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レポート

【UFC】UFC史上最も信じられないKOは「練習していた」

2020/10/11 17:10
【UFC】UFC史上最も信じられないKOは「練習していた」

(C)Josh Hedges/Ziffa LLC 

 2020年10月11日、アラブ首長国連邦・アブダビのヤス島「UFCファイトアイランド」にて「UFC Fight Night: Moraes vs. Sandhagen」が無観客&ライブ配信で行われ、プレリムの第5試合で起きた、衝撃的なKOが世界で話題となっている。

▼ミドル級 5分3R
○ホアキン・バックリー(米国)
[2R 2分03秒 KO] ※右バックスピンキック
×インパ・カサンガネイ(米国)

 ミドル級(-83.9kg)という重い階級でのタイガーマスクばりのバックスピンキックによる失神KO劇だった。

 衝撃KOを決めたホアキン・バックリーは、この試合までMMA10勝3敗。幼少時から映画やコミックスで格闘技への関心を持ち、高校時代にレスリングを学び、2014年にプロMMAデビュー。6年のキャリアで「Shamrock FC」「Bellator」「LFA」を経てUFC入りを決めた。

 前戦8月8日のオクタゴンデビューは、なんと7月31日のLFAでの2R KO勝ちから9日後の緊急参戦で、ケヴィン・ホランド相手に3R KO負けを喫している。今回は仕切り直しのUFC2戦目となる。

 対するカサンガネイはアメフト出身。フロリダの「Island Fights」で活躍後、「LFA」を経て、ダナ・ホワイト代表による人材発掘大会「Contender Series 2019」と「同2020」に出場。こちらも前戦でコンテンダーシリーズから18日というショートノーティスでUFCに初参戦し、UFC1勝2敗のマキ・ピトロにフルマークの判定勝利を収めている。バックリー、カサンガネイともに26歳だ。

 1R、サウスポー構えのバックリーに対し、カサンガネイはオーソドックス構え。右の前蹴りを起点とするが、その打ち終わりを詰めるカサンガネイのラッシュで後退し、右フックをもらう。下がりながらも右フックを返し、金網際で体を入れ替えるカサンガネイ。しかし右で脇を差すバックリーが押し込み、シングルレッグ狙い。

 これをしっかり切ったカサンガネイ。スタンド中央では左インローを当てるバックリー。カサンガネイも右インローを返すと、右回りで右フックをヒット! バックリーも右サイドキックでバックリーのバランスを崩す。さらに左インローはバックリー。

 カサンガネイは右の蹴りの戻しが遅いため、その打ち終わりをバックリーに左右の連打を狙われる。またも右ローを打ち終わりに組み付かれたカサンガネイ。バックリーは右で差してボディロックから大内刈でテイクダウン! クローズドガードを解いて、金網まで這ってバックを譲りながら立つカサンガネイ。正対して突き放す。

 右の前蹴りを下から蹴り上げるカサンガネイ。右ストレートを突くが、それをスウェイして避けるバックリーも右ストレートの返し。互いのミドルの交錯から右から左ストレートのワンツーを胸に当てるのはバックリー。カサンガネイも右ストレートをノーモーションで打ち込む。さらにバックリーの入りにカウンターの右ミドル! しかしバックリーも左ストレートを当てると前へ。

 バックリーの遠い間合いからの左ストレートにはカサンガネイがさらに長い右ミドルを脇腹に効かせる。身長は178cmながらリーチは185cmと長いカサンガネイ。頭を振って徐々にワンツーを当て、右インローと上下に散らしていく。バックリーも右のスナップを効かせたハイキックを打つがかわすカサンガネイ。しかし右へ回るとサウスポー構えのバックリーの左ミドルを受けてしまう。

 ジャブ・ストレートで詰めて右のバックフィストを見せたところに、バックリーがカウンターの跳びヒザ蹴りを合わせてブザー。

 2R前に左瞼のカットにワセリンを塗るカサンガネイ。中央へ。右ローを軽く当て、右ヘッド(ハイ)キックを狙う。これは両手でブロックしたバックリー。ワンツー左ハイを返すが、カサンガネイはバックステップでかわす。バックリーのワンツーに右のカウンターを狙うカサンガネイ。

 距離が空くと、右の前蹴りを三日月蹴りのようにバックリーのみぞおちに効かせる。これを嫌ったか左右で前に詰めるバックリー。回ってさばくカサンガネイは右ロー。左ジャブ・バックリーのパンチの入りにカウンターの右ヒザを突くなど腹に狙いを定める。

 左ミドルを返すバックリー。ワンツーで飛び込むが、そこにカサンガネイはその場跳びのヒザ蹴りを合わせに行く。パンチのハンドスピードはバックリー。カサンガネイの左右に左フックを当てると、カサンガネイは後退。

 距離を取り直して左前手を上下に回すカサンガネイ。バックリーは半身構えになると左ミドルハイ! 右手でブロックし、その蹴り足を左手で掴んで払って流そうとしたカサンガネイ。

 しかし、バックリーは左足を掴まれたまま片足だけの状態のまま、その場でジャンプすると、中央がノーガードとなったカサンガネイのアゴに右のバックスピンキックをカチ上げるようにクリーンヒット!

「バチン!」と響き渡る衝撃音に、ゆっくり後方に倒れるカサンガネイ。その瞬間にバックリーは勝利を確信した手応えか、前方に走り出して画面から消えるほど。上体を起こそうとするカサンガネイは立ち上がれず。2R 2分03秒、衝撃的な失神KO劇で、バックリーがインパクト十分なUFC初勝利を挙げた。

「パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト」の5万ドル(約528万)が決定したバックリーは、試合後の公式インタビューで、「ボス(ダナ・ホワイト)からすべてのボーナスを俺にやりたいって言われたから、歓迎するよ。全部俺のものにしたいね。正直、現実じゃないみたいだ。話しかけられたときは頭の中に雲がかかったみたいになっていたから、何も聞こえなかったけど、金の話なんだって分かったら、ちょっと雲が晴れた気がする。でも、最高だよ。ダナ・ホワイトがわざわざ俺のところにきて話しかけてくれたんだからね」と、喜びを表した。

 また、フィニッシュについて、「あれはオープンだった。向こうがまだ俺の足を持っていたのは分かったけど、足を掴まれていたから(逆に)バランスは取れると思って、それで体を捻ってキックしたのさ。狙ってやったし、当たったからね。俺たちが必要としていた結果だ。相手がノビるのを見るまでノックアウトしたかどうかも分からなかったけど、それを見てゲームオーバーだって。向こうが俺の足を掴んできたけど、あれをずっと練習してきた。最高だよ」と、掴まれた足を支点に狙ったバックスピンキックだったと語った。

 この衝撃KOの動画は、「THE MOST UNBELIEVABLE KO IN UFC HISTORY(UFC史上最も信じられないKO)」として、公式ツイッターが公開、拡散され、半日で24万人を超す「いいね」がつけられている。

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