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コラム

【RIZIN】いよいよ決戦!どうなるシェイドゥラエフvs.AJ・マッキー「彼にとって今までの試合とは全然違うものになる」(AJ)──識者予想は?

2026/09/07 23:09
 2026年9月10日(木)京セラドーム大阪で『超RIZIN.5 浪速の超復活祭り』が開催される。  メインイベントとして発表された「RIZINフェザー級タイトルマッチ&PFLフェザー級王座決定戦」ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)vs.AJ・マッキー(米国)の注目のWタイトルマッチはどうなるか? 本誌インタビューと、ファイターたちの言葉から、その見どころを紹介したい。 ▼第8試合 RIZINフェザー級(66.0kg)タイトルマッチ&PFLフェザー級王座決定戦 5分3R ※RIZIN MMAルールラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)25勝2敗AJ・マッキー(米国)19勝0敗  シェイドゥラエフとAJが、2つのベルトを賭けて戦うメインのルールは「RIZINルール」の5分3Rと発表された。ユニファイドの145ポンド(65.8kg)ではなく、RIZINフェザー級の66.0kgで行われる。  この試合はPFLのベルトもかかるため(※PFLのタイトルマッチは通常5分5R)、榊原信行CEOはカード発表時に「ルール未定」で話し合いが必要としていたが、AJ・マッキーも希望していた通り、RIZINルールの5分3Rに決定。ジャッジもRIZINのデュアルマストシステムで行われる。 AJ「彼がこれまで戦ってきたファイターとは違う」  AJは、22年10月のスパイク・カーライル戦からライト級に転向。ホベルト・サトシ・ソウザ、シドニー・アウトロー、クレイ・コラード相手に4連勝も、24年10月のポール・ヒューズ戦でスプリット判定負け。  25年7月の次戦で当時11勝1敗のアフマド・マゴメドフとの試合からフェザー級に戻し、アダム・ボリッチ(当時20勝3敗)、サラマット・イスブラエフ(当時10勝0敗・全フィニッシュ勝利)にいずれも判定勝ち。この3試合のフェザー級戦は、王座戦以外の+1ポンド許容規定が適用された146ポンド(66.22kg)で戦ってきた。  つまり今回のRIZINフェザー級の66.0kgは、PFL王座戦の65.8kgより200g重く、AJがここ3試合を戦ってきた66.22kgより220g軽い体重ということになる。  AJは「俺は155ポンド(ライト級)でも戦ってきたけど、みんな俺が145ポンド(フェザー級)の選手だって知ってるだろ? 145ポンドに戻った俺はより獰猛で、よりハングリー。それが俺のアドバンテージになっている。相手(シェイドゥラエフ)は、バンタム級から階級を上げてきたファイターだし、彼がこれまで戦ってきたフェザー級ファイターと俺の試合は違う。試合前には想像もつかないはずだ」と自信を見せている。  7月20日に行われた会見で対峙した両者。 身長170cmのシェイドゥラエフに対し、AJは身長178cm。その大きさは際立っていた。  榊原CEOは、「いろんな人たちが色々な角度で想定するけど、シェイドゥラエフはAJほどキャリアがあって強い選手とはまだやっていない。フィジカルも元々ライトの選手だから。AJはこの前の会見てもだいぶ大きさが違う。日本に2泊だけでわざわざ飛んできてくれたから『じゃあ、夜ご飯行こう』って言ったら、『いや、もうウェイトコントロールに入ってるから、榊原、もう肉は食べない、もう野菜しか食ってないんだ。9月10日、最高のパフォーマンスを見せて終わったら和牛を食べさせてくれ』と。もうそこに向けての準備をしていた。それぐらいやっぱり大きいんだよ。2カ月前からきちっとコントロールしないと、66(kg)なんて作れない身体なんだ」と、通常体重と試合時のギャップを語っている。  