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【ONE】ディベラがプラジャンチャイにリベンジし世界王座を統一、ンサンが引退試合TKO勝ちで有終の美飾る、オルチコフがダウン応酬の末に4位ゴントーラニーに勝利、マラチエフがブルックスを絞め落とす、若松の対戦候補だったザキロフがフーに判定勝ち、ジャオスアヤイがグルザダに敗れる、磯嶋祥蔵がTKO勝ちで6連勝、5万ドル獲得

2025/10/04 09:10
 2025年10月4日(土)タイ・バンコクのルンピニースタジアムにて『ONE Fight Night 36』(U-NEXT配信)が開催された。▼第9試合 ONEストロー級キックボクシング世界王座統一戦 3分5R×プラジャンチャイ・PK・センチャイ(タイ/正規王者)[判定0-3]〇ジョナサン・ディベラ(イタリア/カナダ/暫定王者)※ディベラが王座統一、初防衛に成功。  プラジャンチャイは元ラジャダムナンスタジアム認定フライ級王者、元ルンピニースタジアム認定バンタム級&スーパーバンタム級王者。ボクシングでもWBAサウスアジア・バンタム級&フェザー級王座に就いている。スピードがあり、ハイレベルなテクニシャンタイプのムエタイトップファイターの一人。  2021年7月のONE初参戦で、いきなりサムエーに挑戦して判定勝ちでストロー級ムエタイ世界王座に就いたが、2022年5月の初防衛戦でジョセフ・ラシリにTKO負けで陥落。2023年6月にサムエーをKOして暫定王座に就くと、12月にラシリとの王座統一戦を初回KOでリベンジに成功し、王座返り咲きを果たした。  さらに2024年6月には“人生無敗の男”ジョナサン・ディベラに挑戦し、判定勝ちでストロー級キックボクシング世界王座も奪取。2025年2月にエリス・バダ・バルボーサをKOしてムエタイ王座の防衛に成功している。戦績は340勝52敗3分。ONEでは7勝1敗。また、プロボクシングでも3戦3勝。  ディベラは格闘家だった父に2歳から教えを受け、極真空手の黒帯を取得。アマチュアキックボクシングで20勝(17KO)無敗、アマチュアボクシング6勝無敗の戦績を収めてキックボクシングのプロに転向するとISKA北米王座やISKAインターコンチネンタル王座を獲得。GLORYにも出場した。2022年10月にONE初参戦を果たすと、いきなりONE世界ストロー級キックボクシング王座決定戦に抜擢され、ジャン・ペイメンを判定で破り新王座に就いた。  2023年10月にはダニエル・ウイリアムスを判定で破り初防衛に成功。しかし、4月の2度目の防衛戦前にハイドレーションテストの検体を提出できず、計量が許可されなかったためプラジャンチャイとの試合は中止、王座は剥奪に。2024年6月、プラジャンチャイとの同王座決定戦で復帰したが、判定3-0で初黒星。しかし、2025年3月の日本大会でサムエーを破り、暫定世界王座に就いてプラジャンチャイとの再戦に漕ぎつけた。戦績は14勝(4KO)1敗。  1R、ジャブを打つディベラは左ローから左インロー、プラジャンチャイが入ってくるところに左ボディ。プラジャンチャイがサウスポーになるとディベラもサウスポーに。ジャブからワンツー、左カーフのディベラ。プラジャンチャイも右ローを蹴るが、ディベラがスピードと回転力で優る。  オーソドックスに戻ったプラジャンチャイは右ミドル、右インローを蹴るがディベラのジャブからの右カーフが速い。プラジャンチャイの右ローに右フックを合わせるディベラ。手数とヒットでディベラのラウンドか。  2R、速いジャブを突いていくディベラにプラジャンチャイもジャブを出すが打って離れてのディベラに攻撃が届かない。プラジャンチャイは右ミドルから左右ボディ連打、オーソドックスになってのヒザ。プラジャンチャイは左右の連打や右ボディを出して距離を詰めていく。  右ハイを蹴り合う両者。ディベラの右カーフに入り込むプラジャンチャイはヒザから左右の連打、すぐに離れて回り込むディベラは前へ出てくるプラジャンチャイに右フック、ワンツー。徐々にプラジャンチャイが距離を詰め始めた。