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インタビュー

【PFL】セルジオ・ペティス、同門対決に向け「『これは俺たちがやらなきゃいけないことなんだ』ってストッツと話したよ」 「堀口恭司との試合から学んだことは──」=6月28日(土)

2025/06/27 15:06
 2025年6月27日(日本時間28日)、米国イリノイ州シカゴ・ウィントラストアリーナにて『PFL World Tournament 7: 2025 Semifinals』(U-NEXT配信)が開催される。  ミドル級、ライトヘビー級、ヘビー級の重量級3階級のトーナメント準決勝が行われる同大会では、メインカードのワンマッチで、バンタム級(5分3R)で元Bellator王者セルジオ・ペティス(米国)と元暫定王者ラウフェオン・ストッツ(米国)が対戦する。 ▼バンタム級 5分3Rセルジオ・ペティス(米国)23勝7敗 134.2lbs(60.87kg)ラウフェオン・ストッツ(米国)21勝2敗 135.8lbs(61.59kg)  当初、2022年4月にBellatorバンタム級ワールドグランプリ1回戦で、ルーファスポーツの「同門対決」として組まれていた両者の対戦だが、ペティスが負傷欠場。その後、ペティスはタイトルマッチでパトリシオ・ピットブルを下し、王座統一戦でパッチー・ミックスに一本負け。2024年6月の前戦『RIZIN.47』では堀口恭司に判定負けでMMAでは2連敗となっている。  GPから3年。ストッツとルーファスポーツで袂を分けてから、BellatorがPFLに買収され、試合が決まらないなかセルジオは、日本やインドなど戦いの場を求め、ボクシングマッチも経験してきた。3年越しの元同門対決に向かう、セルジオ・ペティスに、U-NEXTと本誌がインタビューした。 平本蓮に大きな声援を送るよ。友よ、怪我の回復が順調であるように 【写真】朝の本計量でのセルジオ・ペティス。公開計量、試合までにどう身体は変わるかにも注目だ。(C)PFL ──今回のラウフェオン・ストッツとの試合に向けて、ファイトキャンプはいかがでしたか。 「今回のキャンプは最高に順調だったよ。UFCで戦ってるクリスチャン・ロドリゲス(12勝3敗、8月9日vs.アンドレ・フィリ)と一緒に練習したし、レスリングコーチもしてくれるマーク・チョインスキー(8勝1敗)とも組んだ。彼もUFCと契約したばかりだ。あとはウィスコンシン州の地元のアスリートで、UFCの135ポンド(バンタム級)のモンテル・ジャクソン(15勝2敗)とも練習した。ここにはかなり良い選手たちが揃ってるんだ。他にも地元の選手がいるけど、みんなはまだ知らないかもしれないな。でもキャンプは本当に順調だったよ。シカゴのバレ・フロー・ストライキングでもトレーニングしてる。ベラル(ムハマッド)のホームジムだ」 ──そうそうたるメンツですね。モンテル・ジャクソンはUFC6連勝中ですし、ラウフェオン・ストッツ戦の手伝いをするなかでレスリングからMMAを始めたファイターでしたね。今回の試合に向けて、あなたのキャンプとトレーニングでどんなテーマを立てていましたか。 「何より、まず今回は家族のためだ。もうすぐ子供が生まれるんだ。息子のために頑張らないといけないから、この試合は俺にとってすごく意味がある。今2連敗中だから、俺のレガシー、家族、そしてこのスポーツへの俺自身の愛のためにも、この試合はマジで重要なんだ。ケージの中で戦うのは久しぶりだし。ここ数試合はリングだった(RIZINとボクシング)から、ケージに戻るのは身が引き締まる思いだし、光栄だよ」 ──赤ちゃんが誕生するとのこと、おめでとうございます。いつ生まれるんですか? 「8月31日に生まれるんだ。そう、俺と同じ8月生まれの赤ちゃんさ。だから、俺たちはラッキーだな。家族で初めての男の子なんだ。うちの家族は女の子ばかりだったから」 ──生まれて来る子供のためにも頑張ると。さて、その今回の大事な試合は、元同門対決となります。3年前には実現せずに、ストッツ選手がチームを離れました。この3年間で、あなたにとってどんなことが変わりましたか? 「この数年で、お互いに大きく変わったと思うよ。実際に彼が去ったのは2021年だったと思う。だから、もう4年くらいになるかな。でも、お互いのスタイルもメンタリティも変わったはずだ。俺たちはしばらくトレーニングパートナーだったから、お互いがどれだけ成長したかを見るのは面白いだろう。