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インタビュー

【K-1】「これからはK-1ジム心斎橋生え抜きの選手も育成していきたいです」=宍戸一郎・K-1ジム心斎橋代表インタビュー

2020/06/16 10:06
【K-1】「これからはK-1ジム心斎橋生え抜きの選手も育成していきたいです」=宍戸一郎・K-1ジム心斎橋代表インタビュー

K-1ジム心斎橋の宍戸一郎代表(左)と中村拓己K-1プロデューサー

 2020年4月1日に大阪・大阪市中央区にオープンしたK-1ジム心斎橋。ジムの代表を務めるのは、大阪からK-1 JAPAN GROUPのプロイベントに選手を輩出してきた隆拳塾の宍戸一郎代表だ。「ジムを出したいけどどうすればいいんだろうと悩んでいた時に、K-1の公式HPでジム代表を募集しているという記事を見つけて、応募させていただきました」という宍戸代表。これまでの経歴を振り返るとともに、なぜK-1ジム心斎橋をオープンすることになったのかを訊いた。

初スパーリングの相手がいきなりアンディ・フグさんで

――今年4月1日にオープンした宍戸一郎代表にお話を聞かせていただきたいと思います。まず宍戸代表が格闘技に興味を持ったきっかけから教えてください。

「子供の頃にジャッキー・チェンが好きで、アクション俳優になりたかったんですよ。それで中学の時に伝統派空手の道場に入りました。それから練習を続けていくうちに、より真剣に戦うことが好きになって、格闘技で目立ちたい・輝きたいと思うようになったんです。でも当時はK-1もなかったですし、戦うことでお金をもらえると言ったらプロレスという時代だったんですね。高校に入って進路指導で『格闘技で食っていきたいです』と言っても『どうやって食っていくんだ?』と言われてしまい、すぐには答えることが出来なくて……。ただその時になぜか分からないんですけど『いずれパンチとキックで世界一を決めるプロの大会が始まると思うので、僕はそこで頑張ります』と言ったんです。そうしたらその2~3年後に第1回K-1 WGPが開催されて『これだ!』と思いました(笑)」

――今の宍戸代表のことを考えると運命的なエピソードですね。それからはプロを目指して練習を始めたのですか?

「高校時代は空手の道場に通いながら、友達と一緒に公園でK-1用の自主練をしていて、グローブ空手の大会に出ていました。ただそれでは限界があったので、正道会館に入門することになりました。僕は格闘技経験者でプロ志望だったので、入門してすぐにプロ練習に参加させてもらったんですけど、初スパーリングの相手がいきなりアンディ・フグさんで『えっーーー!』と思いました(笑)」


――それは驚きますね。

「もちろんボッコボコにされました(苦笑)。当時は階級も経験も関係なくスパーリング中心の練習だったんで、僕と同じ時期に入ったやつらはみんなやめていきましたね。ちなみに僕はプロ練のたびに鼻血まみれになっていたんで、みなさんからは『鼻血』と呼ばれてました(笑)」

――それからはプロとして活動されていたのですか?

「その後も練習を続けたんですけど、当時のK-1はヘビー級しかなかったんで、僕の体格だとなかなか試合のチャンスがなかったんですね。それでどうしようか悩んでいて、プロでの試合機会を求めて正道会館からNJKFの健心塾に移籍して、プロテストを受けてプロになりました。それから30歳で一旦引退して、将来のビジョンとして自分のジムを持ちたいという夢があったので『隆拳塾』というチームを立ち上げました」


――K-1ジム心斎橋の前身になる宍戸代表のチームですね。

「はい。当時はフィットネスジムに勤めていたので、昼はジムのインストラクターとして働いて、夜は隆拳塾で指導という形で活動を続けて。基本的にはキッズ・ジュニアの選手が主で、活動を続けていくうちに選手たちがグローブ空手の大会で結果を出すようになって、プロデビューする子も出てきたんです。ただ隆拳塾の活動は場所を借りて週3回×1回の練習時間が1時間半という環境で、プロで活躍する選手を育てるという意味では練習環境が整ってなかったんです。そうしているうちにプロデビューしていた選手から『本気でプロとしてやっていきたいので違うジムに行きたい』と言われたんです。

