「Krush.114」2020年7月11日(土)東京・後楽園ホール
▼メインイベント(第9試合)Krushスーパー・ライト級タイトルマッチ 3分3R延長1R〇佐々木大蔵(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/王者)判定3-0 ※30-26×3×近藤拳成(大成会館/K-1甲子園2016 -65kg優勝/挑戦者)※佐々木が初防衛に成功。
佐々木は2008年にK-1甲子園でベスト8入り、同年5月にプロデビューし、2016年にKrushライト級王者となった。2018年4月の2度目の防衛戦で同王座を失い、スーパー・ライト級に転向すると同年11月のK-1スーパー・ライト級王座決定トーナメントでは準優勝。2019年6月大会では不可思をTKOで下している。2月大会で鈴木勇人を破り、ライト級に続いての2階級制覇に成功。今回が初防衛戦。
近藤はK-1甲子園2015 -65kg準優勝、2016同優勝の実績を持ち、2016年4月にプロデビューした20歳。2019年8月のK-1大阪大会で大和哲也に挑んだが判定3-0で敗れた。11月のKrush大阪大会で再起戦に臨み、左フックでKO勝ちを収めている。
(写真)1Rのダウンを奪った左ミドルキック 当初は5月9日に大阪・コミュニティプラザ平野で決まっていたが、新型コロナウイルスの影響で5月30日の後楽園ホール大会へスライド。さらに6月28日の後楽園ホールへ延期され、最終的に7月11日に決まるという3度の延期でようやく実現する。
1R、佐々木は右ローを多用し、飛び込むようなよく伸びるワンツーをヒットさせてさっそくペースを握る。近藤はプレッシャーをかけて前へ出るが、そのたびに佐々木のワンツーに押し返され、佐々木はワンツーで下がらせたところで左ミドル。これでダウンを奪う。
佐々木は倒し急ぐことなく、ロー、ミドル、ワンツーでじわりじわりと攻めていきこのラウンドを終えた。
2R、佐々木は構えを左右にスイッチしながら左ミドルを的確に何度もヒットさせる。ワンツーも繰り出す。近藤は右ストレートを狙ってヒットも奪うが、佐々木は近藤のパンチに左ハイを合わせる。
3R、近藤はしっかりジャブを当てに行き、佐々木は左ミドルと同じジャブで応戦。ジャブの突き合いは近藤に分があり、ペースを握ったかに見えたが佐々木の左前蹴りが鋭く決まると近藤の動きが鈍る。
佐々木はボディと顔面へ攻撃を打ち分けて一気に攻める。佐々木のボディパンチに腹を守る近藤。強気に近藤も打ち返しにいくが、佐々木がオフェンスとディフェンスを巧みに使い分け、右ストレートをヒットさせて試合終了。
佐々木が攻撃でも防御でもテクニシャンぶりを見せつけ、完封勝利で初防衛に成功した。
佐々木はマイクを持つと「自粛期間が終わってもまだまだ気を抜くことはできませんが、会場にお越しくださったお客様、ありがとうございます。客席が半分でいつもと違うKrushのリングだったと思いますが、再出発一発目の大会のメインを飾らせていただいて光栄に思います。ベルトを巻いたということでKrushと共に僕も負けないように成長していきます。まだまだ人間として未熟な僕ですが、一歩ずつ進化していくのでついてきてください」と語った。
▼セミファイナル(第8試合)Krushスーパー・ライト級 3分3R延長1R〇鈴木勇人(K-1ジム五反田チームキングス/第7代Krushスーパー・ライト級王者)KO 1R 1分30秒 ※左フック×FUMIYA(ポゴナ・クラブジム)
鈴木は2016年12月にKrushでプロデビューすると、サウスポースタイルから繰り出す左ミドル&左ストレートを武器に頭角を現し、2019年1月にタイトルを獲得。2019年8月の初防衛戦ではK-1ファイターとして活躍していた左右田泰臣の挑戦を退けている。現王者・佐々木大蔵に喫した連敗からの再起なるか。戦績は8勝(4KO)4敗1分。
