皇治に「タイマン勝負」を呼び掛けた川原
2019年11月24日(日)神奈川・横浜アリーナ『K-1 WORLD GP 2019 JAPAN~よこはまつり~』に出場する、川原誠也(パンクラスイズム横浜)が所属ジムで公開練習を行った。
川原は極真空手出身で高校3年生の時にパンクラスのジムに入門。アマチュアを経て2007年5月にプロデビューし、2008年1月からパンクラスに参戦。破壊力のある打撃を武器に6連勝を飾り、7戦目でパンクラス・バンタム級王座に挑戦したがタイトル奪取に失敗。2011年5月の再挑戦も失敗に終わった。
“悪童”と呼ばれ危険な匂いを常に漂わせ、パンクラスのホープとして期待される存在であり、『戦極』にも出場を果たしたが、2012年7月の試合を最後にリングを離れ、2013年6月に自身のブログで引退を発表した。MMAの戦績は10勝4敗1無効試合。現在31歳。
約7年ぶりに試合に復帰し、初挑戦のK-1ルールで皇治(TEAM ONE)と対戦する。
引退表明後も練習は続けていたという川原だが、「練習って言ってもパンクラスイズム横浜で一般の会員さんがやるようなエクササイズとかちょっとスパーリングしてたぐらい。スイッチが入ったのは皇治戦が決まるぐらいからですね」とK-1参戦を機に本格始動。皇治を喰うためにウィラサクレックジムに住み込みで練習を続けるという過酷な環境に身を置いている。
「今はウィラサクレックジムの幕張支部に住み込みで練習させてもらってますね。最初はそんな予定なかったんですけど、やるからには場所も横浜アリーナですし、最高の相手も用意してもらえたから最高にびっくりさせてやろうかなって。今はジムに住み込みで昼も夜もムエタイ漬けの毎日。タイ人ばりの生活を送っていて、一緒にK-1に出るジャオスアヤイとも銭湯行ったりして(笑)。お互い勝とうって言葉は通じなくても心は通じ合ってるんで。
あっちはインタビューで『タックルしてくるんじゃないか?』とか言ってましたけど、まだそんな考えなの? って感じで笑っちゃいますね。別にタックルのやり方なんて忘れないっすけど、そんなことを考えないぐらいムエタイを染み込ませてやってきてますから」
公開練習で川原は「俺はMMAから来る選手。それでちょっとでも盛り上がれば良いかなって」とオープンフィンガーグローブでのミット打ちを披露。ゆったりしたリズムから飛び込んでのパンチ、ムエタイ仕込みのヒザや前蹴り、そしてMMA時代からの得意技でもある左ハイを連発。さらにトレーナーにフェイントをかけ、ミットを構えてない顔面に左ハイキックをヒットさせ、大きな笑みを浮かべる相変わらずの元・悪童っぷりも見せた。
川原にはパンクラス時代、ファンの脳裏に残った一戦がある。それが2012年の沼倉雄太戦。川原は沼倉をサッカーボールキックでKOしたあと、レフェリーの制止を振り切って追撃のパンチを浴びせようとして無効試合になっている。もちろん競技として許される行為ではないが、見ている側には強烈なインパクトを残した。そのギラついた感情と闘争本能は今も失われていないのか?
