写真は前戦でのもの。今回は立場を変えた再戦となる(C)Zuffa LLC/UFC
2026年9月19日(日本時間20日)米国ロサンゼルスのクリプト・ドットコム・アリーナにて『UFC 331』(U-NEXT/UFC Fight Pass配信)が開催される。
メインイベントは「UFC世界フライ級選手権試合」(5分5R)で、王者ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)に、前王者のアレシャンドレ・パントージャ(ブラジル・1位)が挑戦する9カ月ぶりの再戦となった。
▼UFC世界フライ級選手権試合 5分5R
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)17勝2敗(UFC 7勝1敗)現王者
アレシャンドレ・パントージャ(ブラジル)30勝6敗(UFC 14勝4敗)挑戦者・前王者
8月の会見に続く、9月17日のメディアデーでパントージャは、5月のヴァンvs.平良達郎の5Rにわたる戦いについて「素晴らしい試合だった。ジョシュアはまだすごく若い。あの試合で見せた動きをいろいろと修正できるはずだ。達郎との試合で犯したのと同じミスを、俺との試合でもするとは思っていない。俺は自分の試合をしたい。自分がどれだけ強いかは分かっているし、どうすれば彼の弱点をあらわにできるかも分かっている。俺は長く戦ってきた。プロとして、もう20年近くになるんだ」と語った。
アレシャンドレ・パントージャ「あの敗戦で俺は人間として成長した。今回の試合では、過去最高の自分を見せられると100%確信している」
──最後に試合をしてから、もうすぐ1年になります。打撃で止められたり、一本を取られたりしたわけではなく、自身の動きの中でのケガによってベルトを失い、試合ができない中で、別の人がそのベルトを持っているのを見てきた、この10カ月ほどは、ご自身にとってどのような時間でしたか?
「そうだね、長い10カ月だった。ずっと懸命に取り組んできたよ。2年間王者として、5試合くらいタイトルマッチを戦ってきたから、ある意味では少し休んで、家族との時間や自分の時間を楽しめたのはよかったと思う。でも同時に、もう一度頂点に立ちたいという気持ちにすごく飢えているんだ。
ジョシュア・ヴァンとの試合から、わずか2日後にはジムに戻って練習を始めていた。ジムから長く離れすぎると、またこの高いレベルに戻すのが大変になると分かっていたからね(※ヴァン戦=2025年12月『UFC 323』で負傷による1R TKO負け)。だから、大きなケガをした後でも、あれだけ早く戻ったんだ。ひどい脱臼だったよ。それと、自分の階級がこれだけ注目されているのを見られたのも嬉しかった。この間、いい試合をたくさん見たし、トップ10の顔ぶれもほとんど入れ替わった。フライ級では本当に素晴らしい試合が続いていたんだ。
そして今回、ここロサンゼルスのメインイベントでジョシュアと戦うのは、すごく特別なことだと思う。フライ級にとって、新しい時代の始まりなんじゃないかな。今はみんな、この階級がUFCでも屈指の面白い階級だと認め始めているし、その技術も評価してくれている。俺はUFCで戦ってきた間、ずっとそのことを言い続けてきた。フライ級では世界最高の試合が見られるんだってね」
──ジョシュアに勝てば、デイヴソン・フィゲイレード(バンタム級9位)、ブランドン・モレノ(フライ級8位)に続き、フライ級王座を奪還した王者になります。ジョシュアからベルトを取り戻すことは、初めてベルトを獲得したとき以上の意味を持ちますか?
「俺はこれまでずっと、自分自身に集中してきた。デメトリアス・ジョンソンやフィゲイレードの記録を気にしているわけじゃない。フィゲイレードはすごくいいファイターだし、モレノもそうだ。2人とも素晴らしいファイターだけど、これは俺自身の人生だからね。初めて獲ったときと同じような気持ちになると思う。ベルトを勝ち獲るたびに、俺もチームも、もう一度頂点をつかみにいくんだと分かっている。世界王者になれたと喜んでいられるのは、その一晩だけなんだ。日曜に祝ったら、月曜にはジムに戻って、また練習を始める。もう一度世界最高のファイターになるために、自分が世界王者なんだとみんなに示すためにね。
今も同じだ。俺にはそのチャンスがある。そして今、一番違うと感じているのは、挑戦者のジョシュアと戦うんじゃなく、王者のジョシュアと戦うということなんだ。今の俺には、その響きのほうがずっといい。俺は世界最高のファイターと戦うために、人生をかけて戦ってきたからね。今回の試合では、世界王者を倒すチャンスがあるんだ」
──ジョシュアの平良達郎(フライ級4位)との試合をご覧になって、それまで見えていなかったジョシュアの力が見えましたか? あるいは、その前の数試合では見えていなかった、ご自身がつけ込めそうな部分が見つかりましたか(※ヴァンの平良戦=2026年5月『UFC 328』で5R1分32秒、ヴァンがTKO勝ち)?
