MMA
インタビュー

【ONE】王者ニューイェン「未知の世界に引きずり込みたい」vs. 挑戦者タン・リー「この期間がもっと危険な男にさせてくれた」=10月30日(金)シンガポール

2020/10/29 11:10
 2020年10月30日(金)シンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Championship、2020年最大級のイベント「ONE:INSIDE THE MATRIX」に向け、ONEフェザー級世界タイトルマッチに臨む、現世界王者マーティン・ニューイェン(豪州/ベトナム)と、挑戦者、タン・リー(米国/ベトナム)の試合前コメントが主催者より届いた。また、同階級で活躍する松嶋こよみ(日本)と高橋遼伍(日本)にも予想を聞いている。 ◆ONEフェザー級王者 マーティン・ニューイェン(豪州)1位 クリスチャン・リー(米国)2位  松嶋こよみ(日本)3位  タン・リー(米国)4位  山田哲也(日本)5位  ゲイリー・トノン(米国) 王者ニューイェン「フェザー級で戦うことが全て」 ──ニューイェン選手もタン・リー選手も、素晴らしいKOとパワーと持ち併せていますが、これまでグラップリングスキルを見せる機会は少なかったかと思います。今回はどんな局面で優位にあると考えていますか。 「この試合でのポイントを挙げるとすれば、どっちが(試合の)ハンドルを握るのか。もしくは、どっちがハンドルを勝ち取るのか、という点になる。僕も彼も、タレント性のあるファイターだし、力のあるストライカーだ。だけど僕らには、グラップリングでも同等のスキルがあることは明確だよ。これまでONEのサークルでは、それを披露する機会がなかったけど、どちらも相手にダメージを与えてフィニッシュすることを狙う、そんなファイトスタイルだからね。でも、今回のタン・リーとの試合に関しては、勝ちへのハンドルを握った方が勝つ。誰よりも勝利を渇望する者が勝つ。間違いなく僕が勝ちに行くよ」 ──相手のタン・リー選手はこれまで全試合が1Rか2Rでフィニッシュ決着。逆に言えば、王座戦の5Rをフルに経験していません。フルラウンドまで持ち込んで戦おうという考えもありますか。 「もちろん。タン・リーについて徹底的に分析してきたよ。ゲームプランは特になくて、純粋に自分のスキルを見せつけて、ベストを尽くすだけ。タン・リーのレコードで言うと、2R 2分35秒(※2017年「Dana White's Tuesday Night Contender Series - Season 1, Episode 2」で、2R 1分35秒 KO勝ち。2015年の「The Ultimate Fighter Season 22」では、2R 3分48秒でRNCで一本負け)が彼の最長だったかな。もしそこまで来たら、彼を未知の世界に引きずり込みたい。ただ、5Rまで待つつもりはない。試合開始のゴングが鳴って、ケージに入り込んだら、もう勝ちに行くだけだからね」 ──タン・リー選手は、マーティン選手とは長いライバル関係になるのでは、と語っていますが同じように思いますか。 「全くそうは思わない。彼は、1人の対戦相手であって、僕のやることは彼に勝ってタイトルを守ること。そして次に進むだけ」 ──以前は、ライト級とフェザー級を行き来していましたが、当分はフェザー級に留まりタイトルを守ることに集中しますか。 「今いるフェザー級、これは僕のレガシーだ。ウェイトを上げてライト級で戦うことも、逆にウェイトを下げて戦うこともモチベーションにならない。僕にとっては、フェザー級で戦うことが全てなんだ。だから調子も良いし、健康でいられるし、ベストを尽くせる」 ──やはりフェザー級が本戦なのですね。米国サンフォードMMAで練習仲間であるアウンラ・ンサン選手と同じ大会で戦うことはどのように感じていますか。 「同じ大会に出ることは嬉しいよ。この試合で全てを出し尽くすために8週間、同じ家で寝食を共にした。彼が経験してきたことを僕も経験してきて、同じ道のりを歩んできたからね。キャンプでは血も汗も涙も、共にした。だから同じ大会にいることは、とても誇りに思うし、お互いのためにベストを尽くすよ」 ──マーティン選手の戦いが若い人たちに希望を与えることについてはどう感じていますか。 「これは究極の道のりであり、旅なんだ。誰かが僕たちをアスリートとして尊敬してくれたり、“この人が諦めずにやったから自分も諦めなかった”“この人のおかげで毎日自分を鼓舞することができた”といいうように、誰かが振り返ってくれたら嬉しいね。若い世代にも、上の世代にもそんな影響を与えられたら夢のようだよ」 挑戦者リー「彼がついて来られないレベルの複雑さがある」 ──遂に王者マーティン・ニューイェン選手への挑戦権を得ました。率直なお気持ちをお聞かせください。 「世界最強の1人と戦える機会をもらえて、とても興奮しているよ。