2019年12月29日(日)昼12時からさいたまスーパーアリーナにて、『Bellator JAPAN:Fedor vs. Rampage』が開催された。
▼第14試合 71kg契約 RIZIN MMAルール 5分3R ※ヒジあり○矢地祐介(KRAZY BEE)=70.85kg[3R 4分33秒 TKO]×上迫博仁(チームクラウド/和術慧舟會HEARTS)=70.95kg
29日の最終試合となる第14試合で対戦する矢地祐介(KRAZY BEE)と上迫博仁(チームクラウド/和術慧舟會HEARTS)。
矢地は上迫について「得意のカーフキックとかサッカーボールキックとか、一本(KO)を決められる技を持っていて凄いなって思ういい選手です」と評価する。その上で「上迫選手も打撃主体で俺もストライカーだからとても噛み合うと思いますね。年末らしく面白い、動きのある試合になるんじゃないかな」と、好敵手と認めた。
2016年から年3~4試合ペースでやってきた矢地だが、昨年大晦日でのジョニー・ケース戦でTKO負けを喫し、今年は今回が2戦目。復帰戦となった7月の朝倉未来戦でも敗れ3連敗を喫してしまった。
あれから5カ月、矢地はKRAZY BEEでの練習に加え、ロータス世田谷などへの出稽古で青木真也や北岡悟らと練習し、「自分を知ることが大きなテーマだった。自分がどんな選手なのか、自分は何が得意なのか。今まではボヤっとして分かっていなかったので。自分の強みって何なんだろうっていうのを中心に自分を知る期間でした」という。
対する上迫は、「展開としては、僕は攻めたい。守りには入りたくない」と、自分勝手でわがままな試合をしたいという。「殴って勝ちたい」と言う上迫に打撃戦を予想しているのかと聞くと、「いや、そんなこともないかなって。展開的にあっちが組んできそうな気もする」と答える。しかし、「僕は一方的に叩きたいという気持ちがあります」と自分はあくまでも打撃で行くと予告した。
1R、サウスポー構えの矢地は左ミドル。オーソドックス構えの上迫。詰めるのは上迫。右に回り右フック、さらにワンツーで先に詰める。ワンツーはぎりぎりかわす矢地。押し返す矢地もワンツーへ。上迫は右のカーキックを狙う。追う上迫に右に回る矢地。
左ローで牽制する矢地に右ストレートを強振する上迫。矢地の左ハイ! 首肩口で受ける上迫。右ジャブを伸ばす矢地は左インロー。さらに左ストレートも浅井がヒット。詰める上迫が金網で右を差すが、離れる。
上迫の入りに左ミドルを当てる矢地! 喧嘩四つで前手を触り合う両者。矢地の右ジャブで上迫が左目尻から出血する。ゴング。ケージ外から田中路教が矢地にアドバイスする。
2R、開始前に上迫にドクターチェック。スタート。矢地も額から出血。右ローは矢地。詰める上迫に右が大きくなる矢地だが組みは突き放す。右へ回りながら右を引っ掛ける矢地。上迫は右ストレートをヒット! しかし矢地も左を返す。右ストレートを突きながら押し込む上迫だが離れる。
互いにフェイントのかけあいから右ストレートの上迫に左ミドルで迎撃する矢地。右ジャブを伸ばす矢地。上迫の右に矢地は後退。さらにワンツーで金網まで詰める上迫。さらに右フックのダブル! 矢地はダウン!
すぐにサッカーキックに行く上迫。下の矢地にハーフからパウンド狙う。しかし矢地も腕と首ををつかみ凌ぐ。そこに上迫は上腕を喉元へ。フルガードに戻す矢地。上迫はインサイドにステイする。すぐに立つ矢地。
3R、グローブタッチ後最終ラウンドへ。前手の突き合いから、左ハイをガード上から当てる矢地。しかし詰める上迫。そこに首相撲ヒザは矢地。右インローは上迫。さらに右インローをヒット。矢地は左ミドルもそこを詰める上迫。あえて離れて呼び込む上迫。シングルレッグから詰める上迫は離れる。
右をひっかけにいく矢地。上迫はワンツーで詰めて追う。左から右ストレートに下がる矢地。上迫は右ストレート! 矢地は左ストレートも上迫はブロック。右を上に伸ばしてフェイントし、詰める上迫。金網まで押し込み右で差す。四つに組むも外す矢地。離れ際に右を振る矢地。詰める上迫に応戦する矢地は下がりながらも左から右フック! 上迫がダウン! そこに矢地はすぐにサッカーキック! レフェリーが間に入った。
逆転勝利を決めた矢地は退場する上迫を追いかけて言葉をかわしハグ。ケージに戻るとセコンドの田村一聖、朴光哲、そして田中路教とハグ。
ケージサイドで交際中の川口春奈が顔を押さえて涙するなか、矢地は、「去年から負けがこんで、すごい苦しい時期が続いたんですけど、家族や出稽古先、スポンサーの皆さんが懲りずに応援してくれて感謝します。ほんとうに嬉しいです。……フリートークが苦手なんで誰かいてほしいです(笑)。ありがとうございます!」と歓喜の言葉で、29日の最終試合を締めた。
▼第13試合 49.0kg契約 RIZIN 女子MMAルール 5分3R ※ヒジあり○浅倉カンナ(パラエストラ松戸)=48.65kg[3R 3分33秒 キムラロック]×ジェイミー・ヒンショー(アメリカ/Fit NHBG)=48.45kg 2017年に開催されたRIZIN女子スーパーアトム級トーナメントの決勝戦でRENAを破り優勝、2018年7月の再戦でも返り討ちにしてRIZIN女子部のエースとなった浅倉だが、同年12月31日のRIZIN女子スーパーアトム級タイトルマッチで浜崎朱加に敗れ、2019年6月には山本美憂にも敗れてRIZIN二連敗。しかし、8月にアリーシャ・ザペテラとの接戦を制し、勝利を収めている。 今回の対戦相手ヒンショーはアメリカの老舗MMA団体KOTC(キング・オブ・ザ・ケイジ)のアトム級王者。2015年にアマチュアデビューし、2015年にプロデビュー。2017年11月には浅倉に判定負けしたメリッサ・カラジャニスにチョークで一本勝ち。そのチョークでは3度の一本勝ちをマーク。現在3連勝と波に乗っている。前戦は2018年7月。KOTCでビー・ニューイェンにリアネイキドチョークで勝利している。ニューイェンは2019年11月にONE SUPER SERIESでムエタイとキックボクシングの世界女子アトム級王者スタンプ・フェアテックス(タイ)とMMAで対戦し、激闘の末、判定まで持ち込んでおり、そのニューイェンに一本勝ちしているヒンショーの実力がうかがいしれる。
