2020年11月20日(金)に中継される「ONE Championship:Inside the Matrix 04」シンガポール大会で、高橋遼伍(日本)がユン・チャンミン(韓国)と対戦する。
2019年1月10日の前戦では、タイ・バンコク インパクト・アリーナでタン・リー(ベトナム/アメリカ)に1R KOで敗れた高橋。「格闘代理戦争」出身で4連勝中のスター候補生のチャンミンといかに戦うか。
──前回の試合の振り返りからお伺いします。タン・リー戦はどんな試合でしたか?
「試合を掴み始めたかなって時に、相手の足をキャッチしたタイミングでバランス崩して、こけて、やられてしまった。凡ミス一つで試合が終わるんだ、という良い勉強になりました。 (タン・リーは)距離の設定が遠かったのですが、ジムでの練習でも慣れていたので、距離に関しては、戸惑うことはなかったです。ローキックも相手が嫌がっていたし、やっと距離が合って来たって時だったので残念でした。タン・リーと、もう一回やりたいです。マーティン・ニューイェンじゃなくて、タン・リーともう一回やりたいですね」
──前回の試合を踏まえて、どんな練習をしていますか?
「今までの試合は、カーフキックにこだわり過ぎていました。オールスタンディングで戦おうとしていたんです。でも、やっぱり自分は、MMAファイターなので、タックルしに行ったりとか、例えば、この間の試合で言えば、タン・リーのキックをキャッチして足払いでテイクダウンを取っていれば、また別の試合展開になっていたと思います。キックボクシングだけじゃなくて、MMAファイターなので、タックルとか組み技とか、そういうのをミックスさせてというのをコロナの期間中や、普段の練習でやってきました」
──レスリングの練習も多くされているかと思いますが、レスリングについてはいかがですか?
「レスリングは大人になってやり始めました。弟とか、強いレスラーの胸を借りて練習してきましたね。レスリングについては、すごい時間を割いて練習していて、打撃以上に練習しています。それなのに、今まで、それを使わずによくやって来たなって思います。(笑) 右手だけ使って、左手使わずにやって来たみたいなところがあるので、次はそこをミックスさせてやらないとなって思います。特にこの間の試合(タン・リー戦)で反省しました。毎回、タックル行くって言って行っていないので、そろそろ行こうと思います」
──弟の昭五さん(「レスリング全日本選手権2019」男子グレコローマン67kg級優勝)とはいまも練習しているのでしょうか。
「半年間会っていなかったのですが、つい数週間前に会って、一緒にトレーニングをしました。久々に一緒に練習して、自分がすごい上達していることを感じました。半年間頑張ってやって来た効果が、次の試合で出てくると思います。弟も次の国際大会でメダルを獲ったり、上位に行けば、オリンピック出場も確定すると思うので、弟に負けてられないです。兄弟2人で、海外で活躍できることは、お互いに刺激になります。そういう意味でも、弟には負けてられないです」
──高橋選手は、お笑いの経験もお持ちですよね。最近はYouTubeにも、動画をアップしていますが、そのことについても聞かせてください。
「自分は、2013年に格闘技をやりたくて上京してきました。同時に小学校の同級生とNSCっていう、吉本の養成学校に入学して1年間お笑いの勉強をしたんです。その後、2014年からは、劇場でお笑いをやっていました。でも、その当時、試合で連敗したんです。2連敗しました。その時、忙しすぎることに気づきました。劇場の練習をして、トレーニングして、バイトもして、というので格闘技で勝ち切るための練習量を確保できなくなり、お笑いを辞めて格闘技一本にしました。そこから、前回のタン・リーとの試合までは負けなしでした。お笑いも格闘技も成り上がり方がすごい似ている。お笑いは40歳とかになってからでもまた出来るので、今は、体が動くうちに格闘技に集中しようよって思ってやっています。YouTubeは、当時の相方と一緒にやっています。良い息抜きになっていますね」
──次の対戦相手にユン・チャンミンをぶつけられたことについて、どう感じていますか。
