MMA
インタビュー

【ONE】和田竜光、ストロー2戦目で強豪ホルミルザエフと対戦「今回の試合で勝てばランキングに入ってよい。11月大会に出るのであれば、王者パシオと戦ってもおかしくはない──勝手にそう思っています」=7月18日(金)『ONE Friday Fights 116』

2025/07/15 19:07
 2025年7月18日(金)タイの首都バンコクのルンピニースタジアムで開催される『ONE Friday Fights 116』(U-NEXT配信)のストロー級MMAで、和田竜光(フリー)が、ウズベキスタンのアバズベク・ホルミルザエフと対戦する。 ▼ONEストロー級(※56.7kg)5分3R和田竜光(日本)MMA26勝13敗2分アバズベク・ホルミルザエフ(ウズベキスタン)MMA12勝2敗  1月に対戦した10戦無敗のサンジャル・ザキロフに続き、MMA12勝2敗のホルミルザエフという中央アジアの強豪と戦うことになった和田は、ONE公式インタビューに「ザキロフは正直、チャンピオンのパシオ以上の力はあると思う。そのザキロフがいなくなって、2番手くらいに僕とか。だから、今回の試合は勝った方がランキングに入って良い」と語った。  和田は、2024年7月の『ONE Fight Night 23』のフライ級MMAで、シェ・ウェイ(中国)に判定3-0勝利で、アーネスト・モンティーリャ戦の一本勝ちに続く2連勝。ストロー級挑戦を宣言し、2025年1月に10戦無敗のサンジャル・ザキロフに判定負け。今回もストロー級戦での再起戦となる。  MMA12勝2敗のホルミルザエフは、7KO・TKOと5一本勝ちで決着率100%のフィニッシャー。『ONE Friday Fights』では5勝1敗。24年9月にキルギスのベクトゥル・ジェニシュベク・ウフールに判定負けも、25年2月にボラット・ザマンベコをノーアームのギロチンチョークに極めると、5月の前戦ではホビソン・ジ・オリベイラを左右のヒジ打ちからの連打で2R TKOに沈めている。  和田は、ホルミルザエフが黒星を喫したウフール戦をU-NEXTの解説として見ている。オーソからの長い右ロー、かかと落とし、二段蹴り、回転系の蹴りなどリーチを活かした大きな打撃のホルミルザエフに対し、ウフールは蹴りに合わせてダブルレッグテイクダウン。マウントや肩固め、クルスフィックスの体勢になりかけるが、ホルミルザエフもスクランブルで極めさせず、判定まで持ち込んでいる。その一方で背中を見せての立ち上がりではバックも許しており、テイクダウンから和田はおたつロックで逃がさず削りたいところ。  ホルミルザエフの14戦に対し、約3倍の試合キャリアを持つ和田は、24歳のホルミルザエフの粗削りながらも試合毎に成長している動きを封じ込めることができるか。 ザキロフが強かった。2R目にリング外に出てしまったのが── ──現在のコンディションはいかがですか? 「コンディションはいい感じです。いつもと余り変わらないコンディションで減量してるので、それなりの疲労はありますが、体重は減ってきて、順調です」 ──今回はONEのストロー級2戦目になりますけど、身体作りも馴染んでいる感じですか。 「そうですね。前回やってみて、こんな感じかってわかったので、それを活かして今回は取り組んでる感じです」 ──今年1月のザキロフとの前戦を振り返って下さい。 「シンプルにザキロフが強かった。結果は負けてしまったんですけど、通用する部分があったことが分かった。体重も含めてコンディション調整も、次はこうしたいなっていう課題なども気付けた試合でした」 ──結果としては黒星という形でしたが、印象的な僅差なもので、和田選手がコントロールした部分がかなりあった気がしました。その点など、自身のパフォーマンスをどう評価しますか? 「パフォーマンスに関しては悪くはなかったと思います。僕があの時にできる範囲では悪くなかった。練習で取り組んだことも出ましたし、あの日は単に“勝てない日”だったんだなっていう感じです。絶望的にここはやられたとか、そういう感じはなかったし。通用するところもあったんで」 ──タラレバで恐縮ですが、これが出せていれば、結果は逆になっていた場面はありましたか? 「前戦で言うと、大きく分かれたのが2ラウンド目、バックでコントロールされたんですけど。