無類のタフネスを誇る小川。その頑丈さとテクニックでトーナメントを制することができるか (C)KNOCK OUT
2020年9月13日(日)東京・後楽園ホールで2部制にて開催される『KNOCK OUT CHAMPIONSHIP.2』。その第2部で行われる「創世のタイガGRAND PRIX 61.5kg RED 初代王座決定トーナメント」に出場する、WBCムエタイ日本ライト級王者、HOOST CUP日本スーパーライト級王者、蹴拳ムエタイスーパーライト級王者、REBELS-MUAYTHAIライト級王者の四冠王・小川翔(OISHI GYM)のインタビューが主催者を通じて届いた。
小川はこれまで木村ミノル、麻原将平、高橋幸光など名立たるトップファイターに勝利してきたテクニシャン。小学生で極真世界王者に輝くなど空手のバックボーンに裏打ちされた下段蹴り(ローキック)の強さには定評があり、高い防御力とタフネスに優れている。2020年2月の『KNOCK OUT』では無法島GRANDPRIXに出場したが、1回戦で優勝した西岡蓮太に延長戦の末に判定2-1で敗れた。7月の『RISE』では白鳥大珠に延長戦の末に敗れて連敗中。戦績は31勝(8KO)21敗3分。
試合で『効かされた』という経験がないんです
「結果を残せてないんで……」
小川翔はそう繰り返した。
目下、3連敗中。だが、その対戦相手と試合内容を見れば、小川の評価は下がるどころか、むしろ上がったのだと思う。
昨年11月の「破壊獣」タップロン・ハーデスワークアウト戦は、(岡山でのイノベーション興行)65kgトーナメントで2回勝ち上がり、決勝戦で惜しくも判定負けを喫したもの。
今年2月には、KNOCK OUTの「無法島64kg GP」に参戦。1回戦で西岡蓮太と対戦し、本戦はドロー。延長も1-2のスプリットデシジョンで判定負けとなった。
無法島GPを制した西岡は、小川翔との1回戦について「延長戦で1つ2つの攻撃の差ぐらい。何とか競り勝てた」と苦戦を認め、さらに「(3試合して)小川選手のカーフキックが一番痛かった」と振り返った。
そして今年7月のRISEでは白鳥大珠と対戦。65kg契約で戦い、本戦はドロー。延長の末に惜しくも判定負けを喫した。
小川はこう振り返る。
「白鳥選手のオファーがあった時は、すぐ『お願いします』と言いました。こんなビッグチャンスはないと思いましたし、全然戦えるっていう気持ちはあったんで」
試合は、小川が白鳥のパンチをしっかりとガードすると、右ミドルを軸に圧力を掛けて攻め、白鳥が下がりながらパンチで応戦する展開に。
「蹴って、蹴って、下、上で振り分けて攻撃して。白鳥選手の右フック、右ストレートはしっかりとガードする。試合後もダメージは全然無くて、自分で蹴った足が少し痛かったくらいです(苦笑)。途中から、白鳥選手がちょっと逃げに入ってて。僕も入っていくんですけど、サウスポーなんで遠くて、距離を取られてしまって。入りずらかったですね。練習通りに動けた試合でした。でも、負けちゃったんで……。いつまでも引きずってもしょうがないんで、すぐ『創世のタイガGP』に切り替えました」
今回の「創世のタイガGP」は、REDルール(ヒジありルール)のワンデートーナメント。小川を始め、参加4選手が全員チャンピオンベルトを保持する実力者。過酷な戦いになることは間違いない。
小川は最近、64~65kgという重めの体重で戦い、対戦相手との身長差やリーチ差というハンデがあった。この「61.5kg」という適正階級は、大きな相手と戦ってきた経験を生かせる場になる。
そして、小川の強みといえば「プロ55戦で一度もKO負けなし」という無類のタフネスだ。
「試合で『効かされた』という経験がないんです。なんでなんですかね?(笑)。多分、6歳から空手を始めて、ずっと練習しているので(笑)、大人と練習したりして体が丈夫になったことと、あと『基礎』がしっかり身についてるからだと思います。相手のパンチや蹴りを『まともに貰う』ことがないのは、反射的に少しズラしてる部分があって、それで全然効かないのだろうなと」
「創世のタイガGP」では、改めて強さを示し、結果を残して、これまでの悔しい負けをすべて取り返したい。
「無法島GPでは1回戦で負けてしまったのに、こうして『創世のタイガGP』というチャンスをいただけたので、今回こそは優勝したいです。
1回戦の重森陽太選手は、背が高くてリーチがありますけど、僕は海人選手や白鳥選手と試合してきて、デカさは問題ないかなと。組みの対策をしっかりとして勝ちます。
決勝戦は、高橋一眞選手にホーストカップでヒジで切られてるので、ここでリベンジしたいですね。僕の目標は『世界』のベルトを獲ることです。実は、WBCムエタイのインターナショナルが決まっていたんですけど、コロナで無くなっちゃって、今は海外にも行けないんで。
まず目の前の『創世のタイガGP』に優勝して、61.5kg REDルールのチャンピオンになったら、ぜひ西岡蓮太選手にリベンジしたいですね。無法島GPはそこまでの差はなかった試合でしたし、西岡選手は駆け引きの上手さを感じたんですけど『強さ』は感じなかったんで。ぜひ、創世のタイガGPのチャンピオンになって、無法島GPのチャンピオンの西岡選手にリベンジしたいです」
(プロフィール)
「サイレントスナイパー」
小川翔(おがわ・しょう)
1993年6月10日、愛知県出身。27歳。172㎝
55戦31勝(8KO)21敗3分
WBCムエタイ日本統一ライト級王者、HOOST CUP日本スーパーライト級王者
OISHI GYM所属