米国カリフォルニア州ロングビーチから、日本で2度目の試合のために来日するマッキー、キルギスビシュケクから日本で8度目の試合に臨むシェイドゥラエフ。両者はどんな身体で試合に向かうか。 [nextpage] 初めてシェイドライフが「問われる試合」(青木)  RIZIN公式&ABEMAの『超RIZIN.5 国民超予想SP』に出演した青木真也と平本蓮は、メインの勝敗予想で割れた。  2012年大晦日の『DREAM.18 & GLORY 4』でアントニオ・マッキーと対戦(※青木が2R、右オーバーハンドでTKO勝ち)している青木は、「AJ・マッキーの親父、いいヤツだったんですね。あの当時の非UFC最強みたいな選手だった」と、AJの幼少期からレスリングやグラップリング、MMAを指導してきたアントニオ・マッキーの存在をあげる。 (C)PFL  アントニオの指導を受けたAJは、カリフォルニア州のジュニアカレッジ王者に輝くなど、カレッジレスリングでも149ポンド級で28勝1敗。それを来るべき日のために打撃とともにMMAに落とし込んできた。  青木は、自身のSNSでシェイドゥラエフの爆発力を認めながらも、「5分3Rの全ラウンドをシェイドゥラエフがいつものように体力と圧力で押し切るのは難しい。シビアなポイントゲームになる。AJはボクシング&レスリング、サブミッションディフェンスも強い。ポイントメイク、ゲームの作り方、競技のうまさみたいなところで一枚上手なんじゃないか。競い合う競技ゲームみたいなものがまだできていない粗削りな状態で、AJ・マッキーを勢いで超えることは難しいと思う」と、AJ有利と語る。  試合の見立てとしては「“初めてシェイドライフが問われる試合”になるんじゃないか」という。  19戦無敗のシェイドゥラエフについて、「いきなりある程度のレベルとやらしちゃうのはちょっとハードかなと。僕は正直“まだ分かんない”と思ってるタイプです。これまでの勝ち方がすごい印象的で強いから“すげえ”って目線で見ちゃう気持ちも分からなくもないけど、裏を返すと勝ち方がいいがゆえに、まだ全容を見せてない。だから初めて“競った試合”をさせられちゃうというか。そうなると(実力が)“めくれる”可能性はあるなと。(19戦無敗で判定決着がないが)勝ち目がいいから幻想を抱きやすい」と、プロ全戦で2Rまでにフィニッシュしているシェイドゥラエフの真価が問われる試合になるとした。 AJは「組み勝てなかった時」に打撃が粗い(平本)  一方の平本は、両者の打撃面において、シェイドゥラエフに分があるとする。 「AJは、サトシにもしっかり判定で勝ってるし、サイズ感と、直近のAJの試合は無敗のロシア人(サラマット・イスブラエフ=ロシア出身・カザフスタン国籍)からマウント獲って、ヒジでボコボコにしてる映像を“すっげえ強えな”と思って見たんです。  でも、その逆に負けパターンも見てみようと思って、ポール・ヒューズって、めっちゃ強いアイランドの選手とAJはライト級で戦ったんですけど、見返してみたら結構そのポール・ヒューズと戦い方というか、佇まいというか、プレッシャーのかけ方がシェイドゥラエフとすごい似てるんですよ。ライト級なんでパワーは違うにしろ、あんまりシェイドゥラエフのパワーと変わんないんじゃないかなと思っていて。むしろシェイドゥラエフの方が速いし、ポール・ヒューズ戦でマッキーとしては1ラウンド目でちょっと最後やられかけてるというか、ブザーで救われたんです。  AJ・マッキーは打撃も強いイメージはあるんですけど、やっぱり“組み勝てる相手”だと冷静に打撃のコンビネーションとかいいんですけど、“組み勝てなかった”時に結構、打撃が粗いんです。その時、やっぱりシェイドゥラエフはレスリングだけじゃなく、パンチ力もやっぱり半端ないと思ってるんで。だから(シェイドゥラエフが)プレッシャーかけてかけて、テイクダウンとかを凌いだ後の展開で、AJがちょっと振った時とかに、シェイドゥラエフの右のオーバー(ハンド)とかストレートとかは、ああいうプレッシャーかけて打てる選手だし、シェイドゥラエフは蹴れるし、GLORYチャンピオンの久保(優太)にビビらずに殴りに行ける。