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レポート

【QUINTET】TEAM CARPE DIEMが優勝、桜庭チームが準優勝

2019/11/30 15:11
2019年11月30日 (土)秋田市文化会館にて「QUINTET FIGHT NIGHT 4 in AKITA」(主催者発表1,093人)が開催された。 4チームによる5対5の団体対抗戦では、「TEAM CARPE DIEM」が1回戦で韓国柔術選抜チームの「TEAM K-TOP BJJ」を2人残しで破り、決勝では桜庭和志率いる「TEAM SAKURABA」に3人残しで勝利し優勝。V3を達成した。 【Final】 ○先鋒 世羅智茂 70.8kg[0分43秒 跳び十字]×先鋒 鈴木和宏 64.1kg いきなりシッティングガードの鈴木に対し、ギロチンでパス狙う世羅。鈴木のガードの足を取ってヒザ十字狙い。足を抜いて立つ鈴木の首後ろを右手でとらえると鈴木も左手を世羅の首筋に。その手をすかさず左手で押さえ鈴木の首もとらえた世羅は跳びつき腕十字。うつ伏せから最後は前転させて仰向けでタップを奪った。 ○先鋒 世羅智茂 70.8kg[0分27秒 ヒザ十字] ※8分×次鋒 出花崇太郎 74.8kg 先にシッティングガードを取るのは世羅。下から草刈りとヒザ裏に足をあてて前方に煽る世羅。足を抜き離れる出花。世羅は下から左手で足首をつかみ左足を出花の右ヒザ裏に。さらに出花の右手を掴むと、そこに出花はジャピングパスガードで前へ。仰向けに倒れた出花の右足に外がけし左手は出花の左足を伸ばしてすくうようにして胸元に抱えると、下の足と外掛けで出花の左足を挟み、ヒざ十字へ。すぐさま出花がタップした。 △先鋒 世羅智茂 70.8kg[ドロー]△中堅 星野勇二 68.8kg レスリングベースの星野に対し、シッテイングガードから右で脇を差し、左ではオーバーフックで星野の腕を絞る世羅は、左足を腰に、右足を星野の左足に内側からかけ、つっかい棒をさせずに左へ回してスイープ、マウントを奪うが星野も極めさせず。両者に指導が入ってしまう。星野はトップ主体でインサイドからパス狙い。世羅はハーフから潜りアンクルを仕掛けタイムアップ。時間切れドローに。 △次鋒 田村幸成 73.8kg[ドロー]△副将 中村大介 73.1kg 田村のジャンピングガードからのギロチンを抜いた中村は、田村に逆襲の脇固め。これを防いだ田村はバックを取りにいくが正対した中村は三角絞め狙いも田村は立つ。 二度跳び十字に行く中村に腕を抜き、バックマウントまで奪う田村はチョークを狙いパームトゥパームで組むが極めきれず、時間切れドローに。 ○中堅 山田崇太郎 79.3kg[0分43秒 ストレートフットロック]×大将 福本よう一 74.9kg 1回戦で2人抜きを果たしている山田。ハーフガードの潜りから福本に外掛けで前方に煽り、福本にアキレス腱固めを極める。 ※TEAM CARPE DIEMが3度目の優勝(決勝で2人残し) [nextpage] ▼1st Match 【TEAM CARPE DIEM】Total 357.3kg先鋒 橋本知之 60.6kg/次鋒 山田崇太郎 79.3kg/中堅 岩崎正寛 72.8kg/副将 世羅智茂 70.8kg/大将 田村幸成 73.8kgvs【TEAM K-TOP BJJ】Total 351.2kg先鋒 チャン・インソン 73.9kg/次鋒チョ・ヨンスン 75.1kg/中堅イ・ギョンソプ 63.1kg/副将チョ・ジュンヨン 71.7kg/大将チェ・ワンキ 67.4kg 気になる選手の出場の順番は、CARPE DIEMがいきなり先鋒としてチーム最軽量60.6kgで今回がQUINTET初出場となり橋本知之を登場させる作戦に。K-TOP BJJは先鋒に強豪チャン・インソン(73.9kg)を置いてきた。 韓国チームは、「確実にサブブミッションで勝てるようにオーダーを組んだ。