1R、サウスポー構えの浅倉。オーソドックス構えのヒンショー。右ロー、右の後ろの蹴りで2度、関節を狙うヒンショー。遠間の浅倉。ヒンショーの右ミドルには左ストレートを狙う。スイッチも織り交ぜながら、基本はサウスポー構えの浅倉。
右を振りながらそのまま前足へ低いシングルレッグでテイクダウン奪う浅倉。しかしすぐに腕十字を狙うヒンショー。すぐに腕を抜く浅倉に下から顔面に蹴り上げを当てるヒンショー! しかし浅倉はその足をさばきレッグドラッグからマウントでパスガードする。
バックマウントを奪う浅倉はパウンドからリアネイキドチョーク狙い。右腕で肩を抱き絞めに行くがヒンショーは外す。鼠径部に両足を巻く浅倉。横に回るヒンショーについていく浅倉は背後からヒジを打ち、左右の腕を変えてチョークを狙う。
2R、細かいステップから左ミドルを当てる浅倉。右から左のワンツーで牽制。さらに左ローを当てる。右ボディストレートを放つヒンショー。ワンツーもヒンショーは遠間に。浅倉のダブルレッグは切るヒンショー。浅倉は右の前蹴り、さらにワンツーからヒンショーを触りに行き、脇を潜るが深追いはせず。
左ミドルをボディに当てる浅倉! さらにアッパーも狙う。左足に低いシングルレッグからアンクルピックし、金網まで押し込みダブルレッグテイクダウンは浅倉! ハーフからギロチンを狙うヒンショーに首を抜く浅倉はハーフからアメリカーナへ! それをヒンショーが腕伸ばすと浅倉はうつぶせから腕十字に移行しひっくり返す! 腕が伸びるがヒンショーは大丈夫の表示。浅倉は脇下に挟むが極まらず。
3R、序盤にダブルレッグに入る浅倉。ケージまでドライブしテイクダウン! 左手でオーバーフックするヒンショー。インサイドからパウンドする浅倉に下から蹴り上げを狙い、オモプラッタで腕を巻き込むヒンショー。しかし腕を抜いて上四方からキムラロックを狙う浅倉。ヒンショーは自身の内腿をつかんで防御。浅倉はキムラにこだわりクラッチを外すと、頭をまたいで再度キムラへ。いったんヒンショーはタップするがレフェリーが気づかず。再度、キムラを極めると、再びヒンショーもタップした。
試合後、浅倉はケージのなかで、「応援ありがとうとうございます。今年最後の試合、一本で勝てて嬉しいです。煽りVではちょっと一人な感じが出てましたが、こうしてみんなの前で勝ててほんとうに……(言葉に詰まる)幸せ者だな、と思います。来年も応援、よろしくお願いします」と最後は笑顔で挨拶した。
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▼第13試合 RIZINストロー級(53kg)RIZIN MMAルール 5分3R ※ヒジ有り×越智晴雄(CAVE)=52.90kg[判定0-3]○ジャレッド・ブルックス(米国)=52.90kg 越智とブルックスは8月の『RIZIN.18』で対戦。開始から10秒、ファーストコンタクトでの偶発的なバッティングにより越智が右目上、額から出血。傷は深く、ドクターチェックの末、続行不可能となりノーコンテストとなった。今回はその決着戦。 大学で空手を経験し、その後ボクシング部に入部すると同時に総合格闘技も始めた越智は、2017年9月にDEEPストロー級王者カンサトーをギロチンチョークで破り初戴冠。第二代同級王者となった。2018年4月に柴田“MONKEY”有哉も退けると、9月にRIZIN初参戦。砂辺光久に左フックからサッカーボールキックで衝撃的なKO勝利を収めている。越智は前戦でブルックスを“触った”感触を「組み手がメチァクチャ強かった。米国でイジーレスリングで練習をやれてよかった」と語っている。 対するブルックスはレスリングがバックボーンでMMA14勝2敗。 2016年2月の「WSOF-GC 2」 で猿丸ジュンジを2R KOに下し、衝撃日本デビュー。その後も順調に勝ち星を重ね、同年10月にはPANCRASEにも参戦。潤鎮魂歌から右フックでダウン奪いパウンドアウトし、12戦無敗をマークし、2017年7月からUFCに参戦。本来のストロー級ではなくフライ級で戦い2勝2敗。2018年9月の前戦では、ロバート・サンチェスにスプリット判定で競り勝っている。ニックネームである“ザ・モンキーゴッド”はクモザルのような姿と、ヒンドゥー教でクモザルは「神様」を意味することから付けられた。
1R、ともにオーソドックス構え。いきなり中央に詰める両者。ダブルレッグから持ち上げ肩口に乗せて前方にテイクダウンするブルックス! すぐに上体を立てる越智。両足を束ねるブルックス。腰を殺して押し込むと越智の立ち上がり際にバックに回る。
立つ越智の背後に飛び乗るブルックス。ボディトライアングルで組むブルックス。背後からの右手を脇下でつかむ越智。ブルックスは左で背後から拳を振る。ブルックスを背負ったまま首を防御する越智。左腕のチョークのクラッチは「大丈夫」のセコンドの声に、背後のブルックスにパンチも入れる越智。ブルックスは背後から右腕をネルソンに狙う。越智は時間を見て前転に巻き込みで倒れて外そうとするが、ついていくブルックス。ゴング。
2R、詰める越智に回るブルックス。遠間から跳びヒザでシングルレッグ、再びダブルレッグに入るテイクダウン。首を抱えつつ、両足を掴まれ束ねられると越智の左足のヒザが伸ばされる。
越智の下の足をアンクルピックするブルックス。越智は立ち上がるとブルックスはダブルレッグに移行。金網背に受け身になる越智。1R同様にその立ち際に足をかけてバックを狙うブルックス。ボディトライアングルを狙うブルックスに片腕を入れて正対を狙う越智だが、そこに両脇を差した形のまま落ちずにボディトライアングルを組むブルックス。片ヒザを着く越智はブルックスを背負う。ブルックスは背後から右ヒジを側頭部に当てる。
3R、詰める越智。右ストレートで飛び込み、跳びヒザも狙う。さらに詰める越智はクリンチボクシングも。さらにワンツーへ。右に回って避けるブルックスはスーパーマンパンチも。しかしすぐに追う越智に右回りのブルックス。越智のワンツーの右はまだ遠い。なお追う越智に後ろ廻し蹴りを放つブルックス。かわす越智が前がかりになったところにブルックスはダブルレッグテイクダウン!
