北岡悟、朴光哲の『Fighter's Diary』
4番目に登場するのは、北岡悟。パンクラスイズム横浜を主宰し、多くのプロ選手たちに貴重な練習の機会を作っている。
「世界が、この世が、新しい社会のルールや、健康のルールが一気に生まれたという感じですよね。こういう世界に未来永劫なる可能性もありますよね」と、新型コロナウイルス後の世界を語る北岡だが、「それでも俺は格闘技は死なないと思いますけど、少なくとも俺は死ぬまでやるし、この練習を続ける」と、自身のスタンスを語る。
2019年7月「RIZIN.17」で元UFCのジョニー・ケースに敗れて以来、試合から離れており、「このままだと1年間試合をしていない。いろいろ思うところはあります」としながらも、「格闘技には寄り添って生きてるから。“寄り添う”どころじゃないか。“愛”とか越えてるし、“依存”すらも越えてる気がする」と、格闘技への取り組みを語る。
格闘技を生きることが人生で、それだけが自身がほんとうに生きることと言い切るファイターはそう多くはない。
セコンドについてもマスク姿がトレードマークの北岡は、常日頃から、衛生面や健康面に人一倍、気を遣ってきた。最大限の注意を払いながら、いまもファイターに練習の場を提供している。
「ジムは自粛……自粛はしていないですね。僕は昔から外に無駄に出歩きもしないし、マスクしてうがい・手洗いして生きているから、リスクとか、この場所がクラスターになる恐怖とかあるけど、基本的には何も変わらずやってます。なぜかと言うと、僕がこの所属選手や会員だったら、練習をやめたくないから」
そう言いながらも、家族や子供など、周囲に迷惑がかかるような環境にいる者は、練習を止めることも選択のひとつだという。
「みんなそれぞれ大事にしているものや優先順位があるから、別に僕はそれを強制する気はない。もちろん今まで以上に、健康やコロナに対する警戒できる点を警戒しつつ、極力変わらずやるっていうふうにやって、どれだけ持つのか……。それなりの生き方を模索しなくちゃいけない。現実って容赦ないものだから」と、コロナと付き合いながら、“容赦ない”現実のなか、北岡は「それならそれでどうするのかという、生きるだけ」と語っている。
最後に登場するのは「KRAZY BEE」の面々だ。現在、ジムが閉鎖されるなか、田村一聖、矢地祐介、朴光哲、あいは、どのように日々を過ごしているのか。
PANCRASEで2度、試合が延期になってる田村一聖は7月5日に、約9カ月ぶりの試合を迎える。「無観客試合」が多くなっていることについても、「試合が出来ればいい」という考えだ。
「暗闇のなか、夜な夜なシャドーをメチャメチャやってます。マジでヤバいやつです。誰も視界に入らない。フルスイングしてますから」と苦笑するが、「MMAファイターはやること多すぎるから、普段やれないことたくさんありますよね。楽しいですよ」と、今だからころ出来ることに取り組んでいるという。
一方、RIZINで、ルイス・グスタボ、ジョニー・ケース、朝倉未来相手に3連敗も、2019年12月29日の「Bellator JAPAN」で上迫博仁に3R、逆転TKO勝ちした矢地祐介は、YouTuberとしても上り調子にあるようだ。
「ここに来て(YouTubeが)軌道に乗り始めて」と語る矢地。朴からも「だって面白かったもん、ジークンドーのやつ」と評価されるなど、ワンインチパンチの寸勁などを紹介した動画が好評だったという。
しかし、コロナ禍については「いろいろ想像して怖くなっちゃって……ずっと家にいる。いいことなんですよね? テレビ見てスクワットとか。(身体動かさないと)メンタルやられちゃいますね。なんかネガティブなこと考えちゃったり」と不安を隠さない。
無観客試合については田村と異なり、「お客さんがいないっていうのは、俺はテンション下がっちゃうかもしれないです。それでもやれるのは嬉しいですけどね。贅沢言わなきゃそれでもいいけど……お客さんがいた方がいいかな」と、観客の応援に後押しされていることを語った。
家にいるという矢地と同様、あいも「滅茶苦茶寝てます。本当に寝ようと思ったら24時間寝れます(笑)」と、周囲を和ませながらも、復帰に向けて順調な様子。2019年年末の「Bellator JAPAN」で元KOTCアトム級王者のアンディ・ウィンに判定勝利後、1月末の手術を終え、今夏の復帰戦に向けリハビリを再開している。
4選手の座談会を回しているのは、朴光哲だ。2020年4月19日の『RIZIN.22』横浜アリーナ大会では、朝倉未来と対戦予定だったが、大会は中止となった。
「泣きたい。誰かお金貸してくれる人いないかな」と、朴は苦笑する。未来戦に向け、「すごい仕上げたんですよ。メッチャ仕上げたんですよ、今回。また、これを一から仕上げようとすると、相当お金がかかる」と、厳しい現実を説明した。