FUMIYAは水泳でジュニアオリンピックに出場し、陸上でも関東大会出場を果たしたフィジカルエリート。2017年3月にKrushでプロデビューし、そのデビュー戦では2戦目の鈴木に2度ダウンを奪われるも、3Rに右ストレートで逆転KO勝ちを収めている。2018年5月から4連敗を喫したが、今年2月大会でKO勝ちして再起を飾っている。戦績は5勝(5KO)6敗。
1R、サウスポーの鈴木は左ミドル、FUMIYAは右ミドルを蹴る。両者のパワフルな蹴りの炸裂音が場内へ響くが、蹴り合いはやや鈴木有利か。ならばとFUMIYAはパンチを出しながら前へ出るが、打ち合いになったところで鈴木の左フックがカウンターでヒット。ダウンを奪う。
すぐに立ち上がったFUMIYAはさらに打ち合うため前へ出るが、鈴木が左ヒザをアゴへ突き上げ、さらに左フック。FUMIYAが2度目のダウンを喫し、立ち上がることができず鈴木がKOでリベンジに成功した。
鈴木はマイクを持つと「デビュー2戦目でKO負けして本当に悔しかったので絶対にやり返してやろうと思っていました。FUMIYA選手とは1勝1敗なので次はベルトを懸けて戦いたい。次はK-1のベルトを獲ります」と、FUMIYAといつか3度目の決着戦をやりたいとし、目標であるK-1のベルト獲りを宣言した。
[nextpage]
▼第7試合 Krushライト級 3分3R延長1R×大沢文也(TANG TANG FIGHT CLUB/team JOKER/K-1 WORLD GP 2018 K-1ライト級世界最強決定トーナメント準優勝)KO 2R 2分16秒 ※3ノックダウン〇蓮實 光(パラエストラ栃木)
大沢は小学生の時から始めたボクシングで優れたテクニックを持つベテラン選手で、2018年9月にはKrushライト級王座に挑戦するもタイトル奪取ならず。その後は2勝して2敗、さらに2勝して今回の試合に臨む。戦績は25勝(3KO)16敗3分。
蓮實は総合格闘家でもあり、Krushには2018年6月から参戦。パワーを活かしたファイトスタイルで4勝(2KO)2敗の戦績をマークし、今年3月には東本央貴とダウンを奪い合う試合を演じてKO勝利している。
(写真)最初のダウンを奪った右ショートストレート 1R、右カーフキックを蹴る蓮實に大沢は前足への前蹴りを多用する。距離を詰めてパンチを狙う蓮實に大沢はジャブをしっかり当てに行き、ボディも打つ。蓮實のパンチはブロックし、大沢がよく見ている様子。
2R、ガードを上げてジャブを突きまくる大沢。蓮見も同じくジャブを突くが、精度は大沢の方が上か。まるで意地の張り合いのようなジャブの突き合いが続く中、いきなり蓮實が大沢のガードの隙間を縫うような右ショートストレート。これが見事に決まり、ダウンを奪う。
「大丈夫。効いてない」と声を発する大沢だが、蓮實が一気に打ち合いを仕掛けて右アッパーでダウンを奪う。何とか立ち上がった大沢だったが、最後は下から思い切り突き上げた蓮實の右アッパーが決まり、大沢は大の字。失神KOで蓮實が壮絶なKO勝利を飾った。大沢は今大会2人目の担架送りとなった。
勝利に男泣きした蓮實はマイクを持つと「次はタイトルマッチよろしく。11月のK-1両国、ライト級が熱いうちに4人でトーナメントやりましょう。そしてK-1とKrushに蓮實光の名を刻みます」と、Krush王座獲りとK-1トーナメント制覇をアピールした。 2018年8月に塚越仁志からKOでKrushウェルター級王座を奪取し、2019年5月には近藤魁成を相手に初防衛に成功している木村“フィリップ”ミノル(K-1ジム五反田チームキングス)が、Krush王座を返上した。木村は今年3月、K-1 WORLD GP第3代スーパー・ウェルター級王座決定トーナメントで優勝、K-1王者となった。
