2026年5月30日(土)17時から、中国・マカオのギャラクシー・アリーナで開催される『UFC Fight Night: Song vs. Figueiredo』(U-NEXT配信)でルイス・グルレー(米国)と対戦する鶴屋怜(THE BLACKBELT JAPAN)がU-NEXTのインタビューに応えた。
▼バンタム級 5分3R鶴屋 怜(日本/THE BLACKBELT JAPAN)MMA10勝1敗(UFC1勝1敗)135lbs/61.23kgルイス・グルレー(米国)11勝3敗(UFC1勝3敗)135lbs/61.23kg
当初、へスス・アギラー(メキシコ)と対戦する予定だった鶴屋だが、アギラーが欠場し、5月17日にダニエル・バレスに判定勝ちしたばかりのグルレーが連続参戦。試合はともに一階級上のバンタム級で行われる。
試合2日前に鶴屋は、「1週間前ぐらいに相手が変わっちゃって階級も変わって、初めてのバンタムってことなんですけど、体重は水抜きもないし、いい感じに作れてるんで、このままやればいい感じなのかなって感じですね」と語っていた通り、前日計量で135ポンド(61.23kg)でパスした身体は肌艶の良さが見て取れた。
2週間でいきなりバンタム級の筋肉になるとは思えない
【写真】THE BLACKBELT JAPAN柏に導入されたケージの中で。
階級上での戦いは、いったんフライ級仕様に絞っていた鶴屋より、グルレーにとってメリットがあるようにも思えるが、鶴屋は「正直、1週間前だし、相手も試合をやってくれるってことなんで、まあしょうがないのかなっていう感じもしますし、別に一階級ぐらい上でもそんなに……同じフライ級の選手なんで関係ないかなっていう感じはありますね。 相手も1週間前に試合していて(※5月17日にダニエル・バレスに判定勝ち)フライ級まで落としてるんで、ここまでの2週間でいきなりバンタム級の筋肉になると思えないし、同じフライ級同士でちょっと水抜きはないだけで。フライ球同士であるころには変わらないんで、しっかりやろうかなと思ってます。自分も普段元々デカいんで、バンタムでも別にそんなに身体で負けることはないかなっていう感じもしますし、高校の時もずっと(レスリングで)60キロ級でやってたんで、別にそんなに不安ではないです」と、互いに条件はあまり変わらないとした。
セフードのもと、3カ月間の合宿で得たもの
25年3月の前戦『UFC 313』では、現UFC世界フライ級王者のジョシュア・ヴァン(ミャンマー)と激闘の末に判定負けで、キャリア初の黒星を喫した。その後、ヴァンは2連勝でアレシャンドレ・ パントージャに挑戦。1R、蹴り足を掴まれ崩された王者が左ヒジをマットに着いて負傷してTKO負け、ヴァンが新王者となっている。
鶴屋にとっては、同世代対決(ヴァンは24歳)で苦杯を舐めたヴァン戦から1年2カ月ぶりの再起戦となる。その間、米国で単独修行も行ってきた。向かったのはアリゾナのファイトレディジム。元五輪金メダリストにして、元UFC二階級制覇王者のヘンリー・セフードのもと、3カ月を過ごした。
「アメリカで3カ月修行した時もありました。ヘンリー・セフード(※北京五輪男子フリースタイル55kg級金メダリスト、元UFC世界バンタム&フライ級王者)のところで、レスリングを活かしたMMAとかそういうのを教わりに行って、初めて一人で3カ月ぐらいアメリカにも行って、精神的なトレーニングも混ぜながら、そういうことにも慣れて、しっかりセフードに教わって充実した3カ月を送ることができました。
Fight Readyでのセフードの教えで、レスリングの頂点というか“レスリングのMMAはやっぱりこれだな”っていう風には思いましたね。僕にとっては、打撃もある程度やりながら、絶対レスリングでは負けない、寝技で極めるというのが理想。
米国合宿が終わってすぐに本当は試合も決まってたんですけど(※25年8月にニャムジャルガル・トゥメンデムベレル戦)、ちょっと自分の方が怪我しちゃってその試合はできなくなっちゃったんで、1年2カ月ぐらい開いてしまったんです。でも、その間も全然練習もしてたし、強度も上げていつ試合しても大丈夫なようにはやってました。今回の試合がもしマカオじゃなければ、アメリカでトレーニングしてから行こうかなとか思ってたんですけど、時差とかもあるんで、今回は日本でトレーニングしてきました。この試合が終わったらまた行きたいなって気持ちはあります」
