vs日本人無敗のピケオー攻略に自信を見せる久保
2020年3月22日(日)さいたまスーパーアリーナ・メインアリーナ『K-1 WORLD GP 2020 JAPAN ~K'FESTA.3~』で、ジョーダン・ピケオー(オランダ)の挑戦を受けて3度目の防衛戦に臨むK-1 WORLD GPウェルター級王者・久保優太(サラバニアファミリー=今回から所属名が変更)が、2月21日(金)都内にて公開練習を行った。
2019年3月以来の復帰戦となる久保。公開練習も約1年ぶりとなるため段取りを忘れてしまったのか、挙動不審が目立った。ミット打ちの前にシャドーで身体を温めてはと言われると「いや、いきなりでも大丈夫です」と言いながら、いざシャドーを始めると「寒いんで暖房つけてもいいですか?」と支離滅裂。それでもキレのあるシャドーを見せ、パンチとヒザ蹴りのみのミット打ちでもスピードのあるワンツー、左ボディを披露した。
「練習の状況は、プライベートでいろいろありすぎてやっと格闘技モードになって来たなっていう感じです」と、波乱万丈な人生を送っている久保ならではの言葉からインタビューは始まる。
今回の公開練習は古巣であるFighting Kairosで行われ、「2017年6月の山際和希選手との試合くらいからお世話になっています。2017年にトーナメントで優勝できた時も。2015年から2年くらいは自分で練習していて、怒ってくれる人がいないのでほぼ自主練でこのままではダメだなって思って。トーナメントで優勝できなかったら辞めるしかないなと思い、唯一怒ってくれる師匠(矢口トレーナー)のところに行って一から鍛えなおしてくださいとお願いしました。
僕は試合が決まらないと練習しなくて、矢口さんに『いつジム来るんだ』って言われても、モチベーションが上がらなくって…といつもそういう話をしています。でもその期間はYouTubeを見て研究はしているんです。いざ動くとなると格闘技はキツい、ツラい。ここへ来ると緊張して胃が痛くなります。毎日そうなってしまうので、今のところ結果が出せているのはそういうことだと思いますが、ここへ来させてもらうのもピケオーと決まってから。会見の後、1日休んでその次の日からバチバチやっています。それくらい真剣ってことですよ、今回は」と、今回のピケオー戦に懸ける気持ちは並々ならぬものがあるようだ。
するとここで久保は、記者に紛れて愛妻サラがいることに気づく。「本来来るはずない人が来ています」と驚く久保だが、サラは「私も質問があります」と挙手し、「今回は誰と戦うんですか?」「その人は日本にいるんですか?」と質問。元々は「久保がピケオーから逃げているんじゃないか」との書き込みを見たサラが「それはダサい」と言ったことから久保はピケオーと戦う決心がついたにも拘わらず、サラが全く試合のことを把握していなかったことを知って久保はガックリ。しかも、サラは飽きたのか、久保のインタビューの途中で帰ってしまった。
久保は「毎日きついですよ。毎日朝起きて今日も練習か、昨日はキツかったな、今日はサボりたいなと思っています。でも負けるのは嫌なので。前回は1カ月前から練習して、リハビリ・ウォーミングアップに1~2週間。追い込みは2週間くらいだった。今回は割と早い段階でスタートできています。ピケオー君には油断してもらいたいから内緒にしようと思っています。あ、言っちゃった」とぼやき続ける。
「僕は自分に甘いタイプなので、横には自分に甘い代表(サラ)がいるので僕もその気になってしまう。楽しく生きようって気持ちになっちゃうんです。それでも真剣に頑張っています。疲れすぎて毎晩寝れないほどです。体が痛くて。寝ないといけないと思うと余計に眠れなくて、次の日は寝不足で起きる感じです。こんなに練習したのは久しぶりですね。早くやめたいです」と、早く試合を終えて解放されたいという。
記者会見では「動画を見るのが練習」と話していた久保。そのことについて聞くと「相手の動画は試合が決まってからしか見ないので、ピケオーの動画よりもどちらかと言えば名前も知らないようなタイ人の試合とかを見ています。関連動画でどんどん再生されていくので、いつまで経っても見終わらない。頭でっかちの知識だけ付いた能書き野郎になってしまいました」とのことで「今は未完成だけど完成形に近づけるように、YouTubeを見て研究してきた技を出せるようにしごいてもらいたい」と、これから覚えた技を実際に使えるようにしていくとのこと。
同じく会見では「ピケオーは僕のスタイルが苦手だと思う」とのコメントも出たが、「なんとなくの勘です。苦手そうだなって」と笑う久保。それでも根拠はある。「ピケオーと戦った相手はカウンターを打てる選手が今までいなかった。キックボクサーでパンチのカウンターがしっかり打てる選手はあまりいない。ピケオーはそういうタイプとはあまり対戦していないと思うんですよね」と、カウンターがカギを握ると明かした。
さらに会見で「ピケオーを日本人が攻略できる方法を見せたいので、その攻略法を楽しみにしていただければ」と言っていた久保だが、「攻略法はまだまだこれからです。研究している段階です。その前に、自分の身体のレベルが追いつけない」と、まだできていないと堂々と言い放つ。しかし、「最高のパフォーマンスを自分ができれば敵はいないと思っている」と、完成した自分には相当な自信があるようだ。
「イメージでは毎回1RのKOで勝っています。城戸選手とやった時もメルシック・バダザリアンの時も1R、30秒くらいでKOしてシャワーを浴びているシーンまで思い浮かべていました。でも、現実はそんなに甘くないということを株で思い知りましたね。いいことばかりじゃないな、と。人生は山あり谷あり。谷に行ってもいいんです。きれいに上がって下がっても右肩上がりになっていればいい。今回もひとつの試練ですが、勝って乗り越えられればハッピーです」と、一時は“戦う投資家”として株で大儲けするも、失敗して4,000万円の借金を負ったことで気を引き締めることを学んだという。
「株も盛り返していて、いま波に乗っています。そういう時こそ脇を締めないといけない。そこは調子に乗っちゃいけない。4000万円の借金が2700万円くらいに順調に減っています。いい傾向です」と、自分はまた右肩上がりになると信じている。
そして「これからの僕を楽しみにしておいて欲しい。応援してくれる皆さんの期待を裏切らないことがこれからおきますよ。楽しみにしていてください。今日はまだ言えませんが、これから徐々に明らかになっていきます」と、謎の予告をしてニヤリと笑った。