プラジャンチャイが多く攻撃を当てた。  3Rも前に出るプラジャンチャイにディベラは左ボディ。打ち合いで右フックの相打ち、プラジャンチャイは組み際にヒザを突き刺す。ヒザを出すプラジャンチャイにディベラは細かく連打。プラジャンチャイの右ミドルには右フックを返す。ディベラのパンチをブロックしてヒザを突き刺すプラジャンチャイ。  組みを解除したプラジャンチャイにディベラが右フックをクリーンヒットさせ、プラジャンチャイがフラつく。すぐに挽回しようとしたプラジャンチャイだがディベラはワンツーの連打で近づけさせなかった。このラウンドはディベラか。  4R、ディベラの左右ボディに前へ行くプラジャンチャイ。ヒザから左右連打のプラジャンチャイにディベラは下がりながらも左フックを打つ。ガードを固めてどんどん前へ出るプラジャンチャイだが、ホールディングで痛いイエローカード。再開後、ディベラは下がりながら左ミドルと左インロー。  打ち合いに行ったプラジャンチャイが連打でディベラにロープを背負わせるが、ディベラも打ち返す。ディベラは下がって右フックを強振。前へ出るプラジャンチャイはパンチの打ち合いからヒザに行く。ディベラはすでに逃げ切り体勢か下がり続ける。ワンツーの連打で前へ出るプラジャンチャイ。  5Rも前に出るのはプラジャンチャイで、ディベラにロープを背負わせてワンツーを打つ。ディベラは右カーフ。ディベラは右フックからコンビネーションを回転させ、左カーフを蹴る。プラジャンチャイは右ミドルを蹴るが手数が少ない。ジャブで先手をとるディベラ。プラジャンチャイが来るところにジャブ、左ストレート、右カーフを合わせる。終盤、ディベラが前へ出て攻撃の姿勢を見せて試合終了。  判定は3-0でディベラがリベンジに成功、王座を統一した。その場に座り込み、感情を爆発させるディベラ。さらに5万ドルのボーナスも。 「言葉がないです。嬉しいです。今回は前回よりアグレッシブに行く意識でいました。プラジャンチャイはIQが高くて本当に良い選手。ONEに感謝しています。選手の人生を変えてくれる場です」と勝利者インタビューに答え、プラジャンチャイとの3度目はムエタイルールでやりたいとも話した。 [nextpage] ▼第8試合 ミドル級 MMA 5分3R〇アウンラ・ンサン(ミャンマー/Kill Cliff FC)[2R 2分20秒 TKO] ※パウンド×ゼバスチャン・カデスタム(スウェーデン/Legacy Gym/Pancrase Gym Sweden)  今回が引退試合のンサンは、元ONEライトヘビー級&ミドル級MMA世界王者。大学で農業を学び、養蜂家として米国で生活も柔術を習ったことからMMAファイターに。  2005年5月にイリノイでプロデビューし、MMA45戦で30勝15敗1NC。ONEでは、母国ミャンマーの情勢が安定していたときには、ヤンゴンのトゥワナスタジアムでメインを務めた。  18年と19年に日本の長谷川賢とミャンマー&東京で2度の大激闘を繰り広げ、22年には岡見勇信にもTKO勝ち。ミャンマー史上初のMMA世界王者として、20年にわたるキャリア30勝で93%フィニッシュ率を記録している。キャリア後半の22年から23年にかけて3連勝をマークも、24年9月と25年2月にシャミル・エルドアンにKO負けして連敗中。40歳を迎え現役引退を決意し、最後に元ONE世界ウェルター級王者のゼバスチャン・カデスタムと対戦する。  ムエタイベースのスウェーデン人のカデスタムは、93%のフィニッシュ率で15勝を誇る。レガシー・ジムとオールスターズ・トレーニング・センターでアレクサンダー・グスタフソンのような大きな選手たちと練習。さらに、KSWの2階級制覇王者ロベルト・ソルディッチをTKOで下し、3連勝の勢いでバンコクに乗り込む。2年5カ月ぶり復帰戦。  カデスタムとの試合に向け、ンサンは公式インタビューで「グラップリング以外に彼に大きな弱点があるとは思わない。彼はディフェンス的にも非常に堅実だ。ロベルト・ソルディッチとの試合を見れば、彼の防御は完璧で非常に的確な動きと機動力もある」と評価。  