1回戦ではハシモト選手との試合がキーになると思う」とQUINTET初出場の橋本を警戒。 対する橋本は、「初めてのQUINTETで、秋田美人を魅了するようなプレーを見せたいと思います」と場内を和ませると、チームオーダーについて、「見た感じ、僕は小さくてそんなに強くないように見えると思います。(山田)崇太郎さんが抜いてくれることを期待します」と韓国チームの注意をかわしながらも、「簡単な試合にはならない。僕が極められるか、極められないかが大事」と先鋒戦の重要性を語った。 △先鋒 橋本知之 60.6kg[引き分け]※10kg以上差で4分△先鋒 チャン・インソン 73.9kg世界柔術選手権3位の実績で日本のみならずアジアのトップ柔術家として知られる橋本知之。対するチャン・インソンは、2018年に米国の柔術の実力者であるAJ・アガザームを破り世界的なレベルであることを証明した、韓国が誇る-77kg級の代表的な選手。“チョイバー”で知られるチョイ・ワンチョイの愛弟子だ。試合は体重差10kg以上差で4分を選択。 インソンのデラヒーバ狙いをかわす橋本はストレートフットロック、アキレス腱固めへ。引き込むインソンも足を取りに行くが橋本は極めさせずヒザ十字狙いも。互いに左右を内アキレス・外アキレスと掛け合うも極めさせず。時間切れドローに。 ○次鋒 山田崇太郎 79.3kg[6分43秒 ヒザ十字]×次鋒チョ・ヨンスン 75.1kg 山田のギロチンを防ぐヨンスン、ストレートフットロックも立ち上がり外してバック狙いマウントに。足戻す山田。スタンド再開。サイドから足をかけてリバースハーフになると山田はヨンスンの左足を4の字に固めヒザ十字で極めた。 ○次鋒 山田崇太郎 79.3kg[2分44秒 リアネイキドチョーク]※4分中堅イ・ギョンソプ 63.1kg ギョンソプのベリンボロを防ぐ山田は、背中見せるギョンソプにカーフスライサーからいわゆるSTFの形でリアネイキドチョーク △次鋒 山田崇太郎 79.3kg[引き分け]△副将チョ・ジュンヨン 71.7kg 3人目を相手にする山田はジョンヨンのアキレス、アンクルを防ぎつ、アキレス腱固め、ギロチン狙いもジュンヨンも極めさせず。山田は痛み分けに持ち込んだ。 △中堅 岩崎正寛 72.8kg[引き分け]△大将チェ・ワンキ 67.4kg かつぎ、脇差し、側転パスなど仕掛ける岩崎に足効かせるワンキはガードからインバーテット、ニーシールドなど足を越えさせず。岩崎もワンキの三角絞め狙いやラバーガードを外すなどしっかり対処。互いに2つの指導が入った試合は、時間切れドローに。CARPE DIEMが副将・大将を残して決勝進出。 [nextpage] ▼2nd Match 【TEAM SAKURABA】Total 355.7kg先鋒 出花崇太郎 74.8kg/次鋒 福本よう一 74.9kg/中堅 星野勇二 68.8kg/副将 鈴木和宏 64.1kg/大将 中村大介 73.1kgvs【TEAM PARAESTRA】Total 337.8kg先鋒 塩田”GoZo”歩 58.7kg/次鋒 八隅孝平 72.3kg/中堅 本間祐輔 59.6kg/副将 樋口翔己 74.5kg/大将 斎藤裕 72.7kg 2nd Matchは「TEAM SAKURABA」と「TEAM PARAESTRA」が激突。 TEAM SAKURABAの先鋒は、QUINTETで先鋒経験が豊富な出花崇太郎(74.8kg)に決定。出花は「今回も先鋒に抜擢されたので、アグレッシブに一本を取りに行きます」と抜き役を宣言。また大将の中村大介(73.1kg)は、「秋田が産んだ偉大なプロレスラーである桜庭さんのチームでみんなで優勝目指して頑張ります。プロレスラーとして戦います」と、プロレスラーとしても先輩の桜庭の地元で優勝することを誓った。また、「これまで出花選手とは対戦相手として向き合ってきて強さを感じてきたので、明日は期待しています」と、チーム編成に自信を見せた。 対する「TEAM PARAESTRA」はチームの合計体重が337.8kgと最軽量に。