2020年11月7日(日本時間8日)、米国ネバダ州ラスベガスの「UFC APEX」にて、「UFCファイトナイト・ラスベガス13:サントス vs. テイシェイラ」が開催された。
メインイベントは、ライトヘビー級1位のサントスと、3位のテイシェイラの5R戦。
ジョン・ジョーンズが王座を返上したライトヘビー級の現王者は2020年9月にドミニク・レイエスに2R TKO勝ちしたヤン・ブラホヴィッチ(ポーランド)。ミドル級王者のイズラエル・アデサニヤが二階級制覇を目論み、挑戦者に名乗りを挙げている。今回のサントスとテイシェイラの勝者は、次々期挑戦者決定戦の意味合いを持つ。
もともと両者の試合は9月に組まれていたが、テイシェイラが新型コロナウィルスの陽性反応が出て欠場。10月に延期されるも、今度はサントスが陽性となり、今回まで試合が延期されていた。
36歳のチアゴ“マヘタ”サントスは、2018年8月のケヴィン・ホランド戦から、エリッキ・アンダース、ジミ・マヌワ、ヤン・ブラホヴィッチ相手に3連勝も、2019年7月にジョーンズからポイントを奪うもスプリット判定負け。その後、ヒザの手術を行い、今回が1年4カ月ぶりの再起戦となる。
41歳のテイシェイラは、驚異の4連勝中。2020年11月5日にBellatorデビュー戦でメルヴィン・マヌーフに2R TKO勝ちしたコーリー・アンダーソンに、208年7月に判定負けしたものの、以降、カール・ロバーソン、イオン・クテラバ、ニキータ・クリーロフ、アンソニー・スミスに勝利し、4連勝。うち3試合をフィニッシュしている。
▼ライトヘビー級マッチ 5分5R○グローバー・テイシェイラ(ブラジル)205.5lbs/93.21kg[3R 1分49秒 リアネイキドチョーク]×チアゴ・サントス(ブラジル)205.5lbs/93.21kg
1R、オーソドックス構えのテイシェイラに、サウスポー構えのサントス。サントスの右フックをテンプルに受け、さらに左右ラッシュにダウンするテイシェイラ。下から片足を手繰り立ち上がると、ダブルレッグに切り替える。さらにテイシェイラはボディロックからリフトしてテイクダウン! そのままマウント&パウンド。
サントスは腰を切り片足を戻すが、ハーフからテイシェイラはパウンドを打ちながらヒジ、パウンドを落とす。バックを取られることを警戒するサントスは半身になりながらも背中は見せず。テイシェイラは背中をつかせたままブザー。
2R、右ストレートを当てて金網に詰めて尻下でクラッチ、ダブルレッグテイクダウンはテイシェイラ。ハーフから抑え込み鉄槌。サントスは半身になり防ごうとするが立ち上がれず、足も戻せない。ついに足を抜いたテイシェイラは、サイドから左脇を差し、左ヒジ! マウントからパウンド、バックを向いたサントスにリアネイキドチョークを極めに行くが残り時間をサントスも凌ぐ。
3R、ダブルレッグに入るテイシェイラに左フックを当てるサントス! ダウンするテイシェイラはヒジを受けるが、下からシングルレッグで立ち上がるテイシェイラは背中を見せるサントスのバックを奪い、バックマウントからパウンド、リアネイキドチョークへ! がっちり首下に入り、サントスはタップした。
41歳、テイシェイラは5連勝。「2Rにサントスの力が弱まったのが分かった。2Rもあと10秒あれば極まっていた。ダナ、この年寄りにタイトルショットを頼むよ」と王座挑戦をリクエスト。2014年4月のジョン・ジョーンズ戦以来のタイトルショットに向けて前進した。なおブラホヴィッチはSNSで「もしアデサニヤが3月まで待てないなら、やろうぜ」と対戦を受託している。
試合後、テイシェイラは公式インタビューに「常にハードワークと鍛錬だ。チャンピオンになりたければ、チャンピオンのように生きるべきで弛んでいる時間は無い。試合に臨んで仕事を果たすのみ」と、充実の戦績の理由を語った。
また、ピンチからの逆転勝ちに「以前にも同じような状況はあった。トレーニングでもそういう状況はあった。こういうものなんだよ。何発か食らったが、リカバーできたし、すべては冷静でいることと状況を見極めること。第2ラウンドの終盤、向こうが疲れてきているのが分かった。決まったと思ったんだけどね。がっくりきた。首元にしっかり入っていたとはいえ、(残り)10秒のカウントが聞こえたからがっかりした。でも、向こうが疲れていることは分かった」と、危機的な状況にも冷静だったことを語った。
そして最後に「最高の気分だよ。本当に嬉しい。俺には素晴らしいチームがついていてくれる。最高の人たちに囲まれて、最高の家族もいる。最高だね。今は家に帰って、XLサイズのピザを食いたい。試合のことはまた後で話す。これで俺はタイトル挑戦者だと思っている。どうなるかはそのうち分かるだろう」とあらためてコンテンダーに名乗りを挙げた。