意外に結構(AJに)しんどい試合になるんじゃないかなって。  あくまで過去の見た試合のデータでしか言えないけど、シェイドゥラエフは無敗でやっぱり自信満々だと思う。AJとポール・ヒューズの試合を見た限りだと、結構シェイドゥラエフ有利なのかなと。結構似てるんですよね、シェイドゥラエフの構え方とプレッシャーのかけ方が(ポール・ヒューズに)」と、ライト級戦ながらAJの組みを切って右の打撃を入れたヒューズの試合から、シェイドゥラエフにとって優位な展開が考えられるとした。  さらに平本は、25勝2敗のAJのもう一つの黒星からも、シェイドゥラエフの打撃のアドバンテージを語る。 「AJは、(パトリシオ)ピットブルの飛び込みの右とか意外にもらったりとかもしている。シェイドゥラエフはパワーだけじゃなく、柔らかくて速い。予備動作がない。たぶん体感したらすごく速いんだろうなと。外から見てるより前から(対峙して)見た時のスピード感がたぶんパンチが当たるまでが(速く感じる)。しっかり高いガードで(相手の攻撃を)外すのも上手いし。ディフェンス(ガード)に頼るより、しっかり距離で外しているなって。目がいい=打たれ強いだと思ってるんで。自分がやるんだったら、どう崩すんだろうと考えます」と、剛のイメージのRIZIN王者の柔軟でスピーディーな動きが、難攻不落にしているとした。  決めどころを知るフィニッシャーのシェイドゥラエフだが、攻め込んでも闇雲には行かず、フェントを入れて打って離れてという戦いが出来るクレバーな面も持つ。スタンドで始まるMMAで、先に優位に立つのはどちらか。 [nextpage] シェイドゥラエフの右が入る可能性は──(久保)  シェイドゥラエフと唯一「2度戦った」久保優太は、スタンドの展開で、サウスポーのAJ相手にオーソのシェイドゥラエフが右を当てる可能性があるという。  久保は2024年の大晦日のシェイドゥラエフ戦で1Rを凌ぎ、2Rにパウンドアウト。2026年4月の2度目の対戦で同じく1R TKO負けを喫している。  自身のYouTubeで「シェイドゥラエフはバケモノ。とにかく打撃が強いし、組んでからのテイクダウンする技術やコントロールだったり、本当に臨機応変に極める強さがある。(フアン)アーチュレッタに両脇差されていても上を取っちゃうフィジカルだったり、バックチョーク、腕十字、パウンド……フェザー級で今一番“当たったら事故る”選手」と、その強さを語る。  一方でAJについては、「コンプリートファイターに近い。サウスポーでリーチが長くて、左のパンチ、左のキックなど蹴りもパンチも両方で試合を組み立てられたりとか、キロチンもすごくて。組み技でも、サトシ選手とやった試合を見てもサトシ選手が4の字バックを取ってる状態からくるんと身体を回転させて腕を巻いて前に落として逃げるっていう、本当にスクランブルの展開が強い」と、穴が無く、スクランブルの上手さがあるという。  身長170cm・リーチ174cmのシェイドゥラエフに対し、AJは身長178cm・リーチで187cmと大きく上回る。また、パンチのみならず長い距離のキックや、関節蹴りなどで間合いを保ちながら自身のペースで戦う。しかし、シェイドゥラエフにはそれを無効化する踏み込みのスピードがある。  サウスポーの久保は、同じサウスポー構えのAJが対シェイドゥラエフにおいて陥る可能性がある立ち位置について語る。 「AJは、立ち技の展開で僕がやったとき感じたけど、サウスポーのセオリー通りの右(外足の位置)を取るっていうやり方だとシェイドゥラエフのあの右のパンチ、ストレート、フックが見えづらくて食らっちゃう。AJがサウスポーの王道の戦いっていうか、結構左ミドルとか、左ストレート、右を取って前の手を出してリーチを測りながら戦うっていうタイプだから、それがどう出るかっていう感じ。