空手
コラム

【1995年4月の格闘技】90年代、九州から全国へ名を轟かせた異種格闘技戦大会で郷野聡寛が無差別級制覇

2020/04/14 16:04
【1995年4月の格闘技】90年代、九州から全国へ名を轟かせた異種格闘技戦大会で郷野聡寛が無差別級制覇

準々決勝で顔面への掌底打ちを繰り出す郷野(右)

 1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去4月にあった歴史的な試合や出来事を振り返る。23回目は総合格闘技の黎明期に九州で開催されて大きな話題となった真武館主催の『全日本格闘技選手権』。

 空手をベースにした総合格闘技を目指す真武館は“東のシューティング、西の真武館”ともいわれ、九州から全国にその名を轟かせた。ルールは顔面への掌底攻撃を含む打撃(金的などの反則箇所は除く)に加えて、投げ、1Rに2回まで1回につき25秒間の寝技が認められる。

 最大のウリはプロ・アマ問わずあらゆる格闘技が自由参戦できるオープントーナメントで、空手、柔道、合気道、キックボクシング、サンボ、シュートボクシングなど様々な格闘技の選手たちが参戦し、“異種格闘技戦トーナメント”と呼ばれていた。

 1995年4月にはそれまでの体重別の全日本大会とは別に、無差別級の大会を初開催。その記念すべき第1回大会を制したのが、コマンドサンボ(現在はコンバットサンボ)の郷野聡寛(スポーツ会館)だった。


(写真)準決勝では右ハイキック一発でKO勝ち

 郷野は前年秋に開催された体重別の全日本大会で重量級に初参戦初優勝。前回よりも打撃技に磨きをかけ、圧倒的な強さを見せつけて勝ち上がった。

 1回戦は本戦(2分)で払い腰を決め、延長戦でさらに払い腰を決めて有効1(投げ技2回で有効)を奪う。その後は袈裟固めからのVクロスアームロック、肩固めを極めて一本勝ちした(関節技が極まると有効1、有効3で一本勝ち)。

 2回戦はヒザ蹴りを顔面に決めて一本勝ち、3回戦は腕十字・ヒザ蹴り・膝十字で立て続けに有効3を奪っての一本勝ち、準々決勝もVクロス、払い腰2回、Vクロスと次々に有効を奪って一本勝ち。準決勝では右ハイキックによる一発KOで決勝戦へ進出した。

 もう一方のブロックから勝ち上がってきたのは大久保淳(誠王会)。蹴り技が冴える選手で、準々決勝ではバックスピンキックによる一本勝ちを飾っている。


(写真)決勝戦ではアキレス腱固めを極める

 決勝戦。郷野は大久保の蹴りの距離を殺して打撃を完封し、ヒザ蹴りから投げ、そしてアキレス腱固めで有効を奪い、優勢勝ちで無差別級初代王座に就いた。郷野は「僕は正道会館の金泰泳選手のファンなので、いいハイキックが入って嬉しかったです。スポーツ会館の先輩に比べるとまだまだなので、サンボの全日本大会でも勝てるように頑張ります」とコメント。


 郷野は“天才”“総合格闘技の申し子”と言われ、1996年5月に修斗でプロデビュー。その後、パンクラスやPRIDE、UFCで活躍する選手へと育っていった。また、全日本格闘技選手権はその後も続いて開催され、顔面パンチ解禁、寝技無制限、オープンフィンガーグローブ着用など時代に合わせてルールも変化していった。

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