2025年10月19日(日)、17時から沖縄ミュージックタウン音市場にて『Lemino修斗.2』(Leminoプレミアム配信)が開催された。
9月に東京・後楽園ホールで開催された『Lemino 修斗.1』に続く沖縄大会では、国際戦3試合に加え、宮城友一vs.シモン・スズキのフライ級ランキング戦、ストロー級で畠山隆称の再起戦、砂辺光久の修斗初参戦など、さまざまなテーマのカードがラインナップされた(※松根良太代表によるLemino修斗2の見どころ)。
▼第10試合 バンタム級(61.2kg)5分3R×野瀬翔平(MASTER JAPAN FUKUOKA)14勝7敗2分[1R 1分20秒 ギロチンチョーク]〇シンバートル・バットエルデネ(Team Tungaa Shandas)6勝0敗
野瀬は、修斗世界バンタム級1位。柔道時代に大怪我を負いながら、奇跡の回復から格闘技の道を選択。『ROAD TO UFC』でのユ・スヨン戦の判定負けからの帰還後、24年9月の修斗環太平洋バンタム級チャンピオン決定トーナメント準決勝で人見礼王を2R キムラで極めたものの、12月の決勝戦でダイキ・ライトイヤーに蹴り上げを効かされスプリット判定で惜敗。
25年5月に地元・福岡の『闘裸男』で加藤ケンジを1R 肩固めに極めて再起を果たすと、8月31日の『GRACHAN』福岡大会ではグラップリングルールで石橋佳大に腕十字で一本勝ちしている。14勝中10の一本勝ちを誇る“極め”のスペシャリスト。27歳。
対するモンゴルのシンバートルは、レスリングベースで、コンバットサンボ、キック、シュートボクシングでモンゴル王者に輝いている。
2022年10月にMMAプロデビューし、24年5月にテムーレン・アルギルマーに判定勝ちで注目を集めた。24年10月の『Breakthrough Combat01』で初来日し、強豪・吉野光に組みで上回り、判定勝ち。25年1月の『GLADIATOR 029』バンタム級暫定王座決定戦で吉田開威をシザースチョークで絞め落としたが、体重超過により戴冠ならず。
25年6月の『MGL-1FC 22』では、相手のオドスレン・シャグダルの体重超過にもかかわらず、3R リアネイキドチョークで一本勝ち。MGLバンタム級王座についている。22歳。
MMAの経験値では野瀬が大きく上回るが、スタンドでも組みでもパワフルなシンバートルは、野瀬が21年にスプリット判定負けした吉野に競り勝っている。吉野戦でも組みの技術の精緻さで吉野が上回るという予想もあったなか、スクランブル戦を制したシンバートルの進化、そして再び世界を目指す野瀬の真価も測れる、バンタム級の3R戦だ。
1R、サウスポーの野瀬にオーソのシンバートル。野瀬は右カーフ、強い左ミドルを2発をボディにヒットさせると、シンバートルの右ローに合わせて左ストレートから組みに。がぶったシンバートルはアームインギロチンで引き込み、右足をかけて野瀬に前転させず。
横にめくってマウントで絞めると、足を押す野瀬の呼吸が荒くなり、落ちた。80秒、ギロチンチョークで失神の一本勝ち。シンバートルは「応援ありがとうございます。モンゴルの皆さん、呼んでくれた皆さんにも感謝しています」と語り、セコンドのジャダンバ・ナラントンガラグと歓喜のガッツポーズを見せた。
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▼第9試合 ウェルター級(77.1kg)5分3R〇西條英成(THE BLACKBELT JAPAN)6勝2敗[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×クルボン・バトル(Prodigy Training Center)2勝1敗
『Lemino修斗』旗揚げ戦にもセコンドとして来場した西條は、25年6月の『ONE Friday Fights112』でのカシム・マゴメドシャピエフ戦からの再起戦。6戦全試合1Rフィニッシュのマゴメドシャピエフを相手に左フックで1R KO負けを喫した西條にとって、いかにウェルター級で海外選手と対するか。今回はホームで迎え撃つことになる。29歳。
対するハワイのクルボン・バトルは、23歳でMMA1勝。幼少時に父親のミリタリーの仕事の関係で沖縄で過ごしている。現在はクリスチャン・リー率いるProdigy Training Centerでトレーニングしており、キックボクシング5勝で、23年9月のKings of Kickboxingウェルター級王座戦では、元UFCのルイス・ペナに判定勝ちでベルトを巻いた。ボクシング戦では24年4月に1R KO負けで1勝1敗となっている。
