MMA
インタビュー

【PANCRASE】修斗世界2位の石井逸人をTKOした瀧澤謙太「大晦日にジェラシーがある。バンタム級でそこに劣るとは思っていない」

2019/11/13 06:11
【PANCRASE】修斗世界2位の石井逸人をTKOした瀧澤謙太「大晦日にジェラシーがある。バンタム級でそこに劣るとは思っていない」

11月10日(日)の「PANCRASE310」メインイベントで、PANCRASEバンタム級3位の瀧澤謙太(EXFIGHT)が、修斗世界フライ級2位の石井逸人(TRIBE TOKYO M.M.A)と対戦。3R1分59秒、鮮やかな跳びヒザ蹴りによるTKOで完勝した。

空手家である父の「子供の頃から大人の組手を」という教えを受け、小学生時代は新極真会の木元道場で、自分より重い相手にも中段蹴りやヒザ蹴りで倒しにいくスタイルを培った。高校でレスリング部に所属したのは、いずれ総合格闘技で強くなるため。空手の近い距離、そしてテイクダウン防御も学んだ瀧澤は、2014年5月のプロMMAデビュー戦での敗戦後、今回の試合で9勝5敗の戦績をマークしている。

3月の王者ハファエル・シウバとの試合で苦い一本負け後、スタイルチェンジした瀧澤は、組み技を得意とする石井を相手に、重心をやや落とし気味に、地に足を着けた構え・ステップから武器とする蹴り・突きをボディに集中。石井を手詰まりにさせると、最後はカウンターの跳びヒザ蹴りで、修斗の世界ランカーをマットに沈めた。

同日に調布で行われた新極真会・世界大会後に新木場の会場に駆けつけてくれた先輩たちの前で、再起戦を勝利で飾った瀧澤。“修斗からの刺客”を下し、ケージのなかで「明日、また生きるぞ」とPANCRASEの名ゼリフを咆哮すると、さらに「大晦日とかも……気持ち的にはジェラシーがある。やっぱり日本でバンタム級が盛り上がっているじゃないですか。自分がそこに劣るとは思っていないんで、どんどん倒して自分の名前を売りたい」と、アピールした。

結果を出した瀧澤の次なる相手は誰になるか。試合後に発言の真意を聞いた。

──試合前の予告通り、石井逸人選手のテイクダウンを切り、打撃を当てました。

「いや、もっと早く1Rで倒す予定だったんですけど、なんか(石井の)気持ちが強かったですね。自分も詰めが甘かったというか。腹が効いていたり、頭が効いていた感じはあったんですけど、深追いするとちょっと危険かなと思い、1発で決めた方がいいと思っちゃったところもあって時間がかかったということもありました」

──ボディ攻めは、左ボディのレバー打ち、三日月気味の蹴り、後ろ蹴りとさまざまな打ち方で腹を攻めました。あれは当初の作戦だったのですか。

「そうですね。もともと空手(出身)なので、腹と足を効かせて行くのは得意で、両方効かせていこうかと思ったんですけど、ロー(キック)は、相手がカットしてちょっと反応していたので腹の方が入るかなと。自信もあったので、空手で戦おうと思いました。

──試合前に言っていた、ハファエル・シウバ戦の課題だった浮いてしまう動き・ステップではなく、いつもより低い構えから蹴りも出ていたように思います。

「あれは練習してきたことができた、成果が出たので良かったと思います。テイクダウンで深く入られることはなかったし、危ない形はなかった」

──拳を少し痛めたのですか?

「どこだろう……カウンターの右のクロスを打ったときに頭に当たって、相手がグラッと効いたときに、僕も手をちょっと振っていたので、たぶんその時だと思います」

──3R最初、ガス欠気味になったのかなと思うくらい慎重でした。あれは……。

「あれは3R最初、回復に充てました(笑)。どこかで相手は倒れるだろうと思っていたので、焦って行って寝る展開にならないようにと」

──瀧澤選手がポイントをリードし、最終ラウンド、石井選手が勝つにはフィニッシュしかない状態でした。

「2Rに仕留められると思って自分もガンガン行ってしまったので、3R最初はパンチも当たらない距離にいようと。そこで回復して、3R中盤からだんだん上げて行こうと思っていました」

──フィニッシュの跳びヒザは石井選手のおそらく右を振りながらの組み付きにカウンターで当てた形でしょうか。

「相手が右の骨盤に頭をつけてくるのが動画を見ていてわかっていたので、アップのときから右の跳びヒザを当てる準備をしていました。試合で狙えたら狙おうと思っていて、相手が“どうしようかな”という動きのタックルだったので──ちょっとした迷いがあったので、自分も反応できました」

──たしかにそれまで前後にステップを踏んでいた石井選手が、あのときは一瞬動きが止まり、中途半端に右を出しながら組みにきていました。その動きを瞬時に逃さなかったと。

「そうですね。ちょっとした怖がりみたいなものを感じたので」

──相手に躊躇させる攻撃の布石がそこまでにあったのだと思います。ところで最後に「明日、また生きるぞ」と、バス・ルッテンに敗れた後の船木誠勝選手の言葉が出ていました。

「あれは……今回、PANCRASE対修斗の対抗戦の流れといわれて、試合前に一言で『秒殺』と言ったのもPANCRASEから生まれた言葉だったので使わせてもらったんです。PANCRASE対修斗だったので、勝ったらあの言葉を使おうと決めていました」

──そして試合後は「バンタム級、日本盛り上がっているんで、僕も強いやつを倒して日本を盛り上げます」とマイクでアピールしました。今後どうして行きたいと考えていますか。

「いずれは海外に進出したい、絶対に行こうと思って世界の選手と戦っていこうとしているんですけど、まずは日本で敵がいない状況になってからじゃないと──いま結構早い段階で海外メジャーに行く選手もいて、負けたらすぐリリースという厳しい状況もあるので──いま日本のバンタムで有名になっているやつらいっぱいいるんで、そいつらを倒して、『もう敵はいないだろう』という形になったときに海外に行きたいな、という感じですね。いまはPANCRASEで日本人でそんなに敵がいないと思っているんで(※瀧澤が 2位、金太郎が3位。1位のヤマニハに瀧澤は2016年にTKO負け)、社長と相談したうえで、大晦日とかも……気持ち的にはジェラシーがありますね。やっぱり日本で盛り上がっているじゃないですか。自分がそこに劣るとは思っていないんで。どんどん倒して自分の名前を売りたいなと思います」

──最後にデカゴンを降りる前に十字を切って礼をしてマットを出ました。空手時代からずっとしている動きですね。

「はい。新極真で今日は世界大会もあるなか、自分の先輩も会場からここに来てくださったので、空手で勝ててよかったです、押忍」

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