「(家にいるのは)貯金とかあるやつはいいけど、そう出来ない人もいるわけで。働きにいかないといけない。試合無くなったら……俺なんか現場に行けば、現場仕事がいくらでもある。でもそしたらその分、練習できないじゃないですか。スタミナとか落ちちゃう。また試合決まって作り直すのは大変。この状態をキープするには財政面で体力が持たない。やっぱり働きにいかなくちゃいけなくなっちゃう。金かかるんですよ。強さを作るというのは」
大会が中止になりファイトマネーが支払わなければ、選手にとっては試合までの“投資”が回収できないことになる。ときにトレーナーやスパーリングパートナーなどまで雇うファイターにとって、試合が無くなることは死活問題だ。
「それに身体動かさないと……狂っちゃうからね」と、練習を欲しながらも、その場所を確保することもままならない。「練習はやりたいけど場所がない。河川敷でみんなでやる? 2メートル間隔を開けて。公園とかでシャドーとかするの恥ずかしいタイプだから(笑)、人前でシャドーとか出来る人、羨ましいね」と、シャイな一面も見せる。
大会が「無観客」で行われることについても、「いい試合をしたらバッーとなるけど、それでグズグズの試合してシーンだったら目も当てられない」と難しさを語る朴は、「そもそも格闘技って無くても誰も困らないじゃないですか。だけどやってみて、いい試合を見て、すごい感動して元気になったりすることもあるし。“こんなのやってる場合かよ”という批判ももちろんあると思う。世の中が早く平常運転に戻ってほしい。戻ったときの娯楽なのかなって」と、厳しい日々の生活を乗り越え、日常を取り戻すことを最優先とした。
「単純に人と人が、テクニックとかいろんなものを駆使して戦うってすごく面白いと思うし、そういう面では格闘技は無くならないと思う」──2000年から正道会館所属としてK-1にも出場してきた二十年選手は、業界のいいときも悪いときも格闘技を続けてきた。そんな朴光哲が語る『Fighter's Diary』完全版は、4月26日(日)19時から、ABEMAにて放送される。
ABEMA「格闘チャンネル」放送ラインナップ
・4月20日(月)夜8時~11時:【ONE】瞬き厳禁の秒殺連発!元王者・青木真也 名勝利大全集
・4月21日(火)夜8時~11時:【ONE】格闘女神世界へ!平田樹ベストバウト
・4月22日(水)夜8時~11時:【ONE】強烈タックル!松嶋こよみONE名場面集
・4月23日(木)夜8時~11時:【RISE】那須川天心・天心世代ベストバウト
・4月24日(金)夜8時~11時:【RISE】WOLD SERIES トーナメントベストバウト
・4月25日(土)夜8時~11時:【RISE】ガチで強い奴らのBEST「KO」 COLLECTION
・4月26日(日)午後5時~夜8時:【K-1】武尊ベストバウト/夜8時~11時
【K-1】木村ミノルベストバウト
・4月27日(月)午後5時~夜8時:【K-1】武居由樹ベストバウト/夜8時~11時:
【K-1】久保優太ベストバウト
・4月28日(火)午後5時~夜8時:【K-1】安保瑠輝也ベストバウト/夜8時~11時:
【K-1】KANAベストバウト
・4月29日(水)午後1時~夜11時:「K’FESTA3」
・4月30日(木)午後2時~夜11時:「K-1 WORLD GP 2019 JAPAN ~よこはまつり~」
・5月1日(金)午後3時30分~夜11時:「K-1 WORLD GP 2018 JAPAN~K-1ライト級世界最強決定トーナメント~」
・5月2日(土)午後5時20分~夜11時:「RISE WORLD SERIES 2019 1st Round」
・5月3日(日)午後4時~夜11時:「RISE WORLD SERIES 2019 2nd Round」
・5月4日(月)午後2時50分~夜11時:「RISE WORLD SERIES 2019 Final Round」
・5月5日(火)午後3時40分~夜11時:「ONE Championship ONE:A NEW ERA -新時代-」
・5月6日(水)あさ8時30分~夜11時:「ONE Championship ONE:Century 世紀」
・5月7日(木)夜8時~夜11時10分:「プロレスリング・ノアHIGHER GROUND 2020(2月16日開催)」
・5月8日(金)夜8時~夜11時10分:「プロレスリングノアNOAH the SPIRIT 2020(4月19日放送)」
・5月9日(土)午後4時20分~夜8時:「Ultimate Party 2019~DDTグループ大集合!~」
・5月10日(日)夜8時~10時:「DDT LIVE!不要不急の路上電流爆破プロレスinさいたまスーパーアリーナ」