長い手足を活かしたオーソからの右の上下の蹴り、ストレートは脅威で、頭を下げたときの首相撲ヒザ蹴りにも注意が必要だ。組みは未知数ながら、クリスチャン、エイドリアン・リー兄弟らと組んでいることからただのストライカーではないことが分かる。エイドリアンがTHE BLACKBELT JAPANで出稽古した際に、西條は肌を合わせており、その情報もバトルに伝っているであろう。西條は難敵をホームで超えることができるか。
1R、左右から左で脇差しケージを半周かけて崩した西條。バトルのバックから右足をかけてパウンド。残り10秒の拍子木に腕十字も、バトルは上体起こす。
2R、バトルの右カーフを受けながらダブルレッグテイクダウンの西條。クローズドガードのバトルをケージまで運び、パウンド。ヒザを押して片足を抜こうとするがバトルも足を超えさせない。バトルの細かいパウンドで西條も右額にこぶ。
3R、バトルの右をかわしてダブルレッグに入る西條。その圧力に引き込む形になったバトル。片足抜き左枕でパス、サイド奪う西條はバック狙いも正対したバトルにがぶりの西條、首抜きスタンドに戻すバトルは圧力。そこに組んだ西條は、押し込み。
判定30-27×2, 29-28の3-0で西條が勝利。「私にとって不安は大きく、ここに立てたのは応援のおかげです。こんな試合で言うのも何ですが、修斗のベルトを獲りたいと思っています」と、住村とエルナニの勝者、王者に挑戦したいと言い、「欲をいえばここ沖縄で」と語った。
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▼第8試合 フライ級(56.7kg)5分3R ※選手名から前戦×宮城友一(キックボクシングDROP)[判定0-3] ※28-29×2, 27-30〇シモンスズキ(和術慧舟會HEARTS)
沖縄総合格闘技界のパイオニアにして、第3代GLADIATORライトフライ級王者の宮城は、2023年10月の修斗で片山将宏をリアネイキドチョークで極めたが、その後、鈴木崇矢の奇襲にKO負け、高岡宏気に判定負け、梅筋毒一郎に2R KO負けと3連敗を喫した。しかし、25年4月の前戦でニシダ☆ショーにケージMMAムエタイといえる際の動きで判定勝ち。再起を遂げている。
イランと日本の国旗とともに入場のシモンは4連勝中。24年11月に超新星・中池武寛を1R TKOに下すと、25年1月に山本壮馬に判定勝ち。25年5月のニューピアホール大会では、自身初の国際戦で体重超過のフィルダウス・フェイジエフ(ウズベキスタン)と対戦し、粘るフィルダウスをリアネイキドチョークで1Rで一本勝ち。さらに7月大会では安芸柊斗もリアネイキドチョークで極めて、2連続フィニッシュの怒涛の4連勝をマークしている。混戦のフライ級の中で5位の宮城を下し、8位から一気にジャンプアップするか。
1R、ともにサウスポー構え。スタンドの圧力の宮城に詰め返すシモン。宮城はもろ差しからヘンゾロックで崩してバックに。足はかけせないシモンが落としてトップに。立ち際に宮城に右足をかけて鉄槌連打。さらに首も狙いながら削っていく。
2R、左を振るシモンに、宮城は左、首相撲ヒザ。ともに左カーフから、宮城のジャブに合わせてシングルレッグテイクダウンはシモン。立つ宮城は脇潜りバックから足を対角に差し込み崩し。後半に組んで尻着かせるのはシモン。
3Rも、打撃の交換から組みを混ぜるシモン。粘り強く立つ宮城だが、その立ちにヘンゾロックで足を差し込み、崩すシモンは崩してパウンドで削る。
判定は3-0(30-27,29-28×2)でシモンが勝利。5連勝をマークしたシモンは「今日、KOか一本で勝ちたかったですけど、今後活躍してくんで注目してください」と語り、「早くタイトルやりたいです。オファー待ってます」と王座戦をアピールした。
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▼第7試合 ストロー級(52.2kg)5分3R〇畠山隆称(THE BLACKBELT JAPAN)8勝1敗2分[判定2-1] ※30-27, 29-28, 28-29×ニシダ☆ショー(BURST)14勝10敗4分