あそこも僕の中ではリング際でスプロールで切れたタイミングだったんですけど。それがリングの外に出てしまって。結果ブレイクになって、止まったところからヨーイドンで、それでバック取られちゃう、あのポジション取られちゃうよねっていう感じだったんで。結果、負けたので、それに文句言うつもりはないんですけど。本当にあれがなければ、わからなかったっていうのはあります。その中でも落としてしまったっていうのは、運も悪かったのかな。僕が勝つタイミングじゃなかったのかなっていう感じです」 ──ちなみにスタンドの攻防はいかがでした? 「ザキロフが強かったところも、もちろんありますし。ただ、別にやられたっていうところは、なかったんで。確かに鼻血が途中で出て出たりとか、印象悪かったところもあったんですけど、鼻血出たからなんなのっていうところもありますし。効かされたとか、そういうのはなかったんで、相手のパンチは、僕が対応できる範囲の中にあったなと思います」 [nextpage] ホルミルザエフは雑な分、攻めやすいところも危ないところもある ──今回対戦するホルミルザエフ選手について、どのような印象を持っていますか? 「ストライキングに関してアグレッシブで、それこそサイズもあるので。長さを活かしたような、例えば打点が高いヒザだったりとか、回転系の懐の深さを活かしたような攻撃もしますし。サブミッションに関しても、本当にアグレッシブに取りに行くっていう。過去の試合見ると、特にギロチン系が多いんですけど、手の長さも彼に合ってる攻撃の一つだと思います。思い切りの良さがありますね。ただ、寝技もストライキングに関して雑な印象があります」 ──和田選手はフライ級からストローに階級変えましたが、ストロー級2試合ともに対戦相手がフライ級で戦える身体の大きさを持っていますね。 「イメージとして、彼らが出てくる前のストロー級は、(ジャレッド)ブルックスとか(ジョシュア)パシオとかボカン(マスンヤネ)とか、小さくてゴリゴリしている感じの選手が多かった印象で、僕は自分のリーチを活かして戦えると思っていましたが、ザキロフもホルミルザエフも大きいので、フライ級での戦いになった感じですね」 ──先程、ホルミルザエフ選手の印象で「雑な印象がある」と語っていましたが、この部分は穴として狙いやすいですか? それとも逆に警戒する部分ですか? 「これ、どっちもなんですよね。慎重に手順を追って攻めるところの強さもあると思うんですけど。それこそ彼も若くてタフな選手だと思うんですけど、体力とかを本当に全開に使って、とにかく取りに行くとか、フィニッシュに行くっていう、そういう強さもあると思っています。逆に雑だからこそ、こっちは丁寧にやって、上回りたいなっていう風に思っています。試合が始まって触ってみて分かると思いますが、僕にとっては攻めやすいところでもありますし、危ないところでもあるかなって。両方ですね」 ──今回の試合展開やフィニッシュについて、どの様にイメージしていますか? 「僕ができることって、殴って蹴って投げて抑えて、首ぐらいなんで、それをやるつもりで、作戦とか特にないです。イメージはしているんですけど、どの試合も基本的にこういうスタンスです。こういう風なこともしてくるだろうなとか思いつつ、僕がスタンドで前に出る展開を作って、その中でフィニッシュできれば。もちろん、テイクダウン出来れば、テイクダウンをして、相手がテイクダウンに来たらやり合ってっていう感じですね。全部勝負するつもりです」 ──和田選手はどの試合でも全局面で勝負しますよね。 「彼のストライキング、目立って強いですけど。そこでももちろん勝負します。そこ勝負しなかったら勝負にならないと思うんで。勝負して、まずはやっつけて、そこからどういう風な展開になるかなっていう感じです」 ──スタンド打撃に関して、今、ボクシングの角海老ジムに通われていますが、そこでの練習について詳しく教えてください。 「多分、6、7年ぐらい前から通っています。僕を指導してくれてるトレーナーの方がいて、最近は週に4回か5回ぐらいは行っています。試合前は、2カ月以上は週に1回スパーリングをやっています。本当に毎日同じような練習をしてる感じです。パンチの技術を教わって、で、スパーリングで試して、みたいな感じです」 ──純粋にボクシングを学び、それをMMAに落とし込む感じですか? 