「今年のベストファイトの一つだったね。2人とも2000年以降に生まれたという点でも、すごく特別な試合だった。本当にすごいことだよ。UFCがこの先もずっと続いていくと、みんなに示すような試合だった。若いファンがたくさんいるし、UFCで戦いたいと思っている若いファンもたくさんいる。多くの子どもたちにとって、それが夢なんだ。自分の置かれている状況を変えたい、お金を稼ぎたい、世界王者になりたい。俺がこの競技を始めたときも、同じ夢を持っていたよ。
あの試合は素晴らしかった。ジョシュアはいろいろな優れた技術を見せて、自分が正真正銘の王者なんだとみんなに示した。彼には、それを証明する必要があったと思う。そして証明したことで、俺との試合もみんなにとってさらに興味深いものになった。彼は一度、王座を防衛した。でも今度は、俺と戦う番だ」
──フィラデルフィアでの記者会見についても伺います。お二人の間であのようなやり取りになるとは、誰も予想していなかったと思います。ジョシュアの発言を聞いて、最初はどう感じましたか? その後、あなたが立ち上がり、デイナ・ホワイトが止めに入りました。メディアの前であなたが怒る姿もほとんど見たことがありません。あのやり取りによって、ファンの目にも、この試合がさらに熱を帯びたものとして映ったと思いますか?
「彼はすごくいい仕事をしたと思うよ。それは認めないとね。俺は立ち上がって、少し礼儀を教えてやろうとしたんだ。俺は90年代を知っている世代だからね。あの頃は、母親に失礼なことをしたら、父親にひっぱたかれたものだ。あのときは、ちょっとそんなことを考えていた。でもデイナに止められたんだ。とはいえ、彼は本当にいい仕事をしたと思う。この試合への注目が、さらに集まっただろうからね。
これは素晴らしい試合だよ。俺自身、UFCの大ファンだし、今はすごくいいチャンスをもらっている。こんなことは今までなかったと思う。UFCではいろいろな試合を見てきたけど、こういう形の試合は見たことがない。この物語の主役の一人になれて嬉しいよ」
──お子さんは何人いらっしゃるんですか?
「2人いるよ。15歳と12歳だ。2人ともすごくいい子だけど、ときにはそばに呼んで叱りつけないといけない。ジョシュアにも、同じことをしようとしたのかもしれないね。同じような気持ちになったんだ」
──UFCやファンの間でフライ級の評価が高まり続けているという話になります。そうした状況を踏まえると、今回の試合ではベルトを取り戻すだけでなく、素晴らしいパフォーマンスを見せることも重要だと感じていますか? 今後もUFCが、今回のようにフライ級の試合にしっかりとスポットライトを当て続けてくれるように、という意味で。
「本当に素晴らしい時期だね。ここロサンゼルスでメインイベントを任せてもらえるんだ。素晴らしい対戦カードが揃っているし、俺たちの試合には、ここまでの物語もある。俺はああいう形でベルトを失った。そして今、同じ相手と戦って、もう一度王者になるチャンスを手にしている。フライ級にとって、すごくいいことだと思うし、俺たちがそれを実現させたんだ。その一翼を担えたことが本当に嬉しい。自分の階級の価値を訴え続けて、そこでたくさんのいい試合が生まれているのを見られるんだからね。
トップ10がすっかり入れ替わったと言ったけど、もちろん、以前から残っている名前もいくつかある。でも、新しくて勢いのある、すごく楽しみなファイターたちが入ってきている。俺はもう一度ベルトを手にして、この階級の相手をまた全員倒したいんだ」
──あの大きなケガからの復帰について、いろいろと聞かれると思います。一方で、ケガを治しながら外から状況を見る時間があったことで、以前よりも手ごわいファイターになれたと感じる部分はありますか?
「すごくいい機会をもらったと思っている。あの試合から学んだことがあるんだ。自分に起きることの一つひとつを通して、よりよい人間になろうとしている。よりよい人間になろうとしなければ、よりよいファイターにもなれないと思うからね。あの敗戦で、俺は人間として成長した。今回の試合では、過去最高の自分を見せられると100%確信している。それをみんなに見せるのが待ちきれないよ」
──CRフラメンゴの試合は見られそうですか?
「見られるようにするよ。何とかね。コーチ次第かな。コーチ、明日はフラメンゴの試合を見てもいい? よし、大丈夫だ(笑)」
次はマネル・ケイプだ。彼と戦うのが俺になるようにしっかり勝ちたい
──今回の試合後、どちらがフライ級王者になっていても、次の挑戦者はマネル・ケイプ(フライ級2位)になりそうです。ここ数試合で結果を残し、この位置まで上がってきた彼をどう評価していますか?