 もちろん僕は『分かった。頑張ってこいよ!』と送り出したのですが、自分がキッズ・ジュニアの頃から育ててきた選手に対して満足いく練習環境を用意できず、別のジムに移籍したいと言わせてしまったことが心残りで……。どこか自分に対して悔しい想いがあったんです。それと同時にこれから同じような悩みを持つ選手が出てくるんだろうな、と。指導者として選手たちの夢を叶えてあげたい。でもその環境を整えるためにはお金もかかる。どうすればいいんだろうと考えた時に、K-1の公式HPでジム代表を募集しているという記事を見つけて、応募させていただきました」

K-1ジムの選手として生徒を育てることが一番の近道

――教え子の一言がジムを出すきっかけになった、と。ジムを出すうえで色んな方法や選択肢がある中で、なぜK-1ジムの代表になろうと思ったのですか?

「やはりそれはK-1ジムのシステムが大きいですね。例えば個人でジムを出そうとした場合、大きな出店費用が必要で、ジムが仕事として成立するのかどうかも分からない。指導はできてもジムを出すとなれば、経営もできなければいけない…色んな不安があって、その不安が理由でジムを出す決断ができない人は多いと思うんです。実際に自分もそうでした。でもK-1ジムの場合は出店費用を負担してもらい、代表としての社員雇用もある。経営・運営に関しても全面的にサポートしてもらえるので、K-1ジムのシステムが不安を取り除いて背中を押してくれました。

 おかげさまで本当にいい場所に、いいジムを作っていただいたのですが、もしこれを自分が個人でやろうと思うと…ひっくり返るような出店費用を用意しないといけなかったんで…100%無理でしたね。あとは一緒にK-1を大きくしたいという想いですね。先ほどお話させていただいたように、僕はK-1に憧れていたし、生徒たちも『K-1に出たい』という選手がほとんどなんですね。それだったら自分がK-1ジムの代表になってジムを盛り上げて、K-1ジムの選手として生徒を育てることが一番の近道だと思いました」

――4月にジムがオープンして入会者は順調に増えていますか?

「隆拳塾時代の会員さん、フィットネスジム時代からお付き合いがある方、そしてK-1ジムに興味を持って入会してくださる方がいて、おかげさまで順調に会員は増えています」


――宍戸代表が考えるK-1ジム心斎橋の売りはどこですか?

「私はクラス練習をメインにしていて会員さんと会員さんのつながりを大事にしています。年齢や職業など関係なく、ジムに来れば同じ仲間として一緒に練習できるという編成を意識しています。またこのジムはマットエリアとサンドバックエリアが二つに分かれているので、マットエリアでクラスをやっている間にサンドバックエリアで練習することも可能なんですね。なので会員さんのニーズやスケジュールに合わせて練習してもらうことも出来ます。もちろん私自身、フィットネスジムでのトレーナーの経験もあるのでパーソナルトレーニングもコースも用意しております」

――K-1ジム心斎橋のプロ選手はK-1甲子園2019王者の山脇飛翼選手をはじめ若い選手が多いですよね。

「彼らは隆拳塾からの流れでキッズ・ジュニアからプロになった選手たちで、現在はK-1ジム心斎橋に所属しています。ジムをスタートしてから『K-1でプロになりたいです』と入会してきたプロ志望の選手もいるので、これからはK-1ジム心斎橋生え抜きの選手も育成していきたいです」

――全国には宍戸代表のようにジムを出すかどうか悩んでいる人も多いと思います。そういった方たちにメッセージをいただけますか?

「私はジムを始めるまで経営の知識もなければ、ビジネスマンとは違う人生を歩んできました。そんな自分がK-1ジムをオープンできるのか?という不安も多かったのですが、K-1のスタッフのみなさんが丁寧にジムを始めるまでに必要なことを教えてくださいました。なので『K-1ジムをやりたい!』という熱意と覚悟があれば、あとは周りの方が助けてくれると思います。本気でK-1ジムをやりたいと思っている方は、思い切って飛び込むのがいいと思います。『K-1ジムを出したいんだけど…どうしよう?』と悩んで時間だけが過ぎてしまうのは本当にもったいないことなので、熱意と覚悟があればぜひ応募していただいて、一緒にK-1ジムの代表としてK-1を盛り上げていきましょう!」

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