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ヴァンに勝つために──
【写真】『ゴング格闘技』No.344インタビュー取材より
日本では、階級上ながら、試合が続いて体重を絞っていた太田忍(※26年5月にバンタム級で金太郎に一本勝ち。7月18日にキルギスのイリスベク・ティレノフと対戦)とも練習を行ってきた。そして、この14カ月間で、フライ級のライバルたちの動向が大きく変わった。
「周りは(対戦した)ジョシュア・ヴァンがチャンピオンになったり、(同門の平良)達郎君がタイトルマッチやったりとか、どんどんどんどん置いてかれてるじゃないですけど、離されてるんで、自分もその分ちゃんとやんないといけないなという気持ちでしっかり練習を考えてきたんで、この試合で“鶴屋怜も全然ランカーに入れるんだな”っていうぐらいの実力を見せたいですね」と、実力を証明する試合になるという。
そのフライ級の頂点では、平良がヴァンに挑戦。5Rの熱闘の末、ヴァンが平良をTKO。初防衛に成功した。
「率直に言うと、その試合が決まった瞬間やっぱり悔しかったし“自分が負けた相手とタイトマッチやるんだ”と思って。もしかしたら日本人初のチャンピオンも奪われちゃうかもしれないっていう気持ちも、いろんな複雑な気持ちはあったんですけど、でも今、ヴァンがチャンピオンなので、前回自分が負けたヴァンがチャンピオンっていうことは、目標にはしやすい。ヴァンに勝つためにまたちょっと頑張んないとなって思いましたね」と、あらためて刺激になったと語る。
ヴァンとは3R 判定まで持ち込み、2度の投げを成功させて、得意のVクロスの体勢まであと1歩の場面も作った。もう1度戦えば、やりあえる自信について、「そうですね。前回、(オファーが)2週間前だったってのもあるし、作戦もほぼ練らないでいったんで、しっかり相手のビデオを見て作戦を立ててやっていれば、もうちょっと勝ったのかなっていうところももちろんあるかもしれないですけど、まあ、それはもう試合終わった後なんで何とも言えない。次やるんであればしっかり対策をして臨みたいなと思います」と語る。 そこにたどり着くためには、連戦でキレた身体のまま減量苦無しでやってくる難敵のルイス・グルレーを越える必要がある。
グルレーはやりづらさもあるけど、レスリング・寝技だったら絶対、負けない
(C)Zuffa LLC/UFC
そのグルレーは、当初のアギラーよりも5cm高い165cm、レスリングがバックボーンで、LFAからFURY FCで5連勝後、DWCS2024で勝利しUFCとの契約を決めた。
ブランドン・ロイバルの同門で、スパーリングパートナーとしてラスベガスにいたところ、DWCSに欠場者が出たため、代役出場し、ニック・ピッチニーニにスプリット判定勝ち、UFCと契約している。
そのピッチニーニは、NCAAディビジョンIレスラーで、オクラホマ州立大時代にオールアメリカン3度、ビッグ12カンファレンスチャンピオンに4度輝くフォークスタイルレスラーだった。緊急出場のグルレーは、ピッチニーニを相手にダブルレッグに尻を着きながらスイッチで立ち上がり、際の打撃で上回っている。
対レスラーに強いグルレーは、テイクダウンの圧力のなかで、歩くように放つパンチは前に出させると危険で、組みながらのダーティーボクシングも得意とする。テイクダウン後のパウンドの強さも特筆すべき点で、5月17日の前戦では、ダニエル・バレスをジャーマンスープレックスで投げるなど、インパクトを残した。
鶴屋はグルレーを、「レスニングもある程度できて、打撃も重たそうなのを打ってきてっていう感じで、ちょっとやりづらそうではあるんですけど、レスニングだったら自分も小学校っていうか、3歳からやってるんで、そこは負けないと思うし、別に打撃もそんなKOされるような打撃がある選手ではないと思うんで、打撃でもいい感じにポイント取れたらなっていう気はします。レスリングだったら絶対、100%負けないと思いますね。あと寝技も絶対負けないと思います」と、同じレスリングバックボーンでも後れを取ることはないと自信を見せた。
「1年2カ月ぶりの試合になったんですけど、しっかりフィニッシュして勝つんで応援よろしくお願いします!」と、初のバンタム級戦に向けて語った鶴屋。初黒星での学びがどんな進化をもたらしたか。注目の復帰戦だ。