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【UFC】UFC5連続KO勝ちのスティーブ・ガルシア「普通の仕事なら経験を積めば積むほど楽になるけど、格闘技は逆。勝てば勝つほど、相手はどんどん強くなって難しくなっていく」

2025/07/13 04:07
【UFC】UFC5連続KO勝ちのスティーブ・ガルシア「普通の仕事なら経験を積めば積むほど楽になるけど、格闘技は逆。勝てば勝つほど、相手はどんどん強くなって難しくなっていく」

(C)Zuffa LLC/UFC

 2025年7月12日(日本時間13日)米国テネシー州ナッシュビルのブリジストン・アリーナにて、『UFC Fight Night: Lewis vs. Teixeira』(U-NEXT配信)が開催される。

 メインはヘビー級の5分5Rで、UFC史上最多KO記録保持者のデリック・ルイス(米国)と、UFC2戦目ながらMMA8戦8勝(7KO・1一本勝ち)の全フィニッシュ勝利中のタリソン・テイシェイラ(米国)が対戦。

 コメインのウェルター級では42歳の“ワンダーボーイ”ことスティーブン・トンプソン(米国)が、2連勝中の27歳ボンフィム兄弟の弟・ガブリエル・ボンフィム(ブラジル)と対戦する。

 そんな中、ナッシュビルのメインカードには、フェザー級でビクター・コレスニックに判定勝ちしているネイト・ランドウェア(米国)と元ケージウォーリァーズフェザー級王者モルガン・シャリエール(フランス)の試合。

 そして、同級14位のカルヴィン・ケイター(米国)に、UFC5連勝5KOスティーブ・ガルシア(米国)が挑むフェザー級戦も組まれている。

▼フェザー級 5分3R
カルヴィン・ケイター(米国)23勝9敗(UFC7勝7敗)146lbs/66.22kg
スティーブ・ガルシア(米国)17勝5敗(UFC6勝2敗)※UFC5連勝5KO 146lbs/66.22kg

 UFCデビュー前はBellatorバンタム級でジョー・ウォーレンとも戦っているガルシアは、2020年2月のUFCデビュー後、ライト級で1勝2敗だったが、フェザー級に落として5試合連続KO勝ち。24年7月にチェ・スンウを1R TKOに下すと、2カ月後の9月にはケイター欠場で代役出場し、3連勝中のカイル・ネルソンの腕十字を防いで、パウンド強打。2連続の1R TKO勝ちをマークしている。33歳。

 ケーターはUFC7勝7敗。レスリングとボクシング主体のファイトスタイルで、4つのKO勝利がある。25年2月にUFC再契約後3連勝中のユーセフ・ザラルと対戦し、判定負けで4連敗を喫している。37歳。

 15歳でグレッグ・ジャクソン門下となったガルシアは会見で、「俺には最高のコーチたちがいる。マジで唯一無二だと思ってるし、彼らがコーナーにいてくれることで、ちょっとしたチートみたいな感覚になる。ジムでもかなりハードに練習してるし、そういうのが全部噛み合って、結果に繋がってる」と連勝の理由を語っている。

 U-NEXTから届いた会見の全文は以下の通りだ。

自分を信じるのは一番難しいけど、一番大事なこと


(C)Zuffa LLC/UFC

──今回の試合でフェザー級トップ15入りのチャンスですね。何ラウンドでフィニッシュするつもりですか。

「カルヴィン・ケーターに勝てば、間違いなくランキング入りできると思ってる。たしか今、彼は14位か15位だったはず(14位)。だから、勝てば俺もそこに入れるんじゃないかな。ノックアウトでここまで来たし、これからもその流れでいくつもり。ただ、みんなが思ってるほど簡単なことじゃないんだよ。“ただノックアウトすればいい”って感じだけど、実際にはいろんな要素が絡んでくる。特に今回の相手は、キャリアの中でフィニッシュされたことがほとんどない。確か一度だけ、しかも怪我によるものだったと思う。だから、簡単な相手じゃない。俺は、ノックアウトにこだわるわけじゃなくて、まずは勝つことが一番の目的なんだ」

──今回、オッズではあなたが有利になっています。そこまで大きな差ではありませんが、フェアだと思いますか?

「ああ、フェアだと思うよ。彼はおそらく将来的には殿堂入りするような選手だと思ってる。彼のこれまでの対戦相手を見ればわかるけど、勝ち負けに関係なく、みんなめちゃくちゃ強い相手ばかりなんだ。しかも、素晴らしい試合を何度もしてきたし、UFCで長い間、確かな実績を積んできた選手。彼がランキング上位だった頃と同じくらいの厳しい試合になると思ってる」

──試合に勝った後、マイクで呼びたい相手はもう決めていますか?