ワンチャン、もしかして立ちの展開でシェイドゥラエフの右が入る可能性がある」と、通常の外足を取る位置取りだと、右を被弾することもありうるとした。  27戦してKO負けや一本負けがひとつもないAJ。ともに組み技も得意とするが、その組みの優劣が打撃に影響し、打撃の優劣が組みに影響するのがMMAだ。そしてその打撃は、MMAではスタンドのときばかりではない。  シェイドゥラエフと肌を合わせた久保は「寝技の展開ではどちらも極められなさそうで、立ちでシェイドゥラエフが右で当てて勝つ可能性があるのかなと。シェイドゥラエフがタックルに行った時に逆にAJのギロチンチョークとかがカウンターで入る可能性もあるし、こういう(五分五分の)展開なのかなって。  勝負の鍵は、シェイドゥラエフがどれだけ底が見えるかっていう。(対北米では)Bellatorの(フアン)アーチュレッタとやっているけど、同じフェザー級とはいえ、AJ・マッキーはデカいから。シェイドゥラエフのパウンドとか──あのパンチは本当、桁違いのパンチ。僕もめっちゃ手がデカいけど、シェイドゥラエフと握手した時の手のゴツさって、結構ヤバかった。そういったパンチ力っていう点でパウンドがどうなるかっていう。極めは、AJ・マッキーはサトシ選手でも極められなかったから、そのAJがシェイドゥラエフの極めを食らうとは思えない。AJは下からのヒジもすごい。シェイドゥラエフも上取ってるだけだと一筋縄ではいかない。シェイドゥラエフって全フィニッシュ中だけど、本当に判定の勝利、判定の展開が初めて見れるんじゃないかなって」と、サブミッションの極めに至らなくてもシェイドゥラエフにはパウンドの脅威があり、そこで判定決着になる可能性もあげる。 [nextpage] 2RからはAJのラウンド(サトシ)  2022年大晦日の「RIZIN×BELLATOR全面対抗戦」でAJ・マッキーと対戦し、判定で敗れたホベルト・サトシ・ソウザは、直に肌を合わせたAJの強さについて、鈴木博昭と自身のYouTubeで「AJは打撃が重い。コンビネーションがいつも違う。たまにいつもやっていない動きをするのが難しい。彼(AJ)がサウスポーの人で、キックとかグラウンドとか打撃なのか、何でもできるから」と、MMAの引き出しの多さが予想外だったという。  その上でシェイドゥラエフvs.AJを、「1Rはシェイドゥラエフが勝つチャンスが多い、2RからはAJだなと思う。今までシェイドゥラエフはいつも1Rか2R、(プロでは)3Rまで行っていないから」と、3Rまで長引いた場合のシェイドゥラエフの動きが未知数であるとした。 シェイドゥラエフ、唯一の「3R 判定決着」は最終回に勝利を決定づけた  19戦19勝全フィニッシュ勝利のシェイドゥラエフは実は、公式試合として「判定決着」を戦っている。22年11月の『GAMMA: Asian-Pacific Championships』で、カザフスタンのコシェン・アカノフと対戦し、判定勝ちで辛勝といえる内容だった。  シェイドゥラエフにとって記録される唯一の判定決着であるこのアマチュアの試合は「3分3R」ではあったが、レスリングの強いアカノフを相手に2Rにボディロックテイクダウンを奪われ、テイクダウンを切られて、自身の右に右スマッシュを合わせられるなど、苦戦した。  しかし、シェイドゥラエフはインターバルで息を吹き返し、最終3Rに打撃でコーナーに詰めてのダブルレッグで相手をリフトして反対コーナーまで運んでスラムしてテイクダウン。トップ攻めで試合を決定づけて判定勝ち。翌日の決勝に駒を進めて三角絞めで一本勝ち、GAMMAフェザー級トーナメントを制している。  本誌の取材にシェイドゥラエフは、この試合を「最も苦しんだ試合」としてあげ、「タイ(パタヤ)に入って翌日の試合で蒸し暑くて体調を壊していた」と明かしている。それでも最終ラウンドに尻上がりに攻勢となって判定勝ちをもぎ取ったこの試合からも、普段から高地トレーニングで心肺機能を強化しているシェイドゥラエフのスタミナの強さを表していた。このアマチュア戦から4年。シェイドゥラエフはさらにMMAレスリングを磨き、スタミナも強化している。 