▼第6試合 Krushフェザー級 3分3R延長1R×桝本翔也(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)KO 2R 2分02秒 ※左ハイキック〇椿原龍矢(月心会チーム侍/K-1甲子園2017 -55kg王者)
桝本は現K-1フェザー級王者・江川優生や芦澤竜誠、朝久裕貴から勝利を奪っている実力者だが、スーパー・バンタム級に階級を下げてからは4連敗。フェザー級に階級を戻してからは10月と12月に連勝。戦績は15勝(7KO)14敗2分。
椿原はK-1甲子園で2015・2016年と-55kg級で準優勝、ラストチャンスで臨んだ2017年に優勝を飾った。K-1 JAPAN GROUPには2017年5月から参戦し、軍司泰斗、西京春馬、森坂陸らを破り注目を浴びる。2018年の「第6代Krushスーパー・バンタム級王座決定トーナメント」では準決勝へ進出。前戦は2019年11月に黒田勇斗から判定勝ちした。戦績は8勝(2KO)3敗1分。
1R、長いジャブと前蹴りで桝本を近付けさせない椿原。左右ローを蹴り、桝本が距離を詰めると両手でプッシュ。さらにステップワークを使い、桝本をフックが打てる距離に入れさせない。
2Rも徹底して長い距離での攻撃とステップワークで距離を取る椿原。桝本はじりじりと近付いていって強打を放つが、椿原を捉えることが出来ない。椿原の右フック&右ストレートがクリーンヒットして桝本をのけ反らせる。
(写真)フィニッシュとなった左ハイキック 3R、桝本は強引に距離を詰め、ボディを打ちに行く。椿原はステップでそれをかわしながら右のパンチを当てていく。右テンカオも突き刺し、左ハイキックが桝本の顔面をかすめる。そして、椿原の右フックからの左ハイが炸裂。壮絶なKOで椿原がKO勝ち。気を失った桝本は担架で運ばれた。
椿原はマイクを持つと「初めてリングの上で喋るので何を喋っていいのか分かりませんが、今回階級を上げて初めての試合。チャンピオンが不在のこの階級に僕がベルトを獲りに来ました。ベルトが獲れるように頑張ります」と笑顔で語った。
[nextpage]
▼第5試合 Krushスーパー・フェザー級 3分3R延長1R〇TETSU(月心会チーム侍)判定3-0 ※30-29、29-28×2×提髪和希(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/K-1カレッジ2018 -60kg優勝)
TETSUは2018年8月からK-1 JAPAN GROUPに参戦すると、佐野天馬、伊澤波人を破って頭角を現した。3連勝でKrushフェザー級王者・江川優生に挑戦したがKO負け。2019年11月には斗麗に敗れて連敗を喫し、今回からスーパー・フェザー級に階級を上げる。スピードを活かしたパンチ&キックが持ち味。戦績は7勝(2KO)3敗。
そのTETSUと対戦する提髪はK-1カレッジ2018 -60kg王者で、2019年6月にプロデビューし、デビュー戦こそ敗れたもののその後は3連勝(2KO)。右ストレートとヒザ蹴りが得意。戦績は3勝(2KO)1敗。
1R、両者とも左ミドルとローを蹴りながらのパンチを繰り出す。提髪の右クロスがタイミングよく決まり、2度TETSUを大きく仰け反らせた。
2R、ジャブに右クロスを合わせられるTETSUは左フックに切り替え、いきなりの右ストレートを打つ。さらに右ローを効果的に使う。提髪はそれでも右を狙っていくが、終盤にTETSUのバックハンドブローがヒット。一気に攻め込むTETSUが印象点を稼いだ。
