【写真】スプリット判定で長野将大が高橋拓也に勝利。(C)Nobu Yasumura
2019年12月1日(日)GENスポーツパレスにて「ZST in 師走!」が開催された。
原点回帰のパウンド無しのSWAT!ルールで行われたメインとセミファイナル。メインでは、所英男の教え子の長野将大(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)が師匠ゆずりの回転体と中腰からのパンチを織り交ぜ、高橋拓也(ストライプル取手)にスプリットの判定勝ち。セミでは、清水俊裕(総合格闘技宇留野道場)が、長野と同じく所の教え子の萩原一貴と対戦。総合力に勝る清水がマウントからの三角絞めで一本勝ちしている。
グラウンドでの顔面への打撃が無いことで、極めの動きの活性化と同時に、極めるための抑え込みの手順をどこまで省くことができるか、あるいはスピーディに行えるか。SWAT! ルールはより技量が試されるルールともいえる。GTルールで見られた、ときに顔面を晒しながらも極めに至るモダン柔術の流れが、このSWAT! ルールのなかでも活かされるような新たな展開も期待したい新体制下での激闘だった。
▼第12試合 メインイベント SWAT!ルール フライ級 5分2R
〇長野将大(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)
[判定2-1]
×高橋拓也(ストライプル取手)
勝村周一朗氏が新プロデューサーとなり、10月に新体制となったZSTの第一弾興行で所英男の弟子・長野将大と高橋拓也がパウンドなしのSWATルールで激突した。
長野は所英男の教え子。兄の影響で、19歳から格闘技を始め、2017年11月にプロを目指し上京。リバーサルジム武蔵小杉所プラスに入門した。所いわく「岡山から出てきて、お世話になっている先輩から預かった選手。頑張り屋さんで結果も残しているので新体制最初の大会でメインを任せられる」と期待の選手。歌川大輔、金澤臣人に判定負けも、2019年5月の「ZST 65」では宮國要に1R 0分51秒 KO勝ちを収めている。長野は高橋に勝利し、「1月(26日大会)も出ていつかは竿本選手に挑戦したい」と語る。
高橋は、サッカーから17歳でBJJをはじめ総合格闘技に。アマチュアのPRESTIGEからSWAT! に出場、ZST本戦出場を果たした。近年は有川直毅、上田貴央に連勝も2018年8月の「Fighting NEXUS vol.14」ではタイガー石井に判定負けを喫している。山本“KID”徳郁や所英男に憧れて格闘技を始めたこともあり、今回、所の教え子である長野将大との試合に「動きのあるスウィングした試合をして昔のZSTを超えていきたい」とコメントしている。
1R、オーソドックス構え高橋とサウスポー構えの長野。開始早々に右のテンカオでヒザを効かせる高橋は前蹴りも。長野のボディロックに高橋はジャンピングガードで引き込み。腕十字を仕掛けるも、高橋はすぐ立ち上がって回避。中腰からボディにパンチを入れる。ハーフから長野はキムラアームロックで前転、さらに腕十字を仕掛けるが、高橋はまたいで防いで脱出。スタンドに。長野の左ミドルに高橋は右ローで軸足を払うと長野は転倒。しかし下からダブルレッグテイクダウン。今度は高橋がフットチョークを仕掛けながらバックに付く。終盤には、長野がヒールフックを仕掛け、お互いにスピーディーなグラウンドの攻防となった。
2R、右ストレートを被弾しながらも高橋をテイクダウンした長野は上から抑え込みながら腹部へのパウンド。起き上がる高橋は長野のバックに付くも、長野は正対に戻して腕十字へ。これを凌いだ高橋は起き上がりながらカウンターの腕十字を仕掛ける。これを脱出した長野は高橋にバックを取られそうになりながらも凌ぐと、スタンドからグラウンドの高橋のボディ目掛けてパウンドを連打。このラウンドも目まぐるしい攻防となり、判定へ。2-1の僅差で長野が勝利した。
グラウンドで顔面へのパウンドが無いことによる抑え込みよりも極めの回転、中腰からのボディへのパウンドはSWAT! ルールらしさとMMAルールとの差異を感じさせる試合となった。精度の高いスタンドと組み・極めの過程も含めた、このルールならではのZSTスペシャルファイターの登場に期待が高まるメインの試合だった。
▼第11試合 セミファイナル SWAT!ルール バンタム級 5分2R
〇清水俊裕(総合格闘技宇留野道場)
[2R 0分26秒 三角絞め]
×萩原一貴(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)
リングネームをライダーHIROにするなど大の仮面ライダー好きとして知られ、長らくZSTで活躍する清水三兄弟の次男がセミに登場、所英男の弟子・萩原と対戦した。
1R開始早々に、中央へ走りこんだ萩原の左前蹴りにバランスを崩す清水は、シングルレッグで萩原をテイクダウン。ガードの足をさばかれた萩原は下からアンクル狙いも潰していく清水。顔面を狙われる体勢だが、この試合はSWAT! ルール。
萩原は積極的に下から三角絞めを仕掛け、首を抜いて脱出した清水の足をキャッチしヒールフックへ。これを潰してディフェンスした清水は萩原のバックに付いてチョーク狙い。極まらないとみるや、腕十字、オモプラッタで萩原を攻める。粘る萩原のバックに付いた清水はプレッシャーを与え、グラウンドで主導権を握る。
2R、萩原の右アッパーをかわしてダブルレッグから回してテイクダウンを仕掛けた清水。この際に左足を負傷したか、ヒザを押さえ苦痛の表情の萩原に対し、清水は速攻でマウントから三角絞めを仕掛けて萩原の頭を引き寄せタップを奪い一本勝ちした。
▼第10試合 GTルール 65kg以下契約 7分1R
△平尾悠人(X-TREME柔術アカデミー)
[ドロー] ※時間切れ
△風魔翔(T-BLOOD)
1R、引き込んだ風魔は足関節を狙うも、平尾はベリンボロからマウント奪取。風魔は突き放してスペースを作ると足を取って再びアキレス腱固めを狙うが、平尾はサドルロックは組ませない。平尾はバックに付くとチョークの体勢に。これを脱出した風魔は3度目の足関節にトライ。
抜け出した平尾に風魔はダブルレッグへ。それを受けて後ろ三角絞めに入る平尾。極まったかにみえたが、風魔は終了まで耐え続け時間切れ。半失神状態となった風魔は自力でリングを降りられないほどのダメージを負った。
▼第9試合 GTルール 73kg以下契約 7分1R
△ベン・ブッカン(T.GRIP.TOKYO/和術慧舟會津田沼道場)
[ドロー] ※時間切れ
△石井宏幸(頂柔術)
サイドを奪う頂柔術の石井はキムラ狙いから肩固めにトライ。脱出したブッカンは上からパスガードを狙うが、ニーシールドの石井は中腰のブッカンを跳ね上げてスイープ!
ブッカンはギロチンチョークを狙うが、対角に出ている石井は首のクラッチを外しマウント→サイドへ出て再び肩固めへ。これも極め切れずに時間切れ。ブッカンと石井の一戦はドローに終わった。