「自分、ONEでの試合のパフォーマンスが悪いので、キアヌ・スッバのときも良くなかったし、タン・リー戦もけっこうあっさり負けてしまって。チャンミンはたぶんONEがすごく囲ってるファイターなので、自分がレコードのわりにはそんな大したことないなってたぶん思われてるんでしょうね。そういうことも感じるからこそ、やっぱ負けられないです」
──4連勝中のチャンミンを、ファイターとしてどうとらえていますか。これまで高橋選手が戦ってきた選手と比べると、そこまで強いのか、疑問符がつきます。
「自分もまったく同じ意見で、相手がよく分からないんですよ。だからこそ参考にならない。番組の企画で日本で試合をしていたのも知っています。それで、ONEデビューして連勝中ですよね。身体がいきなり大きくなったので不気味ですし。ただ、やっぱり勝ち続けて勝ちの味を知ってるので、勢いはあると思うんですよ。勝って当たり前みたいな感じになってるけど、そこの怖さはあります。彼のキャリアは浅いですが、全然油断していないです。プレッシャー感じながら毎日練習しています。
また、彼は、ボクシングの選手で、フィジカルも強い。丁寧に戦う選手だなという印象です。手堅い試合をする選手だと思います。相手のグラウンドが弱いなら、タックルも行くし、コーチが戦略を考えて、それを試合でしっかり遂行できる選手だと思います」
──今回は、急な試合オファーだったかと思いますが。
「今年のこのオファーを断ってしまうと、コロナ第2波でまた試合がしばらく長引きそうな感じがしたので、ちょっと世の中の様子を見ながら、今回はもう期間短かったんですけど、イエスと言いました。ただ、オファーが来てからしっかり練習できたのって2週間だけなんです。最終の1週間は移動でこっちに来たので。
やっぱりなんで今回こんなにプレッシャーを感じるかといったら、たぶん期間が短すぎたからやと思うんです。試合が決まる瞬間って心がドキッてするんですけど、それは練習とかしたり、時間が経てば無くなってくるんですけど、今回ちょっとプレッシャーを抱えたままなので、たぶん短かったんじゃないかなと思います。それでも、これを断るとたぶん来年の夏以降になりそうな気がしたんですよ。やっぱり試合をしないと生活できないので」
──どんな戦略で試合に臨みますか? 話せる範囲でお聞かせください。
「ローキックはいつも通り蹴ろうと思うし、ボクシングもやるし、でもやっぱりレスリングですね。どこかで使おうとは思っています。とは言え、打撃で行けると思ったら打撃で行きますし、試合当日になってみないと分からないですね」
──では、試合の意気込みとファンへのメッセージをお願いします。
「前回、タン・リーに負けているので、それでもって今回の相手は、駆け出しのファイターです。多分ONEに囲われている選手だと思うし、テレビの企画(ABEMA「格闘代理戦争」)で出てきたファイターじゃないですか。自分はずっと、修斗でコツコツやり続けてきて、修斗の叩き上げなので、テレビの企画のポッと出の選手に負けられないし、負けるわけがないって思っています。世界的に厳しい中で、僕は今年ONE2戦目なのですが、試合を2回出来ることにとても光栄に思います。しっかり結果残したいと思うので、応援よろしくお願いします!」
ONE: INSIDE THE MATRIX 4
▼キャッチウェイト キックボクシング(58.3 kg) アスランベック・ジクレーブ (56.55 kg, 1.0222) ワン・ジュングァン (58.30 kg, 1.0103)
▼キャッチウェイト ムエタイ(59.0 kg) ロッキー・オグデン (58.30 kg, 1.0144) ジョセフ・ラシリ (58.50 kg, 1.0144)
▼バンタム級 MMA(61.3kg - 65.8kg) ブルーノ・プッチ (65.30 kg, 1.0044) クォン・ウォンイル (65.35 kg, 1.0036)
▼フェザー級 MMA(65.9 kg - 70.3 kg) 高橋遼伍 (69.75 kg, 1.0144) ユン・チャンミン (70.10 kg, 1.0148)
▼キャッチウェイト MMA(61.35 kg) マイラ・マザール (59.00 kg, 1.0152) チェ・チョン・ユン (61.35 kg, 1.0244)
※大会は、11月20日(金)午後9時30分(日本時間)より、ONE公式アプリ「ONE Super App」とABEMA「格闘チャンネル」で配信。