「そこでの練習は完全に切り分けられています。ボクシング、グラップリング、キック含めて練習はそうです。それを“混ぜる”のは自分でやっています。ボクシングだけやってると、総合だとまた違うんで、自分で変換させる感じですね」 [nextpage] 『総合の選手は30歳からが成人だ』と。自分はまだ若手 ──以前のインタビューでもそう感じましたが、和田選手の練習への姿勢は、学んだ技を自分の中でしっかりと落とし込んで、さらに磨きながら自分の独自の武器に昇華していく形を大切にしていますね。 「そうですね。だから、やってることって、毎日毎日本当に同じようなことしかやってないんです。例えば、グラップリングに関しても、毎回同じ展開だし。毎回、得意なパターンにはめるとか。それを毎日毎日やってく中で、あれ、これちょっと相手がこう動いてきたからこうしようかな、なんか今は良かったなっていうのが出てきたりして。それが何週間後にまた出てきたりして。この前の時のよかったパターンだな、これ今日もハマったなみたいな。この積み重ねで、何年もやっています。極端に技の数が増えたりとか、飛躍的に強くなるとかはないんですけど、この数年の中で、1年に1回なのか、何カ月かに1回なのか、ちょっと強くなったかもなとか、これ使える新しい技見つけたなとか、本当に毎日練習してる中で偶に生まれるというか、だから、積み重ねですね」 ──あらゆるスポーツのトップアスリートで共通して言えると思いますが、その積み重ねの重要性を意識する点は、武術家としての域を感じます。 「武術家のマインドを別に持ってやっている訳ではないですが、結果、自分が強くなる方法としてそうなってるって感じです」 ──その姿勢や意識は、和田選手が今回の様に年齢差がある相手(※和田は36歳、ホルミルザエフは24歳)と今でもトップ戦線で戦い続けられる理由の一つの様に感じます。 「僕自身、年齢のことは本当に気にならないんです。数字を見ると、自分がびっくりしちゃうぐらいのおじさんで、相手はびっくりするぐらい若いと思うんですけど。その辺りはあまり感じてないですが、今の感じの進め方をもっと若い時にやっていれば良かったなどはあります。それが経験値かなっていう感じで。多分、僕が今の感じで20歳ぐらいから練習してたら、もっと強くなったと思うので。僕が練習させていただいてるロータス世田谷では、(代表の)八隅(孝平)さんは当然、僕よりもお年寄りですし、まだ現役で宇野(薫)さん、所(英男)さん、青木(真也)さん、金原(正徳)さんとかいて。練習場にまだまだ元気に現役でやってる先輩たちが多勢いるので、そういうの見るとできるなっていう風に思います」 ──その錚々たるメンバーからすると、和田選手は最年少扱いになるのですね。 「八隅さんからは、『総合の選手は30歳からが成人だ』って言われています。だから、自分はまだ26歳みたいなもので若手です」 ──今は目の前の試合に集中していると思いますが、11月の日本大会を含めて今後の展望を聞かせて下さい。 「本当にこの試合をクリアしなかったら何の意味もなくて、何にも言えないんですけど、今ストロー級のランカーを見てみると、怪我して試合してないヤツとか、ザキロフやボカンなど体重作れなくてフライで戦っている選手もいて、正確なランキングがわからない状態。総入れ替えしたい。僕と次やる子(ホルミルザエフ)は勝った方はランキングに入っても良いと思う。そうしないとランキングが動かないので。ザキロフは正直、チャンピオンのパシオ以上の力はあると思う。そのザキロフがいなくなって、2番手くらいに僕とか。だから、今回の試合は勝った方がランキングに入って良いと思う。それが僕の意見なので。11月大会に出るのであれば、チャンピオンはパシオなので、(自分が勝てば)そこで戦ってもおかしくはないと思います。ジャレッド・ブルックスからしたら、ふざけんなと思うかもしれませんが、彼はパシオにやられているので、ちょっと一旦、黙ってという感じで。今回の試合は勝ったら、それ位の価値があるものだと思います。ONEの運営からしたら、別に勝っても何ともない、もう一回下の奴とやれって思われるかもしれないですけど、勝手にそう思っています」
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