さらに友人でもあるカデスタムとの試合を「彼は良い人で本当に好きだし、彼がとても優秀であることを知っているが、私たちは打ち合うだろう。結局のところ、彼は彼と彼の家族の面倒を見なければならないし、私も私と私の家族の面倒を見なければならない。そしてファンは楽しめる。なぜなら私たちのどちらも引き下がらないから。どちらかがマットに沈む、それが唯一の方法だ。それが私たちの友情を称え、ファイターとして、戦士として互いを称える唯一の方法だ」と語っている。  父がリングサイドで見守るなか、ミャンマーからの移民も多いタイで入場したンサン。生歌の入場曲の大合唱で花道を進む。セコンドにはキルクリフのヘンリー・フーフトコーチ、ネイサン・マーコートの姿も。  1R、ともにオーソドックス構え。先に右ローのンサン。さらに左インローも前足に突く。カデスタムは右前蹴り。「アウンラ!」の大コールのなか、ンサンは左ミドルハイ。カデスタムも右ハイ。ガードのンサンは、右の蹴りでけん制。さらに右カーフ。カデスタムの蹴りがローブローに。  再開。スイッチしながら入るカデスタムは右ハイ。ンサンもサウスポー構えから左の蹴り、オーソから二段蹴りも見せる。左ハイを突くンサン。かわしたカデスタムに右ローもローブローに。再開。  ンサンの左ハイをかわすカデスタムは右後ろ蹴りを腹に。ワンツーで詰めるンサン。さばくカデスタムにワンツーのダブルを入れたンサン。カデスタムもワンツーで押し戻しゴング。慎重な出だし。  2R、右ストレートで飛び込み、左ストレートで詰めるンサン。カデスタムも右ハイ。互いに右、ンサンは右ヒジ。ヒザ。頭が下がったカデスタムにアッパー、ヒザ、ヒジ。ロープを背にするカデスタムは試合間が空いていてスタミナ苦しいか。  ロープに詰めたンサンが一気に左右ラッシュ! カデスタムは左目下から出血。そのまま崩れ落ちて、ンサンの中腰からのパウンドを受け続けてレフェリーが間に入った。  右目を腫らしたンサンは、ミャンマー国旗を羽織り、「ありがとうミャンマー、バンコク。素晴らしい場を作ってくれてありがとう。神にも感謝します。応援してくる皆さんのおかげでこうしてここの場に立つことが出来ました。ヒザの怪我に悩まされてきましたが、昨年から少しづつ動けるようになって戦いました」とマイク。  チャトリ代表からの5万ドルボーナスのアナウンスがあると、「良いときも悪いときも信じることを忘れずに戦い続けよう」とコメント。11月、日本大会で殿堂入りのセレモニーが行われることも発表された。MMA通算戦績46戦31勝15敗1NCのンサンは、リング上にオープンフィンガーグローブを置いた。 [nextpage] ▼第7試合 ONEフライ級ムエタイ 3分3R×ゴントーラニー・ソー・ソンマイ(タイ/同級4位)[判定0-3]〇アスラムジョン・オルチコフ(ウズベキスタン) ゴントーラニーは2018年にラジャダムナンスタジアム認定スーパーバンタム級王座、2022年に同ライト級王座に就いているサウスポー。ONEには2023年5月から参戦し、Friday Fightsでギンサンレック、内藤大樹、ジャオスアヤイらに連戦連勝で2024年4月に本戦契約を獲得。本戦第1戦のスーパーレックには敗れたものの、タギール・カリロフ、ナックロップ、ノンオーに3連勝。しかし、2015年5月のノンオーとの再戦で敗れた。ONE戦績は10勝2敗。 オルチコフは2023年7月から『ONE Friday Fights』に参戦し、タイ人選手を相手に8連勝(4KO)で本戦契約を獲得。今回本戦デビューを迎える。22戦無敗(12KO)のレコードを誇る。前戦は2025年6月にペットスクンビットにKO勝ち。  1R、サウスポー同士。オルチコフが右インロー、ゴントーラニーが右フックを放つが見合いが続く慎重な立ち上がり。ゴントーラニーの左フックをかわしたオルチコフが右フックを打つ。左ローを蹴って前に出るオルチコフにゴントーラニーはワンツーから右ミドル。  オルチコフの右ハイにはゴントーラニーが左ストレートを返す。オルチコフのカカト落としは肩口で受け止められた。徐々に圧を強めるオルチコフは横前蹴り、左ハイと蹴りを放って行く。  2R、オルチコフは右の三日月を2連発、ゴントーラニーが右ローを蹴ると左ローを連発する。