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【KNOCK OUT】Kiho vs.山田真子の判定問題について結論、異例の運営側からの異議申し立ての結果判定は覆らずも「再発防止の取り組みをしていきたい」(山口代表)

2025/09/30 18:09
 2025年9月30日(火)都内にて、KNOCK OUTが「緊急記者会見」を行った。会見の内容は9月23日に開催された『KNOCK OUT.57』の第10試合で行われた、KNOCK OUT-BLACK女子アトム級王座決定戦3分3R延長1RのKiho(KNOCK OUT GYM調布)vs.山田真子(GROOVY)の判定問題について。  この試合は、本戦の判定が三者三様のドロー(27-28でKiho、29-28で山田、28-28)となり、延長戦でKihoが判定2-1(10-9×2、9-10)で勝利して王座に就いたが、山田が勝っていたのではないかとの声が多く、山口元気KNOCK OUT代表も試合後総括で判定に異議を唱えていた。  会見で山口代表は「大会終了後にKNOCK OUTプロモーションとして審判団に対して正式な抗議文を提出し、異議申し立てを行いました。通常は判定を不満とする所属ジムの会長なりジムなりが異議申し立てを出すんですけれども、プロモーションが異議申し立てを出すのは前代未聞、多分一度もないと思います」と、極めて異例の団体側が審判団に対しての異議申し立てを行ったと告げた。 「なぜ僕がそこまでしたかというのを説明させてもらいます。今年からUNLIMITEDの大会をやっていく中でJMOC(日本MMA審判機構)さんとルール、ジャッジの採点基準に対してミーティングを重ねてルールを作っていきました。その中で倒しに行く姿勢を最大限評価していこうということを僕はKNOCK OUTの3つのルール全て共通の採点基準として、KNOCK OUTというイベントの名の通り倒しに行く姿勢が評価されることを公に発表しました。  そういったものを定義していたにも関わらず、今回の判定はKNOCK OUTとして存在意義を問われるくらいの判定内容だったかなと思っています。MMAならユニファイドルールがあってジャッジは運営が考えるジャッジよりもユニファイドのジャッジ基準があるんでしょうけれど、KNOCK OUTは団体が考える判定基準がルールブックに載っているわけです。団体がこういう競技にしていきたいというルールの中でルールを制定してそれを審判団にお渡しする。お渡しした以上は口を出さない。これが三権分立の重要なところだと思います。  なので本来は、運営がこの判定はおかしいとはしてはいけないことですが、KNOCK OUTとして採点基準を今年明確に打ち出したこともあって、KNOCK OUTとしての判定基準がずれているんじゃないかなと思ったところから異議申し立てを出させていただきました」と、KNOCK OUTが定めた判定基準と今回のジャッジの基準にずれがあるのではないか、との理由からだと説明。  続いて、この異議申し立てに対する、審判団からの回答文の内容を公開した。 ・山田真子を勝者判定としたジャッジAの見解 1、2Rとも両者手数が少なく有効打に乏しいためイーブンにしました。3Rは前に出て攻めてパンチを当てていく山田選手に対して、Kiho選手は組み付きが多くなりました。よってこのラウンドは山田。3Rは両者減点1があるため合計29-28で山田となりました。延長戦は積極的に攻める山田のパンチがKihoの顔面を捉えました。後半は山田の有効打はないですが、Kihoは下がりながらの攻撃でその攻撃は弱く、組み付きも多いため延長も山田の勝ちとしました。 ・Kihoを勝者判定としたジャッジBの見解  1Rは両者手数が少ない中、Kihoの攻撃がヒットしていたと判断、2Rも同じ展開と見ました。3Rは山田のパンチがヒットしていたので1Rと2RはKiho、3Rが山田。お互い減点1があったので28-27でKihoにしました。延長は確かに山田の方が倒しに行く戦い方だと思いましたが、有効打としてはイーブン。最終的にいろいろな技を出していたKihoの勝ちとしました。山田の方が前に出ていましたが、Kihoも距離を取って攻撃していたということからKihoの勝ちとしました。 ・Kihoを勝者判定としたジャッジCの見解  両選手共にダメージを与えたラウンドはない。ただしKihoの方がいろいろな技を出して手数が多かった。山田は終始プレッシャーをかけていたが技を出している場面が少なかった。Kihoは下がりながらも様々な技を出していました。以上の観点からKihoの方がパフォーマンスが良かったと判断しました。  和田良覚審判部長と当該ジャッジ2名と話し合った結果、ジャッジ2名とも自分の判定を覆すことはない、それぞれに判定基準を明確に出しており、各々の信念に基づいて出した判定であるとの回答がされ、そのため審判部としては判定を覆すことには至らなかった。 [nextpage] 5名ジャッジ制の導入も検討、グローブ変更  回答を受けて山口代表は「その回答をもらって、審判部が判定を覆さないとの答えをした以上、僕らが判定結果を変えることはできない。ルール上、不満があれば異議を唱えて判定が覆るか覆らないかの議論をしてもらう問題提起は出来ます。それは各ジム各選手に託された権利なんですけれども、その審議結果に従うことがルールとなっています。なので判定結果が覆らないとなった以上、判定結果は変わらずKiho選手の勝利とする以外ないです。  SNSに(ファンが)ノーコンテストにしろ、ベルトを返上させろと書かれているんですけれども、それをやると無政府状態になってしまう。そういうことから、審判部が出した答えは尊重しなければいけないし、それを守らなければいけないのは競技としての存在意義だと思っております。そのため判定結果は通常通りKiho選手が勝利、チャンピオンとして認定されます。このことは両陣営に伝えさせていただきました」と、当日の裁定通りとすると発表。  そして「改めて12月30日の代々木大会で防衛戦として2人の再戦を組ませていただきたい」と、タイトルを懸けたダイレクトリマッチを行うことも発表した。  ただし「再発防止の取り組みをしていきたい」と山口代表。「今までも審判団とは毎回大会が終わる毎に綿密にやってきました。それを重ねると同時に、今回2名の判断基準はKNOCK OUTのBLACKルールとしては運営としては納得がいかないものでもあるだけに、ジャッジを誰にするかは和田審判部長の権利で僕らが指名する権利はないので、審判部長に人選を考えてくださいとの申し入れはしました」とし、「今後タイトルマッチにおいては5名のジャッジ導入を検討しています」とのこと。  さらに「女子は男子の階級と同じグローブでやるのは無理がある。12月からは通常の6オンスグローブではなく、女子用の6オンスグローブというものがあってそれを採用します。来年は女子50kg以下は4オンスを採用していきたいと考えています」との変更を発表した。  最後に山口代表は「ジャッジも真剣にやっています。毎回ミーティングしていますし、それぞれの価値観の違いが出てくるのはしょうがない。でも、それを少しずつでもなくしていく努力をしていきたい。なるべく文句が出ない体勢で万全にしていきたい」と語った。 質疑応答 ――運営側が異議申し立てをするのは極めて異例とのことだが、ルール上は可能なのか? 「規制はされていません。その文言がないので、意義があれば申し立てができるとなっています。ただ、本来はやっちゃいけないことだと思うんですよ。僕の行為が正しかったとしても、無言の圧力をかけることによって逆忖度が働く。忖度はないと思っています。なぜならば、KNOCK OUT専属のジャッジの方たちではなくて、KNOCK OUTの選手に忖度する必要がないからです。しかし、僕が頻繁におかしいと言うことは無言の圧力をかけることになります。今回も非常に迷ったんですけれども、ルール上の大きな改正をしたことがKNOCK OUTのジャッジ基準を大きく変えさせたことになっているので、その部分でこれは違うんじゃないかと思ったので。異例です。今回限りにしたいです」 ――ルール上、KOを狙いに行くのが一番大事だというのは明文化されているのか? 「『アグレッシブ』になっています。なので今回から『KOを狙いに行く攻撃』と明文化しようと思っています」 ――女子の試合は互いに気が強いせいか、両者が前に出て組んでもみ合ってしまうことが多い。この試合でも多かった。これを防ぐ方法は考えているか? 「3人のジャッジの見解に重要な点があって、『組み付きも多く延長も山田の勝ちにしました』というのがポイントだと思います。なぜなら、REDルールは組むことが認められているので組むこと自体に逃げという概念はないです。組んでヒザを蹴ったりヒジを打てば、近距離の攻防を嫌がって組むことが逃げには当たらない。ただBLACKルールは組まずに攻防を行いなさいと。組んでもワンキャッチワンアタックのみというルール上の規定があるため、Kiho選手の場合、組み付いた後の攻撃がなかったり、顔を背けてしまったという場面があり、これは明確な減点行為。攻防で負けているということになります。その部分を取らないといけない。  そういうジャッジをすることによってREDルールとBLACKルールの違いが選手に生まれてくると思うんですよ。こういうジャッジの仕方、こういうレフェリングの仕方があるから、こういう行為をしたら自分のポイントにならない、ということで練習内容が高まっていくと僕は思っています。先日の常磐大会でもあったんですが、BLACKルールでパンチを打った後に組んでしまうことが非常に多い選手がいて、減点を課したんですね。減点されると負けに直結するので組まなくなったので、攻防が生まれてKOが生まれました。BLACKルールの場合はなるべく早く組み付きに対して減点を取るのが、組むという行為に対しての再発防止になるのかなと思うので、それはレフェリーの方に進言しました」
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