シェイドゥラエフは熊。予想は──(秋元)  一方、シェイドゥラエフvs.AJの勝者と対戦の可能性がある秋元強真は、AJ・マッキー有利を予想する。同時にJTTに練習に来たシェイドゥラエフの動きに驚きがあったことも明かしている。  榊原CEOの番組に出演した秋元は、「AJのリーチ、187cmですか!? ややこしい!」と苦笑するが、JTTで直に見たシェイドゥラエフにも人を越えたものがあるという。 「僕も(シェイドゥラエフの練習を)見たんけど“熊”。動きも怖い。目が怖い。JTTで最初のウォーミングアップで、あの頭でブリッジしてグリングリン後転していて。(シェイドゥラエフの首の太さは) あれ多分、5発殴んないと倒れない。5発クリーンヒットしないと倒れないです」と、獣のような身体を評した。  さらに「いろんな人とローテーションで練習してたけど、シェイドゥラエフ選手が永遠にいろんな人の相手をやっていて一番元気。みんなクタクタになってる時もニコニコしててマジすごいなって」と、RIZIN王者の無尽蔵のスタミナに脱帽する。  8月にフェザー級で元王者のクレベル・コイケに判定勝ちした秋元は、左手の中手骨を骨折したが、「ズレたりしてなくて、2年前にヤマニハ選手とやった時の亀裂骨折みたいな感じ。だから軽症。痛みもだいぶ2年前よりは痛くない」とし、あらためて大晦日出場も視野に入れる。  今回のシェイドゥラエフvs.AJの勝者との対戦の可能性も浮上するが、朝倉未来から「練習時間が数カ月しか取れないんだったら、そんな無理してやる相手じゃない」とアドバイスも受けていた。医師の診断後「むしろ、これで仮に僕が出るってなったら、皆さん心配せず応援してください。『大丈夫』ってことだから」と、年末参戦に前向きだ。 「僕の予想としては……AJ・マッキー選手。世界は広いです」とAJ勝利を予想する秋元は、「でも全然やります。いや、けど勝った方に勝てば、僕がベルト2本ですよね。最高です」と、Wタイトルマッチのその後も2団体の王座戦を望んだ。 [nextpage] AJ「『RIZINルール』で異なる次元の戦いになる」 (C)PFL  19戦中7試合を日本で戦い、その圧勝を目撃してきた日本のファイターやファンにとって、シェイドゥラエフの強さは分かりやすい。 「無敗・全フィニッシュ勝利」の自信がもたらすメンタルは、リング上でも圧力となって現れる。メジャーのベルトを巻いていた試合巧者のAJの懐にも臆せず踏み込んでいくだろう。  同時に、北米でサラマット・イスブラエフ、アダム・ボリッチ、アクメド・マゴメドフといった錚々たる面子と対峙してきた経験豊富なAJは、競った試合を勝ち抜くことに慣れている。  しかし、今回はシェイドゥラエフにとってホームの「RIZINルール」の四角いリングでの戦いだ。そこでAJは、RIZIN王者をいかにさばくか。 「彼がこれまで戦ってきた相手と違い、僕は簡単にテイクダウンを決められたりしない」というAJは、本誌の取材に、その際で活きる「RIZINルール」がシェイドゥラエフだけに有利なわけではないと語る。  これまで日本でもRIZINルール特有の攻撃をあまり見せていないシェイドゥラエフに対し、スクランブルが強いAJは、PRIDE時代からの系譜のRIZINルールを我が意を得たり、と心待ちにしている。 「我々ファイターが戦いに臨むとき、その目的は破壊することだ。他のいかなる戦いや戦争と同じくね。相手の身体に損傷を与え、相手が屈服するまで痛みを与えるのがゴールだ。僕が思うに、サッカーキックは非常に興味深いものだ。きわめて野蛮だけど、だからこそ相手は常に自分の身を護ることを余儀なくされる。 (北米のMMAでは)多くの選手が背中を付けてリラックスしたりしている。相手が立ち上がっている状態でだ。でもサッカーキックがあればそれは困難となる。顔面を蹴られてしまうから。より警戒すべきことが増えるんだよ。特にグラップリングにおいてはね。だって(グラウンド状態にある相手の)顔面にヒザを入れてもいいんだろ? そこで、グラップリングの異なる次元が生まれる。