ゴントーラニーが左フックを打つと、またしてもオルチコフが右フックを合わせる。ゴントーラニーの左ローをキャッチしたオルチコフが左フックから右フックを放ち、バランスを崩されたゴントーラニーはダウンを奪われる。  右フックを合わせるオルチコフにゴントーラニーは左ストレート、ここからゴントーラニーが攻めに転じるが、オルチコフは軸足払いで転倒させる。入り込もうとするゴントーラニーに顔面前蹴りを狙うオルチコフ。ゴントーラニーの蹴り足をキャッチして、何度も転倒させた。  3R、左フックと左ミドルで攻め込むゴントーラニーだが、その左ミドルをキャッチして転倒させるオルチコフ。右の三日月蹴り、右ボディを連打してからの左ハイでオルチコフは攻める。ゴントーラニーはオーソドックスに構えると、踏み込んでの右フックでダウンを奪い返す。  大歓声に背中を押され前に出るゴントーラニーは右ミドル、左右にスイッチして入り込んでいくが、オルチコフが右フックで迎え撃つ。オルチコフは左右ロー、ジャブ。ゴントーラニーも無理をして攻めず、両者とも自分が勝ったと確信して流した様子。  ダウン応酬の接戦は判定3-0でオルチコフが制し、ランカーを破った。 [nextpage] ▼第6試合 ONEフライ級MMA 5分3R×ジャレッド・ブルックス(米国/Mash Fight Team)[2R 2分09秒 ノースサウスチョーク]〇マンスール・マラチエフ(ロシア/Industrial Fighters)  元UFCフライ級のブルックスは、22年12月にジョシュア・パシオのONEストロー級王座に挑戦し判定勝ちでベルトを獲得。24年3月にパシオとダイレクトリマッチも、頭部をマットに叩きつける反則のスラムで失格。初防衛に失敗した。  続く8月のONE世界ストロー級暫定王座決定戦でグスタボ・バラートと対戦。計量ミスのバラートに1R リアネイキドチョークを極めて暫定王者として復活した。 しかし直近の2試合は苦戦。24年12月にフライ級に上げてリース・マクラーレンにスプリット判定負け。25年2月の『ONE 171』でパシオとストロー級王座統一戦もパウンドで2R TKO負けを喫している。2階級制覇を狙うブルックスが再スタートを切る。  対するダゲスタンのマラチエフは、元イーグルスFCの2階級制覇王者。23年6月にONE参戦。ジェレミー・ミアドからダースチョークで一本勝ちも、続くジョシュア・パシオに判定負けし、キャリア初黒星を喫した。  24年2月に猿田洋祐に判定勝ち、同年10月にボカン・マスンヤネに判定勝ちで2連勝と再び波に乗っている。1年ぶり復帰戦で3連勝をマークするか。  1R、ともにオーソドックス構え。右ローのブルックスにマラチエフはシングルレッグ。そこにアームインギロチンを合わせてがぶりからヒザを狙うブルックス。立ち上がりコーナーまでドライブするマラチエフに体を入れ替えるブルックス。  アゴ下に頭をつけて右ヒザを突く。さらにダブルレッグに移行。差し上げるマラチエフ。左で差して押し込むブルックスは右ヒジ。右小手のマラチエフにシングルレッグに。さらにヒザを突き、ブレーク。  右後ろ回し蹴りからダブルレッグのブルックス。コーナーに詰めて左右を振ってヒザ。さらに離れて左フックでゴング。  2R、右バックフィストのマラチエフにブロッキングのブルックス組んで押し込むマラチエフにギロチン狙いのブルックス。マラチエフは下で足をまとめてクラッチして肩口まで持ち上げてリフトして背中からテイクダウン!  がぶりギロチンからブルックスをうつ伏せにさせて上四方からノースサウスチョーク。力が抜けたブルックスだが、一瞬気を取り戻し暴れるも、マラチエフの絞めに失神した。 [nextpage] ▼第5試合 ONEフライ級MMA 5分3R〇サンジャル・ザキロフ(ウズベキスタン/Khaturaev Team)[判定3-0]×フー・ヨン(中国/Fighting Bros Club) “ウズベクタイガー”サンジャル・ザキロフは22歳でMMA13勝無敗。ONEデビューから2連勝後、本田良介を2R TKO、和田竜光に判定勝ちで対日本人にも連勝。