「いや、正直、全員とやりたいって感じかな。俺が次に目指してるのは、どんな規模でもいいからメインイベントを張ること。APEXのイベントでもいいし、とにかくそういう試合に出たい。それが次の目標なんだ。今だったら、ダン・イゲ(12位)とかジョシュ・エメット(9位)とか、そういう相手との試合は面白くなると思う。でも、まずはケーターに集中しないとな」

──フェザー級では、次に王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキーと戦うべきは誰かという議論がされています。あなたの意見は?

「モフサル(イヴロイエフ・2位)だと思う。今のフェザー級はちょっとごちゃごちゃしてて、他団体から来た選手もいるし、上の階級に上がる選手もいる。だから、なんか全体がまとまってない感じなんだよね。もし今『誰がふさわしいか』って聞かれたら、俺はモフサルを推す。無敗だし、アーロン・ピコとの試合(7.27 アビダビ)があるけど、もしピコがいなかったら、モフサルが次の挑戦者になるべきなんじゃないかな」

──そのモフサルに、UFCはデビュー戦の相手としてピコを当てました。ちょっと驚きましたか? ピコはいい選手ですが、まだUFC初戦ですよね。

「まあ、いわゆる“デイナ・ホワイト特権”ってやつなんじゃないかな。うらやましいけど、チャンスをもらえたなら活かすべきだしね。モフサルはこれまでにランキング上位の選手を3、4人倒してきてるし、無敗のままだ。だから、普通なら彼が次にタイトル挑戦するのが妥当だったんじゃないかと思う。でも、UFCがどう動くかは俺たちにはどうしようもないしね。パトリシオ(ピットブル)が来たときもそうだったけど、トップ選手と当たるのは理解できる。アーロンも同じで、妥当な扱いだったと思う。まあ、俺には今のところ関係ない話だし、彼らの健闘を祈ってるよ」

──トランプ元大統領が、26年の7月4日にホワイトハウスでUFCを開催するかもしれないと言ってましたね。あなたはそのカードに出たいと思いますか? もし出られるなら、対戦相手は誰が理想ですか?

「ホワイトハウスで試合できるなら最高だよ。あれは今までにないことで、歴史的な一戦になると思うしね。相手が誰とかは関係なくて、ストリートにいるやつでも構わないから、とにかくそのカードに出してくれたら嬉しいよ。たぶんそのイベントにはジョン・ジョーンズが復帰したり、コナー・マクレガーが戻ってきたりするんじゃないかな。誰が出るかは分からないけど、俺もその中に入りたいね」


(C)Zuffa LLC/UFC

──連続で「パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト」を受賞していますが、最近なにかしら自分の中で「掴んだ」感覚はありますか? それとも、これまで積み重ねてきた結果だと思いますか?

「正直、俺は恵まれてるなって思ってるよ。もっと上を目指したいとは思ってるけど、欲張りすぎないようにもしてる。神様がチャンスをくれてるんだと思ってるし、それには本当に感謝してる。あと、俺には最高のコーチたちがいる。マジで唯一無二だと思ってるし、彼らがコーナーにいてくれることで、ちょっとしたチートみたいな感覚になるんだよね。ジムでもかなりハードに練習してるし、そういうのが全部噛み合って、結果に繋がってるんだと思う」

──ここ数試合、1Rフィニッシュが続いてますよね。それって逆にプレッシャーになりませんか?「また早く終わらせなきゃ」と焦ったりしませんか?

「うん、確かにそれはちょっとあるかな。ノックアウト連発って期待されると、自然とプレッシャーはかかるよね。でも俺の戦い方って、基本的には一発一発を大事にしてるから、そういうプレッシャーを感じすぎないようにしてる。このスポーツって不思議でさ、普通の仕事なら経験を積めば積むほど楽になるけど、格闘技は逆。勝てば勝つほど、相手はどんどん強くなる。だから、むしろ難しくなっていくんだよね。でも、俺は1発ずつ、1打ずつ集中して戦うことを意識してる。それが今の俺のバランスの取り方かな」

──ケーターはこれまで一度もKOされたことがない相手ですよね。それでも「自分が最初に倒すかも」と言ってましたが、それは今回のキャンプで何か自信につながることがあったのでしょうか?

「やっぱり“自分ならできる”って信じるしかないんだよ。多くの人は“できたらいいな”くらいの気持ちだけど、俺は“やれる”って思って臨む。これまでいろんな相手をKOしてきたし、ケーターだって例外じゃないはず。もし彼を倒せたら、もう誰でも倒せるって証明になる。だから、自分を信じるっていうのが一番難しいけど、一番大事なことなんじゃないかな。“信じるか”“信じないか”の2択なら、俺はいつだって“信じる”ほうを選ぶよ」

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