(C)ONE Championship
ロッタン・ジットムアンノン(タイ)は、ONE Championshipの舞台で、ONEフライ級ムエタイ世界タイトルを防衛することに闘志を燃やしている。ロッタンは2020年7月31日(金)、タイ・バンコクで無観客で開催される「ONE:NO SURRENDER」のメインイベントで、宿敵でタイの同胞ペッダム・ペッティンディーアカデミーの挑戦を受ける。彼にとって、ONEが5カ月ぶりに開く大会に出場することは、この大会をさらに特別なものにするだろう。
「ファンはムエタイの大会が再開されるのを待っていた。そして今、ONEチャンピオンシップは注目すべき素晴らしい対戦カードを発表した。誰もが見たがっている。ペッダムを含め、僕と一緒にリングに上がろうとしてくれる人たちを尊敬しています」と、22歳のロッタンは話す。
「自分たちはファイターとして、(最高の)パフォーマンスを見せなければならない。しっかりと報酬をもらっているから、それに報いる必要がある。これが自分たちの仕事であり、最も重要なことはファンの心をつかむことだ」
ロッタンはもちろんそうするつもりだ。特にバンコクのスタジアムで戦っていた頃からの長年のライバルと、メジャー大会の舞台で競い合うのだから。
ロッタンが最初にペッダムと対戦したのは2017年5月、歴史的なラジャダムナンスタジアムで行われた、ペッティンディー・プロモーションの大会だった。初戦は、5ラウンドの攻防の後、ペッダムがユナニマス判定で勝利。「初対戦で負けた時、自分は休暇の後にバンコクに戻って来たところだった」とロッタンは敗戦を振り返る。
「イムッカオ・ポー・カイラングルンガマイと131ポンドで戦って、その次の試合が126ポンドでのペッダム戦だった。減量が難しく、体もまだ安定していなかった。終盤は力が出なかった。それが自分が負けた理由だ」
2018年2月に、同じ会場で開かれたジットムアンノン・プロモーションの大会で、ロッタンは心機一転、ペッダムとの再戦に臨んだ。2人のムエタイ戦士はここでも5ラウンドを戦い、今回は強打のロッタンが打撃でペッダムをグラつかせると、ペッダムは完全には回復することができなかった。「2度目の戦いでは、全力を尽くすことができた。戦い続け、動き続けた。ペッダムにとっては非常にはっきりとした敗北だったし、弱点を露呈させていた」
ロッタン「ペッダムが下がり、打ち合いを避けなければいいけど…」
両者の戦いは1勝1敗となったが、ラバーマッチがすぐに開かれることはなかった。共にONEと契約し、そこから別々の道を歩み始めたからだ。
ロッタンは2018年9月にONEに参戦して以降、無敵だ。5連勝を飾って2019年8月、ONEフライ級世界タイトルを獲得した。さらに2勝を挙げ、ONEの打撃部門、ONEスーパーシリーズで最も人気のある選手の1人になった。
一方のペッダムは、2018年7月にONEに参戦。3試合連続で劇的な勝利を収めると、2019年5月、初代ONEフライ級キックボクシング世界タイトル戦に勝ってベルトを獲得した。その3カ月後、イリアスのエナッシ(オランダ/モロッコ)に破れてベルトを失ったが、2020年1月にムエタイマッチでMOMOTAROを倒し、ロッタンへの挑戦権を獲得した。
どちらのアスリートも大一番の対決に向けて準備を進めているが、準備の状況はいつもと少し異なった。
ロッタンは通常、バンコクの格闘技ジム「ジットムアンノンジム」でトレーニングしているが、今回は別のジムで多くの時間を過ごした。コロナウイルスの影響でタイは封鎖され、ロッタンは交際中のONEアトム級ムエタイ世界王者のスタンプ・フェアテックス(タイ)とその家族と共に、ラヨーン県で過ごした。
その後、タイで規制が緩和され始めると、ロッタンはパタヤの格闘技ジム「フェアテックス・トレーニング・センター」で、スタンプと共に試合に復帰する準備を始めた。
「数カ月間、フェアテックスで総合格闘技とムエタイの両方をトレーニングした。自分の体は100パーセントだ。シア・バンジョン(フィリップ・ウォン=フェアテックスの創設者兼会長)が見てチェックしてくれる。彼は自分が、他の人の手本になれると思ってくれている」
「ONE:NO SURRENDER」まであと12日間と迫り、ロッタンは非常に勢いに乗っており、タイの同胞ペッダムとムエタイの対決に臨むことを楽しみにしている。彼はただ、ペッダムが激しい打ち合いに応じ、見応えのある試合にすることを望んでいる。「ペッダムはキックボクシングの防衛戦でノックアウトで敗れ、その後ONEでの直近の試合で勝って自信を取り戻した。何も心配する必要はない。この戦いは楽しくなると思う」
「懸念していることが1つあるとすれば、彼が後ろに下がり、打ち合いを避けないかということだ。ただ待って蹴るだけかもしれない。自分はこの戦いをクレイジーにしたいし、この大会で最高の試合にしたい。向こうがポイントを集めて勝ちたいだけなら、自分は前に出て追いかけ、自分のやり方でやる」
ペッダム「ロッタンが望むように戦うつもりはない」
そして、対する元ONEフライ級キックボクシング世界王者のペッダム・ペッチインディー・アカデミーは、「これは間違いなく私のキャリアの中で最もタフな試合の一つになるだろう。ロッタンのことはよく知っているし、彼のスタイルもよく知っている。私にとっては難しい挑戦だが、トレーニングに励んでいる。私のチームと私は素晴らしいゲームプランを持ってこの試合に臨んでいる。彼は強いファイターなので、私はしっかりと準備をしなければなりません。この3度目の戦いは私にとって非常に重要なもので、勝利を主張するためにできる限りのことをします」と、この試合の重要性を語る。
「ロッタンはスーパースターだと思う。このスーパースターと戦う機会をもらえてとても嬉しい」と、22歳のペッダムは話す。
「自分たちは2度戦ったことがあるから、彼を良く知っている。良い選手だし、弱点がなく、加えて非常に強いパンチを持っている。4オンスのグローブを着けて戦うから、気を付けないといけない」
2017年5月のラジャダムナンでは、「キックのおかげで判定で勝った」。2018年2月は、「ロッタンに激しく打たれ、自分の弱点を見せてしまった」と、ペッダムは打ち明ける。「レフェリーはカウントしなかったが、自分はまっすぐ歩けず、判定で破れた」
「自分のトレーナー(ブンベクファー)は、防御とフットワークを一生懸命トレーニングしてくれている。ロッタンの攻撃を避けたり、できるだけ打たれないようにね。もう1人のトレーナーチャチャイ・ササクンは、特にボクシングのトレーニングだ。この戦いに勝つことができると確信している。彼の思っているように戦うつもりはないということ。それは確かだ」(協力:ONE Championship)