3R、左ミドルを多用するTETSUは逆ワンツーで右から入るパンチで攻勢に出る。提髪もミドルと右ストレートで反撃するが、勢いがついたTETSUが前へ出て左ミドルとパンチで攻め込んでいく。パンチにこだわらず随所に蹴りを織り交ぜていったTETSUが判定勝ちした。
▼第4試合 Krushスーパー・バンタム級 3分3R延長1R×蒼士(昇龍會)KO 2R 1分26秒 ※右フック〇鬼山桃太朗(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
8勝(3KO)2敗1分の蒼士は璃明武との対戦が決まっていたが、璃明武が怪我で欠場。代わって岡山県出身の鬼山と対戦する。鬼山は2勝(1KO)1敗。
1R、鬼山は右から左のフックを強振する。蒼士は出鼻を挫かれた形となったが、すぐに強烈な左インローで逆襲。左フックを上下に打ち分け、左ミドルも強く蹴る。
2Rも左右フックを強振する鬼山に、蒼士は左インローを蹴りつつ出入りしてのパンチのコンビネーション。しかし、1Rから狙っていた蒼士の左ボディへの鬼山の左フックがヒット。打ち合いに出る蒼士の左アッパーが空振りしたところへ鬼山の左フックがヒットし、続く連打でダウンを奪う。
最後も打ち合いでの右フックでダウンを奪い、立ち上がろうとした蒼士だったが崩れ落ち、鬼山歓喜のKO勝ちとなった。
[nextpage]
▼第3試合 Krushフェザー級 3分3R延長1R×新美貴士(名古屋JKファクトリー)判定0-3 ※29-30、28-30×2〇岡嶋形徒(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
8勝(4KO)2敗の新美に『格闘代理戦争』卒業生で3勝無敗の岡嶋が挑む一戦。
1R、サウスポーの新美は左ミドル、岡嶋は右ミドルを多用していく。岡嶋は強い右ミドルに右ロー、そして右ストレートを伸ばす。
2R、前蹴りから前へ出ていく新美だが、岡嶋のパワフルな攻撃をもらう場面が多く手数が出ない。しかし、新美のテンカオで岡嶋も消耗が見える。前へ出ていく新美のパンチも当たり始めるが、岡嶋も譲らない。
3R、岡嶋は右ミドル、右ヒザからの右ストレートを徹底的に繰りだし、このラウンドは前へ出る。手数は岡嶋だが、新美の右フック、左ストレートもヒット。最後まで手数を出して攻め続けた岡嶋が判定で勝利を収めた。
▼第2試合 Krushフェザー級 3分3R延長1R〇森坂 陸(エスジム)判定3-0 ※30-28、29-28×2×勝輝(K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER)
1R、ジャブを多用する勝輝の左拳が森坂の顔面を捉える。森坂は左ミドルを軸にパンチも返していくが、勝輝は回転の速いコンビネーションで顔面とボディを打ち分けていく。
2R、勝輝は1Rに続いてタイミングのいい右のテンカオを突き刺す。ジャブも良く当たり、ワンツーにつなぐ。森坂は左ミドルを蹴りつつ前へ出て、左フックのタイミングが合い始めた。
3R、森坂はジャブにジャブで対抗し、これが功を奏して一気にペースを握る。ジャブから他の攻撃も入り始め、左テンカオを突き刺しての左ボディでダウンを奪う。前に出て左ミドル、右ストレートもヒットさせる森坂。最後まで攻撃の手を休めずに判定勝利した。
▼第1試合 Krushフェザー級 3分3R延長1R〇秀樹(レンジャージム)判定3-0 ※30-28×3×知良(RBアカデミー)
両者サウスポー。ミドル、ローを蹴りながら互いに思い切りフックを繰り出す。2Rになると知良の左ローが次々と決まり始め、ダメージを感じさせるが秀樹の左フックがクリーンヒット。3Rも左ローを蹴る知良だが、秀樹の左右フックにバランスを崩す場面が見られ、最後は両者足を止めての打ち合いで終了。秀樹が判定勝ちした。