世界に僕が何者なのかを再び見せることが出来るのも楽しみだし、家族が僕を誇りに思う機会を嬉しく思う」 ──新型コロナウイルスによるパンデミックは、あなたにどんな影響を与えましたか。 「パンデミックが与えた影響といえば、自分を進化させるための時間をくれたこと。継続的なキャンプでは時間を割けなかったから、この期間は、これまで以上に自分のスキルセットに集中できたと思う。もっと危険な男にさせてくれたよ」 ──対戦相手のマーティン選手は、ONEの中でも代表格の選手で、史上最高のフェザー級アスリートだと思います。彼と対峙することについてどう思いますか。また、それぞれのアドバンテージはどこにあると考えていますか。 「彼は、控え目に言っても最高のチャンピオンだと思う。でも、僕とのスキルセットの違いで、彼はこの戦いで“制限”されると思う。彼はチャンスを創るのに長けている。ヘビーショットで罠を仕掛けて餌食にしていく。それに彼は、相手が熱くなって乱れてきた時に、それを利用してアドバンテージを取るのが巧みだ。経験値が高いからね。でも、僕はそれらの全てにおいて彼よりも上手くやっている。加えて、僕の動きは彼がついて来られないレベルの複雑さがあるよ」 ──どんなことに注目して欲しいですか。 「純粋に、僕に注目して欲しい。ONEと契約してからずっと、この試合のために準備してきた。何試合戦う必要があるのかは分からなかったけど、最終的にここに来ることは分かっていた。結局、3試合して、3試合とも早いタイミングでのKOだった。比較的、上手くいった道のりだったと思う。良い練習を続けてきて、この勢いを維持してきた。マーティンのように偉大なチャンピオンを見過ごすことはない。やっと望んでいたマッチアップが実現して、自分の仕事をする時が来た。僕はまだ何も達成していない、ただ試合を組んでもらえた。だから、あとは勝つだけさ」 ──ベトナムにもルーツを持つ両者ですが、ベトナムにとってこの試合はどんな意味があると思いますか。 「この世界タイトルマッチがベトナム対決であるということは、ベトナムのMMA(総合格闘技)にとって、とても良いニュースだと思う。ファンは、この試合で2つの異なるスタイルのMMAを楽しむことが出来るんじゃないかな。最近、政府がMMAを正式に承認したから、今後さらに露出していくと思うし、この試合はONEにとってもベトナムのファンにとってもWin-Winだと思う」 ──このタイトルマッチ挑戦は自身のキャリアにどんな意味をもたらしますか。 「今回の試合は、僕のキャリアにおいて、とても大きなステップになると感じている。戦いを始めた理由は、可能な限り最高の自分に近づくため。だから今回は、そのゴールまでの道を測る絶好の機会なんだ。金色のベルトは僕にとっては特に意味がなくて、フェザー級で世界一と言われる選手を打ち負かすことが、僕の全てなんだ。文字通り、自分の人生を賭けてやってきた、自分の全てを意味するんだ。また、自分が格闘技の世界でレガシーを残そうとしているという点においても、このチャンスは素晴らしいマイルストーン(節目)になると感じているよ」 松嶋こよみ「5Rまでもつれて判定でニューイェンが勝つ」 【写真】2019年8月に王者ニューイェンに挑戦し、2R TKO負けとなった松嶋。2020年11月20日にはゲイリー・トノン戦が決定との報道も。 「王者のニューイェン選手は、冷静かつクレバーな選手。距離の作り方が巧く、自分の距離になったら仕留められる攻撃力のある選手です。  一方、挑戦者のタン・リー選手は、攻撃の範囲・幅が広い上にズバ抜けた攻撃力の持ち主。一瞬で自分の流れに持っていくことの出来る選手だと思います。 (試合展開は)最終ラウンド(5R)までもつれ、最終的にニューイェン選手が試合を作り、判定でニューイェン選手が勝つと思います。タン・リー選手が勝つとしたら、短期で決まる場合かと思います。どちらが勝つのか、予想が本当に難しいです」 高橋遼伍「チャンピオンはレスリングも出来る」 【写真】2020年1月にタン・リーと対戦し、1R KO負けとなった高橋 「王者のニューイェン選手は“ファイター”ですが、荒々しい雰囲気がなくて、優しい雰囲気をしているファイターだなという印象です。笑顔がとても良いと思います。右のパンチをロックオンするまで試合を組み立てながら、右が当たるのを待っている印象です。そしてONEの環境に慣れている選手だと思います。  対して、挑戦者のタン・リー選手もファイターの荒々しい雰囲気はありません。青年実業家のような、紳士で少し大人の雰囲気をしています。右も左もKOパンチ、KOキックを持っています。  自分の予想はマーティン選手の勝利です。タン・リー選手は距離が遠いので、自分の距離にするまでに時間がかかるかもしれませんが、チャンピオン(マーティン)はレスリングも出来るのでテイクダウンを取りにいくと予想しています」
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