グラップリング
レポート

【QUINTET】16歳グレース・ガンドラムと“分け役”の醍醐味

2019/04/08 12:04
「QUINTET」初の女子プロ大会「QUINTET FIGHT NIGHT 3 in TOKYO─Female Open Team Championship 2019─」が4月7日、 東京・アリーナ立川立飛にて行われた。 優勝したのはラバーガードの開発者として名を馳せたエディ・ブラボー率いる「TEAM 10th Planet」。同チームは、昨年7月の『QUINTET.2』でも優勝を遂げ、ノーギ(道衣無し)、ノーポイント&サブオンリー(ポイント無し、一本決着のみ)のトップチームとしての存在感を示していた。 前回の男子チームでは、グラップリングトップ選手のジオ・マルティネスが初来日を果たし、その高いグラップリング技術で日本の格闘技ファンを驚かせたが、今回の女子団体戦でも新たなスターが来場した観客、ネット視聴したファンのハートをがっちりつかんだようだ。 タイムラインを賑わせたのはグレース・ガンドラム。洗練されたラバーガードを使いこなす16歳の少女は、今大会においても高いグラップリング技術を披露し、決勝では見事に“分け役”をこなしてみせた。 1回戦では「TEAM DEEP JEWELS」の青野ひかる(49.9kg)と次鋒で対戦。全日本社会人レスリング選手権で優勝の実績を持ち、柔術にも取り組む青野に対し、6kg以上軽いガンドラム(43.8kg)は下のポジションになってもハーフガードからロックダウン(二重がらみ)、後転しての腕十字、トラックポジション(相手の両足を自らの両手両足でコントロールするポジション)からのツイスター(グラウンド・コブラツイスト)と、エディ・ブラボーの10th Planetシステムを駆使した動きを披露。場内をどよめかせた。 さらに、決勝戦では、世界柔術選手権4連覇の湯浅麗歌子(49.15kg)と対戦。世界王者の湯浅はガンドラムに得意のラバーガードの体勢にさせず、猛攻をしかけるが、普段からポイントが無いサブオンリー(一本勝ち)で戦っているガンドラムは、ときにポジションを譲りながらも高いデフェンス能力を発揮し極めさせず。インバーテッドガード(回転してのガード)で完全に足を超えさせず、足関節狙いからベリンボロ、さらにヒザ十字を仕掛けるなど、目まぐるしい動きのなか、8分間ドローに持ち込む大健闘で、チームを優勝に導く立役者となった。 優勝した10th Planetチームには、1回戦で3人抜きを達成したエルバイラ・カルピネン(64.8kg)という見事な“抜き役”がいたが、そのカルピネンも13kg軽い杉内由紀(51.25kg)に4分・時間切れ引き分けに持ち込まれるなど、決勝は互いのエースを誰がどこで止めるのか、という団体戦ならではの醍醐味にあふれた試合となっていた。 「引き分けが多かった」という声と同じくらい、「分け役の頑張りが目立った」という声も聞かれた今回の「QUINTET」。 一夜にして日本の格闘技ファンに“発見”されたグレース・ガンドラムは、その名前の響きと、小さな身体や試合後の眼鏡っ子姿のギャップも相俟って人気者となったが、会見では、「この大会にこのメンバーのなかで戦えたことに感謝しています。ユアサ選手は強いと分かっていました。うまく言えませんが、自分のパフォーマンスは悪くなかったと思います」と控えめに語っている。 「最初は空手道場に通い、キックボクシングもやりましたが、柔術を始めたらのめり込んでしまい、柔術に専念するようになりました」というガンドラム。10代のはじめからグラップリングで活躍しているが、海外インタビューでも口数は少なく、師であるエディ・ブラボーら周囲の大人たちが、見守るようにサポートしている姿が印象的だった。 今後について「特に目標はありませんが、このまま経験を積んで試合に出ていきたいです」と淡々と語るガンドラムが、これからどんな世界の扉を開くのか、注目だ。
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