畠山は、昼は学童支援員として働き、夜にTHE BLACKBELT JAPAN沖縄で練習。2019年の第26回全日本アマチュア修斗選手権ストロー級優勝を経て、2020年11月にプロ修斗でデビュー。大城正也とドロー後、2023年5月にアマ修斗決勝で対戦した泰斗とドローになるまで4連勝(2勝はリアネイキドチョークによる一本勝ち)。その後も3連勝を飾り、2024年11月には修斗沖縄大会でマッチョ ザ バタフライをKOして世界ストロー級1位となった。25年2月には『ONE Friday Fights 97』で初の海外試合にして国際戦に臨み、ジェイソン・ミラルペス(フィリピン)に1R KO負けでキャリア初黒星を喫した。28歳。
広島BURSTのニシダ☆ショーは、14勝9敗4分。23年12月の江木伸成戦でドロー後、11月の打威致戦もドロー。25年4月の沖縄大会で宮城友一に判定負けを喫したが、25年7月の「TORAO36」広島大会で師匠・佐々木信治ゆずりの三角絞めで一本勝ち。18年4月の新井丈戦以来の連勝なるか。
1R、ともにオーソドックス構え。フェイントから右のダブルをスイングする畠山に、ニシダは組んでクラッチ、細かいヒザ。頭を出すと畠山がそこにパンチを連打する。
2R、オーソから左ハイの畠山。右の蹴りのニシダはダブルレッグテイクダウンからバックへ。背後からリストをコントロールして4の字でパウンドも、足の解除に畠山が正対。トップからパウンド。
3R、右オーバーハンドでニシダの腰を落とさせた畠山。さらに右スーパーマンパンチで飛び込み、ニシダの組みを両脇差し上げてトップに。バックから攻めてホーン。
判定2-1(30-27, 28-29, 29-28)で畠山が勝利。「2月にONE FFで負けて恩返しできず、今日勝ちという形で恩返しできてよかったです。田上こゆる選手、人生で初めてKO負けして、辞めようかと思いながらも踏ん張って、怪我しても2位までこぎつけたので、僕と田上選手にしかないストーリーがあるので、僕と試合を組んでください」と田上との試合をアピール。続けて「受けたら大阪大会に」と言って、ハイジとクララの蹴り返しのコントを披露。ヤヤウケで大阪大会出場を遠ざけた。
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▼第6試合 フェザー級 5分2R×内藤太尊(ROOTS)[1R 0分34秒 KO]〇工藤圭一郎(グランドスラムAPP)
内藤は、21年5月の宇野薫戦のKO勝ちから、23年12月に2年半ぶりに復帰もリオン武に2R KO負け。24年4月の沖縄大会では宇藤彰貴に1R TKO負けで2連敗中。今回は1年半ぶりの試合となる。36歳。
工藤は、22年に2連続1R KO勝ちも、椿飛鳥、結城大樹、諸石一砂を相手に3連敗。24年11月の山口大会で磯城嶋一真とドローとなっている。32歳。
1R、内藤は左ハイ。その蹴り足つかんで前に出る工藤は鉄槌。押し戻す内藤に右フック! 内藤は仰向けにダウン。すぐにレフェリーが間に入った。
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▼第5試合 ストロー級(52.2kg)5分2R△梅木勇徳(THE BLACKBELT JAPAN)[判定0-0] ※19-19×3△平良龍一(THE BLACKBELT JAPAN)
THE BLACK BELT JAPAN千葉と沖縄の同門対決。
岡田遼推薦の梅木勇徳はグラップラー。23年から24年は、大城正也、タイガー石井に判定0-2の接戦で競り負け3連敗を喫したが、25年3月に加藤皓己を1R リアネイキドチョークで極めて再起。25年5月の前戦は大竹塁に判定0-2で惜敗している。
UFCフライ級5位の平良達郎を格闘技の世界に導いた兄・平良龍一。キックボクシングベースで、2023年4月のプロ修斗デビュー戦でふじい☆ペリーを2R KOに下すと、11月大会でも高橋佑太を1R TKOに下し、2試合連続KO勝ち中。30歳。
梅木のセコンドには鶴屋浩代表、平良のセコンドには松根良太代表がつくという。
1R、サウスポー構えから左の蹴りの平良に、梅木はオーソから右の蹴りを上下に、インローも。トップ奪うのは梅木。平良にケージ掴みの「注意」。
2R、梅木は右インローを当ててテイクダウン狙いも、左で詰める平良がボディロックテイクダウンからバック。背後からパウンド。正対する梅木の組みを潰してトップからバックを奪う平良が肩固めに入りゴング。