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▼ヘビー級マッチ 5分3R○アンドレイ・アルロフスキー(ベラルーシ)244.5lbs/110.90kg[判定3-0] ※29-28×3×タナー・ボーザー(カナダ)232.5lbs/105.46kg
MMA30勝19敗のオルロフスキーは、2020年5月の前戦で元PFL王者フィリップ・リンスのUFCデビュー戦の相手を務め、判定勝ち。対する19勝7敗1分けのボーザーは、そのリンに2020年6月に1R KO勝ちを収めている。
1R、ともにオーソドックス構え。慎重な展開。左右ローを蹴るボーザー。オルロフスキーはサイドキック、左ハイ、右フックも深追いはせず。ボーザーはローで足数を稼ぐ。
2R、オルロフスキーの左関節蹴りに右ローを合わせるボーザー。オルロフスキーは左のかけ蹴りも。サウスポー構えにスイッチするボーザーは左ストレート! オルロフスキーは左インロー。中央を取るオルロフスキーにボーザーは左ストレート。オルロフスキーは右のバックフィスト、そこにボーザーは右をかぶせる。2Rも慎重な展開。
両者インターバルは立ったまま。3R、右ローはボーザー。さらに左インローおとオルロフスキーの前足に攻撃を定める。さらに右バックフィストもブロックするオルロフスキーは、ボーザーの左ローに右ストレートを合わせる! ボーザーの右の入りに右をカウンターで打つオルロフスキー。スイッチを繰り返すボーザー。右ストレート、左インローも。オルロフスキーもワンツーから右をヒットさせるが深追いせず。オルロフスキーは左ハイもボーザーはブロックして右ボディストレート。
顔面への攻撃はオルロフスキー、ローキックの数はボーザーに。判定は3-0(29-28×3)で的確な打撃を当てたオルロフスキーが勝利した。
◆オルロフスキー「戦うのが好きで必死のトレーニングも大好物さ」
「いい感じだったかな。トレーニングキャンプ中に計画した通りにいけたと思う。コーチが彼のことを研究してくれて、かなり動くことは分かっていたし、攻撃を狙ってくることも分かっていた。ハードなローキックを武器に、オーバーハンドライトもある。ボーザーを見て、21歳だった頃の自分を思い出したよ。彼は若くてパワフルだし、強くてハングリーだ。彼の活躍を願っている。確かに、明日にでもタイトルをかけて戦いたいけど、他のヘビー級ファイターも順番を待っている。デイナ・ホワイトとマッチメーカー次第だ。俺は自分のやっていることが大好きだ。戦うのも大好き。必死のトレーニングも大好物さ。最高のチームだ」
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▼バンタム級 5分3R○ラオーニ・バルセロス(135.5lbs/61.46kg)[判定3-0] ※30-27×3×カリッド・タハ(135.5lbs/61.46kg)
◆ラオーニ・バルセロス「2RでKO出来たと思ったけど」
「準備はしていた。今回の試合でうまくやれたのは見てもらえたはずだ。どうだ、勝ったぜ。2Rの終わりに、拳で相手にダメージを食らわせた。KOできたと思ったんだけど、向こうが生きながらえた。誰にとってもいい試合だったと思うから、最高の結果だと思っている。今の頭の中はとてもいい感じ。一緒にトレーニングしているのはかなりタフなファイターばかりだ。今回の相手も本当にタフなファイターだった。KOかフィニッシュを狙ったんだけどね。試合中ずっと狙っていた。今日は自分が信じるもの以上のことがやれると自分に証明できた。ハードだったけど、いい仕事ができたと思っている」
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▼フェザー級 5分3R○ギガ・チカゼ(145lbs/65.77kg)[1R 3分51秒 TKO] ※左ミドル・左ハイ→パウンド×ジェイミー・シモンズ(146lbs/66.22kg)
◆ギガ・チカゼ「“ギガキック”って呼ばれている」
「ものすごく興奮したし、このために準備してきた。とにかく祝えることになって嬉しくてたまらない。俺らしい感じだっただろ。“ギガキック”って呼ばれているんだ。ボディに対して何度か打とうとしていて、高めにいった。とりあえず楽しみたいね。キックボクサーになる前から、ずっとこの瞬間を夢見てきた。世界のMMAファンに自分の力とスキルセットを見てもらいたかった。やっと、ここにたどり着いたし、一瞬一瞬を楽しんでいる。こういうチャンスをつかめない優れたファイターがたくさんいるから、自分は恵まれていると思う。恵まれているし、ここにいられて本当に嬉しい」