その後もエコ・ロニ・サプトラを2R KO、ボカン・マスンヤネにも判定勝ちしている。  中国の“ウルフ・ウォリアー”フー・ヨンは、MMA13勝6敗。2019年『ONE Hero Series』から21年にONE本戦出場。若松佑弥に判定負け後、ジェヘ・ユスターキオ、ウ・ソンフン、エコ・ロニ・サプトラ相手に3連勝も、24年5月の前戦でリース・マクラーレンにスプリット判定負けを喫した。  1R、オーソから右の蹴りで入るザキロフ。フーも右カーフ、左ミドルハイ。大きな左を振って組もうとするザキロフだが、切るフー。サウスポー構えから左を振って近づきダブルレッグのザキロフを切るフー。  ザキロフは左ミドルハイ、パンチを振って組んでボディロックテイクダウン。すぐに立つフーに送り手を掴んでコントロール。フーは背後に左ヒジをヒット。ザキロフは再三のボディロックテイクダウン。その都度立つフーは正対して投げてザキロフを崩す。  シングルレッグテイクダウンのフーに尻は着くも立つザキロフ。ワンツーのフーを潜ってシングルレッグも切るフー。ザキロフの小外がけにトップを奪い、ザキロフの足関節もすぐにヒザを抜いてゴング。  2R、右から左のワンツーで前に出るフー。ザキロフは左ハイもガードのフーはテイクダウンディフェンスに自信か左右を強震。それを潜って組んだザキロフはバッククリンチから崩し、ロープ掴みのフーが口頭注意を受けた後で、ザキロフがバッククリンチから引き込みも立つフー。ザキロフに足はかけさせない。正対して離れて組むフー。ザキロフの払い腰に先に立って前に。下のザキロフは足関節狙いから立ち上がる。  右アッパー、首相撲ヒザ、ダーティボクシングのフーに対し、ボディロックテイクダウンのザキロフはついにボディトライアングルを組むが、残り20秒。背後からパンチのザキロフに、フーはザキロフの足にヒジを落とすと、ザキロフがリアネイキドチョーク狙いでゴング。  3R、右ボディストレートのフーに、払い腰テイクダウンのザキロフ。フーの胴ににボディトライアングルを組み、バックからパウンド。フーはザキロフのヒザにヒジを突く。背後から鉄槌のザキロフリアネイキドチョーク狙い。外すフーにおたつロックで正対を許さず。しかし、残りわずかで胸を合わせたフー。トップになると、すぐにザキロフは立ち上がりゴング。  判定は3-0でザキロフが勝利。 [nextpage] ▼第4試合 ONEフライ級ムエタイ 3分3R×ジャオスアヤイ・モー・クルンテープトンブリー(タイ/Sor Dechapan)[判定0-3]〇アキフ・グルザダ(アゼルバイジャン/Team Mehdi Zatout/TEAM CHINGIZ ALLAZOV)  ジャオスアヤイはタイ国BBTVスタジアム・フェザー級8位として、2019年11月の「第3代K-1フェザー級王座決定トーナメント」に初来日。決勝で江川優生の左ボディに沈んだものの、鮮烈なインパクトを残した。2020年3月『K'FESTA.3』では小澤海斗から勝利を収めたが、2022年8月の「K-1 WORLD GP 2022 K-1フェザー級世界最強決定トーナメント」では1回戦で玖村修平にKO負けを喫した。 『ONE Friday Fights』には2023年6月から参戦し、2024年5月のプンルアン戦から、スリヤンレック、ヨードレックペット、デニス・ピューリック、ナックロップと強豪ばかりを相手に5連勝3KO中。ONE戦績は8勝(6KO)2敗。  グルザダは2024年7月から『ONE Friday Fights』に出場し、初戦で安本晴翔にキックボクシングルールで勝利を収めている。その後はムエタイルールでサミンダンやプンルアンからKO勝ち、前戦は2025年5月にショーン・クリマコから判定勝ちと4戦全勝。今回より所属名にTEAM CHINGIZ ALLAZOVが加わった。  1R、両者とも前後にステップを踏みながら、ジャオスアヤイが左ハイを蹴るとグルザダは右ストレートのカウンター。ジャオスアヤイの右ローにも右ストレートのカウンターを合わせ、強い右ローを蹴る。またもジャオスアヤイの右ローに右ストレートを合わせ、右ローで追撃するグルザダ。