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インタビュー

【RIZIN】扇久保博正がホセ・トーレスを選んだ理由「パントージャの試合を見た時に深く心の中で──」×トーレス「勝った方が優勝」

2025/07/04 17:07
 2025年7月27日(日)『超RIZIN4 真夏の喧嘩祭り』(さいたまスーパーアリーナ)で開催される「RIZIN WORLD GP 2025 フライ級(57.0kg)トーナメント」に向け、7月1日(火)トーナメント1回戦の抽選会が行われ、GPで最も実績のある扇久保博正(THE BLACKBELT JAPAN)が、元UFCのホセ・トーレス(米国)を選択。その理由を、試合後のU-NEXT公開番組と自身の『おぎちゃんねる』で語った。 ◆RIZIN WORLD GP 2025 フライ級(57.0kg)トーナメント組み合わせ&相関表 ▼GP第1試合元谷友貴(37勝12敗1NC・35歳)※バンタム級で扇久保にスプリット判定負けヒロヤ(11勝13敗1分1NC・24歳)※伊藤にスプリット判定負け▼GP第2試合ホセ・トーレス(13勝4敗1分・32歳)※神龍にスプリット判定勝ち扇久保博正(27勝8敗2分・38歳)※神龍、ズールー、元谷に勝利▼GP第3試合伊藤裕樹(18勝6敗・28歳)※神龍に判定負け、ヒロヤにスプリット判定勝ち、アーセンに判定負けエンカジムーロ・ズールー(16勝7敗1分・36歳)※堀口に判定負け▼GP第4試合アリベク・ガジャマトフ(5勝0敗・23歳)※北方にKO勝ち征矢 貴(13勝6敗1分・30歳)※ドッドソンに判定勝ち▼GP第5試合神龍 誠(19勝4敗1分1NC・24歳)※伊藤に判定勝ち、扇久保に判定負け山本アーセン(5勝7敗・28歳)※伊藤に判定勝ち  扇久保は、RIZINフライ級で2連勝中。 ジョン・ドッドソン、神龍誠に判定勝ちで、今回は約1年ぶりの試合となる。抽選会後、「“やっと来たか”と。怪我の治療もあって(試合間隔が)逆に空いた分、かなりいい感じに仕上がっています」と自信を見せた。  抽選会では4番目の選択で、1番がズールー、2番がトーレスでそれぞれ別の枠を選択するなか、3番目の伊藤祐樹がズールーの隣を選択。4番目の扇久保は、誰かに選ばれるよりも、自らトーレスの隣を選択した。  トーレスは、元Titan FCフライ&バンタム級王者、元BRAVE CFバンタム級王者。UFCでは2018年6月に元ONE世界ストロー級王者のジャレッド・ブルックスを2R KOに下し、8月に現UFCアレックス・ペレスに1R KO負けでリリースも、19年4月のBRAVEで現UFC4位のアミル・アルバジに判定勝ちで再起。BRAVEで4勝2敗1分け後、24年12月のRIZINで神龍誠に59.0kg契約でスプリット判定勝ち。25年5月の前戦では、ショーン・サンテラ戦以来(ドロー)5年ぶりにフライ級に落として23年12月に福田龍彌に判定勝ちしているディアス・イェレンガイポフと対戦。カザフスタンパワーの洗礼を受けて判定負けを喫しており、今回は日本で再起を図る。  会見で扇久保は、「このトーナメントで優勝した選手がUFCチャンピオンにも勝てるんじゃないかって言われるようなトーナメントに絶対したいので必ず優勝します」と宣言。出場選手に「おぎの塩」を手渡した(神龍は拒否)。  その直後の公開番組では、抽選の順番について「1番か10番は嫌だった。同門対決の可能性が一番ドキドキしました。やるんだったら決勝が良いです」と、自身に相手が選べない状況で、1回戦で征矢と当たることを避けたかったとし、4番目にトーレスを選んだことを「征矢とホセ・トーレスが追加となったときに、“これ、ちょっと来たな”と思って。もう最初から行くんだったらこいつって心の中にあったんですよ。“ホセ・トーレスが出るんならやりてえな”と」と、抽選会前にトーレス戦を希望していたことを明かした。 [nextpage] UFCチャンピオンにもなるって、いまだに思ってる  その思いは、週末の『UFC 317』を見て強くなったという。同大会のメインカードには、フライ級で「パントージャvs.カラフランス」「ロイヴァルvs.ヴァン」の2試合が組まれ、そのコメインの両者を扇久保は、2016年の『TUF24』で上回って決勝に進出している。  扇久保は自身のYouTue『なぜホセトーレスを選んだのか話します。あの選手も気になってた。超RIZIN4』のなかで、トーレスの隣を選んだ理由をあらためて語っている。 「週末にUFCがあって、『TUF24』に出たパントージャとカラフランスの2人がタイトルマッチでコールされているのを見て“ちょっと差を広げられたな”というか、嬉しい反面、“俺何をしてるんだ、悔しいな”と思って。