軍司(左)に右フックを叩き込む玖村。両者のテクニックが激しく火花を散らした一戦となった
「Krush.117」
2020年9月26日(土)東京・後楽園ホール
▼メインイベント(第9試合)Krushスーパー・バンタム級タイトルマッチ 3分3R・延長1R
〇玖村将史(K-1ジム五反田チームキングス/王者)
判定3-0 ※30-27×3
×軍司泰斗(K-1ジム総本部チームペガサス/第2代Krushバンタム級王者/挑戦者)
※玖村が2度目の王座防衛に成功。
Krushスーパー・バンタム級タイトルマッチで、王者・玖村が挑戦者に軍司を迎えて2度目の防衛戦を行う。
玖村は2018年1月にKrushデビューを飾り、同年に行われた第6代Krushスーパー・バンタム級王座トーナメントで優勝して王座に就いた。2019年6月にはK-1スーパー・バンタム級世界最強決定トーナメントに参戦するも決勝で武居由樹に敗れ、K-1 JAPAN GROUPでの11戦で唯一の黒星を付けられる。同年11月には林勇汰を破りKrush王座の初防衛に成功。2020年3月には無敗の金子晃大と注目の大一番を戦い、勝利を収めた。戦績は15勝(7KO)3敗。
軍司はK-1アマチュア優勝を経て2015年2月にプロデビュー。2016年にK-1甲子園優勝を果たし、2017年9月にはKrushバンタム級王座を獲得(第2代)。2019年10月に将史の兄・玖村修平を破り、2020年2月にはK-1で大活躍したスリヤンレック・オーボートー.ガムピーから勝利を収める金星を得た。戦績は12勝(3KO)4敗1分。
両者は2019年2月の第6代Krushスーパー・バンタム級王座決定トーナメント決勝戦で対戦しており、この時は玖村が判定3-0(30-29、30-28×2)で勝利して王座に就いている。
1R、軍司は強い左ジャブ、そして右フック。玖村もすぐに右を打ち返す。軍司はステップを多用して的を絞らせず、左のパンチを多用する。終盤には左ボディのダブル、左フックとパンチをまとめたが、玖村もコンビネーションパンチを返して譲らず。
(写真)ダウンを奪った玖村の右ヒザ蹴り
2Rはジャブの打ち合い。軍司はステップを使って動くが、玖村のパンチが的確に軍司を捉え始める。玖村の左ボディ、左ボディからの左フック。軍司は焦りの表情を見せるが、ジャブの打ち合いでヒット奪うと逆にボディを打ちに行く。
3R、近年まれにみるほどのジャブの技術戦。互いにジャブを突いて流れを自分の方へ手繰り寄せようとする。玖村は右フックを引っかけての回り込みを多用し、軍司のバランスを崩して攻撃。両者ともボディから頭部へのパンチコンビネーションを多用し、闇雲ではなく的確な打ち合いが繰り広げられるが、玖村が右フックから得意の接近戦での右ヒザを顔面へ突き上げてダウンを奪う。
逆転を狙う軍司はパンチをフル回転させ、前へ出てKOを狙うが、玖村もジャブを多用し、パンチをかわしていく。最後まで目が離せない展開のまま終了。判定3-0で玖村が王座防衛に成功した。
大熱戦を制したにも関わらず玖村はいつものポーカーフェイスのまま「今日は修平もKOして、KOで繋ぎたかったんですけれど、軍司選手もリベンジマッチということでタフで倒せなくてこれも課題。次はK-1のチャンピオンしか相手がいないと思っているので、やるまでレベルを上げて、いつでも受けるので皆さん注目してください」と、マイクでK-1バンタム級王者・武居由樹への挑戦をアピールした。
(写真)兄の修平(右)もトーナメントで準決勝へ進出した
▼セミファイナル(第8試合)スーパー・フェザー級 3分3R・延長1R
×西京佑馬(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/第8代Krushスーパー・フェザー級王者)
判定0-3 ※28-30×3
〇横山朋哉(リーブルロア)
西京はK-1甲子園2016 -60kgで優勝し、2017年4月にプロデビュー。4戦目でレオナ・ペタスに判定で敗れたが、2019年3月にわずか7戦目にして島野浩太朗を破り、18歳で第8代Krushスーパー・フェザー級王座に就いた。しかし、同年9月の初防衛戦で再びレオナに敗れて王座を失い、今回が再起戦となる。持ち味はカウンター。戦績は6勝(2KO)2敗。
横山はK-1甲子園2017 -60kg準優勝の実績があり、プロ戦績は7勝(3KO)2敗。2018年6月からK-1 JAPAN GROUPの大会に出場、4連勝(3KO)と快進撃を続けていたが、2019年8月の試合で朝久泰央に敗れた。2020年2月には中島千博と好試合の末に判定勝ちして再起を飾っている。
1Rはほぼローの蹴り合いに終始。両者とも時折パンチを繰り出すがヒットは奪えない。西京は強い右ミドルで場内に快音を響かせた。
2R、圧力をかけて前へ出てくるサウスポーの横山に対し、左へ回り込んでいく西京。2人ともローが多いが、西京は強い右ミドル、飛び込んでの右ストレートもヒットさせる。横山はフックを放つが西京にかわされる。
3R、強打を振るって前へ出る横山。西京がミドルを蹴ってくると必ずインローを合わせる。ミドルとヒザの蹴り合い、そしてパンチの応酬。その中でも横山が左右フックを放ってどんどん前へ出る。飛びヒザ蹴りも連発。
終了直前、横山が打ち合いに行くと見せかけて西京が右を伸ばしたところでドンピシャのタイミングで右ハイキック。これでダウンを奪う。カウントが数えられるが、残り時間がないことを確認した横山はコーナーに飛び乗ってガッツポーズ。接戦で最後の最後に差をつけた横山が、堂々の判定勝ちを収めた。