川原は「むしろ引退してからはその闘争本能を研ぎ澄ませてきましたね。格闘技から離れて、横浜の先輩たちに色んな経験させてもらって。やっぱ格闘技で強いだけじゃ生き残れないんで」と不穏な笑みを浮かべる。
また川原は「もっと自分らしく言いたいことを言え」、「格闘家のびんぼー生活にはうんざり」という痛烈な言葉を残してリングを降りた。言いたいことを言って、金を稼ぐ。それを今K-1のリングで体現しているのが皇治なのだが、川原は「皇治選手がそうやってこつこつ積み上げてきて、それを横浜アリーナで自分にばくっと喰われる運命なんですよ」と断言する。
皇治は自身の公開練習で川原のことを“パジャマくん”呼ばわりしてお馴染みのトラッシュトークを展開した。これに対して「今日もパジャマで来たんでまた言われちゃうな(笑)。全然もう何言われても別にイラっとこないっすよ。試合で見せればいいだけだし」と受け流す川原だが、「K-1のヤツらは茶番劇が多いじゃないですか。会見で殴ろうとするなら最初から殴れよ。何か肩とかぶつけてやり合うんじゃなくて。俺だったら最初から“決めて”行くから、ぶつかられる前にぶん殴って帰りますよ」と危険な言葉を続ける。
さらに皇治の「俺が負けたらK-1がナメられる」という発言に対しても「会見の時点でもうナメられてんじゃないですか?」とバッサリ。
「もし俺と皇治選手が逆の立場で、俺がK-1代表で、7年振りに外から来たヤツがあんな態度で会見に来たら『まずお前、態度を直せよ! ここはK-1だぞ?』って言いますよ。で、あんなに俺にメンチ切られて。俺はあっちがどういう反応するか、どういう目をするか。それを試すためにわざとやって試したんですよ。あっちはぐだぐだ言う感じだけど、俺は目を見て試しただけだから。そういうのは何回もやってきてるから、目を見りゃ分かるんですよ。
(フェイスオフで試してどうだった?)アイツが同級生だったら俺のパシリだよ。フェイス・トゥ・フェイスの時でもああいう風な態度を取るだろうなって大体分かってたし、まああんなだろうなって。皇治選手がああいう態度を取ったからって別に格闘技が弱いとかじゃないですよ。格闘技とは関係ないんで。
ただ俺は人として皇治選手がどういう魂を持ってるのかを試しただけ。それが勝ち負けにつながるかどうかは分からないですけど、俺は俺なりに試した。彼も大舞台を経験してきてるんで、それなりに心も強いと思う。まあでも態度もそうだし、言葉を選んでるのも見え見えだし、全部が予想通り。そういえば俺が控え室に入った時にスタッフの人に『絶対に手をあげないでください』って言われたんだけど、俺ってそんな安い選手に見られてんの?って(苦笑)」
皇治に痛烈な言葉を浴びせ返す川原だが、皇治との一戦にかける想いは強い。インタビューの後半は皇治戦への並々ならぬ覚悟を語った。
「相手がやっぱり皇治選手だったからこそこれだけ集中して出来ましたし、本当そこはK-1の方々に感謝してますね。自分もやっぱり沼倉戦とかああいう嫌な印象与えて格闘技人生が終わってるんで。ちょっとでも恩返し出来たら良いなと思って、本当にそこはK-1に感謝してます。しかもそれを地元の横浜アリーナでやれるんすよ。自分を華やかに飾ってくれて、そこは最高の準備して出ないとK-1の皆さんに申し訳ないじゃないですか。だからもう格闘技人生の中で最高に調子良いんで。
(幕張での合宿生活は今まで一番追い込んでいる?)格闘技人生で一番ですね。パンクラスに出た時も最初は内弟子で寮に入るかP'sLABに入るかの選択肢があって、川村さんとかみんな寮でやっていて自分も入れたんですけど、坊主にしてちゃんこばっかり食わされてってのは自分には合わないんで(苦笑)。でも今回はジムに住み込みで練習して、こんなに集中したのは初めてだから、楽しみっすね。
(総合格闘家なので相手は何かやってくるんじゃないかと言っているが?)こっちは7年振りですし、あっちはずっと最前線でずっと戦ってきてるんで、そう思われるのはもうしょうがない。自分がいくらインタビューで言おうがタックル来るんじゃないか? とか思われてしまうのもしょうがない。あとはもうぺちゃくちゃ喋んないんで試合で魅せるだけ。ここからが俺の格闘技の最終章。K-1であと5年ぐらい頑張れたら良いなと思ってるんすけどね。
何か皇治選手が『モテるために格闘技をやってる』とか本当か嘘か知らないけどテレビで言ってましたけど、自分の場合は自分が勝つことによって人生が良くなる人が何人も周りにいるんで。皇治選手もそうでしょうけど、自分の周りにはそういう人たちが何人もいるんすよ。だから自分は死んでも勝つ。負けたら本当切腹でもしようかと考えてるぐらいっす。人間魚雷、日の丸特攻隊のイメージで試合します」
最後に「K-1ファン、皇治ファンに宣戦布告やメッセージは?」と問われると、川原は「ぐちぐち言うつもりもないんで、当日はしばきあって必ずKO決着。判定なんて考えてないんで、どっちが倒れてどっちが生き残るか勝負しましょうよ。タイマン勝負、以上です」と男と男の勝負を皇治に呼びかけた。