2026年9月27日(日)東京・TOYOTA ARENA TOKYOにて行われた、WBC世界バンタム級タイトルマッチ3分12Rで、王者・井上拓真(大橋ジム)を判定3-0で敗れた同級1位の挑戦者・那須川天心(帝拳ジム)が試合後インタビューに答えた。
試合終了の瞬間、左手を突き上げた理由を聞かれると「自分的には優勢と言いますか、自分の中ではやったぞっていう感じが出たんじゃないかなって思いました。周りから見てはちょっと分からないですけれど、体感してて腹も効いてたし、顔も嫌がってたし、ダメージ的にも嫌がってたので、ボクシングで負けたなっていう感じでしたね」と、自分的には勝ったとの感覚があったからと答えた。
「しっかりポイントで、向こうは絶対ボクシングしてくるだろうなと思ったので、僕もそこで負けちゃいけないなというので駆け引きをしていたんですけれど、そこでポイントを取られていたんですね。ボクシングで負けたなって感じです」と、ボクシングのポイントの取り方で井上の方が一枚上手だったとの感想。
同席した葛西裕一トレーナーは「最初の4Rの採点はびっくりしましたね。ドローでもしょうがないかなって思ってたくらいなんですよ。3ポイント取ってるのかな、でも同点でもしょうがないと思ってたところを、それはちょっと…」と、セコンドとして最初の4Rは3ポイントリード、悪くてもドローだと思っていたという。
「この試合は思った通りの試合展開だったので。こんな風に引きずり込んで、本当だったらダウンで終わりだったと思うんですけれど、あれはやっぱり拓真チャンピオンを精神的に生き延びさせてしまったんで、さすがだなという風に思ってます」と話す葛西トレーナー。
「判定になるなら途中でダウン取って判定勝ちですよ。勝敗は想定外でした。途中の細かいラウンドはあるんですけれど、雰囲気も出てたし。リングジェネラルシップも取れてたのかなとは思ってるですけどね。そうしたら1Rからもっと倒しにいかないといけないのかなっていう風になるし、それだと12R戦うボクシングの戦い方に出来ないんでね。なんとなくそれなりのイメージだったんですけどちょっと残念ですね。
ダウンを取ってて負けちゃう。ダウンも前半のうちだったので、ダウンを取ったってことはそのまま優勢でポイントがついてくるはずなんだけれど、ポイントが全然マイナスポイントだったからそれは自分もなんか難しかったですね。主導権はこっちだと思います。アグレッシブなチャンピオンが引いてましたからね。でも最後の方にちょっと攻めてきたりとかするのは上手だなっていう。それはもうチャンピオンだからさすがだなと思ってます」と、那須川同様にポイントでも勝っていたのではという見解。
浜田剛史・帝拳プロモーション代表は「おそらく井上くんは出てくるであろうという風には最初から予想して、迎え打つ。そこで下がらずっていうことはあったわけですけど思ったよりも出てきてなかったと。その流れからして4Rの採点を聞いて、これ取られてるのかということだったんで、ある意味今日の3人のジャッジはそういう取り方っていうのは分かったところで良かったんですけどね。それ以降は葛西にももっと強めに攻めるようにということを言って、それでダウンに繋がったと思いますよね」と、4Rのオープンスコアの時点で今回のジャッジの傾向が分かったとする。
「それで8Rが終わって、採点が聞き取りにくかったんですよ。9Rが始まってる最中に後ろのスタッフに確認取ったらみんな聞き取りにくかったらしくて、1人が『ジャッジの1人は取って、2人が3ポイント取られてます』と。また開いてしまっているのかと。ということは、もう9R目は始まってますから、仮に残り3Rを取ったとしても引き分けになるんですかな。予想よりも差が開いてたので、葛西にはもう1回ダウンを取りに行けという話をしたんですけれど、流れが後半は変えにくかったっていうのはあったですね」と、8Rのオープンスコアも意外な結果だったという。
「ですからこの採点基準を、(ボクシングに携わって)約30年になりますけれど、ボクシングの関係者でさえも真っ二つに別れるところがありますから。この10-10をつけない、常に有劣をつけるの(マストシステム)は難しいもんだっていうのはやっぱり何回やっても思うところですね。今日もまた随分思いましたね」と、ラウンドマストシステムは難しいとの見解を示した。
那須川自身は「難しいです、ボクシング。こんなに難しいかって思いますね。倒すだけがボクシングじゃねえんだなっていう。ダメージだけがボクシングじゃねえんだなっていう。ちょっとしたポイントだったりとか、優位に見せるとか、そこの学びが必要なのかなって思いましたね」と、キックボクシングでは最大限に評価される、倒しに行く姿勢だけでは勝利に結びつかないことを知ったと言い、「経験ですかね。まあ、実力不足ですね」と話す。
7Rにダウンを奪って、本来なら自分の流れになって行くところを8Rは10-9×3で井上が取った。
そのことを聞かれた那須川は「だからそこでポイントが取られたっていうのが、ちょっとなんか自分ではなかなか理解ができないところはありますね、正直。試合を見てみなければ分からないところもあると思うんですけれども。本当、ボクシング難しいなっていうのが改めて思わされるところではありますよね。ちょっと謎。分からないです。もう分からないことだらけですね。
どうしたらポイントを取れるのかも分からないし。僕の場合はずっとポイント取ってボクシングをやろうっていうプランはあまりないって言いますか、倒して勝ちたかったっていうのがあるので、その姿勢とジェネラルシップじゃないですけれど、ここをこう取るというか。プロボクシングですからね。プロとしてっていうところと言うか、自分としては決着をつけたいっていうところで行きすぎてしまった部分はあったのかなとは思ったり…」と、ジャッジのポイントの取り方が分からないとした。
「ポイントの取り方だったりとかそういうところもそうですし、多分それを思っているのは自分だけじゃないというか、皆さんも色々“あれ?”って思うところがたくさんあると思うので。そういうところじゃないですか。でもまあ、別にもう結果は出てしまっているので」と、疑問を投げかけつつも結果は変わらないとする。
自分のボクサーとしての素質に限界を感じたのか、との質問には「限界は感じてないっすよ。だってダウンも取ったし。いや、分からない。自分の中では本当に負けた気してないんですよ。ボクシングで負けたって感じ。ポイントゲームで負けた」と、戦いでは勝ったがポイントゲームで負けた、と語った。