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レポート

【UFC】アデサニヤがロメロを完封防衛、中国のウェイリーがイェンジェイチックと歴史に残る激闘の末、王座防衛=『UFC248』

2020/03/08 13:03

【セミメインイベント】

▼UFC世界女子ストロー級タイトルマッチ 5分5R
○ジャン・ウェイリー(115lbs/52.16kg)
[判定2-1]※47-48、48-47、48-47

×ヨアナ・イェンジェイチック(115lbs/52.16kg)
※ウェイリーが初防衛に成功

2019年8月に地元・中国でジェシカ・アンドラージ(ブラジル)を1R 42秒 KOで下し戴冠したウェイリーは、アジア初のUFC世界王者。今回がラスベガス初登場となる。

しかし、コロナウィルス感染予防のため中国人の入国制限がある米国入りするために、ウェイリーは2月上旬に中国からタイに渡り、さらにタイでの状況悪化もあり、アブダビへと移動、今大会のラスベガス入りが可能となった。体重調整が伴うなかでの飛行機移動に加え、母国以外での初防衛戦。ウェイリーにとっては、普段よりプレッシャーがかかる状況だ。

対するイェンジェイチックは、元UFC世界女子ストロー級王者。2018年12月にフライ級に上げ、ヴァレンティーナ・シェフチェンコと対戦も判定負けで二階級制覇ならず。しかし、階級上でもシェフチェンコと5R渡り合ったことで、評価を下げることなく2019年10月にストロー級に戻し、同級7位のミシェル・ウォーターソンに判定勝ちで復活を遂げている。普段は米国アメリカントップチームでも練習を行っており、コーナーにはマイク・ブラウンの姿が見える。

1R、ともにオーソドックス構え。右ストレートを当てるイェンジェイチック。中に入りワンツー&ロー。ウェイリーの前進をさばく。ウェイリーは左インロー。イェンジェイチックのローに右を合わせる。左ロー、左サイドキックも繰り出すウェイリー。イェンジェイチックも右ストレートで踏み込む。イェンジェイチックの蹴りにパンチを狙うウェイリー。イェンジェイチックの右の前蹴りに右ストレートを当てる。イェンジェイチックの右の蹴りを掴んで右を振るウェイリー。イェンジェイチックも右ロー。ホーン後に右ストレートを入れたイェンジェイチックにウェイリーが不満の表情を浮かべる。

2R、ワンツーから組み付くウェイリー。しかし差し替えるイェンジェイチックが左で差して内股狙い。しかし押し込むウェイリーは右ヒジを打ち込む。イェンジェイチックのローに右ストレートをヒットさせるウェイリー! 一瞬動きが止まるイェンジェイチックをスタンドでアームロック狙いのウェイリーも頭を上げるイェンジェイチックは右前蹴り、さらに左ジャブを突く。左ハイを当てるイェンジェイチック! 詰めるがイェンジェイチックの頭がウェイリーに当たる。ウェイリーも脇差しボディロックからテイクダウンを奪う。

3R、サウスポー構えに変えるイェンジェイチックは手数で勝る。左ジャブ、蹴りで圧力かけウェイリーを金網に詰める。大きな右を振って組みに行くウェイリーは右差してテイクダウンを狙うが、左で小手に巻いて内股狙うイェンジェイチック。ウェイリーはテイクダウン出来ず。イェンジェイチックの左の蹴りを掴んでテイクダウンを狙うウェイリー。しかし片足立ちでイェンジェイチックもテイクダウンを切る。

4R、サウスポー構えのイェンジェイチック。ウェイリーはワンツーで前に出るが、イェンジェイチックは少し遠目の自分の距離で戦う。イェンジェイチックの右に左の返しを当てるウェイリー! しかし近距離ではイェンジェイチックが首相撲ヒザ! イェンジェイチックの右ローにウェイリーの左腿が赤く腫れる。左ジャブ、右ローを突くイェンジェイチック。打ち合いの中ではウェイリーが右ストレートでイェンジェイチックのアゴを上げさせるが連打にならず。イェンジェイチックは右ヒジで飛び込む。さらに金網に詰めて左の蹴り、右は遠いウェイリーは左の返しのフックを狙う。

5R、互いにラウンドの取り合いのなか勝負のラウンドに。オーソドックス構えになるイェンジェイチックは右ローを突く。ワンツー&左ミドルまで繋ぐイェンジェイチックは右ストレートも! イェンジェイチックのワンツーに左を当てるウェイリー! しかし距離を作り直すイェンジェイチックはサウスポー構えになり左フック! しかしウェイリーもイェンジェイチックのローに右ストレート! 鼻血を流すイェンジェイチックは首相撲からヒザ。ウェイリーのパンチを額で受けるイェンジェイチックはおでこを大きく腫らす。互いにローの打ち合い。ともに顔腫らす両者、厳しい最終ラウンドも両者ともに手を休めず。ウェイリーのバックフィストをかわしたイェンジェイチックは右のバックフィストをヒット。女子MMA史上最高の戦いも残り10秒に、場内はスタンディングオベーションを送る。

データでは、頭部への打撃はウェイリー、ボディへの打撃&蹴りはイェンジェイチックが上回っている。紛れもない激闘の判定は割れて、47-48、48-47、48-47の2-1でウェイリーが勝利。海外で初防衛に成功。UFC5連勝を決めた。

歓喜の表情を浮かべたウェイリーは、インタービュアーのジョー・ローガンから「MMAの歴史のなかでも素晴らしい試合でした」と感想を聞かれ、感極まった通訳氏が涙。

ウェイリーは、「皆さんありがとう。コロナウイルスの影響で長い道のりになってしまいましたが、チーム一丸となって戦いました。今、私の国はハードな状況ですが、コロナウィルスにも一丸となって戦っていきます」とコメント。

ラウンドの途中や判定で勝てると考えたかと問われると、ウェイリーの言葉に通訳氏は涙で言葉にならず、ローガンから「大丈夫、一緒にやりましょう」と励まされると、「すみません、私自身が胸いっぱいで」と言い、ウェイリーの次の言葉、「勝利の確信はありませんでした。勝てて良かったです。トラッシュトークなんていりません。ここにいる人たちは、みんなマーシャルアーティスト、アーティストです。互いにリスペクトを持って戦っています。子供たちの手本になれるようないい試合が、私たち2人のチャンピオンで出来たと思います」を通訳した。

するとウェイリーは、自らマイクを取り、英語で「私はあまり英語は喋れませんが、みんなありがとう、ファンのみんな、家族、チームにも感謝をしたいです」と挨拶。場内から大きな拍手を受けた。

また敗者のイェンジェイチックもローガンのインタビューに「見て、私のおでこ、こんなに腫れちゃって(苦笑)。彼女はどれだけ強いかを表しています。パンチをたくさん受けました。でも大丈夫、チャンピオンおめでとう。サプライズはなかった。彼女が最高のパフォーマンスをすることは分かっていた。幸せな気分です。私も9週間いいキャンプをしてきました。ATTのみんなありがとう。今日は姉妹、父も来ています。私は自分自身がチャンピオンだと信じています」と語り、ローガンも「そうですね。あなたも真のチャンピオンです」と答えた。

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