ビスピン「平良はタイトル戦前にもう一戦モレノとやってほしい」
この収録後、ラスベガスのUFC APEXのメインイベントで平良達郎が、アルバジの代役のパク・ヒョンソンと対戦。1Rに右ストレートでダウンを奪うと、2Rにダブルレッグでテイクダウン、バックからネッククランクに極めて、復帰戦を一本勝ちで飾った。
前戦のロイヴァルとの5R戦を経て、5Rを戦い抜くスタミナがより強化され、さらに打撃の進化もあり、スタンドに戻っても自信を持っていた平良は2Rに、得意のリアネイキドチョーク(ネッククランク)をUFCでは初めて極めている(UFCで3つめの一本勝ち)。
ケージ内では、インタビュアーのマイケル・ビスピンから「この勝利で改めてまたフライ級コンテンダーに帰ってきた。今後は?」と問われ、「この前のブランドン・ロイヴァル戦から10カ月空いてここに戻ってきました。だから自分のスキルを見せる必要があったし、チャンピオンのパントージャ、ジョシュア・ヴァン、ぜひ戦いたいです」と、年内にも王座戦が噂されている両者の勝者と戦いたいと語っている。
また、試合後のバックステージインタビューでは、もし年内にパントージャvs.ヴァンの王座戦が行われる場合、平良は「同じ大会で試合をしたい」と、フライ級王座戦のビッグマッチで、コンテンダーバウトを戦いたい意向を示していた。そして、試合後はブランドン・モレノか、マネル・ケイプの名前をコールアウトするつもりだったと明かしている。
解説のビスピンは試合後、放送席で「彼はタイトル戦を求めている。それは理解できるが、『まずはもう一戦やってくれ』と思った。選択肢は一つ。元チャンピオンのブランドン・モレノだ。あの試合を見たくないと言うのか? 平良達郎のレベルがわかるし、ブランドン・モレノが再びタイトル戦列に復帰するチャンスも生まれる」と、2位のモレノと平良の勝者が次々期挑戦者になると予想していた。
8月28日には、ブランドン・モレノがインスタグラムのストーリーに、平良達郎との試合が12月6日(日本時間7日)にラスベガスで行われる、という投稿を次々とアップ。公式では未発表ながら、自身も平良戦に前向きであることをうかがわせている。
MMA23勝8敗2分、UFC11勝5敗2分、31歳の元王者モレノは、平良が対戦する予定だったアルバジとの試合で2R以降を完全ドミネート。最終ラウンドにはアルバジの組みを差し上げて両差しからテイクダウン。立ち際に首相撲から左ヒザを突き上げたまま左フックを効かせるなど、5Rにわたりアルバジを削って完勝。
25年3月の前戦ではエルセグを左右上下と変幻自在の動きでコントロール、テイクダウンも奪い完勝している。
オーソながらシャープなジャブ、多彩な左を中心に鋭くコンパクトな打撃と、右オーバーハンド、変則的な際のつなぎの打撃も巧みで、5つのKO・TKO勝ちをマーク。カラフランス戦では走り込んでの左中足蹴りを腹に効かせてKOするなどボクシングだけでなく、パンチから蹴り、テイクダウンに繋ぐ動きにも長けている。
一方、パントージャとの2Rでは、モレノがテイクダウンからバックを奪うなど、レスリングの上手さと、寝技でも11の一本勝ちを誇る極めの強さも持つ。三角絞め、ダースと正面からの絞めもあるが、フィゲレードを極めたリアネイキドチョークでは6つの勝ち星を上げており、そのバックを奪うレスリング力、グラップリング力の高さが、MMAのなかで巧みに繋がれている。
これまでKO・TKO負け、一本負けも無く、8つの黒星はすべて判定によるもの。身長170cm、リーチ178cmは、モレノ・平良ともに同じで、ラスベガスでは、マイキー・ムスメシと練習する姿もアップされており、平良が武器とする寝技でも攻略は容易ではない。スタンドでも細かくステップを使い、足を止めての打ち合いも出来るモレノをいかに空振りさせて、とらえるか。
果たしてこのフライ級2位と5位の試合は実現するか。