でも、俺は今、“より獰猛な競技者”になったと思う。色々な戦いに身を置き、本当に厳しい試練を受けてきた。次の試練も乗り越える準備はできてる」 ──ジム内では練習とはいえ通常、順列ができていることもあります。4年前の時点で、ストッツ選手とスパーリングしていたときはどう感じていましたか。 「ラファが遅かれ早かれチャンピオンになるだろうとは思ってたよ。彼は良いスキルセットを持ってる。良いレスラーで、頭の回転が速い。試合のゲームをかなりよく理解してるよね。そして、俺より彼の方が得意なポジションがあるのは確かだし、俺の方が彼より得意なポジションもある。だから、どちらがより良いポジションに持っていけるか、そして、お互いに以前足りなかった部分をどれだけ改善できたかを見るのが楽しみだ。  でも、当時と全く違う試合になるだろう。彼は最近、3人目の子供が生まれたばかりで、娘もいる。だから、彼も家族のために戦ってるのは知ってるし、俺も家族のために戦ってる。自分にとってそれほど大切なものがあると試合は全く違ったものになるんだ。とても個人的なものになる。だから、俺たち二人にとって、とても個人的な試合になるだろうな」 ──お二人から話を聞いて、離れても互いに敬意を持っていると感じました。さきほど「厳しい試練を受けてきた」と仰いましたが、1年前のRIZINでは、アウェイのリングで堀口恭司選手と戦い、ドミナネートされての判定負け。その半年前にはパッチー・ミックスに一本負けも喫しています。この2連敗はあなたにどんな気づきを与えましたか。 「確かに、俺の試合はすべて同じような展開になってるよね。多くの選手が俺をテイクダウンして押さえつけ、サブミッションを狙ってくる。だけど、恭司との試合は、日本でやったから全く違う感覚だった。長時間の移動だったし、リングの中で戦うのは全く違った。ケージがないから、そこから起き上がれないのは、練習うとは全く違う経験だったんだ。  でも、恭司との2試合から学んだのは、俺は上達したってことだ。最初の試合では、カーフキックやローキック、そしてテイクダウンで俺は消耗させられた。2度目の試合では、カーフキックは警戒できた、テイクダウンはされたけど。彼はとても巧妙なファイターだ。恭司はビースト(野獣)だよ。でも、俺は全体的に上達したと感じてる。特にレスリングは良くなった。そしてこの数カ月、MMAの試合じゃなくて、ボクシングの試合をいくつかやった。拳だけで戦うことで、かなりハイレベルなアスリートを相手に自分を試したんだ。だから、自分がどれだけ根性があるか、そして、そこでクリエイティブになれば、相手を惑わせられることを学んだ。だから、今回もクリエイティブに、自由にやれば、成功できる夜になるだろう」 ──そのボクシングですが、前回の堀口選手とのRIZINでの試合、3R目に左のカウンターの動きで、堀口選手がバランスを崩しました。スリップしたという人もいましたが、あのときペティス選手自身はどう考えていましたか。 「そうだね、あれは左フックか、左ストレートを当てたんだと思う。彼が動いてる最中に顎あたりに当たった。どれくらいのダメージを与えたかは分からないが、彼は倒れた。彼に小さな反応があり、すぐに回復したね。素早い反応だったから、正直、そこまでダメージはなかったと思うよ」 [nextpage] ラファに今までとは違う姿を見せること 【写真】公開計量でのセルジオ・ペティス。数時間ですでにリカバリーに入っている。(C)PFL ──なるほど。Bellatorの契約がPFLに移管され、この数年間、あなたにとって非常に大変な時期だったと思います。いつ試合があるのか分からないというのは、練習のモチベーションにおいても大きな違いがあると思います。その数年間のなかでボクシングの試合を選んだ理由は? 「まさに今言ってくれた通りだ。休んでいた間は、かなり退屈してた。俺はまだ31歳だから、何か新しいことに挑戦して、自分を競争的な状況に置こうと思ったんだ。マイアミでボクシングの試合をやった。エキシビションマッチだったけど、実質的には試合だった。相手は俺を本気で殴ろうとしてた。その試合の後、インドで試合をしたんだ。彼らのトップボクサーの一人とボクシングをした。彼は3度チャンピオンになったことがあり、147ポンド級で俺よりもかなり体が大きかった。  でも、俺はただ自分自身を試したかったんだ。自分のスキルを試し、競争力を維持し、忙しくしていたい。怪我がない限り、試合をしない理由はなかったから。