すぐに立ちに行く越智にバックスローはブルックス! 金網に押し込んでくるブルックスに越智はノーアームギロチンへ! しかし首を抜いたブルックス。越智は立ち上がりに行くとすぐにブルックスはシングルレッグへ。足を引き出してテイクダウン奪うと、ブルックスがギロチンで後方に回したところでゴング。3Rにわたりドミネートしたブルックスが判定勝利した。
▼第11試合 RIZIN キックルール 68.0kg契約 3分3R○平本 蓮(K-RIVER・AXジム)=67.95kg[1R 2分45秒 KO]×芦田崇宏(BRAVE)=68.00 K-1甲子園2014王者・平本が電撃参戦。元DEEPフェザー級王者・芦田とRIZIN Kickboxingルール68.0kg契約3分3Rで対戦する。 平本は小学生でキックボクシングを始め、ジュニアキックで活躍。ジュニア時代に那須川天心と対戦して勝利したこともある。2014年には高校1年生でK-1甲子園優勝、2015年1月にK-1でプロデビュー。2017年2月にはK-1 WORLD GP 初代ライト級王座決定トーナメントに出場し、決勝でウェイ・ルイに敗れるも準優勝。2018年3月にはゲーオ・ウィラサクレックと対戦し、日本人初のKO勝ちを奪った。“新生K-1の申し子”と呼ばれるようになり、その将来が期待されたが、同年8月のKrushでエキシビションマッチを行った後はリングから姿を消していた。
そして11月1日に自身のSNSにて「K-1ジムとの契約が満了しました。今日からフリーになったので新しく契約ができるようになったので、どこの団体でやっていくなどは本当にまだ決まっていませんが、逆に言うと今日から契約ができるので早いうちに試合を発表できると思います」と報告していた。 芦田は2010年10月にDEEPでプロデビューし、ボクシングテクニックを武器にMMAで活躍。2017年9月にDJ.taikiに勝利し、12月には上迫博仁を破りDEEPフェザー級王座に就いた。同王座は初防衛戦で失ったが、今年10月のDEEPでは長倉立尚を破って試合後のマイクでRIZIN参戦をアピール。かつて師匠である宮田和幸も上がっていたRIZINにキックルールながらたどり着いた。
1R、サウスポー構えの芦田に、どっしりオーソドックスに構える平本は左フック、右テンカオのヒザを腹に突く。
左に頭を下げる芦田にさらに右ハイを決める平本! ガード上から効かされた芦田が後退。平本の左右の高速ラッシュで尻餅する芦田。立つ芦田を追う平本はさらにラッシュから右でダウンを奪う! 立つ芦田だが顔面から出血しドクターチェック。再開。圧力をかけてく平本に左ハイは芦田も、その打ち終わりに右ストレートを決める平本が再びダウンを奪う。
右ハイから右ヒザ、さらに打ち下ろしの右ストレートで芦田がダウン。3ノックダウンで平本が勝利を決め、ケージに上がってガッツポーズをした。
試合後、ケージのなかで平本は、「K-1から来ました平本蓮です。この試合を受けてくれた芦田選手、ありがとうございます。僕の土俵に上がって来てくれた勇気に拍手をお願いします」とキックルールに挑戦した芦田を称えると、続けて、「お父さん、お母さんありがとう。いろいろあってこのまま一生……試合できないんじゃないかと思ったときがあって、そんなときに支えてくれた周囲の皆さんに感謝します」と言葉に詰まりながら語った。最後は「これからRIZINの看板選手になりますのでよろしくお願いします!」と挨拶した平本。RIZINキック部門での海人戦、Bellatorキック勢との対戦、さらにMMA挑戦を目指す今後に注目だ。
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▼第10試合 RIZIN MMAルール 58kg契約 5分3R×中村優作(チーム・アルファメール・ジャパン)=57.80kg[判定0-3]○神龍 誠(フリー)=57.90kg 日本拳法をバックボーンに持つ中村はMMA16勝6敗1分。2018年5月の「RIZIN.10」で那須川天心とキックルールで対戦(2R KO負け)後、2018年9月「RIZIN.13」ではマネル。ケイプにも3Rリアネイキドチョークで一本負けを喫したが、2019年3月の修斗でロドニー・モンダラに2R TKO勝利、同年6月の「RIZIN.16」では実力者トップノイ・タイガームエタイに判定勝利を収め、2019年は2連勝と波に乗っている。
対する神龍はMMA16勝7敗。アマチュアレスリングをベースに15歳でプロデビュー。2018年4月に7戦無敗で和田竜光が持つDEEPフライ級のベルトに挑戦も判定負け。しかし、その後勝利を重ね、2019年6月のDEEPフライ級暫定王者決定戦で、柴田“MONKEY”有哉にフルマークの判定勝利を収め、3連勝で暫定王者に就いている。
1R、サウスポー構えの神龍はレスリングシューズを着用。オーソドックス構えの中村は裸足。跳びヒザは中村! そこにテイクダウンを合わせる神龍はダブルレッグテイクダウン。しかし金網背に立つ中村。その立ち際にシューズを履いた足で中村の足を踏む神龍。ダブルレッグから反対側にシングルに移行しテイクダウンを奪う。
蹴り上げで立つ中村、すぐに追う神龍。そこに中村は短い右を狙う。さらに組みからバックを狙う中村。しかし神龍は、脇下から中村の踵をピックアップしてテイクダウン! 中村の立ち上がりにギロチンを合わせてクローズドに入れて跳びつく神龍! 後方にそらして絞めるが、首を抜いた中村は細かいパウンドを入れる。中村は鼻血。
2R、遠間から前後にステップする中村。神龍の飛び込みに右アッパーを狙うが、頭から突っ込む神龍がバッティング。中断後再開。バックフィストを打つ神龍。神龍の低い踏み込んだ右ローに中村はボディブロー狙うもその拳がローブローに。神龍は崩れて悶絶。
再開。右の前蹴りで飛び込む中村。しかしアンクルピックでテイクダウンを狙う神龍。そこに中村は切り返しを狙う。マツトに手を着いて側転キックを狙う神龍。さらにヒザ着きながら素早いダブルレッグに入る神龍。受ける中村はしっかり突き放す。
中村の蹴りの打ち終わりにダブルレッグテイクダウンは神龍。それを差し上げ左で小手に巻く中村。しかし神龍もアンクルピックでテイクダウン。尻で座る中村を持ち上げて中央に頭を向けさせる神龍。体を離し、下の中村に蹴りを打ち込みゴング。
3R、ワンツーから飛びヒザを狙う中村。サウスポー構えから左ハイの神龍は空振り。神龍の右と中村の左腕が交錯。低いシングルレッグ狙いは神龍。切って体を入れ替える中村にそこから跳びついてギロチンチョークを狙う神龍。落ち着いて首を抜く中村。しかし、上を取るのは神龍。肩固めもならいつつインサイドから細かいパウンド。マット中央で背中をつかされた中村は左腕でギロチンもすぐに頭を抜いた神龍が細かいパウンドで判定へ。
熱戦の判定は3-0、最後までアグレッシブに攻め続けた神龍が勝利した。
▼第9試合 女子 49級契約 RIZIN MMAルール 5分3R×アンディ・ウィン(米国)=49.0kg[判定1-2]○あい(KRAZY BEE)=49.00kg「格闘代理戦争」の女子トーナメントを経て、昨年大晦日の川村虹花戦でプロデビューしたあい。8月の前戦ではBellator参戦経験を持つタバサ・ワトキンズを相手にグラウンド&パウンドで覚醒した姿を見せている。今回の相手は2016年12月と2018年12月に山本美憂と対戦し1勝1敗のウィン。RIZINデビュー戦となった2016年大晦日では、山本美憂を下からの腕十字で仕留めて初陣を白星で飾る。打倒RENAと強い気持ちで臨んだ17年10月の女子スーパーアトム級トーナメント1回戦でRENAの打撃の前に1R TKOで撃沈。山本美憂との再戦でも敗れ、2019年1月のX-1でも1R KO負け、中国での非公式戦でも判定負けと厳しい試合が続く中、復活なるか。
サークルケージでのRIZINルールでの試合。
1R、サウスポー構えのあいに、オーソドックス構えのウィンが左ジャブで圧力をかける。あいは前足にシングルレッグに入るが切るウィンに金網まで押し込み腰に組みを変えてからさらにシングルレッグを引き出して尻餅を着かせるが、ヒザで立つウィンにバック回るあい。しかし、立ち上がるウィンは小手に巻き正対。なおも金網に押し込むあいだが、スタミナはどうか。首相撲ヒザで突き放すウィン。
右フックで飛び込むあい! そのまま再び組みに。ウィンはヒザ蹴りを狙うが、右で差すあい。しかし頭が下がるとウィンの右ヒザが飛ぶ。その右足をとらえてダブルレッグでテイクダウンはあい! 三角を狙うウィンに身体を入れるあいはガードの中に。インサイドから腹に鉄槌を入れるあい。ウィンは手首を掴んで凌ぐ。
2R、あいの左に右を内側から打ち込むウィン。右の前蹴りで牽制するウィン。左を振るが遠い。圧力をかけ始めるウィンは右インロー。跳び蹴りから近づくあいテイクダウン。インサイドから鉄槌を振る。パスガードを狙うあいだが、立ち上がるウィン。再びあいはダブルレッグでテイクダウンする。
3R、右で飛び込むあい。ウィンは右ローへ。テイクダウンを警戒し距離を取るあい。ジャブ、ストレートも腰を入れず離れる。スイッチしながら牽制するウィン。あいは遠間からダブルレッグへ。金網までドライブすると尻下でクラッチ。持ち上げ中央に回してからテイクダウンを奪う。下のウィンは左足で腕を巻いてフットチョークを狙うが、極めさせないあい。ウィンは蹴り上げから立つと、すぐにあいは左右で飛び込み突進! あいを押し込んでゴング。
判定の最初はあいも2人目はウィンを支持。3人目のあいのコールに、あいは顔をくしゃくしゃにして涙を流した。
強いテイクダウンもそこから攻めあぐねたあいは、「ちょっと情けない試合になってしまい来てくれた皆さまには申し訳ないです……(言葉に詰まり)次はもう少し面白い試合をしますので、応援、よろしくお願いします」と涙ながらに語った。
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▼第8試合 77kg契約 RIZIN MMAルール 5分3R ※ヒジあり×住村竜市朗(TEAM ONE)=77.00kg[1R 3分46秒 KO] ※右ストレート○ジョン・タック(グアム)=76.40kg
住村竜市朗は、第9代DEEPウェルター級王者。2017年7月に実力者・長谷川賢に判定勝利。2019年4月のDEEP83では佐藤洋一郎相手に得意の打撃で攻め続けフルマーク判定で初防衛に成功。RIZINでは2018年8月にストラッサー起一に肩固めに一本負けしているが、10月のDEEPでの再起戦で渡辺良知に一本勝ちの進化を遂げている。
住村は「激闘になると思います。タックは気持ちが折れないタフな選手なのでどっちかがブッ倒れる。スイッチもして器用な選手で右が強い。一番気を付けるところは右のパンチ」と警戒する。その一方で階級を上げて戦うジョン・タックは「1発の重みとかフィジカルは違うと思う」とも語っている。
対するタックは五味隆典に一本勝ちしているグアム初のUFCファイター。メルカ・マニブッセンからMMAの手ほどきを受け、地元グアムPXCで経験を積む。2012年のTUF15のイリミネーションファイトに出場すると、その試合では敗れるも、同年11月のマカオ大会ジャン・ティエチュエン戦でUFCデビューを果たした。グアムに本拠地を構える山本美憂・山本アーセンとともに日々トレーニングに励み、「今回は寝技じゃなくて、必ず打撃で勝つ。派手な試合を魅せるよ」と意気込みを語っており、1階級上げて臨むRIZIN初陣でインパクトを残しレギュラー参戦を目論む。
1R、住村のセコンドには青木真也がつく。ともにオーソドックス構え。やはりタックは一回り小さい。近い距離で向き合う両者。右ローは住村。さらに右もタックははじく。左ボディストレートはタック。住村は右ローを前足に当てる。互いに左が交錯。右ローを返すタック。住村は右をタックのガードの上に当てるが、すぐに圧力を強めるとジグザグのステップで詰めて、右。さらに住村の左にカウンターで得意の右ストレート! 住村が後方にダウンし、すぐにレフェリーが試合を止めた。
▼第7試合 RIZIN MMAルール 120.0kg契約 5分3R ※ヒジあり○シビサイ頌真(パラエストラ東京/巌流島)=108.90kg[1R 0分49秒 アキレス腱固め]×セルゲイ・シュメトフ(ロシア/USSR FIGHTERS)=102.85kg
シビサイ頌真は、ラオスと日本のハーフで中学から柔道を始め、高校卒業後、19歳からパラエストラで柔術を学ぶ。190cm超えの恵まれた体格を武器に、2011年にKrushでキックボクシングプロデビュー。12年からHEATに参戦し、DEEP、ZST、GRACHANと様々なリングで戦ってきた。“全身凶器”として知られる伝説の武道家・倉本成春師範から武術を学び、活躍の場を巌流島へと移すと、18年1月にはトーナメント初代王者ブライアン・ドゥウェスをレフェリーストップによる1R 25秒の圧勝劇を披露するなど4連勝を飾った。
MMAルールでは5勝2敗。2018年7月の『RIZIN 11』でモンゴルのボルドプレフ・ウヌルジャルガルと対戦。両者にイエローカードが提示され、スタミナの消耗が激しい荒れ試合のなか、ウヌルジャンガルがポジションを奪い判定勝利。RIZIN黒星デビューとなったシビサイは試合後、「仕事も辞めて、今は格闘技一本で生活する覚悟を決め、日々練習付けの毎日」を経て、10月大会でROAD FCのキム・チャンヒに1Rキムラロックで勝利している。層の薄い日本人ヘビー級にあって頭角を現すことができるか。
セルゲイはMMA9勝6敗。2006年10月にMARSで野地竜太に1R TKO負け後、KSWで同じく極真空手出身で元K-1ファイターのマルチン・ロザルスキ(ポーランド)にも敗れ、3年8カ月ブランクをつくった。2015年1月に突如、MMAに復帰すると同年12月までに5試合を行い5戦連続KO・一本勝ちとフィニッシュを記録した。今回は、2015年12月以来、4年ぶりの実戦復帰となる。キック時代に培った後ろ廻し蹴り、左右のオーバーハンド、さらに下からのアームロックなどを得意とするが、どこまで試合勘を戻せるか。
7月に弟ビタリーがジェイク・ヒューンにカットによるTKO負けを喫すると、敗因はセコンドの自分の責任であると猛省し、長文の反省文をRIZINへ送りつけている。今回は兄である自分が約4年振りに復帰し、弟の為、愛の為に戦うという。
いきなり詰めてきたシュメトフにカウンターのダブルレッグでテイクダウンを奪ったシビサイ。金網に詰めてパウンドの高速ラッシュ! 防戦一方のシュメトフにパウンド、ヒジを落とすシビサイ。足を効かせてきたシュメトフの左足を掴み、ストレートフットロック=アキレス腱固めで勝負を決めた。
秒殺勝利を決めたシビサイは、「勝ててよかったです。日本のヘビー級で、僕が負けたら終わりという気持ちで戦いました。周囲のおかげです。家族、練習仲間、会長、ありがとうございますした」と感謝の言葉を述べた。
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▼第6試合 メインイベント ユニファイドルール ヘビー級(120.2kg) 5分3R○エメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア)=109.08kg[2R 2分44秒 KO]×クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン(米国)=120.0kg
メインイベント(第6試合)でクイントン・“ランペイジ”・ジャクソン(米国)と対戦するエメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア)は、あと3試合で引退する予定。その内の1試合が今回の日本でのラストマッチとなる。
ジャクソンはヒョードルについて「ヒョードルはとてもいい選手だ。本当の意味でのヘビー級(の試合)というのは多分、彼が初めてなのではないかと思っているよ。これまで石井(慧)選手とも対戦したけれど身体は小さかったし、本当に大きいヘビー級ファイターは彼が初めてなので、とても楽しみにしているし素晴らしい試合になるのではないか」と、本格的なヘビー級と戦うのが楽しみなのだという。
2012年のUFC日本大会以来の日本での試合に「PRIDEも無くなって、自分の印象としては日本のMMAは一度死んでしまったようなイメージがあったが、RIZINが素晴らしい仕事をしてここまで戻してきていると思っている。ファイターは家族を支えるために戦っているし、その試合が終われば友情が生まれるし、純粋に試合を見せようと思っているんだ。俺たちの試合は素晴らしい試合になる。また日本のファンの前でヒョードルと戦うことで昔のファンを取り戻したり、新しいファンを呼び起こしたり出来ればいいかなって思っている」と、日本のMMA人気を再び爆発させる手助けがしたいと話している。
PRIDEのテーマ曲で入場したジャクソン。ヒョードルは荘厳な音楽で登場。
中央でヒョードルを見つめるジャクソン。ヒョードルは視線を合わせず。1Rのゴング。ともにオーソドックス構え。近い距離で左アッパーから右を振るヒョードル。ジャクソンはガードを固める。右で飛び込むヒョードル。しかしジャクソンは硬いブロッキング。左から右で飛び込むジャクソンだが、ヒョードルはジャクソンをいなして右ミドル! さらに左右をガードの上に突く。
右フックさらに右のローキックを当てるヒョードル。左から右アッパーを突くヒョードルにジャクソンも大きな左右で押し返す。じりじりと詰めてきたジャクソンに、ヒョードルはいきなりの右ストレート! ガードを固めたジャクソンの内側に入り、ジャクソンが前のめりにダウン! 試合が決した。
さいたまスーパーアリーナで14戦目。さいたまでは無敗のヒョードルは、ケージのなかで「とてもハッピーです。ここでみなさんとともに時間を過ごせて、勝利をみなさんと分かち合えて心から感謝します」と挨拶。
続けた、「今回が日本の皆さんに直に見てもらう最後の試合になりました。長いキャリアをここで過ごしました。ここで皆さんと過ごせたことに感謝します。皆さん、ほんとうにありがとうございます。もう一度、あらためてサポートに感謝します。みなさんに愛を届けます」と大きな“愛”を日本のファンに送り、日本ラストファイトのマットを降りた。
▼第5試合 コ・メイン ユニファイドルール 160ポンド(72.5kg)契約 5分3R○マイケル・チャンドラー(米国/ハードノックス365)=72.89kg秒[1R 2分59秒 KO]×シドニー・アウトロー(米国/ATT)=72.98kg
“ミスターベラトール”マイケル・チャンドラーは、名門ミズーリ大学のレスリング部で主将を務めたオールアメリカンレスラー。
Strikeforce、Bellatorで活躍してきたチャンドラーは、パトリッキー・“ピットブル”・フレイレとの2度の激闘の勝利、さらにエディ・アルバレスに一本勝ちするなど、Bellatorライト級王座に3度輝いている。
試合前の個別インタビューでは、「年齢を重ねてきたのでここ数試合はベテランらしく戦ってきたけど、MMAの伝統が根付いている日本で、さいたまスーパーアリーナというMMAが日本で発展してきた場所で、ファンのために最初から全力で行こうと思っています。(相手は)グラウンドで攻めて来るだろうから、コンビネーションパンチで、早ければ1R後半で試合を決めたい」と早期決着も想定する。
また、「過去何度も対戦相手が変わってきた。サウスポーからオーソドックスに変わったけど問題ありません」と語った。
ベンソン・ヘンダーソンに代わってチャンドラーと対戦するシドニー・アウトローは2013年2月にプロデビュー。2014年5月からはBELLATORに参戦。BELLATORを主戦場に他のプロモーションでも試合を行い、現在9連勝(BELLATORでは3連勝)。その内の5勝が関節・絞め技による一本勝ちという極めの強さを持つ。
フラデルフィア出身で祖父も父もプロボクサーというアウトローもチャンドラー同様に、「日本に来たことに本当に興奮しています。子供の頃から日本の格闘技のエネルギーを伝え聞いていたので、本当に嬉しく思います」と日本での戦いに敬意を示す。
師匠のヘンゾ・グレイシーから「常に優しく楽しく、相手を選ばず、相手に敬意を示すように言われている」と語るアウトローは、対戦相手のチャンドラーについて、「個人的に相手のファンですが」と笑顔で前置きしながらも、「自分らしく、シドニー・アウトローらしく戦いたいと思います」と語った。
1R、ともにオーソドックス構え。詰めて右から左はボディに対角に突くチャンドラー。さらに右ボディストレートも。アウトローも頭を後ろに構えるとチャンドラーの右の蹴りを掴むが、足を抜くチャンドラー。アウトローの右に右ボディストレートを当てるチャンドラー。
前手で相手を触りに行くチャンドラー。アウトローは左ジャブ・前蹴りで牽制。前後にステップインするチャンドラーは右ストレート! アウトローは外から左を合わせに行くが内側を下からストレートで突いたチャンドラーにアウトローはヒザから崩れてダウン! すぐにチャンドラーは右の鉄槌を1発! レフェリーが間に入った。
鮮烈KO勝利を決めたチャンドラーはケージの上に登りガッツポーズ。バック宙を披露。「シドニー・アウトローはとても強く、対策を練ってきた。スピード感を持ってコントロールしようと。怪我などもある中、ここに立てたことに感謝するよ。アリガト!(3度王者に輝いているが今後は?)とにかく長く戦いの場に立ち、全てをぶつけること。まだ僕はハングリーだし、まだまだタイトルを狙うよ。トーキョー、アリガトウゴザイマス!」と挨拶した。
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▼第4試合 ユニファイドルール 173ポンド(78.47kg)契約 5分3R○マイケル・“ヴェノム”・ペイジ(英国/ロンドン・シュートファイターズ)=78.01kg[2R 0分23秒 KO]×安西信昌(日本/TEAM CLIMB)=78.42kg日本のアニメファンとしても知られるマイケル・“ヴェノム”・ペイジはBellatorを代表する選手の一人。Michael Venom Pageの頭文字から「MVP」と呼ばれ、その長い手足から繰り出される打撃と寝技で数々のKO・一本勝ちを記録してきた。セミコンタクトのWAKOルールで習得した独特の打撃は、絶妙な距離感とタイミングの良さを誇り、インパクトの残る勝利を挙げている。
MMAは16勝1敗。2019年5月のウェルター級ワールドGP準決勝でドウグラス・リマ(ブラジル)の右アッパー&鉄槌に2R KO負けを喫したが、9月「Bellator 227」アイルランド大会でリチャード・キエリーに1R 跳びヒザ蹴りでKO勝ち。
11月23日の地元・英国ロンドン大会では、デレック・アンダーソンの欠場によりイタリアのミリッロとの対戦。1R、ミリッロの右ローに右オーバーハンドを合わてKO勝利。2連続KOで完全復活を遂げている。
対する安西信昌はMMA11勝3敗。2008年全日本フリースタイルレスリングベスト8などの実績を誇る組み技を武器に、2009年5月のPANCRASEでプロデビュー。2014年6月にはミドル級王座を獲得した。2014年8月からUFCに参戦し、2018年6月にジェイク・マシューズに一本負けし、UFC2勝2敗の五分の戦績でリリース。2019年9月のDEEPで日本マットに復帰し、佐藤洋一郎に2R アクシデント判定勝ちを収めている。
ベンソン・ヘンダーソンの欠場を受けて、スコット・コーカーBellator代表から急遽送り込まれた“MVP”が初登場の日本マットで衝撃をもたらすか。それとも“アニマル”安西が返り討ちにするか。注目の一戦だ。
1R、NARUTOの衣装で入場するペイジ。ともにオーソドックス構え。「シンショー」コール。半身から両手を下げてペイジは長い左ジャブを刺す! 下がりながらも右の跳びヒザを突くペイジに安西はシングルレッグへ! 押し込むが足を抜き突き放すペイジ。
ガードを固めじりじりと詰める安西。フェイントを入れながら上下に突いてボディから上。さらに右前蹴りと変化自在の動き。跳びヒザを突き上げるペイジにしかし安西もシングルレッグでキャッチ。金網まで押し込む安西は左で差すが、突き放すペイジはワンツーヒザで飛び込む。安西の前進を右にかわし右を打ち込むペイジ。
それでも詰める安西は左を打ち込むが、サークリングするペイジはワンツーの右! 後方に吹っ飛びダウンする安西はすぐに立ちあがる。それを待つペイジ。ペイジは、左の蹴りのフェイントから、マットに手をつけ、右足を後方に蹴り上げる独特なキックを狙う。さらに、安西のシングルレッグに下がりながらも右の跳びヒザ! 長い右はペイジ! スタンドバックで安西にヒザを突きゴング。安西も強い気持ちで立ち向かう。
2R、右手を挙げるペイジは右の跳びヒザ、さらに突進する安西に下がりながらも右ストレート! 安西がダウンし、レフェリーが試合を止めた。足もとがふらつく安西。ペイジはダウンした安西を気遣うと、ナルトの衣装をはおり短刀を口にくわえた。
試合後、ペイジは、「ジャパーーーン! ありがとう。死闘を尽くすのにここほど相応しい場所はない。今日は夢がかなったよ。(レスリングのバックボーンの安西をモノともしなかったが?)テイクダウンしてくることは読んでいた。ベストチームのロンドシュートファイティングのみんなが組み技が得意だ。また日本にいつでも戻ってくるよ。これからも呼んでくれたら、いつでも来るよ!」と、満面の笑みでケージを後にした。
▼第3試合 ユニファイドルール 78.7kg契約 5分3R(Bellator×RIZIN 対抗戦・中堅戦)○ロレンズ・ラーキン(米国)=78.69kg ※体重超過でキャッチウェイト戦に変更[判定3-0]×中村K太郎(和術慧舟會K太郎道場)=77.20kg
ラーキンはStrikeforceで後のUFC世界ウェルター級王者ロビー・ローラー(米国)を破り、UFCでもホルヘ・マスヴィダル(同/現UFC同級3位)やニール・マグニー(同)といった実力者たちから勝利を挙げている強豪。2017年からBellatorに活躍の場を移し、移籍初戦でリマのBellator世界ウェルター級王座にも挑戦している(ラーキンが判定負け)。
その後、ポール・デイリーにKO負けも、2018年1月にフェルナンド・ゴンザレス(米国)、同10月にイオン・パスク(ルーマニア)、2019年10月にアンドレイ・コレシュコフ(ロシア※写真上)にいずれも判定で勝利するなど現在3連勝中と好調で、王者リマへの挑戦権を得るためにも、日本で絶対に負けられない試合に臨むことになる。
中村は元DEEPウェルター級王者で、SRCウェルター級GP2010王者。UFCに2度参戦経験があり、2006年から2007年の初参戦時は3連敗だったものの、2015年9月から2019年4月までの2回目の参戦では8試合を戦い、4勝4敗と五分の戦績を残している。RIZINには20192019年10月大会から参戦。ボンサイ柔術のマルコス・ヨシオ・ソウザを1R、左ストレートで78秒 TKOに下した。妻の杉山しずかもRIZINに参戦しており、RIZIN初の夫婦参戦となる。
会見で中村は、ラーキンについて「すごい選手を倒してきているめちゃくちゃ強い相手。負けた試合でもサブミッションで取られたことがない選手で、簡単に極めることができるとは思っていない」と、難敵であることを語ると、「だから打撃でもやり合い、テイクダウンも狙いつつ、そこも狙い過ぎず戦おうと思いいます。だいぶ練習してきたので、ただでは返さない」と、スタンドからしっかり崩していくことを語った。
また、「フィニッシュ率も高いけど、何でもやるというタイプではない。ギロチンとかも仕掛けますが、寝技で極めにいく選手でもないし……その意味ではいろいろなシーンを見たいファンよりも、打撃が見たいファンが楽しめるスタイルですね」と、つかみどころのないラーキンのファイトスタイルを語っている。
その打撃についても「倒すときは倒しにいくけど……解説があったら面白い打撃ですね」と苦笑すると、具体的に「フェイントを使ってのコンビネーションが得意で、前手を出しながら上手く戦っています。相手の手を触りながら前蹴りを出したり、頭を意識させておいてボディーに当てたりとか、そういうことが凄く上手い。その部分の解説があってファンに伝われば、テクニカルで面白い選手だと思います」と、攻防の見どころを説明している。
1R、サウスポー構えのK太郎にオーソドックス構えのラーキン。右で詰めるラーキンに右ハイを繰り出すK太郎は圧力をかけていく。
ラーキンの右をかわすK太郎。ラーキンは右のインローを前足にヒット。詰めるK太郎に右ミドルはラーキン。さらにクリンチから右アッパーを突く。K太郎も右から左で飛び込むがかわすラーキンは右ミドル。左ジャブで細かく牽制し押し返す。左インローはK太郎。ラーキンは右ミドルを当てる。
2R、喧嘩四つのジャブの突き合い。左の高いサイドキックをアゴに突くラーキン。左ハイをガードの上に返すK太郎。左右で金網まで詰めるがラーキンもサークリング。関節蹴りも繰り出す。さらにサイドキックも。K太郎も前蹴りを返す。跳び蹴りを狙ったが軸足を蹴られるラーキン。跳びヒザも。右から左のワンツーはK太郎。左のサイドキックを関節に蹴る。右の蹴りからそのまま右をスナップして当てるラーキン。K太郎はアゴを上げさせられる。
3R、詰めるK太郎にサークリングするラーキン。右ストレートにK太郎は左目尻から出血する。K太郎のニータップを潰してすぐに左右・ヒジを打ち込むラーキン。さらにK太郎の左の打ち終わりに右から左を入れるラーキンは続けて跳びヒザ。右ミドルをキャッチするK太郎だが、足を抜くラーキンはすぐにパンチを入れる。さらに左右と打撃を上下にたたみかけるのが巧みなラーキン。ジャブにK太郎は後退。ラーキンは跳びヒザからワンツー、ヒジを入れてゴング。判定は3-0でラーキンが勝利した。
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▼第2試合 ユニファイドルール 女子フライ級 5分3R(Bellator×RIZIN 対抗戦・次鋒戦)×イララ・ジョアニ(ブラジル)=57.10kg[3R 4分39秒 TKO] ※パウンド○渡辺華奈(FIGHTER'S FLOW)=56.60kg
