悲願のK-1王座へ準備が整いつつある城戸 (C)K-1
2020年3月22日(日)さいたまスーパーアリーナ『K-1 WORLD GP 2020 JAPAN ~K'FESTA.3~』で行われる、「K-1 WORLD GP第3代スーパー・ウェルター級王座決定トーナメント」。
1回戦でFKR-PROウェルター級王者ミラン・ペイルス(スロバキア)と対戦する城戸康裕(谷山ジム)が、11日(水)都内にて公開練習を行った。
これが74戦目となる城戸は36歳の大ベテラン。2019年3月のK-1ウェルター級タイトルマッチでは敗れたが、元々の階級であるスーパー・ウェルター級に復帰し、8月大会でアントニオ・ゴメスをKO、11月大会で神保克哉をKOと連勝を飾っている。
開口一番「疲れました! 今日が試合前の追い込み最後なんですよ。身体が全然動かない!」とぼやいた城戸だが、この日は恒例となった仕込みやネタは一切なし。公開練習のミット打ちでは手数こそ少ないものの、一瞬の隙を突いて倒すことをコンセプトに磨き上げてきた独特のスタイルを披露した。
2017年の第2代スーパー・ウェルター級王座決定トーナメント以来のトーナメント出場になる城戸は「何か今回が一番獲れそう」と予感している。その自信の裏にあるのが、前回のトーナメント決勝でチンギス・アラゾフと戦って以降、アラゾフを参考にしながらシルバーウルフの大宮司進代表と創りあげてきた現在のファイトスタイルだ。
「アラゾフ戦後のスタイルチェンジはデカいですね。彼(アラゾフ)のおかげで僕は技術が上がりましたし、技やスタイルもパクってます。僕、そういうの大好きなんで。(アラゾフをもじった)キドゾフ的には大分完成形が出来てきたんじゃないかな」
記者会見では和島大海と一回戦で激突するニコラス・ラーセンをひたすら絶賛していた城戸だが、自身が対戦するミラン・ペイルスもラーセンに劣らぬ強豪。それは城戸も自覚しており、難敵だと認識しながらもペイルス攻略のイメージを語る。
「ペイルスも相当強いし…嫌! 相手を削ってくる感じがする。だからそこを何とかダメージを負わずに倒すのが理想ですね。実は欧米人って痛みに弱い感が、僕の長年の経験の中であるんですよ。日本人とかアジア人は痛くても頑張る。例えばローが効いても耐えるような精神が昔から日本人てあると思うんですよ。でも欧米人は無理と思ったらすぐ諦める傾向がある。僕がサニー・ダルベックを倒した時も『もう無理だよ』みたいな感じだったじゃないですか? そうやって気持ちを折るというか、そこを狙えば大分やりやすいんじゃないかと思います」
一回戦でペイルスを倒しても、次に待ち受けるのは和島かラーセン。城戸は「どう考えても俺の山きつくないすか(苦笑)?」と厳しいブロックに入ったことを嘆きながらも「でもそこを勝ち上がるところが良いのかなと思ってます」と珍しく前向き。そこには「魔裟斗さん以来、70kg(スーパー・ウェルター級)でK-1王者になるということが相当デカい」と偉大な先輩と同じ肩書に名を連ねることへの大きなモチベーションがある。
同ブロックの3選手は全員180cm越えで「体格的には厳しいトーナメント」だと睨んだうえで、脛の強化など怪我に対する耐性にも着手。「俺が準決勝で倒して勝ったら多分優勝しますね」と準決勝がトーナメント制覇への鍵だと位置づけている。
決勝の対戦相手について城戸は「反対ブロックは普通にミノル選手が上がってくるんじゃないですか?」と木村“フィリップ”ミノルとの再戦を予想しつつ、その上で「これは獲らないといけないトーナメント」と改めてベルト奪取への覚悟を語る。
毎回恒例の煽り映像についても既に撮り終わっている城戸。いつも試合より煽り映像の出来を気にすることが多い城戸だが、今回に限っては「(煽り映像よりも)勝っちゃえばそれが一番面白い」とトーナメントにかける想いを口にした。
さらに城戸は格闘代理戦争で魔裟斗が言い放った「俺の現役のときより命かけてやっているヤツはいない」という言葉に触れ、改めてトーナメントに臨む覚悟を語る……とか思いきや「僕が魔裟斗さんより命かけてるかって言われたら……絶対かけてないです。あの人はそれが出来たからカリスマなわけで」とキッパリ。
「今回のトーナメントに全てぶつけます。ぶつけますけど、それで駄目だったから、それで俺の格闘技人生は良かったとはならない。はい次!って気持ちを切り替えます(笑)」と仮にベルトを獲れなかったとしても格闘家のキャリアを終えるつもりはさらさらないようだ。
最後に「一回戦に負けてしまうと14時ぐらいに帰ってしまうことになるんで、21時ぐらいまで頑張ります!」と決勝進出をファンに約束した。