放心状態のストラッサーに「バカが!」
サッカーボールキックも浴びて顔面を骨折、四つん這いになって背後からパームトゥパームで絞められたストラッサーはタップ。出血しマットに正座し、茫然と座り込んだ。
上から見下ろした嶋田は、放心状態のストラッサーに対し、何か吐き捨てるように言葉を浴びせ、踵を返している。試合後の会見でそれを問われた嶋田は、「ああ、“暴言”言いました。やっぱ鬱憤溜まってるんで」と、試合前の因縁によって溜まっていたフラストレーションが、勝利の瞬間、溢れ出たとした。
敗者に吐き捨てた言葉は、「バカが!」だった。
ストラッサーはその瞬間を覚えているという。「俺も試合終わってやっぱあんな状態やったから、ある程度冷静ではなかったけど、はっきり覚えてんねん。もう(チョークを)極められて頭こうやって押して立たれて、放心状態の時に パッって上見た時に、『バカが!』って言われて。“あ、そうなんや”って。だから俺はその時点でもう俺は“こいつマジで終わってるな”と思って。ホンマに終わってるなと思ったし、そもそも俺はなんであいつに(試合前に)ムカついてたかって言うと、角野(晃平)に対して何を言ったか分からないけど、そういう罵声を浴びせたことに対しても怒っていた」と、角野との試合後の嶋田の行動に、憤りを感じていたと明かした。
発端は25年9月のDEEP大阪大会で、当時の王者・角野晃平に嶋田が挑戦し、判定5-0で嶋田が勝利し、王座を奪取後、嶋田が解説席のストラッサーをコールアウトしたことにある。
角野と交流があったストラッサーは、解説を務め、「すごく見ごたえのあるタイトルマッチ。お互いの強みを出してどっちが持っていくかという試合だった」と両者を高く評価していたが、ケージ上の嶋田から、「ベルトを獲ったからといってまだ終わりではないので、ウェルター級まだ強い人が残っていると思いますけどね、ストラッサーさん。お願いします」と呼びかけられ、ケージに上がった。
ストラッサーはマイクを持つと「まずは勝利おめでとうございます。自分がDEEPに上がってきたのはチャンピオンになるためです。ブッ倒すので待っていてください!」と宣戦布告し、嶋田が何か言葉を返すと、「なに喋ってんねん。お前、俺にビビってるだけやろ。いつでも勝負したるわ。かかってこい」と戦闘モードにスイッチが入っていた。
マイクを奪い取った嶋田は「今はあなたの舞台じゃないです。降りてください。はい、またお願いしますね」と、自身が呼び込んだストラッサーをあしらってメインを終えている。
この態度に怒りを表明していたストラッサーだが、嶋田はそれが意図していたものではなかったという。
「当然リスペクトも選手によって持ちますけど、まあ僕の最初の絡みもあんまり僕、悪いと思ってないですけど。結果ああいう形になっちゃったんで。(大阪のケージ上で)別に『今すぐ来いよ』と言ったつもりじゃなくて。(ストラッサーが)佐藤さんに勝って、何戦かしてタイトルマッチに来るだろうとは思ってたんですけど、なんかああいう感じで僕が挑発したみたいになっちゃって。タイミング合えばやりましょうっていうつもりだったんですけど」と、ストラッサーの名前を出した経緯を語る。
しかし、そこでの嶋田のナチュラルヒールのふるまいが、ストラッサーの怒りを引き起こしていた。
「なんかもう上がってきた段階で怒ってたんですよね。僕が角野選手にちょっとあまり良くないことを言っちゃったっていうのもあるんです、たぶん。よく分からないですけどそれでワーってなったので、面倒で『もう(ケージを)降りてください』って言ったんです」(嶋田)
このやりとりをストラッサーは「呼ばれたから上がったのに、俺がケージに上がって話した時に『お前は順番並びしろ』みたいなことを言うから俺は怒っただけの話だけであって」と振り返り、そして今回、直接戦った後に罵倒されたことについても、「格闘技にスポーツマンシップはないとか言う人もおるかも分からんけど、やっぱ格闘技って試合終わったらノーサイドや、基本的には。それはもう人それぞれの考えよ。ノーサイドじゃないやつもそれはそれでいいよ。でも俺は嶋田に対して、あの時は放心状態やったけど、なんかやっぱ許されへんなっていう気持ちが。“敗者に口無し”やけど、俺はもうあの日に関しては、もう嶋田が強かったから勝った、あの日は嶋田の日やったって俺はホンマに思ってる。でも俺ん中では、やっぱ許されへんていう気持ちがさらに心底出てきてるというか、だからこそ俺は嶋田に勝ちたかった。
今回負けて俺も試合終わって控室に行って、(仕切りの)横にまだ嶋田いるって分かったから、俺も今までずっとやってきた年上やし、嶋田(の控室に挨拶)に行って、『色々、俺も言ったけどごめんな』って言って。その時の態度も『ああ』みたいな感じよ。それはあいつの素なんか分からへんけど、なんかこうさっぱりしてるというか、“俺はやっぱコイツとは合わんな”というのは正直思ったし、“コイツなめんなよ”って思ってる。だから俺はあん時に『バカが』って言われて、その後マイクで『ストラッサーさんのことも応援してやってください』みたいな。何を抜かしとねん、と俺は正直思うし、お前にそんな言われる筋合いはないと。『バカが』って言った選手に直後に『応援してあげてください』って。なめてんのかと」、試合後のやりとりも含めて、怒りが収まらない理由を語っている。







