福田龍彌「行けそうで行けへんところから、ずっと当てられた」
──井上直樹選手との試合を終えた率直な感想をお聞かせいただけますか。
「チャンプほんまに強かったですね。すごい、ほんまになんかすごい強い選手やなあ、“強い生き物”やなあと思いました」
──具体的に、どのあたりが自分の予想していた強さよりも上回っていましたか?
「距離感の設定とかですかね。思ったよりもジャブの刺し合い勝負するところの、ジャブの精度がすごい高くて、ほんとすごかったなと思いました」
──判定にはなりましたが、RIZIN王座戦に挑戦した経験は、今後の選手生活に活きてきますか。
「そうですね。やっぱり井上直樹っていう強い選手と戦えたのでいい経験にはなったと思いますし、また強くなって戻ってこれるように頑張ります」
──「ヒリヒリするような試合がしたい」とずっと仰っていますが、今日の15分間はヒリヒリできましたか。
「捕まえられる気がしなかったですよね。なんと言うか、1Rも序盤に入ったジャブが効いてしまって、そこでだいぶ出鼻くじかれたなあという、そういうところで全体的に彼のほうが精度が高かったなと感じました」
──その高い精度との差を、また切り替えて練習を積んでいくことで埋めていけると感じていますか?
「まあ、まだありますね。ただ、今日の内容じゃ特に何も言えることないので、それはまた、もしみんなの前で見せられる機会をいただけるのであれば、そこで証明するべきかと思いますし。そういう感じですね」
──入場時に大きな声援がありましたが、応援を感じていましたか。
「いやもう、ほんまにそこはすごいびっくりして、うるうる。帰りも結構いろんな人が声かけてくれたんで、すごいあったかさを感じられましたね、ありがたいですね」
──福田選手は格闘家として、「有名になっていきたい」というような思いも持っているのですか?
「そこはそんなに。やっぱり、でも応援してくれた人らに、いいとこ見せられへんかったっていうのが、まあ……、自分が楽しむためにやってるんですよね、僕。で、やっぱりこう昔からずっと僕のことを応援してくれている人は、それをすごい楽しみにしてくれているんで、そういう人たちとあと少し、やり尽くせたらという感じですかね。まだここでは終わらないです」
──井上選手は、早くから日本若手のホープとして評価されてきたような選手で、そういった選手を当てられていることについて、福田選手のようなキャリアはあまり他にないようなものではないでしょうか。
「それは、僕が自分のキャリアをどうしていきたいか、ということですか?」
──というより、若手の凄玉を当てられることははある意味では見込まれているからではないかと思います。ご自身としてはそこを突き抜けられない部分、あるいはそういうマッチメイクをどう考えていますか。
「素晴らしい選手と当ててもらえれるのは僕としては光栄なことですし、やっぱり強い人とやるのは楽しいから、それはすごい光栄ですね。そこに関しては。そこで勝ててないので、課題と言いますか、自分のなかでもっと積まなくてはあかんあと思っているのですけど」
──では、今後のキャリアでは、たとえば外国人選手とやりたいといった希望はありますか? サバテロ選手などもいますが。
「海外の人を当てていただけるならそれはもちろんやりたいです。日本人の良さというか、そういうのはやりたいとは思っているのですけど」
──うまくいかない時間帯が長くなった試合は久しぶりだったと思います。ジャブをもらってその次がなかったですが、あまりもらい続ける想定はしていなかったですか。
「いや、想定はしていたんですけど、あそこでもうちょっと距離を詰めてくれたら、こっちがカウンター打てるかな、くらいのすごい絶妙なところを突っつかれた感じですかね。ほんまに行けそうで行けへんところから、ずっと当てられた。で、追いかけると逃げられた。そういう感じでした、やっている感覚としては」
──このままいくと判定で勝てないという状況になっていて、それでも精密な格闘技をしたい、やぶれかぶれみたいなことはせず、負けそうになっても自分がやってきたことを出したい、と?
「それすらできない距離感覚みたいなものは感じましたよね、なんか」
──イチかバチかはやっぱりできない、ということですか。
「そうですね。そこが、イチかバチかで、となっちゃったら、そこに関してはイチかバチかはできなかったですね。自分の武器を信じていたみたいなのはあるんで。それを出せる瞬間は来ると思ったけど、そこを作らせてもらえなかったですね」
──今後の展望・目標を教えてください。
「とりあえずちょっと休んで、体と心を休めてから、僕もそんなに年齢的に長くないと思うので、最後にちゃんと自分の納得行く形で戦い尽くせたらと思います。面白い試合できるようにちゃんと積み上げてまた戻ってきたいなと思いますね」