ジャオスアヤイは右フックで入っていくが、これにもグルザダが右を合わせる。  ジャオスアヤイが入り込もうとしたところへグルザダが右ヒザをアゴへ突き上げ、ダウンを奪う。左右フック、左アッパーと攻撃をまとめるグルザダは組んでのヒザ。ジャオスアヤイは右ミドルを蹴って反撃するが、スリップして倒れると立つのにやや時間がかかる。  2R、前へ出るジャオスアヤイに右ローを蹴ってフットワークで回り込むグルザダ。ジャオスアヤイは右ハイから左フック、グルザダは右インロー、右ローを連発し、右ストレートを強打する。連打で詰めるジャオスアヤイだがグルザダはステップで回り込む。  サウスポーになって左ヒザ、左ボディストレートを打つグルザダ。左ボディも打つ。前へ出てフックを振り回すジャオスアヤイにグルザダはステップでかわしながらパンチ、ヒザで迎え撃つ。それでも前に出て左右フックを打つジャオスアヤイ。  3R、速いステップで回り込むグルザダを猛然と追いかけるジャオスアヤイ。二段蹴りを放つも軸足を払われてジャオスアヤイは転倒する。しかし、ジャオスアヤイの左フックがヒット。左右フックを振り回すジャオスアヤイが攻勢もグルザダもしっかり右のカウンターを打つ。左フックをもらったグルザダはお株を奪う飛びヒザ蹴りからバックキック。  逆転を狙って攻めまくるジャオスアヤイに大歓声が起きるが、グルザダはステップを止めず右ストレート、左フック、バックキックで迎え撃ちジャオスアヤイに攻撃を許さない。  判定は3-0でグルザダが勝利、5連勝を飾った。 [nextpage] ▼第3試合 ONEフェザー級 サブミッション・グラップリング〇ファブリシオ・アンドレイ(ブラジル/Melqui Galvao)[判定3-0]×エドゥアルド・グランゾット(ブラジル) “ホカゲ”の愛称を持つ柔術世界王者のファブリシオ・アンドレイがONE2連勝を狙う。アンドレイは25年4月の『ONE Fight Night 30』でアシュリー・ウィリアムズに判定勝ち。  対戦相手は同じブラジル人のエドゥアルド・グランゾット。名門ジムCheckMat(チェックマット)所属の22歳でIBJJF世界選手権などで入賞する活躍を見せ、ヒカルド・ヴィエイラの指導の下、2023年6月に黒帯を獲得した。  25年のIBJJF世界選手権で両者は対戦し、グランゾットがアンドレイにポイント差で勝利している。  試合は、アンドレイが組み手争いから足払い。グランゾットのダブルレッグを切る。組んで左で差してバック狙いのグランゾットに、右小手のアンドレイ。潜ってバッククリンチもアンドレイは離れる。ジャンピングガードも狙うアンドレイだが、引き込めず立ち上がり。  ともにトップ狙いか。大内刈のアンドレイの崩しに戻るグランゾット。アンドレイは跳び十字も回ってずらして立つグランゾット。「ノーキャッチ」のコール。  シングルレッグのグランゾットにギロチンを合わせるアンドレイ。両者組ませず立ち上がり。  残り3分。跳びつき三角を狙うグランゾットに作らせずトップ狙いのアンドレイに立ち上がりがぶりのグランゾット。首を抜くアンドレイ。残り1分も立ち合いに終始する両者。シングルレッグのアンドレイは跳びつき狙いもすぐに戻し、四つから押し込み。グランゾットが引き込み十字を狙ったところでアンドレイは極まってないとアピールしゴング。  判定3-0で跳び十字を仕掛けたアンドレイが勝利した。 [nextpage] ▼第2試合 ONEアトム級ムエタイ 3分3R×マリー・マクマナモン(アイルランド/英国/The Knowlesy Academy)[判定0-3]〇セリーナ・フローレス(米国)  マクマナモンは6連勝で2025年3月の『ONE Fight Night 29』にて、ONE初参戦にしてONE女子アトム級ムエタイ世界王者アリシア・ヘレン・ロドリゲスに挑戦もTKO負け。ONEバンタム級キックボクシング世界王者ジョナサン・ハガティを育てた名伯楽クリスチャン・ノウルズの指導の下でトレーニングを行っているという。英国の最高峰2024年ロアーファイティングチャンピオンシップのムエタイ世界王者。今回がONE2戦目となる。  