1月31日、東京都新宿区のPANCRASE事務所にて、3月17日の「PANCRASE 303」スタジオコースト大会に出場が決定した田中路教が、酒井正和代表とともに記者会見を行った。田中は同大会でロシアのウラジミール・レオンティブと対戦する。
2017年10月の「GRANDSLAM 6」でのホジェリオ・ボントリン戦以来の実戦となる田中のPANCRASEでの試合契約は今回の1戦のみ。
UFC復帰を目指す田中は現在、最もUFCに選手を送り込んでいる北米の団体「LFA」と交渉中で、会見では「1回限りの試合を快く組んでいただいた、その思いに応えられるような試合をしたいです。PANCRASEさんにはGRANDSLAMでハファエル・シウバ選手を出していただいた恩もあり(※シウバの負傷欠場でボントリンに変更)、僕の我儘を聞いていただいたことに結果で返していきたいと思います」と語った。
田中路教「僕が海外でやっていたこともあり、PANCRASEさんとは今まで交わることがなかったのですが、MMAという競技をしっかりやられているという印象を持っていました。一昨年、GRANDSLAMに出た時に僕が戦いたいと言ったハファエル・シウバ選手を快く出していただいたという恩もあり、PANCRASEで戦いたいと思いました。
ロシアのACBで試合ができず(※1年間試合が組まれなかったことでACBとは契約を解除)、今回ロシア人の相手を用意していただき、区切りをつける意味でも凄くいい試合になるんじゃないかと楽しみにしています」
──海外から今回、日本に照準を絞った理由は?
「照準を絞ったというより、いま米国のLFAという団体とも交渉させてもらっていて、PANCRASE出場は今回の1回きりになります。それなのに快く試合を組んでいただいたので、その恩に応えられるような試合をしたいと思います」
──1戦限りのPANCRASEでの試合でどのような試合を見せたいですか。
「圧倒的な試合をして、かつ衝撃的な内容を見せられればと思います」
──酒井代表にうかがいます。1試合限りで米国に行きたいという田中選手の出場を決めた理由は?
酒井 世界に通用する、実力のある選手がPANCRASEで戦うということは、PANCRASEという場がそういったプロアスリートに適しているということです。ならば1試合でもいい。いい結果を残して世界で活躍してもらいたい。複数試合契約でなければいけないという発想は私にはないです。
「本当にありがたいことです。僕の我儘を聞いてもらったことに、結果で返していきたいです。この試合が組まれるまで、本当にいろいろな方々に助けていただいて、僕の力だけではできなかった試合なので感謝しています」
──PANCRASEでの試合はUFC FIGHT PASSでも中継があります。これまで一貫して北米志向ですが、今後どこを目指していきますか。
「以前から言っていますが、UFCに行きたいという気持ちに変わりはありません。UFC FIGHT PASSで流れることは嬉しいし、大事なことです。目指すところは、変わらず戦っていこうと思います」
──対戦相手のウラジミール・レオンティブの映像を見ていたら印象を教えてください。
「1試合だけ見ました。キックボクサーということで、本当にキックボクサーだったんだなっていう印象を受けました。今回の対戦相手の資料に向こうのマネージメントの方の『これぐらいの選手で日本人には大丈夫。田中は苦戦する』と書いてあって、試合結果で見せられればと思います」
──ロシア・パンクラチオンの選手招聘の窓口となっている田中(健一)塾長は、どのくらいのレベルの選手だと言っていますか?
坂本靖広報 6番目だと。なかなか試合映像を貰えなくて、「ハバロフスクで対戦相手がロシアなので、日本人とレベルが違うし、比較にならないので参考にならない」と言われてしまって……。
「どうなんですかね(笑)……本当に結果で見せることができれば。ただ、日本人がナメられたらイラっとするので、頑張らなきゃなという感じです。この相手とのオファーを貰った時に、その言葉も添えられてきたので、イラっとして『だったらやりますよ』となったのはあります(笑)」
──UFCがなかなか日本人選手と契約をしないなか、ほかの団体を選択する選手も出てきています。そういう状況のなか、田中選手がUFCにこだわっているのは?
