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インタビュー

【RIZIN】マネル・ケイプが朝倉海に勝利した理由「敗戦から学び、受け入れることが出来た」

2020/01/01 16:01
【RIZIN】マネル・ケイプが朝倉海に勝利した理由「敗戦から学び、受け入れることが出来た」

(C)GONG KAKUTOGIi/RIZIN FF

2019年12月31日(火)さいたまスーパーアリーナにて『RIZIN.20』が開催された。

第15試合のメインイベントでは、RIZINバンタム級(61kg)王座決定戦(5分3R・ヒジ有り)として、朝倉海(トライフォース赤坂)とマネル・ケイプ(アンゴラ)が対戦。

2018年5月に両者は対戦し、判定2-1の接戦で海が勝利も、判定に納得がいかないケイプは事あるごとに海との再戦をアピールしてきた。

試合は、レスリングシューズを履いたケイプが1Rから軽快なステップを披露。テイクダウンは海に防がれたものの、接近戦で海の打撃をかわしたケイプが内側から右ストレートでダウンを奪うと、立とうとする海を倒してパウンドラッシュ。レフェリーを呼び込んだ。

TKO勝利にケイプはリングを駆け降りると、リングサイドの堀口恭司にハグして、キス。リングに戻ると、「ミナサン、ナンダヨー、オマエ!」と日本語でファンに語りかけると、続けて「なんて幸せなんだろう。絶対にベルトを獲れると思っていました。俺は世界王者だ。皆さんの応援があったから勝つことが出来ました。日本が大好きです。もう心は日本人です。アリガトウゴザイマシタ!」と歓喜の言葉を語った。

そして、試合後の会見では、ベルトをしっかりと抱いて、新王者インタビューに臨んだ。

ケイプは開口一番、「非常にいい気分だよ。夢に見たデジャヴ(既視感)のような感じさ」と戴冠の喜びを語ると、朝倉海戦の動きを一つひとつ振り返ってみせた。

ケイプによれば、入場時・そして試合の序盤から海の動きに自信の揺らぎを感じたという。

「彼は入場を待ってる時から自信無さげで、実際に前に立って彼の目を見た時に、怯えているような感じがしたんだ。試合が始まっても、ポジションが決まらず動き回ったりしていて、ボディランゲージで分かったというか、何かを言おうとしているけどうまく出来ない、そんな感じを受けた。それで、今日は彼は勝つことができないという自信を深めていったし、彼自身もそう思ってたはず」と、試合前からケイプが優位に立っていたという。

試合前には「2Rで倒す」と予告し、その宣言通りのフィニッシュを実現してみせたことについても、「1Rはアップで、2Rを待つというのが『2Rで倒す』という主旨だったんだけど、すでに1Rでコントロール出来ていたんだ。セコンドの声も聞こえていたし、ラウンド間のアドバイスもちゃんと聞けていた。スタンドの打撃をもっと強くして、1Rで仕留めることも考えられたよ」と、予想以上に海をコントロールをしており、早期決着もありえたことを語る。

オーソドックス構えでもサウスポー構えでも戦えるケイプは、序盤はサウスポー構えで入り、1Rの後半からオーソドックスにスイッチ。そして2Rはオーソドックス構えから試合に入った。

「僕はサウスポーの方が得意で今までそうしてきた。前戦(水垣偉弥戦)もサウスポー構え中心だったけど、今回試合が始まって、うまくいっていない感じがしたから、構えを変えたんだ。海が違和感を覚えたのを感じたよ。スイッチが功を奏したと思うよ」

さらに打撃のなかに組みも混ぜ、テイクダウンの動きで深追いしなかったことも、「フェイクテイクダウンをしたのは、海より自分の方がレスリングや柔術が出来ることを見せ、僕がそうしようとしていると見せかけてKOしたかったんだ」と、クレバーな面をのぞかせた。

RIZINルールでは着用が許されているレスリングシューズを今回も履いたのは、レスリング強化や打撃強化よりも、「トレーニングでいろいろ怪我をしていたから。練習中に履いてみたら快適で安心だと思い、試合でもこれがいいと思ったんだ」と説明する。

この日の第7試合では、「RIZINバンタム級王座挑戦者決定戦」が行われ、扇久保博正(パラエストラ松戸)と石渡伸太郎(CAVE)が対戦し、判定2-1のスプリットで扇久保が勝利。2020年の春にケイプが持つ王座に挑戦することが決定している。

初防衛戦の相手について、ケイプは「オオギクボはストリートファイトが得意でアグリー・ファイトだと思う。あの試合じゃ、俺を相手に体力が持たないよ。もし俺に挑戦するなら今までの4倍、5倍練習が必要だ。1Rは持つかもしれないけど、2R以上はきついだろう」とバッサリ。ほかの対戦候補についても「誰であろうが、今の状況──つまり、みんなが自分との対戦を夢見て練習してくる状況──は気分がいいから、これをずっと続けていくことができればと思うだけさ。オオギクボが次の対戦相手だとしたら、自分にとってはイージーファイトだ」と自信のほどを語った。

過去には、練習環境に苦しんだこともある。

「電気もつかないし、練習パートナーも2、3人しかいないアンゴラにいるままでは勝てないと思ってタイに単身移り、AKAタイランドに入った。AKAでは1日3部練習をやってきた。

敗戦から学ぶことがあった。学んだから、ここにいる。もし学ぶことがなかったら今日ここにはいられなかった。すべての戦いは、良いものなんだ。海との初戦で負けて悔しくて態度も良くなかったと思うけど、あの敗戦から学び、受け入れることが出来た。そうでなければここにいられない。

だから、俺のように苦しんで這い上がっていこうとしている人へメッセージを贈りたい。みんな自分を信じて頑張って。自分は学校に不向きであまり行くこともなかったけど、学校の先生とか、そういった人たちにも否定されてきたんだ。『ミリオネア、ビリオネアになって、お前らを雇ってやるよ』と言っても、『ハードに練習して必ずチャンピオンになる』と言っても、誰も信じてくれなかった。“クレイジーな夢だ”と。でも今、俺はここにこうしてベルトを巻いている。みんなを見返すことができて嬉しいよ」

大会後のカウントダウンでは、女子スーパーアトム級王者から陥落した浜崎朱加を気遣う姿も見られた。

「何も言ってない。負けた時の気持ちはよく分かる。この世界は、負けた者に厳しい世界だから、気にしないでという気持ちを示したかった。決して恩着せがましい意味ではなくね」

また、試合後にはキッズをリング上に上げて戴冠を喜んだが、「コーチで友人のアレックスの子供で、『ナンダヨー、オマエ!』を教えてくれた子なんだ(笑)」と、ケイプの決まり文句が、子供から教わった言葉だったことを明かした。

戴冠の喜びをアンゴラに残るファミリーに伝えたいという。

「小さい頃から語ってきた夢をようやく実現したこと、ベルトを獲ったことを何よりもまず伝えたい。母国で自分を誇りに思ってくれてると思う」とヒザの上のベルトに手を寄せた。

今後は、「RIZINで、そして日本でいちばん圧倒的なファイターになりたい。それに日本でビジネスも始めたいんだ。たとえば映画スターになるとかね」と、日本でのさらなる成功を目標としたケイプ。“アンゴラの野生爆弾”は、その信じる力と弛まぬ努力で“世界王者”の称号を手に入れた。

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