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▼女子ストロー級 5分3R○ヤン・シャオナン(115.5lbs/52.39kg)UFC6連勝[判定3-0] ※29-28×3×クラウディア・ガデーリャ(115.5lbs/52.39kg)
◆ヤン・シャオナン「ウェイリーとはいつでも戦える」
「(同じ中国のジャン・ウェイリーと戦える?)いつでも戦えます。今回はかなり慎重に戦って、コーチが教えてくれたことにすべて従った。今回はまったく違う試合になったと思う。最初のラウンドで2回、テイクダウンを食らったけれど、決して諦めなかった。自分に対して“この試合は勝たないといけないの”と言い聞かせたし、それを果たした。今回は絶対に諦めないと決めていたの。それはみんなにも分かってもらえたはず。私の成長は見ての通りよ。家に帰って、美味しい食事を食べて、休憩したいわ」
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【プレリム】
▼ミドル級 5分3R○トレヴィン・ジャイルズ(185.5lbs/84.14kg)[3R 1分26秒 TKO] ※左右ラッシュ×ベヴォン・ルイス(185lbs/83.91kg)
◆トレヴィン・ジャイルズ「ジャッジに勝負を委ねるのが好きじゃない」
「最高の気分だな。試合は常にフィニッシュしたいと思っているし、前回が判定で、戦えなかった試合だっただけに、特にそう思っていた。試合に出て、やり遂げられたことにホッとしている。かなり落ち着いていけた。自分のパフォーマンスには満足している。相手のことはかなり評価していたんだ。しっかりとジャブを打っていけたし、自分に必要だったことはすべてうまくいった。本当に満足している。向こうが俺のジャブにタイミングを合わせようとしていたのが分かったから、少し抑え気味にしないといけなかった。フェイントをかけながら、別のアングルを見せるようにしたんだ。相手の顔に当たるようにしておきたかったしね。
息をつく暇をあまり与えずに行けたと思う。相手に惑わせ、ミスを誘って疲れさせ、スローダウンさせられたから、試合をフィニッシュできた。何度か打撃が当たったのは分かったし、次のフックでノックダウンを奪えるとも思っていたから、ワイドにいって、右をしっかりと当てた。それで完了さ。フィニッシュするのはいいね。ファンは判定なんて見たがっていない。判定になったらいつも緊張する。だってジャッジがどう判断するかは絶対に分からないから。だから彼らに勝負を委ねるのが好きじゃない。そうなったら、仕事を果たせなかったってこと。誰かのことを責めているわけじゃないよ。単純に俺の問題って話だ。今回の勝利を家に帰って家族と一緒に祝いたい。会いたくてたまらないんだ」
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▼ヘビー級 5分3R○アレクサンドル・ロマノフ(260lbs/117.93kg)[1R 4分48秒 フォアアームチョーク] ※前腕チョーク×マルコス・ホジェリオ・デ・リマ(258lbs/117.03kg)
※ロマノフがボディロックテイクダウンからサイドポジション、右で脇差し左手とパームトゥパームで組み、左前腕を喉下に食い込ませ、デリマを失神させた。
◆アレクサンドル・ロマノフ「このポジションをずっと練習してきた」
「このポジションをずっと練習してきた。トレーニングキャンプで計画したことをやったまでさ。UFCでトレーニングの成果を見られるなんて最高だ。ハードなキャンプだったからな。対戦相手からは特にサプライズはなかった。ローキックはかなりハードで、フックもやばかったけど、その準備はしていた。あと1試合か2試合したら、この階級のトップ10に入れるかな。オクタゴンでの俺の実力は分かってもらえているはずだ」
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▼フェザー級 5分3R○ダレン・エルキンス(145.5lbs/66.00kg)[3R 2分22秒 リアネイキドチョーク]×ルイス・エドアルド・ガラゴリ(145.5lbs/66.00kg)
◆ダレン・エルキンス「俺とクロン・グレイシーなら試合になりそう」