僕は子供の頃からPRIDEを見ていた。RIZINは合法的なストリートファイトで、RIZINルールで戦うことで僕が不利になることはない。今回のファイトキャンプでもしっかりRIZINルールを念頭において、自分のスタイルに落とし込んでいくよ」と、押さえ込み極めることとは対極にあるサッカーキックやグラウンドヒザを、自身のモノにするという。  シェイドゥラエフをみくびることはない。 「彼はこれまでどの試合もすぐに相手を倒してしまっているタフな選手で優れたスキルの持ち主だ。誰もまだ彼が追い込まれたところを見たことがないだろう。拮抗した戦いをした者すらいなくて、全ての相手に圧勝している。僕の前回の相手(イスブラエフ)の時と状況は似ているね。だから自分がやらねばならないことに集中するよ。すなわちリングに上がり、相手をぶちのめし、力の差を見せつけ、最後には必ず勝ち名乗りを受けるってことだ」  そして無敗のキルギス戦士に伝えたいことがあるという。 「奴に知っておいてもらいたいことがある。つまり、“俺は戦いに来る”ってことだ。今までの試合とは全然違うものとなる。俺をKOすることは絶対にできないし、極めることもできない。力尽きてこの体が動かなくなるまで、俺は戦い続ける。  これは僕にとって絶好の機会だ。“僕がなぜ世界最強の選手の一人なのか”を再び見せるためのね。だからRIZINにもすごく感謝しているよ。僕の力を信じてタイトル戦を組んでくれることをね。前回日本でサトシと戦った時は、タイトルは賭けられていなかった。でも今回は違う。家に持ち帰って、壁に掛けるための記念品を得られるんだ。そしていつの日か僕の子供たちや家族に見せるよ。世界中で戦ってきた僕のレガシー、それがどれだけ素晴らしいことだったかをね」  交わるはずがなかったフェザー級の両雄が、9月10日、大阪の地で戦う。最後に2本のベルトを持ってリングを降りるのは1人だ。 [nextpage] 『超RIZIN.5 浪速の超復活祭り』全カード  2026年9月10日(木)開場 14:00(予定)/開始 16:00(予定)※選手名から前戦リポート ▼第8試合 RIZINフェザー級(66.0kg)タイトルマッチ&PFLフェザー級王座決定戦 5分3R ※RIZIN MMAルールラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)AJ・マッキー(米国) ▼第7試合 RIZINライト級(71kg)5分3R朝倉未来(JAPAN TOP TEAM)青木真也(BAMF) ▼第6試合 RIZINライト級(71kg)5分3Rホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術)野村駿太(アメリカントップチーム) ▼第5試合 RIZINフェザー級(66kg)5分3Rカルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)平本 蓮(剛毅會) ▼第4試合 RIZINフェザー級(66kg)5分3R斎藤 裕(パラエストラ小岩)YA-MAN(TARGET SHIBUYA) ▼第3試合 RIZINフェザー級(66kg)5分3Rヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)高木 凌(フリー) ▼第2試合 RIZIN女子スーパーアトム級(49kg)5分3RRENA(SHOOTBOXING/シーザージム)ケイトにTKO勝ち、パク・シウに判定負けナターシャ・クジュティナ(ロシア/Ural and Western Siberia)浜崎に一本勝ち ▼第1試合 RIZIN オープンフィンガーグローブ キックボクシングルール ライト級(71.0kg)3分3R“ブラックパンサー”ベイノア(AKA)宇佐美秀メイソン(team VASILEUS)
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