でも、休んでいた間に、自分自身について多くを学んだのも確かだ。子供が生まれるから、新しいモチベーションができたし、妻ともより仲良くなった。自分の人生を本当に楽しんで、減量をしなくても良い時期があったのもデカい。それはいつもほんとうに大変なことだからね。だから、MMAの試合ができないことは身が引き締まる思いだった。でも同時に、俺にとって本当に大切なのは、自分の人生と向き合うことだということに気づいたんだ」 ──その結果、外に出てボクシングの他流試合を行った。異なる階級の相手と戦い、4オンスより大きなボクシンググローブを着用し、ボクシングシューズを履いての戦いは、MMAとは距離感も全く異なると思います。それらの試合から何を学び、MMAにどう影響するでしょうか。 「そうだね、ボクシングの試合をしてから、カーディオがかなり良くなったと感じてる。ボクシングリングの中で、3分と時間が短いから、ペースが少し上がったんだ。拳だけで戦うって、ある意味タフだ。自分がどれだけ丈夫であるかも学んだ。大きなパンチをいくつか受けたけど、動じなかった。そして、自分自身にとても感心した。距離を保てたし、最初の数回のボクシングの試合にしては、かなり良い感じだったんだ。ほとんどのMMAファイターがプロボクシングの試合で見せるよりも、プロフェッショナルに見えたと感じたよ。自分は良いパンチを持っていることも気づいた。自分のパンチを信頼する必要があったんだ。小さなグローブではもっとダメージを与えられるから、次のMMAの試合でそれらすべてを使うつもりだ。ただ、キックが好きだからあの試合中にキックできなかったのは本当に大変だったけどね(笑)」 ──ボクシングの試合でキックも組みも無いのは確かに大変だったでしょうね。さて、次の試合は「グラップラー対ストライカー」とみられていますが、一概にそうとは言えない部分もありそうです。ストッツ選手との試合で、どのように準備していますか。 「距離を保ち、クリエイティブに戦い、“ラファ”に今までとは違う姿を見せることだ。彼は俺の戦い方に特定の考えを持っていると思うが、多くのことが変わった。この休養期間中に、新しいスキルを身につけ、新しいアングルを学び、使える武器が増えたから。ボクシングの経験もあって、ラファの前回の試合を見れば分かると思うが、マルコス(ブレノ)はボクシングパートで本当にうまくやっていた。だから、俺もそういったことをすべて持っていると思う。それらをより良く融合させることができるだろう。もちろん、テイクダウンディフェンスは非常に重要だ。それは上達したと感じている。だから、試合がなくてもジムで練習を続けてきたんだ。これが俺のライフスタイルなんだよ。試合があろうとなかろうと、俺は常に練習を続けていたんだ」 ──今回はシカゴのウィントラストアリーナが会場です。ミルウォーキーから近い場所での試合になりますね。 「シカゴで戦うのが大好きだよ。今まで何度もシカゴで戦ってきた。シカゴでの試合はこれで6回目になるな。自宅からわずか1時間半の距離だから、たくさんの家族や友人が見に来てくれる。俺は中西部の人間だから、地元を代表して戦うことはとても重要だ。今回、俺は恵まれてるよ。他の選択肢はサウジアラビアだったと思うし、ここ数試合は遠征ばかりだったから。日本にも行ったし、インドでもボクシングをした。あれは今までで最長の移動だった。だから、地元に留まれるのは気持ちがいい。ホームは本当に気持ちがいいよ」 ──今回の試合、ずばりどのようなものになりそうですか? 「この試合は、これまでで最も厳しい試合になると思う。俺とラファは良い友人だ。今でも試合前に連絡を取り合っている。『なあ、残念だけど、これは俺たちがやらなきゃいけないことなんだ。お前には養う家族がいるし、俺にも家族がいる。ビジネスをしようぜ』」といった感じにね。激戦になると思う。ラファは俺の最高の部分を引き出してくれるだろうし、俺もラファの最高の部分を引き出すつもりだ。そして、最強の男が勝つだろうな」 ──日本のU-NEXTで試合を見るファンにもメッセージを。 「日本のファンの皆さん、本当にありがとう。皆さんの前でパフォーマンスできたことは光栄だった。また機会があることを願ってる。そして、親友の平本蓮に大きな声援を送るよ。怪我の回復が順調であることを願っている、友よ。たくさんの愛を込めて──」
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