試合はどっちが挑戦者か分からないほどパントージャがガンガン攻めて一本勝ちして、その姿を見てね、またさらに“すげーな、クソ、俺も負けてらんねえな”って思ったときに、このトーナメントで僕は優勝しなきゃいけないし、やっぱり僕の中で1戦、1戦が勝負なんで、元UFCファイターで、RIZINでは神龍(誠)にも勝ってて、UFCの(アミール)アルバジ(※8月2日に平良達郎と対戦)にも勝っている。その、かなり強いホセ・トーレスと1回戦を戦いたいなって、パントージャの試合を見た時に深く心の中で思いましたね。トーレスに勝って、世界的にも自分の評価を上げたい」と、滾る思いを吐露した。  扇久保から選ばれたトーレスは、「正直言えば、この実力者同士の試合は決勝にとっておくべきだと、心から思っていました。この試合に勝ったものが、ほぼ確実にGPで優勝するんじゃないかと思っています。自分としてはショートノーティスのオファーだったので、扇久保選手と対戦するのは最後に残しておきたかったのですが、でも決まったものは仕方ない。最高のチームが最初に登場するのです。最高レベルの試合を1回戦でお見せします」と、事実上の決勝戦だと語っている。 “本命”同士の1回戦。扇久保はトーレスとは「噛み合うかな」という。「(トーレスは)全部できますよね。打撃も寝技も神龍を相手にもバック取ってチョーク極めかけてるんで。もう全部強い選手。似てる感じなんで根性対決になるかと。いつも通りやることをやる」と覚悟はできているとする。  その「いつも通り」にプレッシャーをかけるのが、1回戦後のファン&有識者投票だ。勝ってもここで支持を得られなければ準決勝に進めず、リザーバーになるという。  競技においては異例のトーナメント方式について、扇久保は「“バラ呼び”に呼ばれて聞くまで知らなかったです。(榊原CEOの征矢のドッドソン戦の公開説教を聞いて)“俺が言われてんのかな”と思って」と苦笑するが、「ファン投票も意識して、でもトーレスとだったらすごくいい試合ができる。塩になったとしても“極上の塩”なので」と自身のスタイルを最高の形で魅せるとした。  また、そのほかのトーナメント出場選手で「厄介なのは?」の問いに「やっぱ元谷選手ですかね。“フライ級の元谷選手”はかなり強いと思うんで、コンディションを整えてきたら、一番の強敵になるかなと思ってます。(勝ち上がったら)前回を超えるぐらいの熱い試合はしたいですね」と、2019年7月にバンタム級で対戦し、スプリット判定で勝利している元谷とのフライ級での再戦も見据えた。  GPの「ダークホース」には伊藤裕樹を挙げる。「伊藤選手、ギャンブル好きで行ける選手なんで。結構みんなあんまりやりたくないんじゃないですか? 僕は当たりたくないというより、やっぱりもう勝っても負けても行くっていう試合するんで、怖さがある選手かなと。やってみたらすごい噛み合うかもしれない」と、トニー・ララミーに打ち勝った“殴り者”を評価した。  その伊藤を5月に判定で下している神龍とは、再戦になっても「プレッシャーはない。もう1回別にやっても勝ちますし、変わらない」とバッサリ。  そして、同門の征矢貴とは「“バラ呼び”の帰り道2人で写真撮って、“これが最後の写真に。やる(戦う)かもしれないから”っていうふうに言って。(対戦が決まったら)練習時間は完全にズラすと思います」と、互いに同門対決の可能性は織り込み済みであることを明かした。両者の対談は、7月23日の本誌『ゴング格闘技』(NO.339)に掲載予定だ。  扇久保は、修斗VTJでフライ級トーナメントを優勝。21年のRIZINバンタム級GPでは、大晦日に1日2試合を勝ち上がり、計4試合を半年のうちに戦い抜いて優勝するなど、負けや欠場が許されないトーナメントの戦い方を知る。 「とにかくいいコンディションでいること。怪我も少なく。今回も決勝1日2試合なのかってずっと思ってたんで、覚悟はしてたんですけど(9月名古屋準決勝で、12月さいたまで決勝になり)、優勝するのに言っても大晦日まで半年近くあるので」と、7月27日さいたまでの1回戦から9月28日の名古屋IGアリーナ大会までの2カ月間のスパンにもダメージ少なく勝ち上がることが重要だとした。  GPの優勝賞金は2000万円、準優勝者には500万円。そして優勝者はGPのベルトとともに空位となっているRIZINフライ級のベルトも獲得することが発表された。  優勝賞金2000万円について、「妻から『死んでも取ってこい』と言われてます。マイホームのために」と夫として、父として頂きを目指す。  そして、大晦日に適正階級の新フライ級王者として、諦めていないことがある。 「GPはずっと待ってたんで、フライ級でやっぱり僕はUFCチャンピオンにもなるって、いまだに思ってるんで、その力を証明したいなっていうのが大きい」と、GP優勝者=RIZINフライ級王者として、UFCと戦うこと。そしてUFCで戦うことも、実現させるか。  扇久保のYouTubeでは、トーレス参戦決定前に榊原CEOに「やりたい」と希望していた、強豪アリベク・ガジャマトフについても語られており、注目だ。
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