奥足で死角から放たれたノジモフの前蹴りで新居はKO負け。(C)RIZIN FF
2025年6月14日(土)北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナにて『RIZIN LANDMARK 11 in SAPPORO』が開催され、第13試合のフェザー級で、ウズベキスタンのイルホム・ノジモフが、新居すぐるを1R 2分09秒、右前蹴りで衝撃のKO。群雄割拠のフェザー級で大きな存在感を示した。
▼第13試合 RIZINフェザー級(66kg)5分3R
〇イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン/ Tiger Muay Thai)
[1R 2分09秒 KO] ※右前蹴り
×新居すぐる(HI ROLLERS ENTERTAINMENT)
Mr.アームロックの新居は、RIZIN2連敗中。摩嶋一整に一本負け、昨年大晦日には盟友・武田光司と対戦し、ローブローにより、その時点までのテクニカル判定により0-3の判定負けを喫したが、敗戦を経てフルラウンド戦うMMAファイターとして進化を遂げるべく、SASUKEや菊入正行らとも練習を重ねてきたという。
ノジモフは“タシケントの闘犬”と呼ばれるウズベキスタンファイター。身長182cm、リーチ189.5cmでフェザー級で日本人にはない骨格の大きさから、首相撲からのヒジ・ヒザの近距離の打撃も得意とし、11勝中5つのKO・TKO勝ちをマークするストライカーだが、ニンジャチョーク、ダースチョークなどのフロントチョーク系も得意とする。
ここ10戦で9勝1敗。黒星は開始早々、不用意に出した左ミドルに右オーバーハンドをテンプルにもらっての8秒負けで、連勝が7で途切れたが、その後、RIZINで連勝し、復活を遂げている。
23年11月、RIZIN初参戦となったアゼルバイジャン大会でホアレス・ディアに判定勝利。2戦目の24年7月、山本空良と対戦。2R、右ストレートでダウンを奪うとパウンド猛追でTKOし、日本デビュー戦を華々しい白星で飾った。
ミルコばりのジャブ、左右ハイキックも駆使するノジモフは、立ちでも組みでもアグレッシブが信条だ。その分、新居にも組むチャンスが生れるともいえる。
しかし、ノジモフは、前戦で山本空良のグラップリングを断ち切って、硬い打撃を当てている。果たしてフェザー級サバイバルマッチを勝ち抜くのは新居か、ノジモフか。
1R、ともにオーソドックス構え。先に詰めるノジモフは右ロー。ケージ背にする新居は右フックで押し込みノジモフにバランスを崩させて組み。首投げの体勢も半身の新居。ノジモフは突き放して詰めて、すぐに右ロー。新居は大きな右の飛び込みもバックステップでかわすノジモフは右の後ろ蹴り! もらいながらも掴んだ新居。
足を抜いたノジモフは、新居の右の前進をさばくと、奥足から高い打点の右前蹴り! 三日月蹴りのように左脇下の死角から打ち抜かれた新居は、足を揃えて糸が切れたように後方に倒れ、すぐにレフェリーが間に入った。
試合後、ノジモフは「私はRIZINの選手です。一人、対戦相手を希望します。萩原京平です。榊原社長にお願いします。ぜひ戦わせてください」と、フェザー級で萩原を指名したが、その意図は?
ノジモフ「練習仲間のコレスニックが勝利したので、自分が勝たないわけにはいかないと」
──試合後の率直な感想をお聞かせいただけますか。
「とてもいい気分です。勝てて嬉しいという気持ちがとても大きいし、実際いい仕事ができたと思っています。打撃も質が高いものをお見せできたと思います。ただ自分自身、驚くような内容ではなかったです。事前に皆さんにお伝えしていた通りに試合を終えられた、それだけです」
──あの前蹴りにみんなが驚きましたが、普段から練習しているのですか?
「普段からトレーニングしていますし、実際試合でもよく使う技ではあるのですけど今回は特に相手のファイトスタイルを想定してあのキックを使うことができたと思います、とてもうまくヒットしたと思います」
──勝利者マイクで萩原京平選手の名前を出したのはどのような意図、思いからですか。
「実は頭の中にあったのは2人の選手名で、ただ萩原選手ではないもうひとりの選手はちょっと最近、次の試合が決まって発表されてしまっていたので今回は名前を挙げませんでした。萩原選手は自分から見て、日本のサムライのような選手で、とてもいい選手だと思っているので、どちらの刀が強いかを実際に対戦して試してみたいと思ったので彼を選びました」
──試合が決まってしまったもうひとりというのはどの選手なのですか?
「今の時点ではちょっと秘密にしておきたいです。次の試合で勝てたときに、彼が試合が決まっていなければ、その気に、その彼の名前を挙げたいと思います」
──自分の試合の前にコレスニック選手もKOで勝利をしましたが、もっといい勝ち方をしなくては、と意識しましたか?
「タイガームエタイで普段から一緒に練習しているチームがあるんですけど、実は昨日そのチームのひとりが別の団体で試合して勝利しました。今日、もうひとりの仲間のビクターが勝利したので、これは自分が勝たないわけにはいかない、負ける自分が想像できなくなっていました」
──プロの試合で、あの前蹴りでフィニッシュしたことはありましたか。
「今日が初めてでした。子供の頃から、アンデウソン・シウバ(vs.ヴィトー・ベウフォート)がキックを決めるのを見たり、リョート・マチダ(vs.ランディ・クートゥアー)を見て憧れていましたイルホム・ノジモフ、いつか自分もやってみたいと思っていました。普段から練習していて、試合でも何度か試みたけどやってみても一度もヒットしたことはありませんでした。スパーリングでも使っているけれど、本番となるとそうもいかない、というのがなかなか難しかったたけど、今日は成功しました」
──日本でもそうやってアンデウソン・シウバのようだと話題になっています。
「本当に嬉しいです、リョートもアンデウソンも大ファンで、彼らならこうキックするだろうなと、想像してイメージしながらやっていたので、そう言ってもらえるのは、光栄なことです」