その先鋒に今回の参加選手中、最年長(46歳)かつ最軽量の塩田”GoZo”歩(58.7kg)を置いた。塩田は「最軽量ですが、後ろに素晴らしいメンバーが控えているのでガツガツやっていきます」と充実の表情。次鋒として続く八隅孝平(72.3kg)は、「できるだけ動いて抜けるように頑張ります」と抱負を述べると、チームオーダーについては、「パラエストラは抜き役がそもそもいないですが、全員で頑張ります」とチーム全体で粘り強く戦うことを語ると、「相手チームは前と後ろに抜き役を置いてきた。それをいかにストップできるか。あと個人的には、福本選手に修斗で跳びヒザでやられている(※2004年に対戦。QUINTETは打撃禁止)ので、やり返したいと思います」と、ユーモアたっぷりに語っている。 ○先鋒 出花崇太郎 74.8kg[2分54秒 腕十字] ※4分×先鋒 塩田”GoZo”歩 58.7kg 懸命に足を効かせデラヒーバも狙う塩田だが、出花はかつぎパス。背中を見せながらもいったん足を戻す塩田に、出花はパスからバック奪い、リアネイキドチョークではなく素早く腕十字に切り替えて一本勝ち。腕を伸ばされながらもしばらく凌いだ塩田だがタップした。 -先鋒 出花崇太郎 74.8kg[両者失格]※両者に指導3つ-次鋒 八隅孝平 72.3kg スタンドからアームドラッグ、シングルレツグで出花をテイクダウンする八隅。ニーシールドから立つ出花のダブルレッグをがぶると後方に出花を投げるが、起き上がりで上は出花。八隅は下からXガードでスイープする。 八隅のシングルレッグをがぶる出花はリストコントロールへ。八隅はその手を脇に挟み腰に手を回してシングルレッグから足首をつかみテイクダウン! そこから怒涛のパス狙いも両者に指導に。スタンド再開。首に釣り手をつかんだ出花は強引な払い腰へ。それを潰した八隅がシングルレッグでテイクダウン。パスを狙うが出花も足を効かす。手順を踏むパスガードはQUINTETルールでは膠着とみなされるのか。ここでも両者に指導に。 スタンド再開。八隅のシングルレッグをがぶりながらたすきでバック狙う出花だが、八隅は起き上がり際で胸を合わせて上に。レッグドラッグ気味にパスからサイドに回ろうとするが、出花もハーフで足をからませる。ヒザを押してパスを狙う八隅だが、ここで両者に3度目の指導。失格となった。 △次鋒 福本よう一 74.9kgに[引き分け] ※4分△中堅 本間祐輔 59.6kg 引き込みバタフライガードの本間にトップキープの福本。両者指導から、引き込み潜る本間の首を抱える福本。ハーフの潜りから右足を抱えて後方回転でスイープする本間。サイド奪うがタイムアップ。時間切れドローに。 ×中堅 星野勇二 68.8kg[1分24秒 腕十字]○副将 樋口翔己 74.5kg 引き込む樋口に側転パスを狙う星野。樋口はクローズドガードからスイープの動きをみせつつ星野の右手首をつかんでおいて、バックに回り左足を頭にかけてうつ伏せで見事に腕十字を極めた。これでPARAESTRAはタイの副将対決に持ち込んだ。 △副将 鈴木和宏 64.1kg[引き分け] ※4分△副将 樋口翔己 74.5kg 樋口のパスにリバーサルで上を取る小柄な鈴木。両者のパス・スイープの攻防に秋田の観客から拍手が送られる。鈴木のギロチンを防いだ樋口はジャンプしてのパス狙いも鈴木は足を越させず。時間切れドローに。試合は大将決着へ。 ○大将 中村大介 73.1kg[5分18秒 ヒザ十字]×大将 斎藤 裕 72.7kg 地元秋田出身の斎藤は柔術茶帯。中村に力強いダブルレッグテイクダウンを決めると上四方に回る。 シングルレッグから亀になり立つ中村は首投げ&払いで斎藤をテイクダウン。しかし、そこは脇を差している斎藤がブリッジして上に。立つ中村にシングルレッグでテイクダウンは斎藤。 中村はハーフからキムラ狙い、さらにヒザ十字へ。ヒザは伸びかけているが、地元でのチーム戦の大将戦の重責からか、尻を足で押し耐える斎藤だったが、「ヒザが鳴り」(中村)タップ。