鈴木太尊「ギャンブルの強さには自信あるっす」

──5月28日に岩尾力選手と同席したカード発表会見がありましたが、あの時、ガッチガチに緊張してましたよね?
「ハハハ! 緊張してました(笑)」
──ですよね。あんなにガチガチになっている人を、久々に見たという感じでした(笑)。
「そうですよね。あんまりしゃべるのが得意じゃなくて、ああなっちゃいました。会見自体も、一度だけ他団体で出たことはあるんですけど、ほぼ初めてみたいな感じで」
──では、岩尾戦だからということではなく、会見自体の緊張だったということですか。
「そうですね、会見だから緊張してました。ただ、自分は岩尾選手のことを『怖い』とよく言っているので、それも重なっちゃった感じになって、そういう見え方になってたかもしれないですけど」
──なってたと思いますね(笑)。今回、岩尾選手が「出場予定」と発表されていて、あとから対戦相手として鈴木選手が決まりました。オファーを受けた時はどう思いましたか?
「連絡が来たのが、バイト中だったんですよ。3回ぐらい携帯が鳴ったので、ちょっとだけ見たんですね。そしたらジムの久保賢司代表からで『ヤバい相手からのオファー来たよ』というところだけは分かって、『誰だろう?』とメッチャ気になってたんですけど、細かいことは終わってから見ようと思って。それでバイトが終わってから見てみたら岩尾選手ということで。『うわ、マジか!』とは思ったんですけど、すぐに『やりたいです』と返しました」
──オファーを受けることには躊躇はなかった?
「そうですね。やっぱり格闘技だから、強いヤツとやれたら面白いじゃないですか。しかも岩尾選手って昔から知ってる選手で名前もあるし、そんな選手とできるのか! と思ってワクワクして受けました。まあ、今となってはちょっと後悔してるんですけど(笑)」
──そうですか(笑)。では、試合への気持ちとしては「チャレンジ」という感じですか?
「というよりは『ギャンブル』ですね」
──ギャンブル!
「ぶっちゃけ実力差はあるし、試合が近づいた今もそれを埋められたとは思ってないんですよ。ただ、負けるつもりはないんで。今回はギャンブルだと思って、やろうかなと思っています。自分、普段ギャンブルはやらないんですけどね」
──自分はギャンブルが強い方だと思いますか?
「強いですね。周りの友達はパチンコとか競馬とか好きなヤツが多くて、けっこうやってるんですね。1年に1~2回ぐらい、付き合いで自分もやることがあるんですけど、そこで負けたことがなくて。毎回勝ってるっすね。なので、ギャンブルの強さには自信あるっす。あとは当日の自分に任せようかなと」
──改めて、岩尾選手のどこに一番強さを感じますか?
「俺は、全てが強いと思ってますね。スピードもパワーもテクニックもあって、パンチも蹴りもできるし、本当に強いと思います」
──その中で、「穴」は見つけていますか?
「どうすかね?(笑)自分を出せれば……これもギャンブルっぽくなっちゃうかもしれないですけど、勝つ気ではいるんで。ただ、バカみたいに突っ込もうとかは考えてなくて、ある程度の作戦はあるっちゃあります。でもやっぱり実力差はあるので、それが通じるかはやってみなきゃ分からないですよね。最後は気持ちの勝負になっちゃうなというのはありますね」
──その作戦は、久保賢司代表と作っているんですか?
「そうですね、久保代表とジムの仲間と一緒に。あとは自分が練習している中で、『これはいけるんじゃないか』と思っていることはあります」
──では、その作戦が遂行できれば、勝利への道はあるはず?
「いや、それを覆してくる実力を持った相手なので、だから本当に気持ちだと思ってますね」
──久保代表からは、試合について何か言われていることはありますか?
「このジムに移籍してから半年で、今回が2戦目になるんですけど、相手に対してどうというよりは、今、俺が持っているんだけどまだ出せていない武器を磨いてくれているというか。それを引き出してくれている感じですね。いい環境で練習させてもらっているので、強くなっているという手応えはあるんですけど、この前の試合(4月大会、vs遥心)は負けちゃって。でもまだ気持ちは折れてないので」
──今の練習環境は、どんなところによさを感じていますか?
「代表の賢司さん、ボクシングでもムエタイでもチャンピオンになっているポンサワンさん、久保優太さんもいますし、チームメイトもいろんな団体に出ている選手が集まっているジムで、いろんなスタイルがいるので、いい環境だなと思います」
──選手によっては、相手のことをものすごく強いとイメージしておく場合もあるといいます。そうすると試合の時に「思ったより強くない」と思えると。
「自分もいつもそういう考え方で、相手のことはメチャメチャ強いと想定していて、やっぱり当日は『こんなもんか』と思ってます。試合までは想像して怖くなって、眠れなくなることとかもあるんですけど、今回はいつもとちょっと違う感情なんですよね。『怖い、怖い』とずーっと言い続けてきたからか分かんないんですけど、今はちょっと楽しみになってきました」
──一周回った?
「そうかもしれないです(笑)。今も若干怖さはあるんですけど、楽しみみたいな変な感情もありますね」
──岩尾選手はすごいKOも目立ちますが、昨年は鬼山桃太朗選手にダウンを食らって判定負けした試合もありました。また、一昨年暮れの内田晶戦では捕まえきれずに判定までいきました。そのあたりは参考にはなりますか?
「参考になる部分はあるんですけど、鬼山選手や内田選手とはスタイルも違うので、同じことをやればいいというわけではないので」
──自分が勝つイメージは作っていますか?
「もちろん!(笑)」
──やっぱり最後は気持ちですか。
「そうですね、気持ちです。あと、6月27日は母親の誕生日なんですよ。会場に応援にも来てくれるので、勝ってリング上からお祝いの言葉を言いたいですよね。そこはモチベーションになっています」
──では最後に、改めて今回の試合に向けての“決意”を教えていただけますか?
「実力差はあるし、それが最初の会見から埋まったとも思ってないし、むしろさらに差をつけられているとも思うんですけど、やっぱり自分は負ける気が一切しないので、気持ちで全部ひっくり返してやろうと思っています」




