2020年3月22日(日)さいたまスーパーアリーナ・メインアリーナ『K-1 WORLD GP 2020 JAPAN ~K'FESTA.3~』で、SATORU成合(K-1ジム総本部チームペガサス)と対戦する友尊(TEAM K/BLUE DOG GYM)が、都内所属ジムにて公開練習を行った。
当初、SATORU成合は川原誠也(パンクラスイズム横浜)との対戦が決まっていたが、川原が練習中に負傷したため友尊に白羽の矢が立った。
友尊はキックボクシングで2011年7月にNJKFスーパーフェザー級王者になった後、プロボクシングに転向。7勝(4KO)6敗1分の戦績を残し、2017年8月のKrushでキックボクシング界に復帰した。Krushには2017年8月から参戦し、3連続KO負けを喫したが、その後は3勝(2KO)1敗。2019年5月には第6代Krushスーパー・フェザー級王者の郷州征宜を判定に破り、前戦は2月大会で久保一馬をKOしている。戦績は14勝(9KO)6敗。
1カ月に満たない間隔での連戦になるが「この間の2週間しっかり休めたので問題ない」とコンディションも順調のようで「オファーを受けた時は武者震いが止まらなかった」とこの一戦にかける想いは強い。
公開練習ではしっかりとシャドーボクシングでウォームアップを終えた後にタイ人トレーナー相手にミット打ちを行い、トレーナーの声に反応しながら得意のパンチを叩き込み、戦いへ向けた熱量と気迫が感じられた。
キックボクシングでチャンピオンになり、そこからボクシングに転向。それからKrushに参戦してK-1を目指すことを決意した友尊だが「ボクシングの頃からキックボクシングには必ず戻ってくるという意思を持っていた」という。
その上で「新しいK-1はボクシング時代から盛り上がってるなと思って注目していました。と、同時に自分が出たらもっと盛り上がるのになというもどかしい気持ちもありました」と復帰の舞台にK-1を選んだ。Krush参戦当初は3連続KO負けを喫した友尊。苦境も乗り越えてやっと掴み取ったK-1本戦出場を前に「こうやってキックに戻ってきて、またビッグチャンスをもらえた。これはもう自分がこのチャンスをものにするしかない」と決意を新たにする。
Krush参戦にあたって所属することになったBLUE DOG GYMは様々な格闘技のジャンルの選手が集い、選手の経歴も友尊のように紆余曲折、様々な人生を送ってきた選手が多い。ジムには“ファミリー”のような一体感があり、友尊は格闘技以外のことで得るものも大きいと語る。
「世話になっている先輩がBLUE DOG GYMで元々選手として活動している人で、その流れでBLUE DOG GYMに入りました。BLUE DOG GYMのみんなはすごい色んな経験をしていて、格闘技もそうですけど、格闘技以外のことでも勉強になることが一杯経験出来た。すごい公私ともに自分の糧になってるなと思います」
元スーパー・フェザー級王者の郷州からダウンを奪っ勝利 前戦で見せたパンチとムエタイを融合させたニュースタイルでの鮮やかな勝利。『K'FESTA』抜擢の理由にもなったであろうその進化の裏には昨年末から指導を受けているタイ人トレーナー=パヤックレックの存在がある。ター先生の愛称で呼ばれるパヤックレックは元ラジャダムナンスタジアム2階級王者で、日本のリングでもムエタイ史上4人目の外国人王者となった武田幸三に勝利している。
トレーナーとしても活躍し、日本で数々の名選手を育て上げてきた名伯楽との出会いで友鷹は30歳にして自身のさらなる成長に可能性を見出した。
「ター先生の存在は自分にとって凄い大きいです。もちろんきつい練習を日々やるんですけど、その中でもマッサージしてくれたり自分のコンディションをすごい考えてくれる。ただきついことをやるだけじゃなくて、選手1人1人のことを思って面倒を見てくれる。先生のためにも試合に勝とうって気持ちにさせてくれる存在で本当にありがたいなって思ってます。現役時代の試合は武田幸三さんとの試合しか見れてないですけれど、その試合を見ただけでも本当にすごい人だったんだなっていうのが伝わってきました」
そんな名トレーナーとの出会いで前回の試合ではテクニック面で大きく進化を遂げた友尊だが、ター先生の指導で身に染みて学んだものはむしろメンタル面だと話す。
「すごいシンプルな内容なんですけど先生は『下がるな、前に出ろ』と言ってくれる。それは戦う上で戦術的に前に出ろって部分もすごい大事だと思うんですけど、気持ちの部分で『下がるな、前に出ろ』と。そういう部分をトレーニングの中で教えてもらって『本当にそうだな』って感じました。
今まで勝ったり負けたりが続いていて、去年の9月の試合でKO負けしちゃった時に、今までの自分とこれからの自分をどう変えていくかを考えてたんです。やっぱり気持ち的に下がっちゃ駄目だなって思ってたところに、ター先生がそういうふうに言ってくれた。それがすごい自分の中に響きましたね。
試合で技術も非常に評価していただいて光栄なんですけど、やっぱり一番はメンタル。タイの人の言い方をすればチャイスー(闘う心、折れない心)を大事にしてトレーニング出来てきたなって思います。このタイミングでター先生と出会えたことは、自分の中ではすごい大きいことだと思ってます」
今回対戦するSATORUも29歳にして上京し、31歳にしてK-1初出場を果たす異色のキャリアを持つファイター。Krush・KHAOSで3連続KO勝利を飾り、前回の島野浩太朗戦では年間ベストバウトにノミネートされる激闘を演じた。友尊はSATORUを「戦いの節々でファイターとして一番メンタル的に大事な闘争心がすごく見える選手」と評価。「この人と試合を出来るのは自分の中でもすごいプラスになるし、熱い試合が出来る。まさにチャイスーとチャイスーのぶつかり合いですね」と気迫がぶつかり合う熱戦をイメージしている。
決して順風満帆ではなく、苦労や試行錯誤、そして様々な出会いを経てようやく辿り着いたK'FESTAという大舞台。友尊は「同じイベントでダブルタイトルマッチやトーナメントだったりすごい良い試合が一杯あると思うんですけど、良い意味で空気読まずに俺とSATORU成合選手の試合が一番盛り上がって激しい面白い試合をする。それだけですね」と観客を虜にするような大会ベストバウトを演じてみせると心に誓う。
最後に「この間の試合からずっと言ってるんですけど、今年は自分の年にする。ここからどんどん勝って、活躍してK-1の中心になっていくので楽しみにしててください」と野望を語った。