K-1K-1
K-1
コラム

【1998年4月の格闘技】アーツvsホースト4度目の宿命の対決はダウンを奪ったアーツが勝利

2020/04/19 17:04
 1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去4月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。37回目は1998年4月9日に横浜アリーナで開催された『K-1 KINGS』から、ピーター・アーツ(オランダ)vsアーネスト・ホースト(同)の4度目の頂上対決。  横浜アリーナに16800人(超満員=主催者発表)の観客を集めて開催された『K-1 KINGS』のメインイベントは、元祖K-1頂上対決アーツvsホースト。これが4度目の対決となり、過去の対戦成績はホーストの2勝1敗。ホーストは前年のK-1グランプリで初優勝を遂げていた。  前日の記者会見でホーストは3年前の対戦(延長戦でアーツが判定勝ち)との違いを聞かれ「自分のウェイトが増えたことは非常に大きい」と答えた。体格差負けをしなければアーツに勝てる、ホーストの自信がひしひしと伝わる言葉だった。  しかし、リング上で展開された光景は、まるで前年の『K-1 KINGS』で行われたアーツvsアンディ・フグのようだった。初回開始早々からアーツがグイグイとプレッシャーをかけ、ホーストは後退を余儀なくされたのである。さらに、アーツの左ジャブをスウェーでよけたところに“槍の右”がグーンと伸びてきて、ダウンを奪われてしまったのだ。  アーツのプレッシャーの強さは、前年アンディが何もできないまま捕まってしまったことで証明済みである。まさか、アーツのことを知りつくているであろうホーストが、そんな簡単にアーツの術中にハマるとは予想外だったが、真実は試合後、ホースト自身の口から語られた。 「1、2ラウンドにピーターのプレッシャーを感じていたのは事実さ。自分の身体がキレていないことが分かったので、必要以上にプレッシャーを感じてしまった。言い訳をするつもりはないが、アンディvsカーティス・シュースター、佐竹雅昭vsモーリス・スミスの試合があんなに長引くとは思わず(両試合とも3分5Rフル)、少し早めにウォーミングアップしてしまったことで自分の試合までの時間が空きすぎてしまい身体が冷えてしまったんだ。そのウォーミングアップ不足のせいで1、2Rは身体がキレず、アーツの左ジャブに驚かされてダウンを奪われてしまったのが敗因だね」  ミスター・パーフェクトの思わぬ失敗。ホーストの戸惑いを見逃さず、一気に勝負に行ったアーツもさすがだったが、アーツは3R後半に主要武器である右の拳を痛めてしまい右ストレートが出なくなってしまった。  前半からコツコツと当てていた右ローと飛び込みざまの右ストレートで、手数もプレッシャーも減ってきたアーツに逆襲を試みるホースト。しかし決定打が出ない。アーツも粘り、勝敗は判定に持ち込まれた。  4・5Rのホーストの右ローをジャッジがどう判断するかが勝敗の分かれ目だったが、ドローは1人だけ。ジャッジ2名がアーツの勝利で判定2-0によりアーツが勝利。両者の対戦成績は2勝2敗となった。 「今日の勝利は嬉しい。非常にいい気分だよ。ローはカットしていたし、後半はホーストがスタミナ切れしていてダメージはほとんどなかった。彼もトレーニングして強くなっていたけれど、俺はもっとハードなトレーニングをしてきたつもりだ」  痛めた右拳を冷やしながら、淡々と答えるアーツ。しかし、次に戦いたい相手はと聞かれると「誰とでも戦う。自分がチャンピオンだということは自覚しているからね。誰が来ても戦うのがチャンピオンだろ!」と答えた。
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア