2019年12月21日(土)韓国・釜山のサジク・アリーナにて、「UFCファイトナイト釜山:Edgar vs Korean Zombie」が開催された。
メインイベントではフランキー・エドガーとジョン・チャンソンによるフェザー級マッチが実現。“ザ・コリアンゾンビ”の愛称で親しまれる地元の英雄チャンソンが、ランキング4位につけるエドガーと対戦した。
いつものように出入りを繰り返すエドガーに対し、開始早々から圧力をかけたチャンソンは近距離から左フックを効かせると左右フックをクリーンヒット。何度も身体を伸ばされパウンドを浴びながらも必死に体勢を戻すエドガーがスタンディングに戻った直後、再びチャンソンの強打がさく裂。打たれるままのエドガーを見てレフェリーが間に入った。
ブライアン・オルテガの負傷欠場により試合直前のオファーを受けて韓国に乗り込んだエドガーだったが、チャンソンの強打の前に1R TKO負け。快勝したチャンソンは試合後、UFC世界フェザー級王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキーとの対戦をアピールしている。
また、ヴォルカン・オーズデミア対アレクサンダル・ラキッチのライトヘビー級マッチが行われたセミメインイベントは、激しい乱打戦の末、オーズデミアがスプリット判定で勝利を収めている。
UFCは次回、PPVイベントで2020年をキックオフさせる。日本時間1月19日(日)に米国ネバダ州ラスベガスのT-Mobileアリーナを舞台に「UFC 246」を開催。メインイベントでは2018年10月以来のオクタゴン復帰となるコナー・マクレガーと、UFC史上最多勝利数を誇る“カウボーイ”ことドナルド・セラーニが対戦することになっている。
◆UFCファイトナイト釜山:Edgar vs Korean Zombie2019年12月21日(土)韓国釜山サジク・アリーナ
【メインイベント】
▼フェザー級 5分5R×フランキー・エドガー(米国/146lbs/66.22kg)[1R 3分18秒 TKO]〇ジョン・チャンソン(韓国/146lbs/66.22kg)
ブライアン・オルテガの欠場を受けてフランキー・エドガーがスクランブル参戦。バンタム級専念前にフェザー級でジョン・チャンソンと対戦する。
MMA23勝7敗1分のエドガーは2016年11月にジェレミー・スティーブンス、2017年5月にヤイー・ロドリゲスに勝利後、2018年3月にオルテガと対戦し、1R TKO負け。しかし2018年4月にカブ・スワンソンに判定勝利。2019年7月にマックス・ホロウェイに判定負けを喫している。
対するは母国でメインに臨むチャンソン。MMA15勝5敗、UFC6戦4勝2敗の“コリアン・ゾンビ”は名勝負製造機。2018年11月にヤイー・ロドリゲスに5R TKO負けも、2019年6月にヘナート・モイカノに1R 58秒TKO勝ちで復活を遂げている。
1R、ともにオーソドックス構え。互いに右の交錯から右ローを走らせるエドガー。チャンソンは左前手を下げてジャブを狙う。ニータップからダブルレッグを狙うエドガー。しかし切るチャンソン。近距離から左フックを効かせたチャンソンはさらに左右フックをクリーンヒット!
金網際でダウンするエドガーにパウンドするチャンソンはバックを奪い、亀になるエドガーの足をバックマウントで伸ばしてからパウンド! レフェリーが止めに入ってもいい連打だが、エドガーも何度もヒザを立てて亀に戻すと、チャンソンを前に落とす。スタンドに戻すエドガーだが、足元がおぼつかない。
そこにチャンソンは右アッパー、左フック、さらに左右フックでエドガーから再びダウンを奪うと、亀になったエドガーの脇下からアッパー2発。レフェリーが間に入った。緊急参戦のエドガーはマーク・ヘンリーコーチに肩を抱かれ、オクタゴンを後にした。
1R 3分18秒、TKO勝ちを収めたチャンソンは満員の観客に向けて、UFC世界フェザー級王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキーとの対戦をアピールした。
◆ジョン・チャンソン「またやろう、今度はソウルだ!」「本当に嬉しい。自分にとってはクリスマスのプレゼントさ。エドガーとは25分間、戦いたかった。その点については悔やまれるけど、ホッとしている気もする。10週間、行ったり来たりしていたからね。勝利に見合っていると思う。地元での試合はかなりのプレッシャーを感じた。最近の試合はメインイベントで、海外の試合が多かった。今回は違っていたけど、今日のメインイベントの準備にはなったし、地元ファンの前で戦う準備にもなったと思う。オクタゴンに向かうとき、あまりファンのことは気にしていない。完全に試合に集中しているし、今日もそれは同じだった。今日の結果には大満足。ファンのためにショーを見せられてよかった。今日はこんなにもたくさんの人が応援しに来てくれて本当にうれしい。またやろう、今度はソウルだ!」
【セミメインイベント】
▼ライトヘビー級 5分3R〇ヴォルカン・オズデミア(スイス/206lbs/93.44kg)[判定2-1] ※29-28×2,28-29×アレクサンダル・ラキッチ(オーストリア/206lbs/93.44kg)
MMA16勝4敗のオズデミア(8位)と、12勝1敗のラキッチ(10位)の対戦。ラキッチは驚異の12連勝中だ。
キックベースのオズデミアは、2017年7月のUFCデビューからOSP、ミーシャ・サークノフ、ジミ・マヌワ相手に3連勝で、2018年1月にライトヘビー級王者ダニエル・コーミエーに挑戦も2R TKO負け。続く10月にアンソニー・スミスにRNCで一本負け、2019年3月にドミニク・レイエスにスプリット判定負けと3連敗を喫した。2019年8月の前戦でイリル・ラティフィにKO勝ちで連敗を止めている。
同じくキックベースのラキッチは豪州の「Austrian FC 1」から、2017年9月にUFCデビュー。フランシマール・バロッソ、ジャスティン・レデットに判定勝ちすると、デヴィン・クラークに1R TKO勝ち。2019年6月の前戦ではジミ・マヌワに42秒ハイキックでKO勝利している。
1R、ともにオーソドックス構え。アッパー、さらにいきなり跳びヒザで前進しオズデミアをアームインギロチンにとらえるラキッチ。首を抜いたオズデミアは差し返して体を入れ替え離れる。
早い出入りはラキッチ。オズデミアの入りに左の前蹴り、さらに右ストレートを狙う。オズデミアは右ストレート狙い。しかしラキッチはシングルレッグで回してテイクダウン。しかし立つオズデミアにその際でラキッチは左右をまとめにいく。
左右が長いラキッチは懐が深い。オズデミアの右をかわして右ボディストレート。オズデミアも右ローから入り詰めての右を狙う。
2R、先に詰めていくオズデミア。しかしラキッチの右にオズデミアはのけぞる。オズデミアは1Rに続いて右ローを連打。ラキッチの身体が流れるようになる。右足にシングルレッグに入り、オズデミアをこかしてその立ち上がり際に打撃を狙うラキッチ。さらに金網に詰めるがオズデミアはヒジを返す。
右ローを当てに行くオズデミア。その蹴り足をつかむラキッチだがオズデミアは足を抜く。ペースが落ちて来たラキッチはジャブ&ロー。しかしオズデミアも右ロー! 前足を狙われるラキッチ。オズデミアはラキッチの目の前で両手をはたいて猫だましを見せて右を狙う。
3R、自ら左の蹴りを放つラキッチ。近距離で両脇を差して押し込むが、オズデミアは金網背に。ラキッチは離れ際に打撃を狙う。ステップが落ちたラキッチ。オズデミアは右ローを角度を変えて打っていく。しかしラキッチも金網背にしながら右ショートアッパー! さらにダブッレッグに入るも切るオズデミア。左ジャブの刺し合いは互角。しかし前に出るのはオズデミア。右ローを当てると、打ち合いに出たラキッチに応戦。右ハイをガード上に当てるオズデミア。ラキッチは組み付いてバックを狙うも小手に巻くオズデミアは正対し突き放す。オズデミアが前に出て試合終了。
判定は右ローを効かせて2、3Rを取り返したオズデミアがスプリット判定勝利。上位ランキングを守った。
◆ヴォルカン・オーズデミア「レイエスを待っている。またアンソニー・スミスとも戦いたい」
「本当にいい気分だ。もっとラウンドがあれば、今回の試合はもっと俺のものになっていただろう。相手の体が疲れてきているのは分かったし、弱くなってもいた。ボディショットや膝をボディに打ち込むたびに、相手の息が上がっているのが分かった。メンタルも徐々に下がっていっていたから、ラウンドを重ねるたびに今回の試合は俺のものになっていった。2020年は俺の年になる。今回のキャンプ中はいくつかケガとの戦いもあったけど、韓国のファンのために、すべてのUFCファンのために諦めたくなかった。だから頑張ることにした。俺は諦めるようなタイプじゃない。ケガでも戦う。しんどくても戦う。危険な相手と戦って勝利を得るためにオクタゴンにいるんだ。俺は今、レイエスを待っている。いろいろとあるみたいだから、彼が戻ってきたときに備えて、ここで待っているつもりだ。その一方で、また戦いたいと思っているのはアンソニー・スミスだ」
[nextpage]
【メインカード】
▼フェザー級 5分3R×チェ・ドゥホ(韓国/146lbs/66.22kg)[2R 4分32秒 TKO] ※右フック→パウンド〇シャルル・ジョーデイン(カナダ/146lbs/66.22kg)
DEEPでも活躍したドゥホはMMA14勝3敗の28歳。2016年12月のカブ・スワンソン戦のファイト・オブ・ザ・イヤーの名勝負(判定負け)から、兵役のブランクがあり、2018年1月にジェレミー・スティーブンスと対戦し2R KO負けと連敗中。兵役中で国内での再起戦となる。
ジョーデインはMMA9勝2敗の24歳。カナダのTKOでフェザー級王座を獲得後、ライト級も制し二冠王に。2019年5月にUFCデビューし、デス・グリーンにテイクダウンを奪われ判定負けしている。今回がUFC2戦目となる。
1R、先に圧力をかけるオーソドックス構えのドゥホ。サークリングするジョーデインは組みに。しかし突き放すドゥホ。ジョーデインは右ローも詰めるドゥホは右アッパー。
サウスポー構えになるジョーデインは跳びヒザ。かわすドゥホ。右ローを効かすドゥホは右フックをテンプルにヒット! 詰めるドゥホはさらに右! ダウンしたジョーデインはガードを取るとドゥホは中腰になりパウンド! さらに足をさばいてサイドに回るとジョーデインもその際で立つ。
ジョーデインの蹴りに右を狙うドゥホ。追うがその場跳びのヒザ蹴りをジョーデインは狙う。さらに脇を潜り近づくと、跳びヒザから左ストレートでドゥホがダウン! ガードで凌ぐ。
2R、圧力かけるドゥホ。サウスポー構えのジョーデインは左ミドルを当てる。さらに左から右を狙う。ドゥホの大きな右は空を切る。左ミドルをガード上に当てるジョーデイン。ドゥホは金網に詰めて右アッパーをボディに突く。
回るジョーデインに右ストレートを狙うドゥホ。しかしジョーデインも左ハイ狙い。追うドゥホにジャブから左で押し返すジョーデイン! しかしドゥホも跳びヒザで詰める。足をさばいてバックフィストはジョーデイン。かわすドゥホ。ワンツーからスリーフォーと連打で前に出るジョーデイン。下がるドゥホも回る。
近い距離で右を狙うドゥホにカウンターの左ストレートはジョーデイン! さらに右フックにドゥホがダウン!! 24歳のジョーデインは大金星を挙げた。
◆シャルル・ジョーデイン「カブ・スワンソンと戦えたら名誉なことだと思う」
「今回の試合はかなりのプレッシャーを感じていた。自分に対して、負けたらこのスポーツではおしまいだぞ、と言っていたんだ。この勝利が必要だった。今日のように逆境で戦ったことは一度もない。2回もロックされて、最初のラウンドの方は詳しく覚えてすらいない。第1ラウンドでかなり激しく打たれてしまったけど、兄弟から“あいつはこれで終わりだ。第1ラウンドで仕留めるタイプだから。プッシュし続けろ”と言われたんだ。第2ラウンドに入ると、何もかもが自分の追い風みたいに感じたし、相手を追い詰められる気がした。向こうがもっと攻めてくるかと思ったけど、自分の手数を計算していたらしく、ちょっと変な感じがした。だから、もしかすると最初のラウンドでノックダウンされたことで、向こうは自分のゲームプランを考え直し、かけるはずのプレッシャーをかけてこなかったのかもしれない。
オクタゴンでも言ったように、カブ・スワンソンと戦えたら名誉なことだと思う。彼がヒザの手術から早く回復することを願っている。そうすれば彼と戦うチャンスがあるかもしれない。2020年がどうなるか分からないけど、今回のような勝利を挙げられたんだから、チェ・ドゥホ以上に有名なファイターと戦うに相応しいと思っている。いいファイターがたくさんいるけど、ビッグネームはいない。このスポーツで名を馳せたい。まだランキングに入っていないけれど、そういうビッグネームのファイターとやりたい」
▼ライトヘビー級 5分3R〇チョン・ダウン(韓国/206lbs/93.44kg)[1R 1分04秒 KO] ※右ストレート×マイク・ロドリゲス(米国/206lbs/93.44kg)
日本でも馴染み深い元HEATライトヘビー級王者のチョン・ダウンはMMA12勝2敗。2019年8月の上海大会でUFCデビューし、ロシアのハディス・イブラギモフにスタンドのニンジャチョークで一本勝ちを収めている。
対するロドリゲスはMMA10勝4敗。「DW's Contender Series 2017」から2018年4月にUFCデビューもデヴィン・クラークに判定負け。同年12月にアダム・ミルステッドに1R KO勝ちも、2019年7月にジョン・アランに判定負けしている。UFC1勝2敗。
1R、オーソドックス構えのダウンにサウスポー構えのロドリゲス。ジャブから右ストレートを狙うダウンが先に圧力をかけると、ジャブからロドリゲスの右ジャブを左の外側にかわして右ストレート! 前のめりに倒れたロドリゲスにすぐにパウンド4発。レフェリーが間に入った。チョン・ダウンはUFC2連勝。
◆チョン・ダウン「地元で戦えるなんて信じられなかった」
「これまでで一番のパフォーマンスだった。ノックアウトできて本当に嬉しい。今日は自分のことを誇りに思う。トップのファイターたちに近づいていることは実感している。ジョン・チャンソンやキム・ドンヒョン、チェ・ドゥホとかね。こんなに早くノックアウトできるとは思っていなかった。彼に対して自分のレスリングを生かすプランだったんだ。UFCではこれが2回目のフィニッシュだから、これからもトレーニングに励んですぐに試合ができるように願っている。前から言っていることだし、今日も言ったけど、自分は今でもジアン・ヴィランテとやりたい。でも、トップ20にいる選手なら誰でもいい。誰かと戦うことで自分が成長できるなら、喜んでその試合を受ける。地元で戦えるなんて信じられなかった。ファンからの応援もエネルギーもすごい。今回の勝利を挙げるためのパワーをもらった」
▼ミドル級 5分3R〇パク・ジョンヨン(韓国/186lbs/84.37kg)[判定3-0] ※29-28×2,30-27×マルク・アンドレ・バリオー(カナダ/186lbs/84.37kg)
Korean Top Team所属。地元のジョンヨンはMMA10勝4敗。2019年8月の前戦でUFCデビューし、アンソニー・ヘルナンデスに2R アナコンダチョークで一本負け。
対するバリオーはMMA11勝3敗。元カナダTKO王者のストライカー。2019年5月と7月にUFCで2戦しているが判定負け。ジョンヨン、バリオーともにまだオクタゴンで白星を掴めていない。
1R、ともにオーソドックス構え。前手を触りながらワンツー、右アッパーで攻めるジョンヨン。ガードを固めるバリオーは圧力をかけ直し右ミドル。サウスポー構えにスイッチするがジョンヨンが右ミドルを蹴り返す。バリオーのアイポークから再開。
ジョンヨンは連打から下を突き、ダブルレッグへ。尻下でクラッチしてテイクダウンを奪うが、バリオーもすぐに立つ。左ジャブを突くジョンヨン。バリオーの入りに右を合わせる! バリオーはダブルレッグも切るジョンヨン。カーフ狙いの右ローも当てていく。
2R、詰めて来たバリオーに押し返して右ハイ、さらにダブルレッグテイクダウンはジョンヨン。亀になり立つバリオーのバックを狙うジョンヨンに正対するバリオー。小外がけでテイクダウンを狙うジョンヨンは耐えるバリオーを前方に崩してヒザを着かせるが、立つバリオーは離れる。スタンド再開。右ローからバックフィスト狙うバリオーが圧力をかけて右ロー。ジョンヨンは下がる。
3R、ワンツーの右で前進するバリオー。そこにカウンターのダブルレッグはジョンヨン。金網までドライブしスタンドバックにつくが、バリオーは離れる。右ローを蹴るバリオー。下がるジョンヨンに右ローをダブルで打つ。下がり続けるジョンヨン。バリオーはダブルレッグに入るが差し上げるジョンヨンは首を掴む。首を抜くバリオーは詰めて右ロー! 身体が流れるようになってきたジョンヨンに右ハイもブロック上。バリオーが追い続けてホーン。
判定は3-0で、厳しい内容ながらジョンヨンがUFC初勝利を挙げた。
◆パク・ジョンヨン「マルクは思っていたよりもタフだった」
「今日1日はまるで夢がかなったかのよう。ここにいることが信じられないくらい。今回の試合に向けて本気でトレーニングしてきたし、勝利した今も、自分が狙っていた完璧な結果じゃなかったことを悔やんでいる。前回の試合ではできるだけ早くフィニッシュしようとしすぎたけど、今日はコントロールしようとしつつ、試合の流れに乗ろうとした。マルクは思っていたよりもタフだった。ここからは今日の試合で改善が必要だと思った部分を改善させたい。特にテイクダウンとディフェンスのキックはうまくならないと」
[nextpage]
▼バンタム級 5分3R〇カン・ギョンホ(韓国/136lbs/61.69kg)[判定2-1] ※28-29、29-28、30-27×リュウ・ピンユエン(中国/136lbs/61.69kg)
カン・ギョンホはMMA16勝8敗。2014年9月の田中路教戦のスプリット判定勝ちから2018年1月のグイド・カネッティ戦まで兵役で3年4カ月のブランクがあったが、復帰後3勝1敗と好戦績を残している。ピンユエンはWLFから2018年7月にUFC入り。ダミアン・スタシアクに判定勝利後、マーティン・デイにもスプリットながら判定勝利を挙げ2連勝。しかし、2019年7月の前戦ではジョナサン・マーティンズのヒザ蹴りにTKO負けを喫している。
1R、ともにオーソドックス構え。ダブルレッグでドライブしてテイクダウンはギョンホ。下からヒジを頭に突くピンユエン。上体を離す。
2R、近い距離で右ハイ打つピンユエン。しかしギョンホは再びダブルレッグテイクダウン! 左腕を腕固めで狙うが外すギョンホは細かくパウンドを入れる。差して立とうとするピンユエンはニンジャチョーク狙いもホーン。
3R、ワンツーで圧力をかけるピンユエンに組みに行くギョンホ。し突き放すピンユエンは続く2度のギョンホのダブルレッグを切ってがぶりヒザ。しかし、ギョンホの圧力に足を取られたピンユエンが尻餅。その上にギョンホは乗り、頭を押して立とうとするピンユエンのバックを狙いつつ背中をつけさせる。ピンユエンは下からヒジでギョンホをさらに出血させるが、ギョンホは抑え込んでホーン。
判定は2-1のスプリットでギョンホが2019年3連勝を決めた。
◆カン・ギョンホ「スプリットだと聞いてびっくりした」
「計量から体が重くて、今回の試合はあまり力強さを感じられなかった。体が言うことを聞かなくて、相手にダメージを与えられなかった。リュウは強力な右のオーバーハンドを持っているから、プレッシャーをかけられたらタックルして時間を稼ぐつもりだった。3ラウンドの終盤にはユナニマス判定で勝つと思っていたからスプリットだと聞いてびっくりだ。今日のカット(傷)はたいしたことない。こういうのはあることだし、特に問題はないよ。すべてのファンが自分を応援してくれる地元での試合は本当に力になったし、この傷ができても、今回の勝利をとても支えてくれたと思っている」
【プレリム】
▼ヘビー級 5分3R〇シリル・ガーヌ(フランス/249lbs/112.95kg)[判定3-0] ※30-26×3×タナー・ボーザー(カナダ/246lbs/111.58kg)
キック出身のガーヌは2019年8月にMMA4戦目でUFCデビュー。ラファエル・ペッソーアを1R 肩固めに極めると10月にはドンテール・メイエスをヒールフックで極めて2連勝。
対するボーザーはMMA17勝6敗1分。ACBからM-1 Challengeを経て、2019年10月にUFCデビュー。ダニエル・スピッツに判定勝利している。
1R、オーソドックス構えからスイッチする長身のガーヌは右アッパーも。オーソドックス構えのボーザーも力強い左右を振り回す。2R、右のバックフィストを狙うガーヌ。さらにボーザーの打ち終わりにカウンターのダブルレッグも切るボーザー。さらにガーヌのバックフィストにボーザーは右目尻から出血。ガーヌは詰めて右アッパー! しかしボーザーも下がらず打ち返す。左ミドルを当てるガーヌはさらに左フック。
3R、ボーザーの右の飛び込みをしっかりかわし下がりながら右を狙うガーヌ。右のテンカオも腹に当てる。蹴り足をつかもうとするボーザーだが掴ませないガーヌは右アッパー、さらに左ヒザ! ボーザーの組みを切り右アッパー、右の打点の高いヒザも当てる。削られ顔を赤くするボーザーも倒れず。試合は判定へ。3-0でガーヌが勝利した。
◆シリル・ガーヌ「無敗記録更新は嬉しいけど初めてフィニッシュできなかったのが悔しい」
「かなり自信があったし、3ラウンド中も気楽にいけた。ボーザーは楽な相手じゃない。たぶん、少し正確性を失っていたんだと思う。そのせいで少し難しかった。無敗記録を更新できて本当に嬉しいし、この半年で3回も戦うチャンスを得られたことも満足だ。本当に嬉しい。でも、少し悲しいのは初めてフィニッシュできなかったこと。これから少し休んで、理想としては3月か4月に戻りたい」
▼フェザー級 5分3R〇チェ・スンウ(韓国/146lbs/66.22kg)[判定3-0] ※29-26×2,29-25×スーマン・モクタリアン(豪州/145lbs/65.77kg)
チェ・スンウは元TOP FCフェザー級王者。2019年4月にUFCデビューも判定負け。7月の2戦目もガヴィン・タッカーに判定負けと、得意の打撃をテイクダウンで封じられている。
対するモクタリアンは、アシュカン・モクタリアンの弟。2018年2月のTUF27で初戦敗退。12月のオクタゴンデビュー戦でソディック・ユサフに1RKO負けしている。
1R、詰めるスンウに右回りのモクタリアンは右をヒット! しかし金網まで詰めるスンウはワンツーから前蹴り、右ハイを放つ。さらに右で差して金網に押し込むと、首相撲から高い打点の左ヒザを眼面に突き刺す。しかしその最中に金網をつかんでしまい注意を受ける。再開。じりじりと圧力を高めるスンウ。
2R、圧力をかけて詰めて右ハイをガード上から当てるスンウは連打からダブルレッグテイクダウン。下から抱き着くモクタリアンを剥がしてヒジ打ち! スタンドで圧力かけていくスンウは右ストレート当て、右ハイも。
3R、モクタリアンの左の蹴りの打ち終わりに右の蹴りを放つスンウ。バッティングから再開。右前蹴りを決めるスンウ。モクタリアンのパンチに下がるスンウ。モクタリアンは右跳びヒザも。一瞬動きが止まるスンウだが、モクタリアンのテイクダウン狙いを切り返して上に! スンウはハーフから強いパウンド・ヒジを落としていく。
判定は3-0でスンウが勝利。UFC2連敗から復活の白星を掴んだ。
◆チェ・スンウ「地元で勝利を挙げられて嬉しい」
「2連敗した後のUFC初勝利だから、地元で勝利を挙げられて嬉しい。最初のラウンドが終わったときに自分が勝っていると思ったけど、オリジナルのゲームプランにこだわらなかったことを悔やんでいる。地元では今回が2試合目。海外での勝利も嬉しいけど、家族やファンの前で勝てるのはもっと特別な気分だ。勝ち続けたいし、UFCで長くやっていきたい。もちろん、いつかはチャンピオンになりたいと思っている」
▼ライト級 5分3R×マー・ドンヒョン(韓国/156lbs/70.76kg)[判定3-0] ※30-27、29-26、29-28〇オマール・アントニオ・モラレス・フェレール(ベネズエラ/156lbs/70.76kg)
マー・ドンヒョンはMMA16勝10敗3分。2017年9月に五味隆典にTKO勝ちするなど3連勝も、現在は2連敗中。対するモラレスはMMA8戦無敗。Bellator、「Dana White's Contender Series」を経て、今回がUFCデビュー戦となる。フロリダのハードノックス365所属。
1R、大歓声のなかドンヒョンがモラレスとグローブタッチ。サウスポー構えのドンヒョン。オーソドックス構えのモラレスはストライカーらしく右ミドル、右ハイをガードの上に打つ。右ローを打つドンヒョンは左ハイも。しかしその蹴り足を掴んだモラレスがテイクダウン。右で差して立とうとするドンヒョンを潰して削る。ドンヒョンも背中はつかず、クローズドから左手にアームロック狙い。モラレスは自らの左足を掴んで耐える。クラッチを外すモラレスは上からパウンド!
2R、ワンツーから3連打まで繋ぐモラレス。サウスポー構えから右のローキックはドンヒョンもモラレスも蹴り返す。互いに遠間から牽制し、ドンヒョンは右ストレート、モラレスは左を打ち込み、互いの拳が交錯する。中央を取るドンヒョンに右に回るモラレスはワンツーから右ハイもブロックするドンヒョン。互いに慎重な2R。
3R、モラレスの右ローに左を合わせるドンヒョン。ドンヒョンの左の単発にモラレスはワンツースリーから右ハイまで打つがかわすドンヒョン。打ち合いのなかで回転が速いのはモラレス。さらに右の後ろ廻し蹴りにドンヒョンがダウン!
モラレスは鉄槌の連打も抱き着くドンヒョン。ヒジ打ちも落とすが、左をオーバーフックし足を戻すドンヒョンは下から背中を起こしアームロック狙いからヒップスローでスイープ狙い。これを潰したモラレスは鉄槌! ドンヒョンのアームロック狙を潰してバックに回り、前に落とされたところで試合終了。判定はモラレスが3-0勝利。MMA9戦全勝とした。
◆オマール・アントニオ・モラレス・フェレール「相手のスイッチは大変だったけど、2Rには読めていた」
「これが俺の夢だった。ここに来るまでものすごい必死で頑張ってきたし、負けて家に帰るわけにいかなかった。移動距離が長かろうと、ファンに人気の相手と戦おうと、そんなこと知ったこっちゃない。みんなが彼のことを応援していたのは分かっていたけど、それは俺に関係のないこと。事実、俺はそっちの方がいいかもな。チャレンジは好きだから。今日は自分がこの場所にいるべき才能があるんだと示せたと思うし、自分よりも経験豊富なUFCでの戦歴の長い相手と戦った。自分の価値を示し続けたい。
相手は本当にスマートだった。相手の過去の試合はすべて見たし、オーソドックスのファイターと戦う準備はできていた。向こうは完全なサウスポーみたいにして俺と向き合っていた。彼は自分のスタンスを変えられるようにやれることをすべてやったと思うし、それによってこっちは大変だったけど。ひとつのことに備えてきたのに、行ってみれば完全に違ったようなもの。だけど、第2ラウンドは自分の方が相手を読めていたし、いくつかパンチも当たり始めていた。本当にタフな相手だったからフィニッシュできなかった。今は家に帰って家族とお祝いしたい。それが済んだら次の試合に備えるよ。できれば家に近いところだといいな」
▼フライ級 5分3R〇アレッサンドル・パントージャ(ブラジル/126lbs/57.15kg)[1R 4分17秒 TKO]×マット・シュネル(米国/126lbs/57.15kg)
パントージャは、2016年8月の「The Ultimate Fighter Season 24」で扇久保博正に判定負け後、UFC5勝2敗。シュネルも同じTUF24でティム・エリオットに敗れるもUFC入り。ロブ・フォント、ヘクター・サンドヴァルにTKO負け後、復活を果たし、井上直樹戦を含め4連勝中だ。
1R、パントージャの右を効かされたシュネルだが、パントージャのダブルレッグは切る。打ち合いの中、右を当てるパントージャのだが、そこに左を当ててパントージャをグラつかせるシュネル! パントージャのダブルレッグに引き込み下から立ち上がる。右ローを当てるシュネルだがその蹴り足を掴んでテイクダウン奪うパントージャは、パウンドで飛び込み! しかし当てられたシュネルもすぐに立ち上がる。
左ボディから右フックを狙うシュネルだが、そこにパントージャはカウンターでショートの右フック! シュネルは前のめり倒れ、レフェリーが間に入った。パントージャは7月のデイブソン・フィギェレド戦の判定負けを払拭するTKO勝ち。
◆アレッサンドル・パントージャ「これで次のタイトル戦線は俺の番だ」
「マットはとても才能のある人で、かなり特殊な戦い方をするから、始まったときからこっちがプレッシャーをかけていかないといけないことは分かっていた。俺がこのラウンドを制するんだぞというのを見せる必要があった。トレーニングからオクタゴンに上がるまで、かなり集中していた。前回のフィゲイレード戦を終えて、ショーを見せないといけないのは分かっていたから、今回の勝利を得られて嬉しい。
これで次のタイトル戦線は俺の番だと思っている。何度も力を示してきた。たぶん、フィゲイレード戦は俺の番じゃなかったんだろう。でも、もっとうまくなって戻って来られると分かっている。チームも俺も何度もあの試合を振り返ったし、分析もして改善できるところは分かっている。常に改善の余地はあるし、俺はパーフェクトを狙っている。フィゲイレードに勝ってもらって、またやれたらいいなと本気で願うよ。次はタイトルをかけた戦いだ」
▼バンタム級 5分3R〇ラオーニ・バルセロス(ブラジル/136lbs/61.69kg)[判定3-0] ※30-27、29-28×2×サイード・ヌルマゴメドフ(ロシア/136lbs/61.69kg)
バルセロスはMMA14勝1敗。RFAからUFC入り後3連続フィニッシュ勝利している。対するヌルマゴメドフはUFCデビューから2連勝中。2019年2月の前戦ではUFC3連勝中だったヒカルド・ハモスを1Rにボディへの後ろ蹴り&パウンドでKO勝ちを決めている。
1R、ともにオーソドックス構え。二段蹴り、バックイフィスト、後ろ蹴りも見せるヌルマゴメドフ。右の蹴りはブラジリアンキックも。バルセロスはその回転技の軌道を見ながら右ロー。打ち終わりに右フックで飛び込む。さらに後ろ蹴りの打ち終わりにバックにつくバルセロスだがボディロックからの投げはヌルマゴメドフが倒れず離れる。今度はヌルマゴメドフはダブルレッグで組んだところでホーン。
2R、オーソから左ローをダブルで突くヌルマゴメドフは左ハイも。バルセロスも右ロー。ヌルマゴメドフの組みを突き放すとそこにヌルマゴメドフはバックフィストを狙う。ガードの上に左フックはヌルマゴメドフ。バルセロスのワンツーはまだ距離が遠い。関節蹴りも見せるヌルマゴメドフはニータップからテイクダウン狙いもいなして背後につくバルセロス! スタンドバックから崩そうとするバルセロスだが、中腰のヌルマゴメドフは背後にヒジ打ち。ついに背中に飛び乗ったバルセロスだがホーン。
3R、互いにローの打ち合いからバックフィストはヌルマゴメドフ。かわすバルセロスはヌルマゴメドフの左ジャブの打ち終わりに右をかぶせる。右で差して押し込むバルセロス。離れ際に両者近距離でヒジの打ち合い! バルセロスの右ローにヌルマゴメドフは左ロー! さらに右オーバーハンド! しかし右の高い後ろ廻し蹴りを掴んだバルセロスがテイクダウン! レッグドラッグ気味になるところをハーフからガードに戻そうとするところを肩で寝かせてバック奪うバルセロス。しかしヌルマゴメドフも首投げで前方に送り出しスタンドに戻してホーン。
判定は3-0(30-27、29-28×2)でバルセロスが勝利。UFC4連勝を決めた。
◆ラオーニ・バルセロス「今回の勝利で俺のランキングが上がるだろう」
「ヌルマゴメドフと対戦するために今回が3度目のフルキャンプだった。相手がどれだけ危険か分かっていたからかなり慎重だった。いつもオクタゴンに上がるときはゲームプランに沿って進めようとしている。相手をノックアウトするか一本を取るか。何度か関節技をかけにいったんだけど、できなかった。ストライキングが少し厄介で、でも、すでにみんながタフな試合になることは予想していただろうし、そうなったと思う。
彼と戦えたことは嬉しいよ。ロシアでは有名な人だし、地元の団体ではチャンピオンだった人だ。今回の勝利で俺のランキングが上がるだろうから、MMAやUFCの世界で注目されるようになるはずだ。とにかく成長し続けたい。俺は自分自身に厳しい。前回の試合も今回も、いくつか細かいところが気になる。特にストライキング。これは取り組んでいかないといけない。そのせいで試合中に何度か食らってしまったけど、トレーニングして、そういうところを正していかないといけない。そして、もっと強くなって戻ってくる。いつかチャンピオンになるために戦えるようにね」
▼女子ストロー級 5分3R×ミランダ・グレンジャー(米国/116lbs/52.62kg)[1R 3分43秒 リアネイキドチョーク]〇アマンダ・レモス(ブラジル/116lbs/52.62kg)※亀のグレンジャーにサイドからチョーク極める
◆アマンダ・レモス「対戦相手を選ぶつもりはないけれど、もっと戦うチャンスがほしい」
「戦えずに本当に辛い時期が続いていたけど、神様のおかげで戻ってこられた。復帰できて本当に嬉しいし、勝利を持ち帰れるなんてもっとスペシャル。自分の気持ちを言葉にできない。戻って来られたことが最高だし、自分の階級で戦えたことが最高。ストロー級は私が一番調子の良いところだし、チャンピオンになるまでこの階級で戦い続けるつもりよ。
リアネイキドチョークは私がずっとトレーニングしていたポジションだし、かなり強いと思っている。自分の復帰戦で、最高の形でそれを使えてよかった。対戦相手を選ぶつもりはないけれど、もっと戦うチャンスがほしい。自分の力を見せて、それぞれの試合ごとに進化しているところを見せたい。ブラジリアで戦いたいわ。地元で戦えれば最高よね」
▼バンタム級 5分3R〇アラテン・ヘイリ(中国/136lbs/61.69kg)[判定2-1] ※29-28×2,28-29×ライアン・ブノワ(米国/136lbs/61.69kg)
◆アラテン・ヘイリ「UFCが用意した相手なら誰とでもやる」
「第1ラウンドで相手の力を試そうとしてみたんだけど、思っていた以上に相手がタフだってことに気づいた。第2ラウンドはパンチを打ち始めながらコンビネーションも打っていって、第3ラウンドはレスリングを仕掛けられたし、予定していたことができたと思う。最後は勝ててうれしい。これからもトレーニングに励んで戦い続ける。まだまだ学ぶことがたくさんあるし、この階級にはたくさんの素晴らしいファイターがいる。UFCが次に用意してくれる相手なら誰とでもやるつもりだ」