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世界に広がる“コスプレ”ファイターたち

2020/05/03 20:05

アジアから、日本女子ファイターもコスプレを披露

 春麗といえば、アジアではONE Championshipで活躍中の日系タイ人選手イシゲ・リカ(石毛里佳)も入場時にその衣装を着用している。イシゲも大のコスプレファンで、これまでも『パワーレンジャー』『セーラームーン』『ブルース・リー』などのコスプレで入場。ハロウィンには、SNSで『ハーレイ・クイン』のコスプレにも挑戦した。

 イシゲにMMAを指導したシャノン・ウィラチャイ(タイ)もコスプレ好きとして知られる。“春麗”イシゲのコーナーマンとして『ストリートファイター』のリュウのコスプレで付き添ったかと思えば、合宿中に日本の漫画でハリウッドでの実写映画化も決定した『ワンパンマン』のスーツ画像をSNSにアップ。

さらに自身の入場でも、『アラジンと魔法のランプ』のアラジン、パワードスーツを身に付けた『アイアンマン』、『ポケモン』のサトシ、DC映画『ザ・フラッシュ』、ピクサーの『Mr.インクレディブル』、『西遊記』の孫悟空、さらに『ドラゴンボール』のベジータなどのコスプレで花道を歩いている。

 ベジータは古くはUFCファイターのマーカス・ブリメージもコスプレするなど、世界中で認知度の高いキャラクターとなっている。

 ほかにもONEでは、元ONEキックボクシング・フライ級王者ペッダム・ペッティンディーアカデミー(タイ)もコスプレ好きのファイターだ。王座を獲得した試合でのハーレイ・クインの元恋人の『ジョーカー』での入場や『ライオンキング』、『ジョーズ』ばりの謎のサメ着ぐるみなど、ロッタンの『アイアンマン』のお面同様に、「楽しんで入場すること」が大好きなのだという。

 昨年末の「Bellator JAPAN」で鮮烈なKO勝ちを披露した“MVP”ことマイケル・“ヴェノム”・ペイジ(英国)もロンドンのコミケに参加するほどのナードだ。日本のアニメファンとしても知られており、入場コスチュームに『NARUTO』のイタチを使用し、NARUTO走りで花道を滑走した。試合後には、「子どもの頃から長い間見ていた『NARUTO』のコスプレで、日本の文化に対する敬意を表したかった」と答えている。

 また、地元で開催された「Bellator LONDON」では、勝利後にポケモンキャップを被り、モンスターボールを相手に転がすなど“リアルポケモンハンター”ぶりを披露。また、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でサノスが装着しているガントレットを試合直後に着けた際には、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』主演のクリス・プラットとケージサイドで共演を果たしている。

 そのクリス・プラットはハワイのマウイ島でホームレス生活を送っていたときに女優のレイ・ドーン・チョンに見出され映画デビューを果たしているが、そんな奇跡が起きるハワイのファイターにも、コスプレで入場する選手は多い。現Bellator世界女子フライ級王者のイリマ=レイ・マクファーレンは、ディズニーの『リロ・アンド・スティッチ』のコンビで計量に登場。4度の防衛に成功している。

 日本発、世界で活躍するファイターたちも負けていない。

 幼少の頃に『ドラゴンボール』やスーパー戦隊シリーズのヒーローに憧れ、マサチューセッツ大学アマースト校で日本語と日本文学を専攻。在学中の2003年9月から翌年6月まで国際基督教大学(ICU)に留学し、クロスポイント吉祥寺、和術慧舟會などで格闘技の練習を積んだ女子UFCファイターのロクサン・モダフェリ(米国)はコスプレファイターの先駆者的存在だ。INVICTA時代にはドリームワークスのアニメ『シーラ』のコスプレで、かつてドルフ・ラングレンが映画で演じたヒーマンとの特写も残している。2020年1月の「UFC 246」ではMMA8戦無敗だったメイシー・バーバーに初黒星をつけるなど、円熟味を増しているロクサンの今後にも注目だ。

 また、元RIZIN女子スーパーアトム級&元Invicta FC世界アトム級王者の浜崎朱加(AACC)は『NARUTO』好きを公言しているが、ハロウィンでは『進撃の巨人』のコスプレで立体機動装置まで着用している姿を公開。

 その浜崎と出稽古で練習を積み、現在ONEで3連勝中の平田樹(K-Clann)は『ドラゴンボール』の人造人間18号姿が話題を呼んだ。

 柔術家として世界柔術選手権4連覇の偉業を成し遂げた湯浅麗歌子は、大の「初音ミク好き」として知られるが、大晦日に『鬼滅の刃』の竈門禰豆子(ねずこ)のコスプレをinstagramで披露しており、その髪の一部はミクのエメラルドグリーンから真紅に変わっている。

 男子では元ONEストロー級世界チャンピオンの内藤禎貴(内藤のび太)が『ドラえもん』のキャラクター「野比のび太」の衣装で入場するが、修斗時代のジャイアン貴裕との入場時からすでにそのキャラクターは認知されており、その粘り強いファイトスタイルも相まって、コスプレの範疇を超えた内藤の試合スタイルの一部となっている。

 選手自身が主人公となる戦いのなかでも、愛するキャラクターのコスプレをすることで集中力を増すファイターもいる。その戦いは、現実のヒーロー・ヒロインとなって、将来、彼らのコスプレを再びコスプレする選手が現れるのかもしれない。

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