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インタビュー

【UFC】UFCデビュー戦勝利の魅津希、階級上の緊急オファー&対戦相手の体重超過も「フライ級に留まるなら、もっと強くならないといけない」

2019/09/02 14:09
【UFC】UFCデビュー戦勝利の魅津希、階級上の緊急オファー&対戦相手の体重超過も「フライ級に留まるなら、もっと強くならないといけない」

(C)Brandon Magnus/Zuffa LLC/UFC 

8月31日(土)、中国・広東省深セン市のユニバーシアード・スポーツ・センターにて「UFCファイトナイト深セン」が開催され、前日計量で3ポンドオーバーした中国のウー・ヤナン(中国)と129ポンド契約で対戦した日本の魅津希(SERRA LONGO FIGHT TEAM)が判定2-1で勝利。UFCデビュー戦を白星で飾った。

緊急オファーを受けて、これまでの女子ストロー級(-52.2kg)ではなく1階級上のフライ級(-56.7kg)でのUFCデビューを決めていた魅津希は、一回り大きなヤナンに対し、事前の予告通り、細かいステップとスピードで凌駕。ヤナンのテイクダウン狙いも切り、精度の高い左ジャブ・右ストレートを当て、終盤のヤナンの反撃も凌ぎスプリット判定をものにした。

試合後、初のUFCでのオクタゴンの感想を、「今回の試合を受けたとき、対戦相手の国で戦うことになりますし、観客は私ではなく彼女を応援することになるなと思ったので、なんだかとてもおかしかったことを覚えています。思わず笑ってしまうような感じでした。そのおかげでかなりリラックスできたんです」と、緊張もなく迎えられたことを明かした魅津希。

さらに、これまでより一階級上での挑戦について、「私は本来、ストロー級ですし、今回はひとつ上の階級の試合だったので、その点では彼女の方にアドバンテージがありました。かなり接戦の試合だったと思います。確実に勝ったかどうか分からなかったので、もし負けていたら、相手と比べて大きくなかったことを公開したかもしれません。負けたら悔いの残る試合内容でしたので、この1勝は大きかったです」と、自身としても薄氷の勝利だったことを語ると、今後について、「このままフライ級で戦い続けるのか、ストロー級に戻るか、帰ってコーチたちと相談してみます。フライ級に留まるなら、もっとフィジカルを強くしないといけないので、そこを考える必要があります。戻ったらそれについてしっかり考えます」と語った。

米国ニューヨークの名門SERRA LONGO FIGHT TEAMで練習を積むようになった25歳の魅津希は、本格的なフィジカルトレーニングにより筋力がつき、食生活の変化や年齢も上がってきたことから「これまでと同じような感じで体重が落ちなくなってきています」と試合前に吐露していたが、それでもINVICTA FCでは「もう1度ストロー級で勝負するつもりでした」と語っていた。

それは、頂点を見据えてのこと。現在、UFC世界女子フライ級王者はヴァレンティーナ・シェフチェンコ。 ヨアナ・イェンジェイチックを判定で下し王座に就いたキルギス生まれの女王は6月にジェシカ・アイを左ハイで沈め、8月にもリズ・カムーシュを判定で下している。試合前、「UFCでシェフチェンコに勝てるというイメージがまだ湧いてこない」と語っていた魁津希は、今後どの階級を選択するか。ストロー級の王者は、同じ中国大会のメインでジェシカ・アンドレジに圧勝し王座を奪取したジャン・ウェイリだ。

中国人初のUFC世界王者となったジャン・ウェイリは、試合後「勝利のカギは冷静なマインドセットとコーチたちが決めてくれた戦略。すべての戦略が実用的だったし、重要なポイントの一つひとつが予想したものだったから、あらゆるチャンスで私を支えてくれた」と、ホームでの戦いで戦略通りに戦えたことを勝因に挙げている。

また、「海外で戦うときは、ビザの問題でチームと一緒にいられない。でも、昨年に北京で活躍できたのも、今年の深センでベルトを勝ち取れたのも、コーチたちが全員、私を支えてくれたから」とコメントしたように、UFC4戦4勝のウェイリはホームの中国では一本勝ちとTKOとフィニッシュできているものの、UFCにとってのホームである米国の大会ではいずれも判定に持ち込まれている。

ウェイリを目標に定める魅津希は今後、どの階級でどんな大会に起用されるか。アジアでは中国市場に比重が割かれ、日本大会の開催が遠ざかっているいま、ニューヨークを拠点とする魁津希にとってのもうひとつのホームは米国といえる。

「Kunlun Fight」や「Krush」などで立ち技のみの試合でも戦ってきたウェイリは、首相撲&ヒジ・ヒザのMMAムエタイの使い手であるだけでなくフィジカルモンスターでもある。そんなウェイリと戦うイメージを魅津希は、オクタゴンのなかで高めることがことができるか。

「UFC女子で日本人MMAファイターは(自分しか)いないので、日本人でも勝ち残っていけるんだぞ、というところを男子も含めて、私が証明していけたらいいなとすごく思っています。それに、私の下の世代にも強い子がいることも伝えたいので、UFCで勝ち残っていきたいです。日本の女子MMAを背負っていけるくらいの偉大な選手になるのが目標です」と試合後インタビューで語った魅津希の今後の選択・戦いに注目だ。

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