッパーを突くヴェラスケス。マクファーレンの右ストレートのダブルは遠い。左前蹴りから前に出るヴェラスケス。左ボディストレートはマクファーレンがかわす。
ワンツーから前進し、右で差して小外がけテイクダウンはマクファーレン! ヴェラスケスの右足を両足で束ね、上半身を金網で立てるヴェラスケスに左手で細かいパウンドを連打! 金網からの立ち上がりに時間がかかるヴェラスケス。王者の明確なラウンドに。
5R、4Rのテイクダウンの手応えを経て、先に右で差して押し込むマクファーレン。しかし金網背にするヴェラスケスに前に崩そうとするマクファーレンはハイクラッチから引き込みスイープ狙いも下に! ラバーガードを狙うマクファーレン。首を抱くが、右足を抜いたヴェラスケスが上に。マクファーレンのケージウォークの動きに自ら体を離す。
すぐに右で差して押し込むマクファーレン。内股を狙うが、小手に巻いて残すヴェラスケス。残り30秒。アゴ下に頭をつけて押し込むマクファーレンにヴェラスケスは払い腰テイクダウン! ゴング。試合後、ヴェラスケスはヒザをマットに着けてマクファーレンに礼をした。
判定は3-0(48-47,49-46,48-47)で、恐るべき安定感で試合を運んだヴェラスケスが新王者に! マクファーレンは5度目の王座防衛ならず。
試合後、ヴェラスケスは涙を流しながら、「とてもエキサイト。チームと家族に感謝したい。特に兄弟に。オリンピックでは金メダルを取れなかったけど、この勝利は金メダルに値する。パンデミックで落ち込んだけど、ポジティブな言葉をかけてくれた人たちのおかげで立ち直ることが出来ました」と感謝の言葉を述べた。
新王者の誕生で、混沌としてきたBellator女子フライ級戦線。果たして渡辺華奈はどこまで食い込めるか。
アンソニー・ジョンソンがBellatorと契約
UFCライトヘビー級で活躍していたアンソニー・ジョンソン(36=米国)がBellatorとの契約を発表した。
MMA戦績22勝6敗のジョンソンは「素晴らしい形でBellatorに参加できた。UFCも尊重してくれて遺恨は何もない」と移籍を説明した。
ジョンソンはUFCでダニエル・コーミエーの王座に2度挑戦。2017年4月の再戦でリアネイキドチョークで一本負けし、現役引退を表明していた。
来春のサークルケージデビューに向け、スコット・コーカーBellator代表は「彼の退屈な試合を見たことがない。ブランクがあろうが、新しいAJが見られるんだ」と期待を寄せている。
現在、Bellatorのライトヘビー級戦線は、王者として元RIZINのワジム・ネムコフ(ロシア)が君臨。ほかにもライアン・ベイダー(米国)、フィル・デイビス(米国)、リョート・マチダ(ブラジル)らがジョンソンを迎え撃つことになる。