シンガポール・インドアスタジムで事前収録された「ONE: INSIDE THE MATRIX 3」が2020年11月13日、配信された。
メインイベントでは、元ONEバンタム級世界王者でランキング1位のトップコンテンダー、ケビン・ベリンゴン(フィリピン)と、現在ランキング5位の元UFCファイターのジョン・リネカー(ブラジル)が対戦。
2ラウンドに、リネカーが右アッパーでダウンを奪いパウンドを追撃したところで、レフェリーがストップ。TKO勝利でONEデビュー2連勝をマークし、現王者ビビアーノ・フェルナンデスが持つベルトへの挑戦へアピールをした。ベリンゴンは、2014年12月以降、ONEでビビアーノ・フェルナンデス以外には負けたことが無い強豪であり、そのベリンゴンに何もさせずに完勝した元UFCランカーのリネカーの今後に注目だ。
また、チームラカイの新星リト・アディワン(フィリピン)との対戦で待望のONEデビュー戦を迎えた修斗世界王者・箕輪ひろば(日本)は、1ラウンドにキムラロックを仕掛けられるピンチを切り抜け、その後主導権を渡さず、最後は2-1のスプリット判定でONE初勝利を挙げた。
アディワンは、2019年10月13日のONE両国国技館大会で仙三(日本)の右腕をスカーフホールドアームロックで極めて破壊するなど、腕関節の名手。そのアディワンのキムラを凌いだ箕輪は、試合後インタビューで、コーナーに就く先輩で元修斗世界フライ級王者の山上幹臣の試合を思い出したと語っている。
MMA9戦無敗のムラド・ラマザノフ(ロシア)と対戦した第13代PANCRASEウェルター級王者の手塚裕之(日本)は、得意の打撃で圧力をかけるもラマザノフのパワフルで手堅いテイクダウン&抑え込みにドミネートされ、ONE初黒星を喫している。
主催者から届いた試合後の箕輪ひろばのインタビューは以下の通り。
肩が2回鳴って3回タップしようかと思いました
──ONEデビュー戦での勝利。率直な感想をお聞かせください。
「ONEデビュー戦で勝利できたことは、純粋にとても嬉しいですし、有り難いことだと思っています」
──初回ラウンドは、ワンツーを受けてのキムラロックで苦しい状況が続いたかと思います。どんな気持ちで逃げ切りましたか。
「1R、キツかったですね(苦笑)。正直、肩が2回鳴って3回タップしようかと思いました。頭によぎったのは、(STFの先輩の)山上幹臣さんの試合シーン(2009年8月9日、修斗・STF主催興行でタイガー石井のアームロックで右上腕を骨折しレフェリーストップ)です。その試合でも、同じような状況があったのを思い出して怖くなりました。ですが、普段から自ら負けを認めるような行為(タップ)をしないように教わっているので、ここでタップしたら代表に怒られるんだろうなって思っていました。1Rが終わってインターバル中にセコンドから『いけるか?』と問われて『いけます!』とハッキリ言ったのを覚えています。」
──試合前のリト・アディワン選手の印象と、試合後の印象で何か変化はありましたか。
「試合前も、試合後も、とても強い選手だなという印象は変わらなかったです。戦っていて分かったのは、アディワン選手はメチャメチャ礼儀正しくていい人だなって事です。試合後、僕はアディワン選手に『ナイスファイト!』と声をかけました。相手も微笑んで握手を返してくれました」
──試合は中盤から盛り返してのスプリット判定勝利でした。どんなゲームプランを持って試合に臨みましたか?
「色々なプランはありましたが、1R目は深追いせずに様子を見て、2R、3Rで勝つ作戦でした」
──コロナの状況下での渡航、隔離生活を経てのデビュー戦となりました。この大会はどんな経験になりましたか。
「コロナ禍の中で試合をさせてもらえることで、試合が出来る有り難さを再確認でき、とても集中して取り組むことができました。また、色々な方々に支えられて試合や練習が出来ていることに改めて感謝できました。苦労した点は、やはり自分1人では練習するのに限界がありますし、今回の結果には繋がらなかったと思います」
──ストロー級で次は誰と対戦したいですか。
「今回5位の選手と対戦をさせて頂けたので、さらに上位の選手と対戦させて欲しいです」
──最後にファンへメッセージをお願いします。
「今回、自分のキャリアの中でも1、2を争う強敵に打ち勝つことができたのは応援してくださる皆様のお陰です。勝てないと思って試合を観てくれた方も勝てると信じて応援してくれた方々も、とても力になりました。これからも、勝てないと思う方々の予想を裏切り、勝てると思って応援して下さる方々の期待に応えられるように、練習し更なる高みを目指します(笑)。引き続き応援よろしくお願いします!」
ONE: INSIDE THE MATRIX 3
▼バンタム級(61.3kg-65.8kg)○ジョン・リネカー(ブラジル)65.75kg[2R 1分16秒 TKO]×ケビン・ベリンゴン(フィリピン)65.45kg
▼キャッチウェイト(64.0kg)○ジェへ・ユスターキオ(フィリピン)63.75kg[判定3-0]×ソン・ミンジョン(韓国)64.0kg
▼ウェルター級(77.2kg-83.9kg)○ムラド・ラマザノフ(83.75kg, 1.0018)[判定3-0]×手塚 裕之(83.0kg, 1.0233)
▼ミドル級(84.0kg-93.0kg)○ファン・ロン(中国)92.7kg[判定3-0]×ユーリ・シモエス(ブラジル)92.45kg
▼ストロー級(52.3kg-56.7kg)○箕輪ひろば(日本)56.4kg[判定2-1]×リト・アディワン(フィリピン)56.55kg