判定は19-19×3でドローに。
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▼第4試合 バンタム級 5分2R×ショージン・ミキ(米国/Prodigy Training Center)[1R 1分25秒 三角絞め]〇水嶋敬志(THE BLACKBELT JAPAN)
ハワイでクリスチャン・リー率いるProdigy Training Centerに所属するショージン・ミキは、2019年11月の清水清隆戦以来の修斗参戦。24年12月の沖縄『MCCS Fight Night 2024』で萩原和飛に1R リアネイキドチョークで一本勝ち。25年5月の前戦ではアイダホで判定負け。
THE BLACKBELT JAPAN沖縄の水嶋は、修斗で1勝1分。25年6月の高松大会で下田洋介を2R TKOに下している。
1R、ともにオーソドックス構え。詰めて首相撲のミキに引き込み下になった水嶋は三角絞めに。中腰で外そうとするミキだが、水島は足をすくうと、またごうとするミキに正対して絞めて極めた。
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▼第3試合 フライ級 5分2R〇砂辺光久(reversaL GYM OKINAWA CLOSS×LINE)30勝13敗4分[1R 4分41秒 リアネイキドチョーク]×福島祐貴(BURST)1勝2敗
沖縄格闘技の重鎮、砂辺光久が修斗に初参戦。地元で試合を見せたい家族がいたことから沖縄を求めたが、宮城のセコンドとして修斗沖縄大会で感じるものがあったという。24年4月にPANCRASEの前田浩平戦の判定負けから、24年12月に時田隆成に2R TKO負けで連敗中。対する福島はGLADIATORで1勝1敗。6月の前戦で澤田政輝を1R 三角絞めに極めている。
1R、サウスポーの福島はスーパーマンパンチ。オーソの砂辺は組んでボディロックテイクダウン。立つ福島をジャーマンで投げる。なおも立つ福島にヒザを突く砂辺。正対した福島がテイクダウン。砂辺も立つと前転して逃げようとするがついていく福嶋。
スタンドで入る福島に砂辺の左がヒット! ぐらついた福島だが組むと砂辺は今度はバックドロップ。ハーフからリアネイキドチョーク狙いで四の字。福島は正対にパウンド。立つ砂辺はボディロックからテイクダウン。マウント。四の字バックからリアネイキドチョーク。最後はパームトゥパームで極めた。
試合後、砂辺は「PANCRASE王になる男が修斗に来ました。4カ月前に亡くなった親父にどうしても見せたくて必死にやってきました。高いお金を払って応援に来てくれたみんなありがとう。ずっと勝てなくてこの喜びを感じたくてやってきました。ここからPANCRASE、連勝していきます」と語った。
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▼第2試合 フライ級(56.7kg)5分2R×輝龍(ROOTS)[1R 2分01秒 TKO]〇小生隆弘(グランドスラムAPP)
1R、サウスポー構えの小生は左から組んでケージに押し込み、入れ変えようと輝龍に首相撲ヒジ・ヒザ。腹にヒザを効かせて輝龍がダウン、パウンドでレフェリーが間に入った。小生は「ずっと勝ててなくてそれでも応援し続けてもらって自分は幸せです」と語り、勝村、妻とハグをかわした。
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▼第1試合 2025新人王トーナメント ストロー級(52.2kg)準決勝 5分2R△黒瀬恭平(マスタージャパン山口宇部)[判定0-0] ※19-19×3 ※優勢ポイント0-3で賢人が決勝進出△賢人(BJ MMA SHCOOL)
1R、右カーフ、ワンツーの右を当てる賢人がボディロックテイクダウン。ハーフからヒザを中に入れる黒瀬は外がけ外ヒールで上に。さらにトーホールドからパウンドも。賢人に金網掴みで「注意」。
2R、右カーフ、右ストレートの賢人の詰めに体を入れ替えす黒瀬が押し込むが離れる賢人。黒瀬はなおもシングルレッグから脇差し崩すも小手巻く賢人が凌ぎ、バックにつこうとする黒瀬にヒジ。
判定結果は0-0(19-19×3)ドローも、優勢ポイント3-0で賢人が決勝進出。