(C)RIZIN FF/Invicta FC
2019年11月1日(日本時間2日)米国カンザスシティで開催される「Invicta FC 38」にて、日本の村田夏南子が、米国のエミリー・ドゥコッティを相手に「Invicta FC世界ストロー級王座決定戦」に臨む。
ストロー級では同団体で魅津希(現UFC)に勝利している第5代王者のヴィルナ・ジャンジローバがUFC入り、2019年5月の「Phoenix Series 1」トーナメントを勝ち上がったブリアナ・ヴァン・ビューレンもUFCで活躍中で、現在空位となっている同王座を争い村田はドゥコッティと対戦する。
8月にジャナイサ・モランジンに1R TKO勝ちしているドゥコッティは現在2連勝中。MMA8勝5敗の戦績で、過去には適正階級より一つ上のフライ級でBellator女子世界王者イリマレイ・マクファーレンと5Rのタイトルマッチを経験している強豪だ。
右の強打を持ち、王者マクファーレンを柔術でスイープ、さらにリアネイキドチョークや腕十字での一本勝ちも多いドゥコッティはケージでの戦いにも長けている。
果たしてこの実力者を相手に村田は浜崎朱加に続き、2人目のInvicta FC日本人王者となれるか。村田が合宿を積んだ、米国コンバット・スポーツ・アカデミーのキリアン・フィッツギブンスコーチに話を聞いた。
──キリアンコーチ、米国での村田夏南子選手の合宿はどのような仕上がりでしたか。
「素晴らしいファイトキャンプだった。カナコはこの試合のためにできる事を全てやってきた。彼女は練習の虫で『休め』と言わないとひたすら練習する。負けず嫌いで男のプロ選手相手にも積極的にスパーリングをしているんだ。
それに、彼女の打撃の技術は目に見えて向上している。カウンターのパンチ、相手の蹴りに対してのテイクダウンなどは体に染み付いてきている。先日も練習中にプロのムエタイ王者のスパーリング相手から間違ってダウンを取ってたよ(笑)。
とにかく今回の試合に向けて心身ともに準備は万端だ。最後の追い込みの前に、1回日本に戻ってリラックスしてきたのが良かったんだと思う。1人でアメリカに住んで毎日練習漬けだと辛いからね。
対戦相手のエミリーは決して楽な相手では無い。もともと上の階級の選手だし、Bellator王者のイリマ・マクファーレンと2回も対戦しているし、5R=25分の試合も経験している(5R、腕ひしぎ三角固めでマクファーレンが一本勝ち)。Invictaのデビュー戦では豪快なKOを見せた。間違いなく強敵だ。しかし、我々もそのための準備はきちんとしてきた。カナコの場合は相手に合わせた作戦よりも彼女の長所を活かす事が大切だ。いずれにしろ彼女のキャリアの先を見据えるととても良い相手だし、色々と見えてくる試合になると思う。
ただ、カナコはまだケージの中で試合をするという事に完全に慣れてはいない。勉強中だ。彼女はまだ金網が自分の味方だという事に気付ききれていない。だから、レスラーにとってケージは最高の味方だ、という事に気付いてもらうための反復練習は頻繁にやってきたよ」
──村田選手が2018年の福岡大会で試合するはずだった中国のウェイリー・ジャン選手がUFC王者になりました。今の村田選手と試合をしたらどんな試合になると思いますか?
「あの当時に試合をしていたら、カナコが勝っていたと思う。カナコとまともにグラップリングでやりあえる女子選手は世界中探しても数人しかいない。ただし、ウェイリー・ジャンは今ノリに乗っているから、今の彼女とやったら大変厳しい試合になるだろう。あと数回防衛したら穴も出てくるだろうし、今のような勢いのある戦いはしなくなるだろう」
──タイミングが重要だと。今、村田選手がUFCに参戦したらランカーたちと肩を並べて戦う事はできるでしょうか?
「間違いなくできる。先ほど行ったように今のウェイリー・ジャン、そしてタチアナ・ソアレス以外は対等以上に戦えるだろう。タチアナはレスリング力が強く、とにかく身体が大きい。テイクダウンが取れないかもしれないという事を仮定するとかなり厳しい試合になるだろう。他の選手はサイズとスタイルからいっても勝てる可能性が高い」
──ハロウィン当日に移動してカンザス入りといろいろ大変ですね。
「実はハロウィンは私の一番好きなお祭りごとなんだ。ハロウィンは毎年必ず家族と過ごしてきた。でもカナコの為なら、カンザスでハロウィンを過ごしても良い。カナコは出発前に私に『ハロウィンなのにソーリー』と言ってきたが、謝る必要なんてないさ。私は好きでここにいる。
実はカンザスには全米でも有数のお化け屋敷があるんだ。カナコもヤーヤ(シャイアナ・リンコン)も問題なく計量終えたし、今夜はカンザスのお化け屋敷巡りでもしてくるよ(笑)」
◆村田夏南子(公開計量後のコメント)
「思ってたより相手は小さいなと思いました。メインになったのは、これも運命」
「コンバット・スポーツ・アカデミーでは2カ月ほど合宿をしました。日本にいるときも一日中ずっとジムにいる感じだったんですが、アメリカでも一日中ずっとジムにいました!
今日、計量で相手と向かい合って、思ってたより小さいなと思いました。明日やってやるぞという気持ちもできました。メインになったのはびっくりでしたが、これも運命だと思います。とはいっても試合順関係なく、やるだけです!」