フローレスは体操、チアリーディング出身で15歳からムエタイを始めた。2019年12月にGLORYのプレリミナリーファイトで勝利したが、その後は新型コロナウイルスの影響で試合が組まれることはなかった。2021年からは米国の『LION FIGHT』に参戦し、北米女子スーパーバンタム級王座を獲得。さらに2024年10月、オーストラリアでWBCムエタイ女子世界スーパーバンタム級王座を奪取している。  1R、前に出るのはマクマナモン。ジャブ、ワンツーにフローレスは得意の顔面前蹴りを放ち左ローを蹴る。ミドルを交えながらもパンチ主体のマクマナモンにフローレスは右ストレート、左フックをガードの隙間から打ち込む。圧をかけるマクマナモンだがフローレスのジャブからの右フックになかなか攻め込めない。  2R開始と同時に顔面前蹴りを放つフローレスだが、マクマナモンは構わず前へ出てジャブ。フローレスもジャブを突き、右ストレートにつなぐ。パンチを多く出すフローレスに、マクマナモンは左ボディを返す。前に出るマクマナモンに左右フック、ワンツー、右ボディストレートと多彩なコンビネーションを当てるフローレス。マクマナモンはワンツーでロープ際に追い詰めると右ヒジ。  3R、フローレスのワンツーにマクマナモンは右ミドル。ジャブから右ミドルのマクマナモンにフローレスは左右の足を上げてのフェイントから右ストレート。マクマナモンの右ミドルのヒットが目立ち始める。しかし、フローレスはジャブ、左右フックを当てて離れるヒット&アウェー。これにマクマナモンはなかなか捉えることが出来ず、試合を終えた。  アウトボクシングに徹したフローレスが判定3-0で勝利。「この勝利を祖母と父に捧げます。ONEで勝つのが目標でした。距離を取って自分の戦いをするのが作戦でした」と勝利者インタビューに答えた。 [nextpage] ▼第1試合 ONEライト級MMA 5分3R〇磯嶋祥蔵(N☆TRUST)[2R 4分19秒 TKO] ※パウンド×ニコラス・ヴィーニャ(アルゼンチン/Aldao Team)  磯嶋祥蔵は28歳でMMA5勝無敗。柔道ベースで三重県伊賀市で教員をしながら総合格闘家として戦い、GLADIATORで5連勝(1SUB、4判定勝ち)している。当初、3月に日本大会でクリスチャン・リーと対戦予定だったが、膝の怪我により欠場。今回、満を辞しての参戦となる。オーソドックス構えで178cm。セコンドはNavEがセコンドにつく。  対する南米アルゼンチンのヴィーニャは7戦全勝で100%のフィニッシュ率を誇るが、ONEデビュー2連敗と苦戦を強いられている。25年2月の「ONE 171」でケイド・ルオトロに一本負けを喫すると、6月の「ONE Fight Night 32」でジャービル・ジャブライロフにTKO負けを喫した。身長185cmで、190cmの長いリーチを武器に3KO・TKO/4一本勝ち。  1R、ともにオーソドックス構え。左右で詰めるヴィーニャに、両差しから投げた磯嶋。フルガードのヴィーニャは下から長いリーチでパウンド。三角、腕十字狙い。磯嶋はインサイドガードからパウンド。足を解いたヴィーニャにコーナーに詰めて腰を抱いてパウンド。ヴィーニャは右目下から出血。立ち上がったところでゴング。  2R、右ストレートで詰めるヴィーニャに初回同様に両差しでテイクダウンを奪う磯嶋。ハーフから背中を着かせて下から鉄槌、腰を切ってフルガードに戻して三角絞め狙いから足を解いて立ち上がり。  すぐについていく磯嶋が再び組んで小外がけテイクダウン。ハーフからパウンドで肩固めを狙い、マウント。右ヒジ連打から左右ラッシュでレフェリーが間に入った。磯嶋はONEデビュー戦勝利で、MMA6戦無敗に。  試合後、磯嶋は「ONEデビュー戦で勝てて最高に嬉しいです。プラン通り自分の強いところを出して勝つことができました。相手のスタミナの消耗を見て、プランを変えて(パウンドで)フィニッシュしようと変えました」と語り、チャトリから5万ドルを獲得。「次の試合も楽しみにしてください」と語った。
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