「100%同意するよ。次はマネル・ケイプだ。誰が彼と戦うことになるかは分からないけど、俺であってほしいね。マネルは世界でも最高のファイターの一人だ。長い間戦ってきたし、俺と同じ、古い世代の人間だよ。彼のように長く戦い続けてきた男が、キャリアの中でこういう瞬間を迎えようとしているのを見るのは喜ばしい。次はぜひ彼と戦いたい。ベルトを懸けて戦えるなら、なおさらいい。数年前、彼のUFCデビュー戦の相手を務めたのは俺だった。今、また戦うチャンスがあるんだ。彼と戦うのが俺になるように、しっかり勝ちたいね(※ケイプ戦=2021年2月『UFCファイトナイト・ラスベガス18』でパントージャが判定勝ち)」
──舞台裏の映像もいくつか公開されています。アメリカントップチーム(ATT)のチームメイトであるアルマン・ツァルキャン(ライト級2位)と、今回のキャンプを一緒に過ごしていかがでしたか? 今回はお二人で、このイベントの中心を担うことになります。
「アルマンは世界最高のアスリートの一人だ。何をやっても本当に上手いし、決して立ち止まらない。UFC以外でもいろいろな試合に出ていて、常に動き続けているんだ。俺が所属するアメリカントップチームには、世界最高のファイターたちがいる。素晴らしいジムだよ。最高のコーチたちがいる、世界最高のジムだ。そこにアルマンが来てくれるのは、俺たちにとってすごくいいことなんだ。彼のように優れた仲間がいてくれるのはね」
──今回の試合に向けて、アメリカントップチームでツァルキャンと一緒に、コーチのパルンピーニャの下で練習されてきました。世界トップクラスのファイター2人が、同じ日に行われるハイレベルな試合に向けて一緒に準備することは、ご自身のレベルアップや、もうひと踏ん張りする力にどうつながっていますか?
「アルマンはジムに来て、パルンピーニャと長い間練習している。俺たちは同じコーチに教わっているんだ。俺にとっては、長年この競技で最高のコーチだよ。そのコーチがこうして評価されているのは、本当に嬉しい。教え子2人がメインイベントとセミメインイベントに出場するんだからね。彼はそれにふさわしい人だと思う。そしてアルマンは素晴らしいアスリートだ。いつだって体が仕上がっている。ジムのみんなにとって、すごくいい刺激になっているよ」
──その試合は、どのような結果になると予想していますか?
「マウリシオ・ルフィ(ライト級7位)は素晴らしいファイターで、本当に才能がある。ただ、ブノワ・サン・ドニ(ライト級6位)との試合では、ツァルキャンがつけ込めそうな部分も見えたと思う(※ルフィのサン・ドニ戦=2025年9月『UFCファイトナイト・パリ』で2R 2分56秒一本負け)。ツァルキャンは組み技がすごく強い。そういう展開に持ち込めれば、見事なサブミッションで勝てると思うよ」
──あなたもルフィもブラジル人です。同じブラジル人の対戦相手を応援することに難しさはありますか? それともいつでもチームメイトを応援するのでしょうか?
「ルフィは素晴らしい男で、すごく才能がある。彼のキャリアが上手くいっているのは、本当に嬉しいよ。これまで成し遂げてきたことも、ホワイトハウスで戦うチャンスをもらって、ああいう形で試合を決めたこともね(※ルフィのチャンドラー戦=2026年6月『UFC Freedom 250』で1R 4分29秒TKO勝ち)。素晴らしいファイターだし、彼の成功を心から願っている。でもこういうときは、それぞれを分けて考えないといけない。結局、俺たちはアスリートなんだ。もちろん、この競技はものすごく激しいものに聞こえるだろうし、ほかのスポーツとは違う。オクタゴンの中には自分を殺すつもりで向かってくる相手がいる。それは本当のことなんだ。俺たちは10カ月かけて、相手を仕留めるための準備をしている。普通とは違うよ。それでも、彼らの成功も幸運も願っている。でも俺は、いつでも自分のチームの味方だ」
──あるインタビューで、この試合を“売り込む”のはもう終わりだとおっしゃっていました。早くグローブを着けて試合で決着をつけたい中で、言葉の応酬を続けるのは、どれほど消耗するものですか?
「試合まで時間があるうちは、別にいいんだ。でも、いよいよその日が近づいてくるとね。そこまでに、いろいろなことをやってきている。俺にとっては、10カ月間ずっとトレーニングキャンプをしていたようなものなんだ。長い時間だよ。その間には、たくさん話すこともできる。ジョシュアは話すのが好きだね。そういう性格なんだ。俺とは全然違う。でも、ある意味ではいいことだ。試合をすごくうまく盛り上げてくれたからね。今ここでこうして話すことも、仕事の一部だと分かっている。だから、みんなと話すためにここにいる。でも本当にやりたいのは、自分が得意なことなんだ。俺の英語はひどいだろ。すごくシャイだし、あまり自分のことを表に出すタイプじゃない。家にいて、子どもたちと映画を見たり、一緒にテレビゲームをしたりするのが好きなんだ。それが俺だよ。すごく退屈な男なんだ。でも、それが好きなんだよ。ほかの人から見たら退屈でも構わない。家族と過ごす、今の生活が大好きなんだ。
でも、自分が世界最高のファイターになるところまで、あと少しだということは、100%確信している。それが俺の夢なんだ。すごく若い頃から言い続けてきた。世界最高のファイターたちと戦いたい。自分の力を証明したいからね。自分こそが一番なんだと。それを証明するために、ジムで懸命に練習している。今回の試合は、俺が人生を通して待ち望んできた日なんだ」