TEAM SAKURABAが決勝進出を決めた。 [nextpage] ▼Spesial Single Match○ハイサム・リダ(CARPE DIEM 92.0kg)[旗判定2-1]×カイル・チェンバース(10th Planet 93.0kg) チェンバースはQUINTETでハイサム・リダを仕留めた10th Planetのジオ・マルティネスに師事し、フットロックのスペシャリストと言われている選手だ。得意とするヒールフックは禁止ではあるが、ヒザ十字、ストレートフットロックなどバリエーションは豊富で、手足の長いハイサムとの足関節の取りあい、バックテイクの攻防なども注目だ。ハイサムはニューヨークオープン優勝からの凱旋試合。 ハイサムのジャンピングガードを切り、ボトムを選択するチェンバース。ガードからの立ち際にハイサムもバックを狙うが落とすチェンバース。下からの仕掛けもハイサムは防ぎ、タイムアップ。指導数も同じで旗判定はアタックを続けパスを成功させたハイサムがスプリットで勝利した。 ▼Special Iron Man Match QUINTET鉄人ルール(5分、どちらが多く一本を取るかを競う※同数の場合はドロー)○桜庭和志 83.5kg[2-1]×五味隆典 79.5kg ※腕ひしぎ腕固め(桜庭)※ギロチンチョーク(五味)※アンクルロック(桜庭) 五味「次はアメリカで桜庭さんと同じチームで勝ってきたいと思います」 ▼Special Iron Man Match QUINTET鉄人ルール(5分、どちらが多く一本を取るかを競う※同数の場合はドロー)×所 英男 69.0kg[0-1]※インディアンロック○ミノワマン ※バックについた所が両足を鼠径部にかけて両足をフック。そこにミノワマンが左足をかけてインディアンロックで一本を1回奪取。 ミノワマン「こんばんは、ミノワマンは秋田に初めてきました。寒いです。寒いですが最高です。スタンディングリアルフィストを一緒にやりましょう」 ※「QUINTET鉄人ルール」について、本誌ではそのルール発表時点からひとつの試合として認識し事前インタビューも行ったが、エキシビション的な内容の部分もあり、現在、主催者に確認中だ(※主催者から返答あり)。もしエキシビションであれば、ほかの「試合」とは異なることを事前に明記すべきで、それはファンのみならずほか試合に出場した選手にとっても説明が必要な事柄だ。 【桜庭和志が秋田県スポーツ大使に任命される】 佐竹敬久・秋田知事「(登場時にマットの段差でつまづき受け身を披露し)最初に失敗作を見せました(笑)。小さい頃に柔道をやったことはあるのですが、生のQUINTETを見るのは初めてです。秋田県のスポーツ大使を快く引き受けていただきありがとうございました。レスリングや相撲が盛んな地域から桜庭選手が生まれて、このレスリングや柔道・柔術、寝技を基本とする新しい格闘技・競技が、桜庭選手出身の秋田発だと思っています。非常に奥の深い格闘技です。この秋田から日本、世界に広がって、この新しい格闘技の本拠地になってほしい。桜庭選手には全国に秋田を売り込んで元気にしてもらいたいです。明日はスポーツ科学センターでさまざまなセミナーが行われます。ぜひこの桜庭選手を中心に大いに盛り上げていただければと思います」 桜庭和志「僕の好きな格闘技をこの秋田から広めていきたいと思います。寝技を見ても面白いルールで創りました。ぜひ楽しんでいってください」 ▼オープニングファイト QUINTETルール/5分一本勝負○帯谷信弘 84.8kg 指導1×佐藤洋一郎 84.4kg 指導2※指導数差により帯谷が勝利 スタンドサイドについた帯谷が後方へのバックドロップでサイド、マウント奪取も佐藤は足を効かせてガードに戻す。消極的な動きの佐藤に2度の指導から、佐藤は引き込み、帯谷はパスガードからマウント奪うも極めきれず。
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