「最高の気分だ。ここに戻ってくるまで本当にしんどかった。必死にがんばったし、集中し続けて、いろんなものを削ってきた。良い勝利とフィニッシュで復活だ。ほとんどは思い通りにいった。向こうの打撃が思っていたよりも鋭かったけど、今回のゲームプランはテイクダウンを考えながら練ってきたし、しつこくいこうと話し合ってきた。相手が起き上がってくるから、もう一度行かなきゃいけなかったけどね。テイクダウンを狙い続けた。そのペースをキープできると思っていたから。向こうは違ったけど。俺は常にあれくらいハードにいける。そうやっていつもキャンプを過ごしている。あんなふうに背中を見せられたら、リアネイキドチョークを取りにいくさ。そうやって練習しているんだから。向こうがチャンスをくれたからつかんだだけ。
始めた頃は、とにかくUFCにいられるだけで最高だった。それだけですでに特権だった。今は記録を破っている。フェザー級で一番テイクダウンを取ったのは俺だ。フェザー級の最多試合数ではタイに並んでいる。俺の寿命の長さが証明されているだろ。もうここにきて10年以上だ。ずっとUFCのために戦っていたいし、自分の大好きなことをやれて嬉しい。3月くらいに戻ってきたいかな。俺とクロン・グレイシーの試合になればいい試合になりそう。しばらく向こうは戦っていない。2月か3月にやろうぜ。ここ2試合は戦いたかった相手とできた」
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▼ウェルター級 5分3R○マックス・グリフィン(170lbs/77.11kg) [3R 2分03秒 TKO] ※右ヒジ打ち→左耳裂傷×ラミズ・ブラヒマイ(170lbs/77.11kg)
◆マックス・グリフィン「コンディット、ルーケとならどでかい試合になる」
「ときには厳しい戦いになることだってある。試合では緊張しないようにしていると話してきた。自分のレンジを見いだそうとしていたんだ。向こうがかなり打ってきて相当にグラップリングを仕掛けてくるんだろうなと思っていたのに全然で、あの右だってまったくだった。ラウンドが進んで、第2ラウンドで打ち込んでいった。とにかくボリュームが必要だった。ボリュームが出始めて、俺が最後に覚えているのは彼の耳が、“うわ、こりゃやべぇ”ってなったとき。彼の無事を願っている。カーディオがかなり強化できていると感じたし、インターバル中も座りたいと思わなかった。とにかく立ったまま、指示を聞いていたんだ。コーチたちは俺を落ち着かせようとしていたし、俺はみんなの言うことに耳を傾けていた。あれはよかったね。自分の能力には自信を持っている。ホンモノの力を見せること、スムーズに行くこと、一瞬を逃さずに楽しむ、そういう本来の力を出すことに集中した。
向こうがかなり疲れていたのが分かった。ダメージもかなりひどかったしね。俺が打撃を浴びせ始めたときにはもうおしまい。キャリアを通して、スプリット判定みたいな接戦で終わることが多かった。いつもスプリット判定ばっかりだ。相手のことはみんな尊敬しているけれど、打ち負かすべき名前もある。カーロス・コンディット、ずっと彼のようなレジェンドと戦いたいと思ってきた。彼のことは本当に尊敬している。あの人のことが大好きなんだ。ヴィセンテ・ルーケ、彼もビーストだ。きっと、どでかい試合になるぜ」
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▼バンタム級 5分3R○グスタボ・ロペス(135.75lbs/61.58kg)[1R 2分43秒 リアネイキドチョーク]×アンソニー・バーチャック(136lbs/61.69kg)
◆グスタボ・ロペス「トップに立ちたいからここにいる」
「俺の打撃はかなり改善されている。俺はグラップラーだ。バーチャックが地球上で10番に入る黒帯を持ってかかってくることは分かっていたけど、自分のグラップリングだって良い。かなりダメージを与えられたし、ダウンもさせて、首が見えたからリアネイキドチョークを仕掛けにいったんだ。怒りにまかせてくるやつとは戦わない。俺は自分のやっていることが大好きだからやっている。トップに立ちたいからここにいるんだしね。
エクストリーム・クチュールにはすごい人たちばかりがいる。きついパンチを浴びるだけのつもりはない。こっちだってハードに打ってやる。前回の試合は直前のオファーで、しかもメラブ(ドバリシビリ)というタフなファイターが相手だった。試合に出て、全力で戦った。試合が終わった瞬間、PI(パフォーマンス・インスティチュート)に行って、ケアしてもらった。今までで一番調子がいい。これはまだ始まりに過ぎないぜ。試合に戻ってこられて嬉しい。今はとにかく楽しむつもりだ。まだ生まれたばかりの姪っ子がいて、昨日、心臓の手術を受けたんだ。だから会いに行きたい。初めて顔を見にね」
▼ミドル級 5分3Rイアン・ハイニッシュ(185.5lbs/84.14kg) ブレンダン・アレン(185lbs/83.91kg)
※ハイニッシュのチームに新型コロナウイルス陽性反応があり試合中止