MMA8勝1敗でメインカードに抜擢された渡辺は、10月の前戦でベック・ローリングスにヒザ十字で一本勝ちしているジョアニについて「オールラウンダーで試合決定力も凄く高いので、試合をどんどん動かしていく強い選手」と評し、ケージでの試合について「4回目のケージでの試合で、普段の練習では壁際の攻防も凄くしているので、テイクダウンもしやすく逆にケージの方がやりやすい」と自信のほどを語っている。
試合のキーは渡辺にとって課題の残る打撃だ。技術の全体的な底上げ・精度を上げた」という渡辺は、「スタンドの打撃も練習してきました」という。
対するジョアニは、渡辺を「とてもタフな対戦相手。ずっと勝ち続けている選手でもある。でも彼女は一度も私のような選手とは戦ったことがない。今まで彼女が戦ってきた相手よりも私の方が強いです」と、レベルの差があるとし、「柔道家相手にアジャストしながら今回の準備をしてきました」と、ケージレスリングのみならず、柔道の投げの対策も万全であることを語っている。
パトリッキー・フレイレ&パトリシオ・ピットブルのピットブル・ブラザーズから「相手を潰すこと」とのアドバイスを受けたというジョアニは「ブラジルでも日本の格闘技といえばPRIDEです。それを継ぐRIZINで、さいたまで戦えることは光栄です」と意気込んでいる。
1R、ともにオーソドックス構え。ジョアニの右を被弾する渡辺は奥襟をつかみにいくが、ジョアニの右から左を受ける。右のミドルをつかんだ渡辺だが、足を抜くジョアニ。
大内刈から崩してテイクダウンは渡辺だが、右腕を内に流したジョアニは三角絞めへ! しかし左にかつぎ外した渡辺は上四方に。さらにサイドを奪いアメリカーナ狙い。さらに右で脇差す渡辺はパウンド。
下からジョアニはキムラロックを狙うが、渡辺は腹前に腕を戻すと、ハーフから肩固め狙い。亀になったジョアニのバックマウントを奪いゴング。
2R、右ローは外す渡辺はやはり引手と釣り手をつかみに行き、内股を狙うが、外して左を差して金網に押し込むジョアニ。渡辺は右で小手に巻き、内股で投げるもその際でスイープした柔術紫帯のジョアニが上に。ダブルレッグから両足を束ね金網に押し込む。
上体を金網に立てて座る渡辺。押し込むジョアニの頭を下げさせ右足をヒザの上に乗せて支点を無くすと右手でパウンド連打! ジョアニは下から右足をつかむが足関節までには至らない。
3R、引手と釣り手を掴んだ渡辺は半ば強引に内股で投げるが引手が十分ではない。しかし金網際で今度は首投げから内股を合わせてテイクダウン! ジョアニは下から腕十字へ。正面に入り直す渡辺は、インサイドからパウンドへ。ジョアニは手首をつかむが外した渡辺は片足を抜きハーフに。右腕で枕に巻き、ジョアニをマットに背中を着かせるとパウンド。パスの圧力をかける渡辺。背中を見せたジョアニからバックマウント。動けないジョアニに渡辺はパウンド・鉄槌連打! レフェリーが試合を止めた。
ジョン・マッカーシーから「柔道のバックグラウンドを巧みに活かしていたね」と聞かれた渡辺は、「イララ選手がすごく強くて勝ててホッとしています。RIZIN代表として勝ててよかったです」とケージの中で語った。
▼第1試合 ユニファイドルール 71.6kg契約 5分3R(Bellator×RIZIN 対抗戦・先鋒戦)○ゴイチ・ヤマウチ(ブラジル)=71.57kg ※体重超過でキャッチウェイト戦に変更[1R 3分11秒 リアネイキドチョーク]×ダロン・クルックシャンク(米国)=70.35kg
ゴイチ・ヤマウチは、2015年10月「Bellator 144」でISAOにリアネイキドチョークで一本勝ち。2016年10月のライアン・クートゥアー戦の腕十字での一本勝ち以降、5勝1敗。近年唯一の黒星は、2018年1月にマイケル・チヤンドラーに判定負けのみ。前戦2019年10月のサッド・アワッド戦も得意の腕十字で一本勝ちを収めている。しかし、ゴイチの今回体重超過でキャッチウェイト戦に変更された。
クルックシャンクは、父親がMMAファイターで母親はキックボクサーという格闘家の両親の元に生まれ育ち、幼少時よりレスリングとテコンドーを習う。
2018年5月のRIZIN.10では、松本光史に左ハイキックの一撃で1R KO勝利を飾り、続く7月のRIZIN.11では、ブラジルのローカル団体ファイトドラゴンのライト級現役王者トム・サントスからTKO勝利。9月のRIZIN.13ではディエゴ・ブランダオンを2R開始早々の飛びヒザ蹴りからパウンドの追撃で沈めて三連勝を飾る。
大晦日のRIZIN.14では、同じく元UFCファイターのダミアン・ブラウンを相手に得意の打撃で優勢に試合を進めるもフロントチョークを極められ連勝ストップとなった。RIZIN.16ではトフィック・ムサエフと対戦すると、緊迫したせめぎ合いの末、RIZINでは初めて判定決着で敗れた。ライト級GP出場権を手にし、このフラストレーションを爆発させたい。
クルックシャンクは「Real American」で、ゴイチは敬愛する桜庭和志の入場曲「スピード」で登場。
1R、ともにサウスポー構え。半身気味に前足でサイドキックを出す両者。クルックシャンクの左のオーバーハンドはブロックするゴイチ。クルックシャンクはバックヒジを繰り出すが前に詰めたゴイチはバックに。背中に飛び乗って右足をかけて右手をのどもとに狙う。
左足でケージを蹴って巧みに崩して倒したゴイチは、両足を組んで右腕を喉下に。後ろ手をつかもうとするクルックシャンクだが、タップした。体重超過が悔やまれるゴイチの一本勝ちだった。
ゴイチはケージの中で、「コンニチハ、ニホン。生まれ故郷であるここ日本で、聖地さいたまで勝てて嬉しい。しっかり準備してきた成果を出せました。(13の一本勝ち)毎日子供時代からやってきたことをしっかり出せました。ニホンノミナサン、ドウモ、アリガトウゴザイマシタ。ニホンハ、サイキョー」と挨拶した。