「……一番になりたいという気持ちが強いので。層が厚くて世界のバンタム級の1番はどう考えてもUFCじゃないですか。そういう印象が僕のなかで変わらない限り、UFCを目指すことは変わらないと思います。どんなに厳しくて、どれだけ困難だと言われようと、僕は僕の道を目指していきたいです」
──Abema TVの企画でチーム・ラカイに行ったようですが、収穫は?
「(フィリピンの)バギオでバイ菌が目に入って、今、目が充血しているんですけど……収穫はありました。ラカイは本当にレベルが高くて、世界には強いヤツがゴロゴロいるんだなと思いました。負けていられない、もっと頑張らないといけないと思いました。そういった意味でも収穫のある旅でした。今回の試合に向けて、自分も頑張って、日本でキャンプを組んでやります」
なお、3月17日大会では、田中vsレオンティブに加え、もう1カードも追加発表。2018年IMMAFオセアニア選手権優勝の前田浩平(GRABAKA)がプロデビュー、平田純一(AACC×SPIDER/5勝13敗)と対戦する。
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◆4月14日大会で久米鷹介がクイバネンと王座戦。アグオン、藤野恵実、端貴代、ライカも参戦
3月大会の会見後、4月14日「PANCRASE 304」スタジオコースト大会の会見も続けて行われ、酒井正和代表が下記のカードを発表した。▼ライト級 K.O.P.T.(王座戦)5分5R久米鷹介(ALIVE/第7代王者/21勝5敗4分)アントン・クイバネン(GB Gym/フィンランド/1位 26勝11敗)
再戦となる久米鷹介vsアントン・クイバネンは今回は5分5Rのライト級キングオブパンクラスのタイトルマッチとして行われる。
前戦では2Rにシングルレッグ、ダブルレッグで続けてテイクダウンを奪ったクイバネンに対し、立ち上がった久米が前がかりになったところに、クイバネンがカウンターの右左でダウン奪い、ラッシュでTKO勝ちしている。久米にとって9カ月ぶりの復帰戦にして再戦が王座戦となり、大きなプレッシャーのかかる防衛戦となる。
また、出場予定選手として、カイル・アグオン、さらに藤野恵実、端貴代、ライカの女子レジェンズの参戦も発表された。
酒井代表は女子3選手のそろい踏みに「スポーツにはそれまでの背景が出る。“BBA、なめんなよ、3連発”はそれだけのことが(見る人に)与えられる選手。PANCRASEのオファーは実力主義。今回も国際戦が用意されます」と期待を寄せた。酒井代表によれば、これまでの東京MXでの中継で最も視聴率が高かった試合が2018年8月の藤野恵実vsヴィヴィアニ・アロージョ戦だったという。
また、会見の後半では、酒井代表がPANCRASEの黒字化について発表。「一昨年までにディファ有明大会の興行形態で黒字化に成功し、去年からは新木場スタジオコーストにホーム会場を移し、12月決算で4桁の経常利益を確保できました。2月17日のPANCRASE REBELS RING.1もソールドアウトできそうです。現在はスポンサー金額だけを取って見れば、過去最高の数字で、ビジネスモデルとしてチャンスがあると感じています」と今後の展望を語った。
さらに、修斗とONE Championshipとのパートナーシップ契約について見解を問われると、「あれぐらいの提携じゃないと中途半端だと思っていたので、修斗さんは英断だと思いました」と語り、「いろんな選手が他団体に出て行って、PANCRASEが空洞化しているんじゃないかという声もありますが私にはそういう意識はありません。PANCRASEにとっても選手にとってもチャンス。PANCRASEとONEにそういった提携の話があれば聞くし、内容によってはアリじゃないかと思います」と、ONEの日本マットへの投資と進出を歓迎する意向を示した。(※3月14日にPANCRASEも修斗に続きONEとの提携を発表)
これまでもONEに選手を送り込み、ONEの大会を視察。チャトリ・シットヨートンCEO兼会長と会談を持ってきた酒井代表は、「ONEは資金調達能力が高い。そういうところで選手が戦えば練習環境も変わる。世界に上がっていけるピラミッドをどう作るか。PANCRASE王者がONEに上がっていくという道も面白い。“出口”が出来ることは大きい」と、今後もONEと機会があれば話し合いを続けていくとした。